「剣王朝」レビュー

評価 ★☆☆☆☆(17点) 全12話

あらすじ 韓をも併合し、趙との戦いも終わったばかりである。秦の君主は趙の残留戦力を殲滅しながら、秘密要塞「剣炉」で打たれた伝説の「大刑剣」を探す。引用- Wikipedia

アニメ業界に現れたシュレディンガーの猫

原作は中国のWebサイトで連載中のWeb小説作品。
中国のなろう系小説みたいなものなのだろうか?
ちなみに原作は完結済み。
監督は荒川真嗣、制作はEMTスクエアード。
日本の監督と制作会社だが、いわゆる中国アニメ。

見出して感じるのは古臭いキャラクターデザインだろう。
もはや中国アニメといえばこの古臭いキャラデザだが、
90年台アニメを彷彿とさせるキャラデザは刺々しく、
中国アニメと言われなくても中国アニメと分かるくらいのクォリティだ。

戦闘シーンのクォリティもひどい。
作画が悪いというよりも作画の枚数が少ないせいで、
それをごまかすような演出が非常に多い。
1枚絵と1枚絵をつないだようなカクカクな戦闘シーンや、
背景や「音」でごまかしたり、今どき、画面を2分割して見せるような
シーンがあったりと笑ってしまうようなごまかし方ばかりだ。

エフェクトだけは派手なのだが、動きや展開でいちいち爆笑してしまう。
特に戦闘シーンの「間」のとり方は一流漫才師のごとく、絶妙だ。
普通のアニメなら敵に背後から肩を掴まれればすぐに気づくのだが、
この作品の場合、3秒くらいの絶妙な間があってから気づく。
なぜすぐに気づかないんだ!と思わず突っ込んでしまうような衝動に駆られる

ストーリー展開もひどい。
1話から大量の登場人物をだすのはいいが、世界観がいまいちつかめず、
主人公の名前が「丁寧」だということは分かるのだが、
それ以外の人物の名前がほとんど頭に入ってこないどころが、
初登場シーンでもまともに名乗ることが少ないため誰かわからない。

ストーリー的にはありがちな王道ファンタジー的なノリだ。
主人公の村が謎の軍隊に襲われて燃やされて、助けた女に刺されて、
復讐の旅に出るというベタベタな感じなのだが、
詰め込みすぎて理解が追いつかない。
今、キャラクターたちがどんな事情で何をしてるのか。
それすらも理解できない時がある。

例えば1話。
謎の力を持つ剣で戦ってたり、鎧男が大量に現れて、
主人公が刺されたかと思えば、今度はゾンビパニック、
主人公が助けてと願うと謎の二人が助けてくれる。
いろいろな要素をが詰め込まれてそれに対する説明も無いため、
話が進めば進むほどストーリーを理解しづらくなっていく。

2話以降も超展開の連続だ。
「え?そこ回想で片付けちゃうの?」と思うほど重要なシーンを
回想で片付けたり、そもそも回想シーンに出てくるやつが
名前すら名乗ってないからどこの誰ともわからなかったり、
ロシアンルーレットしだしたり、体になんか模様が出てきたりと
めちゃくちゃだ。

話も分かりづらいのだが単純に視点が変わりすぎだ。
主人公の視点や敵の視点だけでなく、謎のキャラの視点まで描かれるため、
ただでさえ展開についていきづらいのに視点を変えまくるため
余計に分かりづらくなってしまっている。

展開も非常に早く、ダイジェストなシーンで片付けることも多いため、
もし1話でも見逃したら「これは今、どんな話なんだ?」と
まるで理解できなくなるほど1話1話で話の方向性や視点が変わり、
この作品は何がしたいんだろう?という気持ちが常に付きまとう

更に主人公の強さがあまりわからない。
序盤で主人公は剣に選ばれたらしいのだが、
そもそも、その剣がただの大剣で強そうに全然見えない。
何やら特注な力があるのは分かるのだが、
基本的に大剣でチャンバラごっこをしてるだけで特に凄さを感じない。

