「慎重勇者 〜この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる〜」レビュー

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ファンタジー
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評価 ★★★★☆(66点) 全12話

あらすじ 救済難度S級レベルの世界「ゲアブランデ」を救済することになった新米女神・リスタルテは、チート級のスキルを持った勇者・竜宮院聖哉を召喚する。引用- Wikipedia

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1話で切っていいのかい?慎重に11話まで見てみよう?

原作はライトノベルな本作品。
なろうっぽいタイトルだが、小説家になろうで連載してる作品ではない。
監督は迫井政行、製作はWHITEFOX

駄目な女神は好きですか?


引用元:(C)土日月・とよた瑣織/KADOKAWA/慎重勇者製作委員会

1話が始まって早々にこの作品の異質さを感じさせる。
この作品はタイトルからも分かる通り、最近流行りの「なろうっぽさ」を
感じるテイストのある作品だ。
だが、そんななろうとは始まりから違う。

普通は主人公が何かしらのキッカケで転生したり転送されるところから始まるが、
この作品は「女神」が神と女神の集いで「救済難度S級レベルの世界」の
救済の任務を受ける所から始まる。
彼女はその難易度の高さに震えるシーンから始まる(笑)

彼女の顔芸とも言うべきコロコロと変わる表情は可愛らしくコミカルであり、
演じている「豊崎愛生」さんの声と演技も相まって、
1話からくすくすと笑えるシーンばかりだ。

異世界召喚


引用元:(C)土日月・とよた瑣織/KADOKAWA/慎重勇者製作委員会

そんな女神は「日本」の人間を救世主として召喚することを選ぶ。
異世界小説が流行りまくってる日本なら状況の理解も早いからという、
あながち間違いではない根拠を元に多くの資料の中から
彼女は「レベル1」なのにとんでもないスペックの人間を見つけ出す。

1億人の一人の逸材というべき彼を女神が召喚するところから物語が始まる。
人間側の視点ではなく「神の視点」から物語が始まる異世界系。
ただ視点が違うだけで新鮮に感じることができる。

紹介した人間のかっこよさに対して「目をハート」にし、
頬を赤らめ、年頃の乙女のような反応を見せてくれる(笑)
この1話の冒頭でこの作品の面白さの1つである
「女神」の慌ただしいまでの心理描写が畳み掛けるように描かれる。

一歩間違えば騒がしい、一歩間違えばテンションが高いだけのキャラだが、
「豊崎愛生」さんの声のおかげで、それがほどよく抑えられ、
きちんとした「コメディ」に仕上がっている。

慎重


引用元:(C)土日月・とよた瑣織/KADOKAWA/慎重勇者製作委員会

召喚した彼はタイトル通り「慎重」な性格をしている。
女神の言葉を一言一言を疑い、全てに説明を求める。面倒くささの極みだ。
なろうの主人公ならわけもわからないままに異世界で力を振るうが、
この作品の主人公は異世界にすら行かない。

女神の癒し能力も疑い、ステータスに表示される自分自身の能力すら疑う。
だからこそ鍛える。
異世界への扉をくぐらずに神の世界で彼は修業の日々を送る(笑)

「慎重」という主人公の特性を最大限の生かしたキャラクター描写とセリフ、
女神との掛け合いが夫婦漫才のような畳み掛けるボケとツッコミを生んでおり、
「慎重」という性格の設定をきちんと掘り下げることで、
主人公に愛着を持つことができ、そんな主人公の慎重さに戸惑うヒロインである
女神にも愛着を持つことができる。

彼は1週間「筋トレ」をし続けレベルを上げている。
異世界に転送された主人公が筋トレするだけで1話のAパートが終わる作品など
この作品くらいだろう。

Bパートでようやくありとあらゆる魔法を駆使してようやく一匹倒す。
彼が1話でしたのは筋トレと装備品を整えたこととスライム一匹を倒し、
魔王の手下から逃げたことだ(笑)
「慎重」というタイトルに相応しい身長差を1話でたっぷり味わうことができる。

