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最悪の倫理観「父は英雄、母は精霊、娘の私は転生者。」レビュー

父は英雄、母は精霊、娘の私は転生者。 ファンタジーアニメ一覧
画像引用元:© 松浦・keepout/父は英雄、母は精霊、娘の私は転生者。製作委員会
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評価 ★☆☆☆☆(10点) 全12話

TVアニメ『父は英雄、母は精霊、娘の私は転生者。』メインPV

あらすじ 精霊界で暮らす8歳の少女・エレンは、元々現代日本で科学者をしていた転生者。引用- Wikipedia

最悪の倫理観

原作は小説家になろう本作品。
監督は福島利規 、制作はJ.C.STAFF

最強DNA

主人公の父親はモンスターテンペストと呼ばれる事態を解決した英雄だ。
しかし、そんな英雄は傷を癒やすために精霊界に行き、
人間界に帰ることはなかった。
そんなおとぎ話の中の人物である父親と、精霊の女王を母に持つのが主人公だ。
タイトル通りな設定を1話冒頭で見せられる。

1話冒頭では主人公のモノローグでゴリゴリに色々説明してくれる。
主人公の父は精霊界で何年も目を覚まさないはずが、
主人公の母のお陰で1年で傷が癒えて、父と母は結ばれ、
その結果、英雄である主人公の父は「半分精霊」になり、
変わってしまった力のコントロールに8年ほど時間がかかっている。

ようやく力のコントロールを覚え、人間界で力をなじませるために
主人公とともに、こっそりと人間界に来ているというのが1話であり、
主人公は実は転生者で、前世は科学者だったのだが、ある日突然死んで
異世界にきており、彼女もまた転生者ゆえにか力が暴走した過去があり、
彼女は父と一緒に人間界に来ている。

これを1から100まですべて主人公のモノローグで片付けてしまう。
見せ方が下手すぎて目眩がしそうだ。
そんな人間界では主人公の父親の行動、英雄として活躍したからこそ
実家の爵位が上がっており、色々とお家騒動が発生している。

元婚約者

主人公の能力は「物質」の構造配列などを変えられる。
1話では両親の指輪を作ったりするのだが、
主人公自身は「チートだ!」というのだが、チート感は薄い。

転生した主人公そっちのけで、主人公の父親の家の問題、
元婚約者絡みの問題を解決する物語が序盤は描かれるものの、
超どうでもいいストーリーだ。
元婚約者は10年で醜く太っており、主人公の父親の弟と結婚している。
元婚約者は家の金を勝手に使い私腹を肥やしており、わかりやすい悪役だ。

そんな主人公の叔父には愛する人との子供がすでにいる。
主人公の父親の元婚約者と結婚してるという立場で
不倫して子供まで居るというややこしすぎる状況だ。

その状況を何とかするのは主人公ではない。
主人公は見てるだけだ、ご自慢のチート能力は何の役にもたたない。
そんな元婚約者との問題もあっさり解決する、
この2話は一体何だったのか?と思うほど面白みがなく、
主人公もろくに解決しない。

ちなみに3話もろくに話が進まない。
色々と王族がなにか悪いことを企んでたり、策略を巡らせているようだが、
主人公の魅力が薄く、出番も薄く、ただただ周囲に
「かわいい!」と愛でられてるだけで存在感すら無い。

ぽっ

4話になると叔父が外で作った女と子供がでてくる。
この「女」が問題である、主人公の父親に会うと何故か顔を赤らめる(苦笑)、
明らかに惚れている。本来は叔父の妾のはずなのに、
主人公の父親のイケメンぶりに瞳をウルウルさせて夢中だ。

様子がおかしいどころの騒ぎではない中で、
な叔父の結婚式が開かれる。
いざ婚姻書にサインしようとした時、叔父の女に女神の断罪が下る。
女神による正式な婚姻の儀に、よこしまな感情を抱いた女が原因だ。

主人公の機転により状況はなんとかなるものの、
キャラクター同士の関係性が話が進めば進むほど複雑になっていき、
段々と面白さが出始める。この作品はまさに昼ドラだ。

王家は過去の出来事が原因で女神の加護を得ることができず、
その加護の力を借りるために主人公の父の家に
頼らなければならず、この状況をどうにかしたいと考えている。
それぞれの策略、そして恋愛事情が複雑に絡み合っていく。

断罪

叔父の女は主人公の父への思いを断ち切り、
叔父だけを本当に愛すれば女神の断罪の跡は消える。
叔父を愛すれば消えるのに、この女は厄介なことに自分の罪を
叔父に告白してしまう(笑)

そんな女に対し主人公はお説教する。
昼ドラ的なキャラ描写は興味深くは有るのだが、
その昼ドラ的なキャラの関係性の中心に主人公がおらず、
ただのお説教係でつまらない。

せっかくドロドロとした面白い人間関係が見れそうなのに、
主人公の絶対正義によるお説教のせいでそれも台無しだ。
昼ドラ的な面白さがでてきそうな所で、それが正されてしまったり、
ファンタジー的な要素が邪魔をする。

