とある科学の超電磁砲S

評価/★★★☆☆(42点)

とある科学の超電磁砲S 評価

全24話
監督/長井龍雪
声優/佐藤利奈,新井里美,豊崎愛生,伊藤かな恵,阿部敦ほか

あらすじ
総人口230万人の8割を学生が占める「学園都市」。そこでは学生全員を対象にした超能力開発実験が行われており、全ての学生は「無能力者(レベル0)」から「超能力者(レベル5)」の6段階に分けられ、様々な能力を開花させている。学園都市でも7人しかいないレベル5の一人であり、電撃を操るその能力から「超電磁砲(レールガン)」の通称を持つ御坂美琴は、学園都市で起こる様々な事件を解決していく。

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とある科学の外伝目録

本作品は「とある魔術の禁書目録」のスピンオフ作品、
1期は2010年に放映され、本作品は2期だ。

1話から作画の良さが目立つ。
特に1期から明らかに背景の作画の描写が上がり、
そのおかげでより「戦闘シーン」の迫力が増している
レールガンのエフェクトなど演出面でも作画の向上による迫力の増加が目立つ。

そして序盤のストーリー。
いわゆる「姉妹編」と呼ばれるストーリーはスピンオフ元である
「とある魔術の禁書目録」でもやった「御坂美琴」のクローンの話だ。
話の内容自体は同じなのだが、いわゆる「御坂美琴視点」からストーリーを展開している。
本編では描写されなかった「御坂美琴」が「妹達」を知る切っ掛けになった展開や
語られなかったストーリーは面白く、別視点から見るストーリーは
ストーリー展開は同じでも少し違った印象を受ける。

しかしながらテンポが悪い。
「とある科学の超電磁砲」はテンポの良さや1話完結の中で伏線を敷きつつ
物語を展開していくのが面白さの1つだったのだが、2期では1期の面白さとは違い
1つのストーリーをじっくり描きつつキャラクターを描写する内容になっている。
それだけに1期のテンポの良さがない。

ストーリー自体も「姉妹編」はTVアニメを見た方ならば知っている話だが、
確かに別視線で知らない話や他のキャラクターが絡んだりするのだが、
明らかに引き伸ばしている感じが強く出てしまっている。
結末を知っているだけに余計に引き伸ばしを強く感じやすく、
「御坂美琴」以外の4人のシーンを無理矢理つないでいるような印象が強い

この作品は2期だ、更に言えばスピンオフであるがゆえに
原作や1期や「とある魔術の禁書目録」などを見ている人が視聴者であることを見越している。
見越しているのは別にいいのだが、そこに甘えてしまい序盤から坦々に地味な展開を続けてしまう
「とあるシリーズ」を知らずにいきなり2期を見だすような人はあまり居ないと思うが
居ないと想定した作りになっているといえる。

ただゆっくりした中で「キャラクターの苦悩」が描かれる利点もある。
「妹達」と「アクセラレーター」の戦いが日々行われる中、
アクセラレーターにかなわない「御坂美琴」が研究施設を破壊する日々の中で
「黒子」の頼ってくれないもどかしさや、「御坂美琴」のぎりぎりの精神状態など
ゆっくりした尺で描いているからこそ生きている要素もある。

更に戦闘シーン。
1期の戦闘シーンは「御坂美琴」が最強であるがゆえに長い戦闘シーンは少なかったが、
2期では長い戦闘シーン、それも複数話にわたって続く戦闘シーンが多い。
「御坂美琴」と同じレベル5の能力者が相手であることも多く、
能力VS能力の戦闘シーンは高いレベルの作画と迫力のあるエフェクト、キャラクターの動きなど
息を呑む戦闘シーンを何度も描写しており、アクションシーンが光っていた

ただ流石に「妹編」が終わるのに15話もかかってしまうのは伸ばしすぎだ。
確かに作画の面で迫力が上がり丁寧にキャラ描写を深めたことで
シーン的にも同じストーリーでも楽しめるのだが、やはり同じストーリーだ。
「とある魔術の禁書目録」で見た回以上のインパクトにかけてしまうのは
リメイクであるがゆえに仕方ないのだが、やはり新鮮さにかけてしまう。

もちろん美琴視線での「とある魔術の禁書目録」では描かれなかったストーリーは面白いのだ。
だが「妹編」は「とある魔術の禁書目録」の主人公である上条当麻がいなければ解決せず、
スピンオフでありながら上条当麻が活躍しまくってしまう。
「とある魔術の禁書目録」でも見たシーンを良い作画と演出にしただけのシーンも多く
確かに比較すれば楽しめるのだが、同じ内容なだけに「ファン向け」な印象も強い。
「妹編」のオチがわかってるだけに15話というのはさすがに長い。