ただ勝てるだけでは意味がない


引用元:(C)土日月・とよた瑣織/KADOKAWA/慎重勇者製作委員会

この作品は1話から魔王の四天王の一人が現れる。
当然、主人公のステータスよりも上の存在であり、主人公は逃げる。
逃げてまた筋トレだ。慎重に慎重を重ねて更に慎重をかぶせるような慎重っぷりは
1話の段階では面白いものの、そのじれったいまでの慎重さにやきもきさせられる、
だが、そのヤキモキをきちんと「女神」が突っ込むことで場をもたせている。

慎重に慎重を重ねたからこそ彼のステータスは凄まじいものになっていく。
異世界ファンタジーの場合「主人公の強さ」が納得できる理由がないことも多いが、
この作品はきちんと「筋トレ」という名のレベル上げを彼が
しつこいまでにやっているからこその強さだ。

例え相手に勝てる状態でも「確実」に「余裕」で勝てるまで彼は鍛える。
本来はレベル20で勝てる相手に彼はレベル30で挑む、
だからこそ、そのステータスさがきちんと裏付けられてるからこそ
「俺TUEEE」がなせる。

彼は決して与えられた力で俺なんかやっちゃいましたか?と
すごい力を見せつけるのではない。
裏付けされた修行をしつこいまでに描いているからこそ、
慎重に彼が自分自身を追い込み鍛えたからこその強さだ。

だからこそ、彼が魔王の四天王相手に余裕で勝てても不快感がない。
ありえないくらいに慎重だからこそ「俺TUEEE」が成り立っている。

3倍?100倍だ


引用元:(C)土日月・とよた瑣織/KADOKAWA/慎重勇者製作委員会

3話の時点で筋トレではレベルが上がらなくなってしまう。
そんな主人公は決して「モンスター」とは戦わずに、
上に修行を付けてもらうことで経験値を稼ぐ方法を取る。
休憩無しでぶっつづけて神相手に修業をする。
神も嫌がるレベルで彼は修業を続け、神の3倍強くなっても満足しない(笑)

神といっても「元人間」の神もおり、
魂に刻まれた人間としての弱い部分を主人公のせいで引き出されてしまう。
慎重であるがゆえに主人公は身勝手に周囲を振り回し、
慎重であるがゆえに主人公は一切手段を選ばない。
神をタコ殴りにして経験値を搾り取るまで彼は鍛え上げる。

例え神の3倍強くなっても満足が行かず、彼は100倍を目指す。
彼は謝るということをしない。
彼にとっては目的のための手段でしか無く、神や人間に対しても冷たい。
勇者のパーティーである仲間に対してもあまりのレベルの低さに
「超いらない」と言い放ってしまう始末だ。

ドSとも言うべき彼の言動や行動や性格は好き嫌いが分かれる部分ではあるが、
その好き嫌いが作品の主人公としての魅力にもつながっている。
しつこいまでに修行し、他者に対しても厳しいからこそ彼の強さに納得できる。
敵も敵でS級難易度なだけあってチートのようなステータスの敵ばかりだが、
そんな敵も「慎重を期した」からこそ倒せる。

「主人公が慎重」というだけなのに、
それがきちんと作品としての面白さにつながっている。
仲間にも冷たい態度を取る彼だが、そんな冷たい態度を取るのに
彼らのことや人間の命はきちんと守る、だからこそドSな彼が許せてしまう。

ストーリー進行の速さ


引用元:(C)土日月・とよた瑣織/KADOKAWA/慎重勇者製作委員会

この作品のストーリーは本当にサクサクと進む。
どんどんと強くなり、どんどんと魔王の四天王を倒す。
1クールという尺の中でストーリーがどんどんと進んでいく。

サクサクと進むストーリー展開は余計なだるみがなく、
徐々に増えていくキャラクターもコミカルな日常描写もあいまって
しっかりと印象に残り愛着が湧くようになっている。
でてくるキャラクターのすべてが主人公の慎重っぷりに振り回され、
その振り回される様がキャラクターの印象づけにもつながっている。

