「風夏」レビュー

2018年2月4日

評価 ☆☆☆☆☆(7点) 全12話

あらすじ 榛名優は、転校先の高校で秋月風夏と出会う。また、幼馴染であった氷無小雪ともTwitterで連絡が来る。引用- Wikipedia

これはワゴンに積まれたギャルゲーですか?

原作は週刊少年マガジンで連載中の漫画作品。
監督は草川啓造、制作はディオメディア

見出して感じるのはキャラデザの悪さだろう
等身が高くヒョロっと細い、最近のアニメというよりは
2000年代のアニメっぽい雰囲気が強く、
全く関係ないのだが「ギャルゲーorエロゲー」原作のアニメっぽい雰囲気すらある。

展開は安易の塊である。
主人公とヒロインがぶつかり、パンツが見える。
たまたまスマホを手に持っていた主人公だが、ヒロインが「盗撮された」と
勘違いしスマホを地面に叩きつける。

この冒頭のシーンにヒロインの可愛さや展開の面白さのようなものは感じない。
無駄に暴力的なヒロインと、主体性のない主人公、
物語の芯にいるはずの二人のキャラクターにまるで魅力を感じない。

主人公の環境もまるでギャルゲーである。
ツンツンな眼鏡巨乳姉とわがままな感じのツインテール妹、ほんわか姉、
「この3人のルートもあるのかな?」と思わせるほどギャルゲーっぽさが鼻につき、
何処かで見たことのあるキャラクターや展開や設定があまりにも多い。

ちなみに主人公は転校生であり、トラブルを起こしたヒロインと同じクラスになる。
こんなベタベタかつ何百回と繰り返された末に、もはやギャグにしかならない展開を
真っ正直に描かれても見てる側は鼻で笑うしか無い。

この作品にはご都合主義しかない。
あまりにもベタかつご都合主義な展開が多すぎて
見ている側が突っ込んでしまうことが多く、
作品の世界観やキャラに感情移入できない。

よくいえば「ベタ」で「王道」なのかもしれないが、前向きには捉えられない。
はっきりいってしまうと、レベルが低い。
何処かで見たことのあるギャルゲーのシーンをつなげただけのようなストーリー構成、
ご都合主義全開の展開の数々、思わずありえないと突っ込んでしまうほど
展開に説得力がなく、見ている側がいつまでたっても蚊帳の外だ。

よくギャルゲーや萌えアニメは「記号化」されたキャラクターだと批判される。
この作品はまさにそれだ、都合のいい記号化されたキャラ付けしかしておらず、
そこから深めていかなくてはならない「キャラクター」の魅力というのがない。
最初から最後まで記号化された属性のキャラばかりだ。

もっと極端に言えばキャラクターが操り人形でしか無い。
「こういうシチェーションが描きたい」ありきでキャラクターが動き、
ストーリーが進む。そこにキャラの心理などはない。
自然な流れでキャラクターの感情がきっちり描かれて、
結果的にそのシチュエーションにつながるというストーリーの流れができておらず、
描きたいシチュエーションに向かってキャラクターが動かされてる感が強い。

だからこそ唐突なヒロインの行動についていけない。
主人公を名前呼びしたり、いきなり歌いだしたり、音楽ヤると言い出したり、
そんな彼女に主人公は振り回されるのみだ。
バンド止めてソロ活動すると言い出したときは
「こいつ正気か?」と真剣に思ってしまった。

恋愛関係も一応、ハーレムというか三角関係だ。
無条件的に魅力のない主人公に好意を寄せる二人のヒロインという構図は、
何の工夫もなく、嫉妬だのなんだのとひねりのない展開も描かれるのだが、
「どうでもいい」という感情が先行してしまうほど見ていて空虚だ

ストーリも唐突に中盤から音楽活動が始まる。
主人公もヒロインも高校生だが音楽経験は0だ。
しかし、ご都合主義全開でバンドのメンバーがあつまり、
ご都合主義全開で音楽の技術が上がっていく。そこに何ら苦労はない。

もう少しバンド活動での苦労やストーリーがあれば見れるのだが、
あまりにもサクサクに進み、あまりにも用意されすぎた環境の
バンド活動を見ても何1つ面白くない。

この作品で一番ご都合主義に感じたのは8話だ。
主人公の幼馴染はアイドルであり、そのアイドルと合っているところがSNSで流れ
大炎上し身バレしてしまううえに厄介なファンが大量に
主人公の学校の学園祭に訪れトラブルになる。
その騒動を主人公たちのバンド演奏で収めてしまう(笑)

やりたい事は分かる。
だが、そこまでのストーリー展開や流れがあまりにも強引で、
「厄介なファン」が音楽始めて数ヶ月に満たないバンドの曲で黙ってしまうのは
あまりにもご都合主義で正直「馬鹿馬鹿しい」とさえ思ってしまった。

結局何かのトラブルやシリアスな展開になっても、
そのすべてが「どこかでみたことのある」ストーリーでしか無く、
その何処かで見たことのある展開や話を継ぎ接ぎにしてるだけにすぎない。
この作品ならではのオリジナルの部分、この作品だからこその面白さを
何1つ感じないままに終わってしまった。

総評

全体的に見て駄作だ。
終盤の展開は原作とは全く違うifストーリーのようで、いわゆる別ルートだ。
そういった手法も安易かつ「ギャルゲー原作」のような雰囲気を抜け出せておらず、
こんなストーリーとキャラクターで制作スタッフのヤル気が起きていないのを
画面の端から端までひしひしと感じる。

ヒロインのパンチラ描写というのはラブコメにおける大事なシーンだ。
どういう風に見せるか、どういう風に反応にさせるか、どういう風に描くか。
「ラブコメ」というジャンルにおける試金石の描写がかなりあるのだが、
パンツの見せかたがあまりにも雑で作画にもまるで気合が入っていない。

決して作画崩壊してるわけでもない。予算が少ないという感じもない。
単純に「この作品を面白くしよう」という思いを一切感じない作品だ。
作品の熱量が常に低い。

パンチラも序盤は頻繁なのだが中盤からは忘れる。
主人公もスマホ中毒みたいな設定があったと思うのだが、忘れる。
作品の中にあったはずのお約束的なシーンや設定なども
要らなくなったら無かったことにしてしまうのも、この作品の厄介な所だ。

王道とは呼べないほどの安易なギャルゲー展開の数々、
都合のいいストーリーの流れはギャグでやるならばまだ笑えたかもしれないが、
真剣にラブコメとして描かれると失笑しか出来ず、
アニメ制作スタッフがやる気が出なかったのも分かってしまう内容だった。

この作品で評価できるのはエンディングテーマが割と良かったなくらいだ。
中島愛さんが活動を再開しての新曲だが、
中島愛さんらしい曲調と歌声は「あ~やっぱりいい」と感じさせるものだった。
なお、この作品の評価とはまるで関係がない。

個人的な感想

個人的に早見沙織さんが出ていなかったら最後まで見るのが難しかっただろう。
声優さんたちの演技や歌唱力に救われているシーンがあまりにも多く、
正直、演技が浮いてしまっているようにも感じる時があるほどだ。
作品のレベルと声優のレベルが釣り合っていない。

「この作品のどこが面白いのか?」というのが最後までわからなかった。
腐っても週刊少年マガジンで連載してるマンガなのだから、
もう少し何かあるのかと最後まで頑張ってみたが、何も感じられなかった。
週刊少年マガジンが発行部数が百万部を切ったことが話題になったが、
何となくそれが分かってしまう作品だった。

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