評価 ★★☆☆☆(28点) 全12話
あらすじ ここは戦闘摂理解析システム「#コンパス2.0」の世界。幾多の異世界から集められたヒーローと、プレイヤーである人間のパートナーたちがともに過ごしている夢のような空間だ。 引用- Wikipedia
大量キャラのわんこそば
原作はソーシャルゲームな本作品。
監督は 難波日登志 、制作はLay-duce
世界観
1話冒頭からわけがわからない、初音ミクの偽物みたいなロボットが
世界観を説明してくれるのだが、説明が説明になっていない。
いろいろな世界からヒーローが集まり、人間のパートナーと交流しており、
なぜか3対3でヒーローたちが戦っている。
どうして戦っているのか、なぜ色々な世界からヒーローと呼ばれるものが
集まっているのか。ヒーローたちは3対3のバトルに
参加しないとペナルティを食らうらしく、理不尽の極みだ。
1話冒頭からどこの誰とも知らないキャラがどんどんでてきて、
バトルをしているのだが、ヒーローたちは普通に描かれるのだが、
人間は妖精のように描かれている。人間の姿はあくまでアバターだ。
「コンパス2.0の世界を理解しましたか?」
と言われるものの全くもって理解できない。
1話冒からロクに説明もなくバカスコバカスコ、
アホみたいにキャラクターをとにかく出す。
そのせいでろくにストーリーも進まず、
キャラクターを出すことが目的になってしまっている。
ソシャゲ原作アニメにありがちな失敗、
過去作での失敗を学ばない。
敵
コンパス世界のコアを狙う敵も時折あらわれ、
3対3以外でのバトルも行われる。
そもそも、この世界もよくわかっていないのに、
敵が現れたところで、敵の目的もよくわからない。
何もかもわからない作品だ。
アホみたいにキャラクターがおたけびをあげながら、技を出す。
そんなシーンをひたすら繰り返す。
特定のパートナーを持たないサーティーンと呼ばれるヒーローと、
この世界に来たばかりの人間である主人公が出会い、
パートナーになるところから物語が始まるのだが、1話の時点から先が気にならない。
起承転結の起をろくにできていない。
原作をやってる人ならば理解できるのかもしれないが、
原作をやってない人にとってはワケワカメだ。
脚本が伝えるということを放棄しまっており、
大量のキャラを出すことだけしか考えておらず意味不明なストーリーになっている。
おそらくこの作品の目的は原作ゲームのキャラを
なるべく多く出すことが目的だ。
そんなキャラが動いている、動いているだけで満足するファンのためのアニメであり、
それ以上でもそれ以下でもない。
わんこそば
2話になっても変わらない、1話からでてたのかどうかすら
わからないような名前も知らないキャラがどんどん出てきくる。
サーティーンとしては主人公とパートナー契約を解除したいようで、
2話では色々なヒーローにパートナー契約の解除の仕方をきいて回る。
つまり大量のキャラを出すための脚本だ。
飛ばしながら見たところでストーリーには一切の問題がない、
そのレベルで空虚で、キャラを出すためだけの脚本でしか無く、
かといって大量のキャラの掘り下げをできるわけもない。
公式ホームページを見ると人間のキャラを合わせて
30名以上のキャラが出ていることが分かる。
過去のソシャゲ原作アニメでも似たような失敗をしている。
1クールという限られた尺の中で20名や30名を超えるキャラを
出せばどうなるか、馬鹿でもわかる。
これが2クールや4クールのアニメならともかく、
1クールでこれだけのキャラ数をさばけるわけもない。
ただただ目標のキャラ数を出すべく、
わんこそばのごとく味を度外視して食べ続けてているような感覚だ。
そんな中で謎のノイズに巻き込まれてメインヒーローの一人である
ジャスティスが暴走する。
暴走
彼らは一応データのような存在であり「ウィルス」に感染したことで
ジャスティスは正気を失ってしまう。元の世界に戻ってしまったジャスティス、
本来は別の世界、それぞれのヒーローの世界にはいくことはできないのだが、
サーティーンだけは別の世界に行く技を持っている。
そもそも彼らがなぜコンパスの世界にいるのか、
なぜわざわざ人間とパートナーになっているのか、
なぜ3対3のバトルをしているのか。
このあたりが一切理解できないため、元の世界に帰ったジャスティスが
どうなろうとどうでもいい。
ジャスティスの世界に行き、ジャスティスの掘り下げをしているのかもしれないが、
特に印象が残るエピソードでもなく、
あとはウィルスに感染したジャスティスをボコれば、もとに戻って終わりだ。
あまりにも浅く薄いストーリーは子供だましにすらなっていない。
子供向けの日曜朝アニメですら通用しないような脚本だ。
わざわざジャスティスをコンパスの世界に連れて帰るのもよくわからず、
主人公とサーティーンのパートナー関係を描きたいのはわかるが、
そのパートナー関係がそもそもなんなのかがよくわからないため、
ストーリーの中で設定を活かしきれていない。
そもそも原作自体がストーリーがあるタイプのゲームではなく、
設定やプロフィールだけが存在しているような作品だ。
だからこそ、1からストーリーを考えようとした結果が
これなのかもしれないが、その結果が子供だまし以下の脚本だ。
バグドール
敵となるバグドールという存在は戦いから生じるエネルギーを狙っている。
コンパスの世界でもヒーローたちが戦うのは
そのエネルギーを集めるためのようなのだが、
そのエネルギーが何につかわれているのか、なぜ集めているのか。
このあたりがはっきりしない。
原作ゲームをやっていて特定のキャラが好きならば楽しめるかもしれない。
