長門有希ちゃんの消失」

2016年6月29日

評価/★★★☆☆(45点)

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懐かしいあの気持ちをもう1度

本作品は「涼宮ハルヒの憂鬱」のスピンオフ作品。
長門有希の消失の世界をベースに普通のラブコメを描いている
監督は和田純一、アニメーション製作はサテライト

見だして感じるのは違和感だろう。
製作会社が京都アニメーションでないこともあり、
キャラクターデザインや雰囲気がかなり違う。
「スピンオフ」であり「SF設定」がない涼宮ハルヒの世界なので
はっきりいって「別作品」といえるため、強い違和感を感じるのは当然だろう

特に表情豊かであり、感情豊かな「長門有希」というキャラの違和感は強い
確かに可愛くは有り、「ラブコメ」におけるヒロインとしては
魅力のあるキャラクターではあるのだが
それと同時に「涼宮ハルヒの憂鬱」における「長門有希」というキャラを
知っているがゆえに素直に受け入れきれない
あくまで「スピンオフ、別作品」と割り切るまでに人によっては時間がかかるだろう

内容的にもベタベタかつ甘々なラブコメだ、しかも展開が遅い。
序盤から「クリスマスパーティー」をやる話を3話、
バレンタインデーに2話と丁寧といえば聞こえはいいが、
かなり淡々と定番イベントを描いている。
その中で原作パロディ要素などやギャグなどもあるのだが、
ギャグに関して言えば若干滑り気味な場合も多い。

さらに言えば「長門有希」のキャラクターが弱い
この作品における長門有希は純粋で初なヒロインであり、強い属性はない
ベタベタなラブコメであるがゆえにベタなヒロインは悪くないのだが、
そこに「涼宮ハルヒ」が出てきてしまうと、
あっさりと普通のヒロインを食ってしまう。

「平野綾」さん演ずる「涼宮ハルヒ」というキャラの破壊力、
原作の力強さを感じさせるような涼宮ハルヒというキャラの強さと
「平野綾」さんの全く変わらない演技のおかげで、
彼女が出て来るたびに「長門有希ちゃんの消失」から「涼宮ハルヒの憂鬱」へと
作品の雰囲気が変貌し、彼女と「彼」の会話のぶつかり合いが
なんとも懐かしく、なんとも「しっくり」来てしまう。

「涼宮ハルヒ」が出るたびにこの作品の面白さが3段階くらい上がるのだが、
同時に「涼宮ハルヒ」が出るたびに「長門有希」の影が薄くなる
本来はメインヒロインであるはずの「長門有希」と「キョン」の
ふたりきりの普通のラブコメシーンよりも、
「涼宮ハルヒ」と「キョン」の普通のラブコメシーンの破壊力が凄まじすぎるのだ

そもそも涼宮ハルヒというキャラクターは好き嫌いが別れるキャラだ
だが「消失」においては涼宮ハルヒ本編での毒気がいい意味でアク抜きされており
「ツンツン」具合が素晴らしく、そんなツンツン具合の中で
時折見せる「デレ」の破壊力が王道のラブコメストーリーの中で際立っている
涼宮ハルヒ本編の魅力を違う角度で見ているような感じだ

逆に長門有希というキャラは好き嫌いが別れないキャラだ
本編では無口で、無表情、だが本当に時折見せる反応や言葉が
強烈な破壊力を生んでいるキャラクターだが、
この作品に限って言えば毒気どころか魅力までアク抜きされしすぎてしまっており、
たんなる王道のラブコメの中の王道ヒロインに成り下がってしまっており、
別キャラすぎるゆえに本来の「長門有希」の魅力はない

長門有希のキャラ以外は「涼宮ハルヒの憂鬱」という作品における
キャラたちの魅力が前提にあるのだが、
長門有希だけはその魅力の前提がなくなってしまっているがゆえに
王道のラブコメシチュエーションなのに差がついてしまっている