中盤の戦闘は特にひどい。
中ボスとの戦闘で剣技で主人公は負け、大切な剣をぶっとばされてしまう。
主人公大ピンチ!と思いきや敵のスキを突き、
「手に持っていた木彫りの仏」をぶっさしてとどめを刺す。
明らかに金属でできていないアルミ缶くらいのサイズの仏像を
どうやって刺したのか、ものすごく気になってしまう(笑)

中盤以降のストーリーもひどく
新キャラがどこからともなく現れて超展開を繰り返す。
いきなり神様みたいなのが現れたり、新しいヒロインが出てきたりと、
展開の脈絡が一切なく戸惑うことしかできない。

序盤で旅をしていたはずの仲間もどっかにいってしまい、
本当に話についていけなくなる。
よくわからない修行を始めたり、龍みたいなのがいきなり出てきたり、
天下一武道会みたいなに参加したりともうわけがわからない

公式のTwitterで各話のあらすじを出しているのだが、
アニメ本編を見るよりも、そのあらすじを見たほうがよっぽど理解できる。
それほど本編を見ていても話が頭に入ってこず、蚊帳の外だ。

結局、最終話は投げっぱなしだ。
俺たちの戦いはこれからだ!とかそういうレベルではなく、
驚くほど中途半端で終わる。私もいろいろな作品を見てきたが、
この作品よりも中途半端に終わった作品を見たことがないいかもしれない。

なにせ主人公に氷のつららが飛んできて終わる。
何を言ってるかわからないと思うが、そのとおりなのだから仕方がない。
主人公の顔にその氷のつららが当たるかどうか、
それはわからない。わからないまま作品が終わる(笑)

総評

全体的に見て間違いなく駄作だ。
だが、多くの駄作のような「嫌悪感」を感じる部分が不思議となく、
レベルの低すぎる作画と仏像でとどめを刺すような戦闘シーンは
笑いどころでしかなく、戦闘シーンが出てくるたびに大爆笑できる。
ストーリーはまともに楽しもうと思ったほうがバカを見るレベルであり、
いつだれがどこでなにをしているかという基本的なことが理解できない。

ツッコミどころまみれだ(笑)
アニメの中の人物は至って真面目でありツッコミ役は居ない。
だからこそ関西のツッコミ芸人を10人ほど自分の心の中に用意して、
見ながら突っ込みまくることで初めて楽しめる作品だ。

展開やストーリー自体は本当に王道かつありきたりなはずなのだが、
見せ方とストーリー構成のせいでぶっ飛んだ作品になってしまっている。
1回みただけでは理解できない、公式Twitterのあらすじをみて
3回位見てようやく話が何となく分かるレベルだろう。

2期というのはあるのだろうか?
2期がなければ、このアニメの中の主人公は一生、
氷の攻撃が当たるかどうかわからないシュレディンガーの猫みたいな状態だ。
2期があればわかる、だがなければわからない

できれば2期が一生作られることなくシュレディンガーの猫の状態のまま
アニメ史に刻み込んでおきたい作品だ(笑)

個人的な感想

個人的には戦闘シーンでいちいち爆笑してしまった作品だ(笑)
横にスライドしたかのように剣をよけたり、
そもそも敵の攻撃があまり痛そうに見えなかったりと、
作画も悪いが演出もおかしいという相互作用が笑いを生んでいる。

このレビューを書いてるのは見終わった直後だが、
正直「どんな話でしたか?」という当たり前の質問にすら答えられない。
全部「ふわっ」っとしており、最期の主人公への氷の攻撃の
印象があまりにも強すぎて、それ以外すべて忘れてしまう。

今から見る方が居るかどうかはわからない・・・というよりも
配信サイトで配信はされておらず、DVDやBDすらでていない。
私のように録画しているのが残っている人ならば今からでも見れるが、
それ以外の方は見る手段がない(苦笑)
他の多くの中国アニメはDVDやBDは出なくても配信サイトにはある。
だが、この作品はそれすらない。

一体、この作品は何がしたかったのだろうか・・・(笑)