主人公の存在が「慎重」という一点でブレがないからこそ、
彼の周りにいる存在が癖が強くても、
彼がぶれないからこそそれを受け止めてきっちりとギャグになっている。

魔王の配下に出逢えば「傾向と対策」を考えて
様々な神と修行をし技を身に着け戦う。
この繰り返しの中で徐々にキャラを増やし、伝説の剣や鎧を求めていく。
まるでRPGのようなストーリーは王道ではあるものの、
その王道の裏をかく用なストーリー展開があることで、飽きさせない。

伏線


引用元:(C)土日月・とよた瑣織/KADOKAWA/慎重勇者製作委員会

この作品は序盤から「気になる要素」を描いている。
例えば主人公に初めてあったはずのキャラが以前にもあったことがあるような
素振りを見せたり、他の神が主人公に対してなにやら
「思う所」があるような素振りを見せる。

そしてもう1つの伏線。
勇者である主人公はあくまで異世界を救うために女神に召喚された存在だ。
その魂は「本来の世界」にあり、もし異世界で死んでも
彼は元の世界に戻るだけだ。
例え死んでも異世界を救えないだけで「死ぬ」リスクはない。

これは1話で主人公に説明された要素だ。
そう序盤できっちりと視聴者には「伏線」を提示している。
主人公がなぜ慎重にこだわるのか、なぜここまで慎重なのか。
「慎重勇者」はどうして「慎重」なのか。

ただのキャラ付けではない、それには理由がある。
この作品は「11話」まで見てこそ本当の面白さが伝わる作品だ。

真実


引用元:(C)土日月・とよた瑣織/KADOKAWA/慎重勇者製作委員会

11話、彼はたった一人で魔王城へと向かう。
女神も仲間たちもおいてたった一人で。彼の真意はたった1つだ。
魔王城に共に行けば仲間が死ぬかもしれない、
だからこそ彼は「たった一人」で魔王城へと赴く。
ドSな彼の口ぶりからは考えられないほどの優しさだ。

だが、彼の能力値は「カンスト」してしまっている。
慎重に慎重を重ねてありとあらゆる傾向と対策を考え、
装備を整え技を整えたが、魔王に操られていた敵にギリギリの勝負だった。
伝説の剣もなければ、伝説の鎧もない、つまり勝ち目はない。
自分の命と引換えに魔王を道連れにする技しか彼にはない。

自己犠牲だ。彼は他者に冷たく当たり、時には暴力も使う。
だが、彼の芯は「自己犠牲」の精神に満ち溢れている。
それは彼の魂に刻まれた過去に導かれた行動だ。

彼はかつて「勇者」だった。
別の女神に選ばれた彼は仲間とともに魔王を討伐するために活動していた。
無鉄砲で何も考えず、戦略なんてものも建てない。
「なんとかなるさ」の一言で彼は勇者として活躍していた。

彼は2度目の召喚者だ。
1度目の彼は無謀な勇者だった。
慎重さのかけらもない彼は自身の才能を頼りに、愛するものと戦っていた。
だが負けた。最後の最後で慎重さをかき、
油断してしまったがゆえに負けてしまった。

自分の目の前で仲間が殺される姿を彼は見た。そして自分自身も殺された。
だが、彼は勇者だ。魂は別にある。異世界で死んでも勇者は記憶を失い
元の世界に変えるだけだ。だが、魂には深く、深く刻まれている。
自らが「慎重」でなかったがゆえの結末を。

「慎重勇者」がなぜ「慎重」なのか。
彼の性格ではない、単なるキャラ付けではない。
1クール描けて貫き通し描いていた「慎重」という要素を
この作品は11話である意味で真逆の印象を与える。