これが1期なら印象は違ったかもしれない。
1期であれだけ1話完結からの伏線をしいたストーリー構成でキャラ描写が光った作品だっただけに
まるで作品が変わったように15話もかけて1つのストーリーを展開し重い展開が続く。
ただ、その物語の締めは「御坂美琴視点」だからこそできるストーリー展開で
長かったものの面白かったと感じられる展開だ。

終盤からはオリジナルストーリーだ。ただ「敵」があまりにも小物だ。
1期の終盤のオリジナルストーリーは小物ではあったものの
前半のストーリーを活かしたストーリーの内容と敵の顔芸で「インパクト」のある敵だったが、
今期のオリジナルストーリーの敵は・・本当に小物だ(苦笑)

確かにストーリーの中で「誰も頼らなかった美琴」が成長し
友人を頼るようになるという展開は悪くないのだが、敵の存在があまりにも弱い、
2期では序盤から中盤まで能力バトルが目立ち、更にはレベル5同士の戦闘も何度もある。
そんな戦闘や強い敵の能力を散々見た後の敵が
「能力を持たない学者」で「ロボット」というのはあまりにも印象が薄い。

確かに1期の終盤も「能力者」ではなく「ロボット」との戦闘だったが、
それは「テレスティーナ」という強烈な敵キャラと1期前半のストーリーを活かしたからこそ
能力者ではない敵との戦闘シーンもストーリーも盛り上がった。

しかし、2期の終盤は序盤から中盤までのストーリーを生かすわけでもなく
敵は「テレスティーナ」以下で「夏休みの工作」と呼ばれるほどの敵では魅力にかける
魅力にかける能力コンプレックス丸出しの敵が能力者に対してどんな戦いを仕掛けるのかと思ったら
結局は「能力者を利用」して「夏休みの工作ロボット」をいっぱい動かすぞー!
という頭の悪さ全開の作戦だ。

最終話では「能力者の能力をコピーした武器」を搭載したロボットなども出るのだが、
その武器自体も1期でやったネタで、新鮮味がない。
戦闘シーン自体も苦戦するような展開が殆ど無く、ストーリー自体も最終話は無茶苦茶で唐突だ。
佐天さんはロボットに乗るわ、美琴は宇宙に行くわ、キャラでまくりで詰め込みまくりの展開で
物語が終わってもカタルシスを感じられることはなかった。

全体的に見て新鮮味のない2期だったといえるだろう。
2話~16話まではとある魔術の禁書目録でもやった「妹編」を御坂美琴視点で
描かれなかった設定たストーリーが補足されるように展開するのはいいのだが、
流石に1クール以上の尺でやられてしまうとダレてしまい、
最後の展開も分かっているため新鮮味にかけてしまう。
これがもう少し短くまとめられていたら随分印象は違っただろう。

更に終盤のアニメオリジナル展開も劣化1期のボスでしかなく、戦闘シーンは緊張感もない。
最終話は無理矢理に詰め込んだ感じが強く、
それまでさんざんしっかりと尺をとってストーリーを描写していたのに
急に詰め込みまくりのテンポ上げまくりの展開になってしまうのは何ともいえない。

全体的なストーリーのテンポが前半と後半でまるで違う。
もう少し前半と後半でバランスのとれたストーリー構成になっていれば
新鮮味の薄い展開や「御坂美琴」と「妹達」以外のキャラクター描写も深まっただろうが
どうにもバランスの悪い作品だった。

作画、特に戦闘シーンでの演出やアクションは非常によく
それがあったからこそ15話も使った妹編もぎりぎりダレずに見ることができ、
最終話のぶっ飛んだ展開も作画の良さがあるからこそ勢いでごまかしてしまった感じがある。
ある程度「割り切れば」細かい点も気にならずに楽しめるのは
やはり、この作品のキャラクターの魅力がなせる技なのだろう。

ただ1期は作品単体としての面白みがあったが、
2期は「とある魔術の禁書目録」があることが前提の
あくまでスピンオフだというのが強くなってしまっている感じだ。

最大の疑問はもう一人のレベル5「食蜂操祈」だろう。
1話で思わせぶり全開で出てきたのにもかかわらず、その後一切出番なし。
最後にちょろっと映ったくらいだが、彼女を出した意味が謎だ。
アニメオリジナルキャラである春上も尺稼ぎにしかなっていない。
こういった点も「ファン向けのスピンオフ」と言わざる得ない点だ。

個人的には「妹達」の表情豊?なシーンの数々がお気に入りだ(笑)
1期に比べるとキャラクターの表情はかなりよくなっただけに
そういうシーンでの良さが際立っていた。
だからこそ、もう少し普通の日常ストーリーも見たかったなと感じてしまう。

人気が高いだけに3期もあるのだろうが・・・
できれば1期の良さを取り戻して欲しい所だ。