「ヲタクに恋は難しい」レビュー

2018年7月6日

評価 ★★☆☆☆(30点) 全11話

あらすじ 桃瀬成海は会社の同僚と交際していたが、腐女子であることがバレたことがきっかけでフラれ、その同僚と顔を合わせづらくなり転職する引用- Wikipedia

攻略済みで難しいと言われても。

原作はcomic POOLで連載中の漫画作品。
監督は平池芳正、制作はA-1 Pictures。
ノイタミナ枠のおなじみの全11話で放送された。

見出して感じるのはキャラクターデザインの癖だろう。
少し前の少女漫画を彷彿とさせるキャラデザは懐かしさすら感じる、
デジタル作画で描かれているのが逆に違和感を生んでいるほどであり、
言われなくとも原作者が「女性」であることがひしひしと伝わってくる。

ノイタミナ枠という普段アニメを見ない一般層を意識した作品が多いだけに、
この作品もまた一般層を意識しているのだろう。
キャラクターの等身が無駄に高い。

キャラクターデザインも特徴のあるデザインと言うよりは
「外見からキャラの性格が分かる」デザインであり印象には残らない。
設定的にはヒロインも美少女で、ヒーローもイケメンだ。
しかし「オタク」だからこそ恋が難しいというギャップが
この作品のテーマにもなっている。

しかし、アニメではヒロインの外見的な可愛さを感じられず、
ヒーローの外見的なかっこよさも感じられない。
正直って「ぱっとしない」デザインだ。
作画の質がいいだけに、そのパっとしなさが余計に強調されている。


引用元:©ふじた・一迅社/「ヲタ恋」製作委員会

そのうえ「え?何年前なの?」と思うほどの始まり方だ。
ヒロインは寝坊し「ちこくちこく~!」と言わんばかりにダッシュし、
自分の名前や境遇などをモノローグで語ってくれる。

パンを咥えていないことと、曲がり角でイケメンにぶつからない事が
唯一の救いであり、もはやギャグでしか描かれないような
朝のシーンを1話冒頭でぶち込んでくる。


引用元:©ふじた・一迅社/「ヲタ恋」製作委員会

テンポも悪い。
1話の時点で間延びしており、大した話でもないのにだらーっと描いており、
本来は原作にあるはずの「笑い所」が笑い所になっていない。
特に本作品は基本的に「会話劇」であり台詞の掛け合いのなかで
面白さが生まれキャラクターの印象を深める要素にもなっている。

しかし、アニメでは台詞の掛け合いにメリハリが生まれておらず、
台詞と台詞の間が悪いせいでつまらくなってしまっている。
おそらく同じシーンでも漫画という媒体で自分のテンポで読めば
笑えるシーンも、アニメではテンポの悪さのせいで笑いにつながっていない。
そのせいでキャラクターに感情移入もできず、キャラの印象も深まらない。


引用元:©ふじた・一迅社/「ヲタ恋」製作委員会

演じてる声優さんの演技力不足も感じる。
ヒロインの可愛さや腐女子っぽさも中途半端にしか演技しきれておらず、
ヒーローのかっこよさもキャラ設定のボソボソっとした感じの喋り方が
余計にボソボソしている。

そのせいか、いわゆる「決め台詞」も「決め台詞」に聞こえず、
決定的なシーンのはずなのに全然、締まらない。
この辺りはテンポの悪さと演出の悪さによるところもあるかもしれないが、
沢城みゆきさんや杉田智和さんなども出ているだけに
余計にメインの二人の演技力不足を感じてしまう。

台詞もいわゆる「ネットスラング」が多く使われている。
「おk」「ワロリンヌ」「おつ」「あくしろよ」「ほんとすこ」など、
はっきりってしまえばちょっと古いネットスラングが、
登場人物の会話の中で自然に使われる。

モノローグやネット上の会話でなら受け入れられるが、
現実での会話の中の台詞として使われるとややわざとらしさすらある。
オタクの「痛さ」みたいものも顕著に現れており、
覚えたてのオタク用語を使うような痛さは受け入れられない人も多いだろう。