はっきりいってここまでキャラクターを変更する必要はあったのだろうか?
涼宮ハルヒの消失における長門有希のままであれば
同じシチュエーションでも印象はだいぶ違っただろう。
正統派ヒロインという立ち位置にするためのキャラ変更が、
「長門有希」というキャラ本来の魅力をなくしてしまっていた

そして終盤ではとあることがきっかけで本来の「長門有希」になる。
今までさんざん、別の長門有希というキャラが正統派ヒロインとして
この作品における立ち位置を確立していたにも関わらず、
まるで韓国ドラマのような展開で人格が変わられても
どう受け止めていいのかわからず、
「SF要素」がないはずなのに本家とのつながりを勘繰りたくなってしまい
話がややこしくなる。

確かにストーリーとしての11話~13話までの流れは悪くはないのだが、
このシリアス展開をやるならば、もう少し最初のほうでこの世界の長門有希と
本家に近いもう一人の長門有希という2つの人格を作品全体の芯として
描かれれば素直に面白く受け止められたかもしれないが、
急にシリアス展開を入れられても状況把握が難しく
それまで王道でベタだっただけに奇をてらった展開は違和感がある

11~13話のエピソード自体は悪くないのだが、
作品全体で考えるとこの11~13話が異質だ
この11~13話のエピソードだけ映画化やOVAになれば
純粋に楽しむことが出来るかもしれないが、
このエピソードをやるための地盤づくりがそれまでの10話ではできておらず
違和感を産んでしまっていた。

個人的というか「涼宮ハルヒの憂鬱」を見た人なら
あの最終話のパロディは若干悪夢を蘇らせるものだった
さすがに回避はしていたが「エンドレスエイト」のあのセリフを
6年後に再びまた聞くことになるとは思わなかった(苦笑)

全体的に見て王道でベタなラブコメではあるものの、
「涼宮ハルヒの憂鬱」を見ていないと楽しめない要素も多く、
「涼宮ハルヒの憂鬱」を見ていると違和感を感じてしまう部分も多い。
内容は王道でベタなラブコメにも関わらず、
いろいろな要素が「人を選ぶ」作品になってしまっている。

内容的には基本的に本当にベタベタなラブコメであり、
ある意味「キャラ萌え」要素が非常に強く、
「涼宮ハルヒの憂鬱」のキャラにある程度思い入れと愛着がないと楽しめない
逆に言えばファンにとってはスピンオフでパラレルワールドではあるものの、
「懐かしい涼宮ハルヒの憂鬱」の感覚を少しだけ、久しぶりに味わえる。

非常に極端な表現ではあるのだが

うんうん、ハルヒの声はやっぱり「あーや」だな。
うんうん、みくるの声、昔と変わらない「ゴトゥーザ様」おかえりなさい。
うんうん、キョンの独白いいな、やっぱり「杉田」だな
うんうん、古泉相変わらずホモホモしいいな、さすが「小野D」

と、こういう感覚になれる人が楽しめる作品だ、
そういう感覚とともに所々にある原作パロディを嗜む。
若干懐古厨のような表現ではあるものの、
「涼宮ハルヒの憂鬱」のアニメはもう6年も前の作品だ。
そういった意味で久しぶりに「涼宮ハルヒの憂鬱」の片鱗を味わせてくれた
作品と言っても過言ではない。
「ああ、やっぱ自分は涼宮ハルヒ好きなんだな」と再自覚出来るような作品だ

色々と気になる点はあるものの「涼宮ハルヒの憂鬱」が好きならば楽しめる作品だ。
中途半端に1クール16話という尺だが、
1クールで12話終わったほうがキリが良かったのではなかっただろうか(苦笑)
売り上げ的には2000枚前後となんとも言えない売り上げであり、
2期は原作の売り上げの伸び次第というところだろうか。

ところで「涼宮ハルヒの憂鬱」の3期はあるのだろうか、
というよりも「涼宮ハルヒの憂鬱」は完結するのだろうか・・・
少しだけ日を付けられた涼宮ハルヒ熱が収まる前に
何らかの「動き」があれば嬉しいところだが・・・(苦笑)