王家の呪いゆえに王家は主人公たちをどうにかしたいと考えており、
主人公はそんな呪いをなんとかしようと動き出し、
王子様もその事実を知り、なんとかしたいと考えているが、
3年という月日があっという間に流れる

そういう展開になるかと思えば、
中盤をすぎると、なろう系らしく現代知識でチートな能力を使って
薬を作るというイキリパートがあったりと、
話の方向性がブレている感じは否めない。
序盤でやるようなことを中盤で急にやっているような印象だ。

叔父の娘

中盤からは叔父の娘が場面を荒らす存在として頭角を表し始める。
彼女はあの叔父の女の娘であり、唐突に貴族になり、
厳しい教育を受け、自由に行動することもできず不満を抱えている。
叔父も娘との接し方が下手で彼女の気持ちを汲み取ってやることもできない、
ちなみに叔父の女はあの事件以降、酒浸りだ(笑)

酒浸りで「なんで貴族入りした私を除け者にするのよぉぉ!」と
騒ぎ立てているが、身から出た錆としかいいようがない。
家の中では当主の娘である自分よりも主人公の話題ばかりであり、
叔父でさえ主人公と彼女を比較している。

中盤から国中で流行り病が生じ、
唐突に医者のマネゴトを主人公がやり始めるのだが、
そんな医者の真似事をし始めた主人公が作った薬がすごすぎて国中が大騒ぎだ。
しかも、その薬の生産数は限られており、そこに対して領民は不安と
不満を抱いている。しかも、叔父の娘は誘拐される始末だ。

倫理観

主人公は現世知識で「抗生物質」を作り、
その抗生物質をエサに王子とも交渉する。
主人公の現世知識イキリパートでは有るものの、
それは同時に「国民」の命を天秤に乗せているようなものだ。
かなりの悪逆非道っぷりを主人公は無自覚にやっている。

王子としては多くの民を救い、多くの民の不安を解消したい。
純粋な思いだ、しかし、王と主人公との関係は悪く、
王族には200年前からの呪いも有るため精霊である主人公とは
まともに近づくこともできない。

そもそも、この200年前の呪いというのも今の彼らには無関係な呪いであり、
本来は受け継がれないはずのものが受け継がれてしまっている。
精霊たちの苦しみの声が主人公や彼女の親にも聞こえているのに、
精霊王たる彼女の母は何もしない。

抗生物質という「国民の命」をエサに主人公は交渉を有利に進める。
国の病はどんどん広まっている、だが、主人公は王族が嫌いだから、
積極的に協力しない。とんでもない自己満足的な行動だ。
しかも主人公は「王家が領内にあった薬をすべて奪い取った!」という
嘘の噂を流す。悪役どころの騒ぎではない、とんでもない大悪党だ。

彼女の親族、彼女の父の領内の民は救われる。
だが、それ以外の場所では多くの犠牲が生まれることだろう。
王家がやりすぎたというのはある、だが、それは王家と
主人公たちの問題であり、民には何の罪もない。

主人公も涙を流して苦しんでいるものの、
エグすぎる交渉のやり方、キャラの倫理観に
気持ち悪さを感じてしまう作品だった。

総評:なろう界随一の大悪党

全体的に見てかなり厳しい作品だ。
作画のクオリティもお世辞にもいいとは言えず、
中盤以降はシーンによって気になるところも多く有る。
基本的に会話劇であるがゆえにアニメーションとしての面白さは乏しく、
一部の声優さんの演技にも引っかかりを覚えてしまった。

ストーリー的にも地味であり、
中盤以降で思い出したかのように前世知識でイキったりするものの、
主人公の転生要素も本当に必要だったのだろうか?という感じもあり、
その中盤からの展開よりも序盤の昼ドラ展開のほうが面白みを感じる。

ドロドロの恋愛描写、貴族社会など昼ドラ的な要素が
この作品の面白さなのかもしれないと思ったのだが、
主人公がその中心にはおらず、そんな主人公を活躍させるために
「前世」の知識である抗生物質が出てからのキャラ描写には
違和感しか感じない。

倫理観どこ行ったんだ?と問いただしたくなるような
主人公の悪逆非道っぷりは、この作品の悪役たる王様も震え上がるほどであり、
多くの民の命を天秤に乗せて、自分たちの威厳、自分たちの安全を
守ろうとする姿は恐怖すら感じてしまう。

物語の前半と後半でキャラクターの印象がかなり変わってしまい、
それが悪い意味での変化であり、ちょっと受け入れがたいものが有る作品だった。

個人的な感想:悪逆非道

主人公の行動にちょっとドン引きしてしまった。
その行動に主人公自身が憂いて涙を流してるものの、
涙では済まないレベルのことをやってる。

ここまで倫理観が最悪な主人公はなかなかお目にかかれず、
ある意味で一見の価値の有る作品かもしれない。

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