だが、それ以上でもそれ以上でもない。
主人公たちがバグドールを追いかけたりしている裏で、
別のキャラ同士がなんか勝手に戦ってたりするのだが、
そのキャラがなぜ戦っているのか、そもそも誰なのかもわからない。
序盤の段階でこのバグドールはあっさり捕まり、
ヒーローたちがバグる原因はバグドールにはないことが明らかになる。
唐突に現れるノイズ、そのノイズに巻き込まれてイレギュラーという
存在になる原因はなんなのか、これがストーリーの主軸になっている。
色々なキャラがイレギュラーになり、そんなキャラや関係キャラを掘り下げる。
大量のキャラをさばくために都合の良いテンプレ脚本であり、
大量のキャラを出すためだけの脚本だ。
各話で色々なキャラがでるが、そんな各話のキャラは次の話にはでない。
キャラの名前を覚える前にキャラクターが消化されていく。
大量のキャラを有名な声優が演じており、
そのギャラに引っ張られたのか作画のクォリティも高くはない。
ノイズの正体もわからぬままヒーローたちは不安にかられ、
次々に襲われてイレギュラー化していく。
そんなストーリーをだらーっと描いている。
死者の世界
ノイズに飲み込まれたヒーローたちはイレギュラーになり、
脳内には謎の声が響いている、その声の主はロキと名乗っており、
事件の黒幕として存在している。
終盤になると、そんなロキの暗躍が本格的になっていき、
次々とヒーローがイレギュラーになってしまう。
特に思い入れも、名前すら覚えていないようなキャラ同士が戦っても、
特に盛り上がりどころにはならず、唐突に終盤「現実世界」に視点が映る。
主人公は原作のコンパスと同じようにスマホを介して
コンパスの世界にアバターとしてログインしている。
現実世界とコンパスの世界の関係性がいまいちわからず、
この世界においてのコンパスが「ゲーム」として扱われているのか、
それとも別のなにかなのか、いまいちはっきりしない。
主人公たち以外の人間はゲームのような感覚でコンパスを
楽しんでいるようなのだが、そうかと思えば、
「サーティーン」が現実の世界にやって来る(苦笑)
それならばゲームではないということなのはわかるが、
もう設定が飲み込めなくなってしまう。
主人公の兄がコンパス2.0を作り上げたのらしいのだが、事故でなくなっている。
サーティーンは元々天使であり、10年前に堕天している。
急に終盤に話が進んでいる印象だ。
これが序盤から丁寧に描かれていれば随分と印象は違っただろう。
メタ的なニュアンスが非常に大きく、
そのメタ的な設定も掘り下げきれていない印象だ。
サーティーン
終盤にはそんなサーティーンの過去が明かされる。
主人公と兄、そんな二人がなくなった事故にサーティーンが関わっており、
弟の代わりに兄は犠牲になって主人公は生かされている。
主人公は何も知らずにサーティーンとパートナーになっている。
その一方でロキは「コンパス」を3.0にアップデートしようとしている。
サーティーンのように現実世界にも、他の世界にも自由に行けるようになる。
このあたりの主軸が序盤からきちんと描かれていれば
もう少し違ったかもしれないが、大量のキャラを出すという
前提条件のせいで脚本の面白さを発揮しきれていない。
主人公の兄が残したロキというアップデートプログラム、
だが、兄は死んでしまい、そのままロキは凍結されており暴走してしまった。
原作がゲームだからこそのストーリー展開ではあるものの、
現実世界への干渉など飲み込み辛い部分も多く、
すっきりと終わってはいるものの、消化しきれない部分が多かった作品だった。
総評:なぜソシャゲ原作アニメは同じ失敗を繰り返すのか…
全体的に見て続きはゲームで!のような展開になっておらず、
1クールを通してのストーリーはきちんと完結しているのは
評価したい部分ではあるものの、そのストーリーに付随する
大量のキャラのせいでストーリーを素直に味あわせてくれず、
掘り下げきれていないキャラと設定ばかりになってしまっていた。
30人以上のキャラがところせましと溢れかえって、
毎話毎話名前が記憶に残る前に出ては消えを繰り返している。
1クール見終わったあとに覚えてるのはサーティーンとロキくらいだ。
あとのキャラの名前は殆ど覚えていない。
そんな大量のキャラを出すための序盤から中盤は退屈でしか無く、
子供だまし以下の脚本でしか無い。
終盤からはコンパスという世界観、その裏にいるロキという存在を
描いたストーリーになっていき、主人公とサーティーンの関係性など
悪くない部分はあるものの、活かしきれていない。
現実世界に鑑賞するいろいろな世界のキャラと、
コンパスといういろいろな世界とつながるゲーム、
その認識をどう現実世界の人間がしているのかなど、
色々と気になる部分も多い。
多くの人が1話ないし序盤で切ったことを感じさせる作品だ。
ソシャゲ原作アニメにありがちな「大量のキャラ」や
「複雑な設定」など、過去のソシャゲ原作アニメでやってきた
失敗をそのままやってしまっており、
結局いつもので終わってしまっている作品だった。
個人的な感想:ソシャゲ原作アニメ
ブルーアーカイブ以来のソシャゲ原作アニメだったが、
相変わらずのソシャゲ原作アニメらしさ全開だ。
原作のストーリーがあってないようなものだからこそ、
逆に終盤はストーリーを自由に描いていた感はあるものの、
そこをもっと序盤から見せていれば違ったかもしれない。
ソシャゲ原作アニメ自体がだいぶへってしまい
ブームも過ぎ去った感じがあるが、
原神などのアニメ化も一応は控えており、
そこから再びソシャゲ原作アニメブームも訪れる…かもしれない。