「禍つヴァールハイト -ZUERST-」レビュー

2.0
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ファンタジー
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評価 ★★☆☆☆(31点) 全12話

あらすじ 遷都計画が進むヴァールハイト帝国に暮らすふたりの青年引用- Wikipedia

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続きはゲームで!なお、まもなくサービス終了!

原作はソーシャルゲームな本作品。
監督は細田直人、制作は横浜アニメーションラボ。
なお原作は2021年3月末にサービス終了が決まっている。

混沌とした世界


画像引用元:『禍つヴァールハイト -ZUERST- 1話より
©禍つ製作委員会

1話早々、世界が滅びるようなシーンが描かれる。
そんな滅びゆく世界を主人公っぽい人物が見つめる中、
物語が始まる。

この作品の世界観は混沌としている。
突然変異体という名の魔物が存在し、犯罪件数は増加、
地方貴族による帝都への不満が募り、暴動寸前、
テロ組織なんてものもできそうな状況だ。
そんな情勢の中、「レオカディオ」は軍人見習いとしての仕事を始める。

彼は好青年であり、人への親切を、自身への見返りなしにやる男だ。
悪く言えば「おせっかい」でもある。
そんな彼のおせっかい、ちょっとした親切心が物語を緩やかに動かす。

淡々


画像引用元:『禍つヴァールハイト -ZUERST- 1話より
©禍つ製作委員会

物語の描き方はかなり淡々としている。
そんな淡々とした中でさらりとした見せ方が上手い。
例えば「レオカディオ」が軍人として舞台に所属し、
上司から色々と説明を受ける。

その説明の中で
「ヘッドキーパーと呼ばれる密輸組織の活動が活発になっている、
 全員引き締めて仕事に励むように」
と説明し、同時に密輸組織の行動を映すことによって
彼らが密輸組織であること、そんな密輸組織が探しているものを
主人公が親切心から車に乗せてしまったことが明らかになる。

説明台詞というものをなるべく少なく、
アニメーションという媒体で「見せて」伝えている。
主人公の親切心から積み込んだ密輸組織の荷物、
そんな荷物を運ぶ「イヌマエル」は無実の罪で捕まってしまう。

「レオカディオ」の親切心という些細なきっかけが人を動く動機になり、
それが自然なストーリーになる。
きちんとした「物語」がこの作品では描かれている。

混沌とした世界で、様々な立場のキャラクターたちが
それぞれの思惑で動いている。
複雑に絡み合うキャラクター同士の事情とそこからの行動が、
物語を生んでいる。

親切心から密輸組織の荷物を荷台に入れてしまった
軍人見習いの「レオカディオ」、
そんな荷物を密輸組織のものとは知らずに運んでしまい
密輸組織の一員として冤罪をかけられる「イヌマエル」

なんてことのないきっかけで顔見知りになった二人が、
互いに戦う意思などまるで無いのに敵対してしまう。
イヌマエルは巻き込まれて困惑する中で軍人を殺してしまい、
レオカディオは友人をイヌマエルに殺される。

二人の主人公は一体、この先どうなるのか。
混沌として世界の中で特別な何かではない「二人」が
どう生き抜くのか。
些細なきっかけで始まった二人の主人公の物語に
ゾクゾクとした面白さを感じてしまう。

特別ではない二人


画像引用元:『禍つヴァールハイト -ZUERST- 1話より
©禍つ製作委員会

二人の主人公はただ、この世界で生きていただけだ。
妹を溺愛しながら運送屋をしていた「イヌマエル」、
靴磨きからお金のために軍人見習いになった「レオカディオ」。
二人はなにか「思想」のようなものがあるわけではない。

混沌とした世界の中で軍人は帝国のために、
密輸組織はそんな帝国の考えに反対し暗躍している。
主人公の二人には明確な主義主張や思想があるわけではない、
だが、彼らの周りのキャラクターは思想と主義主張にまみれている。

そんな世界で彼らはただ生きるため、生き抜くために行動している。
だが、それが悪循環を生む。
特に「イヌマエル」は生き抜くために人を殺し、仲間を守るために
化け物を殺した。それが「因果」という悪循環を生む。

そんな「イヌマエル」自身も密輸組織と行動する中で
彼は密輸組織と共にすることを選ぶ。
長い間ともに行動していたから、自分を守ってくれたから、
彼らの事情を知ったから。色々な思いが彼を「巻き込まれた」人間から
「自らの意思」で密輸組織とともに行動する人間へと変える

大きな決断材料があるわけではない。それが彼らしくもある。
もうひとりの主人公である「レオカディオ」はやや影が薄いものの、
「イヌマエル」を疑いつつも、彼なりの正しさを貫こうとする。