引用元:©ふじた・一迅社/「ヲタ恋」製作委員会

パロディ要素もある。
だが、恐ろしくセンスのないパロディネタは笑いにつながるわけもなく、
ただ有名所からパクっているだけだ。パロディにすらなっていない。
しかも厄介なことにそのパロディネタを引っぱる。
面白くもないのに引っ張り、
引き出しにそれしか入ってないのかと思うほど何回も同じネタを使う。

これが原作からのネタなのかアニメオリジナルなのかがわからないが、
テンポの悪さのせいで余計につまらなさを際立たせてしまっている。
パロディネタが嫌いな方の気持ちが痛いほどにわかってしまうほど下手だ。


引用元:©ふじた・一迅社/「ヲタ恋」製作委員会

ストーリー的にも「ヲタクに恋は難しい」といっておきながら
主人公カップルは1話から彼氏彼女の関係になる。
しかもヲタクであるがゆえに互いの趣味や事情にも理解があり、
ヲタ活のためにデートを断っても別に相手がいらだったりはしない。

むしろ主人公カップルではなくもう1つのオタクカップルのほうが
よっぽどきちんとした恋愛模様やオタクらしい喧嘩もしており、
それを主人公カップルが眺めてる構図があまりにも多い。
本来、物語の主軸で描かれるはずのトラブルや喧嘩などは全部、
もう1つのオタクカップルがやってしまっているのはしっくりとこず、
むしろ、見てるうちに主人公カップルの話はどうでもよくなってしまう。

終盤でコミュ障なオタクも出てくるのだが彼女と、
ヒロインの彼氏の弟のほうが「ヲタクに恋は難しい」な状況になっており、
なぜメインでこれを描かずにサブキャラで本筋で描くべき内容を
描かないのだろうかと不思議で仕方がない。

結局、大したトラブルもなく中途半端なオタク要素のあるキャラの
痛いネットスラングを交えたセリフの掛け合いと、
魅力を感じないキャラのリア充イチャイチャを見せられただけの作品だった。


引用元:©ふじた・一迅社/「ヲタ恋」製作委員会

総評

全体的に見てわかりやすくアニメ化を失敗している作品だ。
致命的なまでのテンポの悪さは笑えるものも笑えなくしており、
台詞の掛け合いの間の悪さは面白いものもつまらなくしており、
1話30分という尺をこれほどまでに下手に使えるのか?と思うほどに、
原作にあるはずの面白さを薄~く引き伸ばしてしまっている。

キャラクターデザインも違和感を生んでおり、
身長差の表現が極端だったり、ヒロインが可愛く見えなかったりと、
もう少しきちんとしたキャラクターデザインが
できる人にやらせるべきだっただろう。
キャラデザ初担当の人にやらせるような作品ではない。

「オタク」という要素の描き方も中途半端だ。
いわゆる腐女子だったりゲームオタクだったり
コスプレイヤーだったりするのだが、それ以上でもそれ以下でもなく、
オタクらしい描写も表面的かつ面白みにかける。

いわゆるリア充なオタクの日常を描かれてもどこか面白いのだろうと
逆に考えてしまうほど面白さが薄い。
これでキャラクターに魅力があり、感情移入できれば楽しめるかもしれない。
原作ではそれができているのかもしれないが、
アニメではまったくもってできていない。

原作からの問題点ももちろんあるのだろう。
だが、それ以前に原作をアニメ化する際のストーリー構成やキャラデザ、
テンポ、演技といった1つ1つの要素が作品の魅力を
台無しにしてしまっており、いつまでたっても面白くならない作品だった。


引用元:©ふじた・一迅社/「ヲタ恋」製作委員会

個人的な感想

個人的には見てる間に「今のシーンは原作だと面白かったんだろうな」と
何度も考えてしまう作品だった。
終盤で出てくるヲタク女子を演じる「悠木碧」さんのガチ過ぎる演技の
おかげで終盤の2話だけは楽しめたが、
逆に主人公カップルの演技力不足や魅力の無さが際立ってしまっていた。

売上的には正確な枚数は出ていないものの、
予測段階では1000枚以下といわゆる爆死。
そもそも発売予定日が9月12日とアニメ放送終了後3ヶ月してから、
ようやく一巻発売というのはあまりにも遅すぎる。
やる気あるのだろうか。

ノイタミナ枠の作品はは2期をヤることも多いが、
制作スタッフが変わらない限りはあまり期待できなさそうだ。