散々、この作品の「慎重」という要素で笑っていた。
だが、11話でそんな笑いが涙に変わる。
綺麗に作品の印象をひっくり返されたような見事などんでん返しだ。

今度こそハッピーエンドで終わろう


引用元:(C)土日月・とよた瑣織/KADOKAWA/慎重勇者製作委員会

最終決戦に挑んだ勇者の体はボロボロだ。
魔王に勝ったもののなにをしても彼のカラダは戻らない。
最後の一瞬だけ魂に刻まれた記憶を呼び起こし、
彼は「今度は助けることができた…」安堵し消え去る。

女神もまた彼を救うために禁忌を犯した。
禁忌を犯してでも彼の治癒は間に合わず、彼女は禁忌を犯した罰を受ける。
今回救った世界よりも難易度の高い「SS」の世界の救済だ。
1度、主人公が失敗し魔王が世界を整復したあの世界の救済だ。
女神の力すら使うことが出来ない。

だが、もしかしたら「慎重」なあの勇者なら救うことができるかもしれない。
1度失敗したあの世界で、もう1度、女神とともに。
ご都合主義でいいじゃないか、そういいたくなるような綺麗なラストは
新たな冒険の始まりだ。ありえないくらい慎重なあの勇者ともにもう1度。

「今度こそハッピーエンドで終わろう」

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総評:1クールのストーリー構成の素晴らしさ


引用元:(C)土日月・とよた瑣織/KADOKAWA/慎重勇者製作委員会

全体的に見て素晴らしい作品だ。
序盤は「慎重」という主人公の性格を軸にそこを掘り下げることによって
慎重すぎる彼の行動や言動に振り回される女神とのボケとツッコミと、
慎重にきした結果の「俺TUEEE」の数々にクスクスと笑わされる。

だが、そんな笑っていたはずの「慎重」という要素の真実が
11話で明かされることによって、ギャグからシリアスな要素へとひっくり返る。
本当に見事なひっくり返し方だ。これこそどんでん返しだと言わんばかりの
見事なストーリー構成で作品の印象が180度代わり、
ラストの少しご都合主義なエンディングも含めて気持ちのいい1クールになっている

変にストーリーを引き伸ばすわけではない。
サクサクとテンポよく、どんどんとストーリーが進み、
その中で夫婦漫才を繰り返しつつも爽快感あふれる戦闘シーンを展開しつつ、
話がどんでん返し、魔王を倒して1クール終わる。
これで終わりでもいい、だが2期をやって彼と彼女の物語の続きも見たい。

そう感じさせるほど本当にきれいな1クールのストーリー構成になっており、
12話を見終わった後に「いい作品を見た」という余韻に浸ることができる。
欠点といえば良くも悪くもこの作品は
「慎重勇者」という主人公という軸のみで作られている作品だ。

人によっては序盤でこの「慎重」部分がしつこいと感じたり
出落ちと感じてしまうこともあるだろう。
そこを主軸にし、その一点を貫き通してる作品だからこそ飽きてしまう人もいる。

だが、是非11話まで見てほしい。
そんな「慎重」という要素が本当に見事に綺麗にひっくり返される。
ある意味でここまでひっくり返されると「快感」といってもいい。
1クールという尺を見事に生かした本当に見事な作品だった。

個人的な感想:やられた


引用元:(C)土日月・とよた瑣織/KADOKAWA/慎重勇者製作委員会

正直終盤の私の涙腺は崩壊している(笑)
物語が見事にひっくり返されたことによる落差のせいもあるのかもしれないが、
彼と彼女の物語の真実が明かされたときは本当にやばく、
ラストのあの「ご都合主義」な結末も含めて泣きっぱなしだった。

愛すべき主人公と、愛すべきヒロイン。そして愉快なキャラクターたち。
見終わった後にすべてのキャラが好きになれる、そんな作品だ。
是非続きをアニメで見てみたいところだが、
ここまで綺麗に終わられると逆に続きがないことも粋だと感じてしまう(笑)

もし、今から見る人がいるなら終盤まで様子を見てほしい。
きっと私と同じ用に涙腺が崩壊してしまうはずだ。

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