世界


画像引用元:『禍つヴァールハイト -ZUERST- 6話より
©禍つ製作委員会

イヌマエルもレオカディオも知らぬ間に陰謀は進んでいく。
国中で流行る治療方法のない謎の病、裏で密かに行われている人体実験、
その果に生まれる人間の成れの果て。

二人の主人公は因果という悪循環の中で陰謀の渦に翻弄される。
彼らがきっかけというわけでもない、
彼らが重要なキーパーソンというわけでもない。
大きな陰謀に彼らは逆らう事もできず、ただただ、流されていく。

彼らなりに陰謀を暴こうとあがくものの、
陰謀は止まらない。全てが最初から仕組まれた陰謀に
二人の主人公はあがくことが出来ない。

彼らはたしかにこの作品の物語の主人公ではある。
だが、この作品の世界にとって彼らは主人公ではない。
彼らが陰謀に近づけば近づくほど世界が広がり、
彼らではどうしようもないほどの策略がめぐる。

ただの荷物運び、ただの軍人の彼らには余りある
世界を巻き込んだ陰謀だ。
「災いの光」という厄災による滅び、
許されたものしか見ることの出来ない「予言石」。
そんな予言による危機に備えていた貴族たち。

皇帝と反皇帝派の争いは、ただの一般人にはどうすることもできない。
見ている側も「あーそういうことだったのか」とは思う部分はあるものの、
10話でのネタバラシな会話の数々は説明台詞が非常に多く、
1話のうまい見せ方はどこへやらだ。

主人公二人と同じようにやや作品自体についていけなくなっていく。
作画も話が進めば悪くなってしまうのも残念でならない。

話は聞いた!世界は滅亡する!


画像引用元:『禍つヴァールハイト -ZUERST- 10話より
©禍つ製作委員会

最終話、予言通り「災いの光」が訪れて多くの人が死ぬ。
主人公だった二人は何も出来ず、ただ、ただ災いの光を見て
帝都が滅びる様子を見ることしか出来ない。

魔物が街に次々と現れ、街は崩壊し、次々と命が失われていく。
そんな街をただ絶望しながら見守ることしか出来ない。
それどころか主人公の一人は魔物化してしまう。

これから世界はどうなってしまうのか、
二人の主人公は今後どうなるのか。一切わからない(笑)

この作品は原作ゲームの前日譚だ。
続きはゲームで!と言いたいのは分かるものの、
あまりにも投げっぱなしな最終話と
原作ゲーム自体が「2021年3月」に終了することを考えると、
色々と残念な作品になってしまった。

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総評:風呂敷広げっぱなし


画像引用元:『禍つヴァールハイト -ZUERST- 12話より
©禍つ製作委員会

全体的に見て色々と残念な作品だ。
序盤こそ丁寧にこの作品のストーリーと世界観とキャラが描かれており、
些細なきっかけから巻き込まれた「イヌマエル」と
そのきっかけを作った「レオカディオ」の物語に引き込まれた。

しかし、中盤を過ぎた辺りから雲行きが怪しくなり、
どんどんと風呂敷を広げ、特別ではない二人の主人公には
どうすることもできないほどの事態へと進展してしまい、
結局は彼らは陰謀に巻き込まれ、その陰謀を止めることも出来ず、
ただただ流されていただけだ。

結局は話自体は投げっぱなしで終わってしまい、
その投げっぱなしの状態から先が気になってゲームをプレイする!
という感じにもならない。
あまりにも投げっぱなし過ぎてがっかりしてしまう感じだ。

序盤の完成度が高かっただけに、どうしてこうなったと
言いたくなる作品だった。

個人的な感想:ソシャゲ原作らしさがない


画像引用元:『禍つヴァールハイト -ZUERST- 12話より
©禍つ製作委員会

ソシャゲ原作と言えば大量のキャラが出てワチャワチャすることが多いが
この作品はキャラ数は控えめであり、本当に序盤は面白い作品だった。
今思えば1話がピークで、どんどんと右肩下がりに面白さが減っていき、
最終話ではマイナス方向に振り切れてしまったような作品だ。

アニメ化で人気が出れば原作も続いたのかもしれないが、
残念ながら人気は出なかったようだ。

派手さはなく、地味な雰囲気で、暗い。
00年代前半のアニメを彷彿とさせる空気感があり、
その空気感事態はたまらなかったものの、
原作ゲームの前日譚という縛りもあり、
うまくパズルを完成させきれなかった。

そんな印象を受ける作品だった

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