ガリレイドンナ

評価/★☆☆☆☆(12点)

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まるでパズーの居ない天空の城ラピュタ

本作品はアニメーターとして有名な梅津泰臣さんが監督を務めた作品。
梅津泰臣監督作品は「MEZZO」以来だ
梅津泰臣さんをあまり知らない方に説明すると「OP&EDアニーション」で非常に有名な方で
私が好きな作品だけ上げると「それでも町は廻っている」「N・H・Kにようこそ!」
「女子高生 GIRL’S HIGH」などのOPやEDなどを手がけている。
非常にセンスの有るOP&EDを制作されており、アニメ本編以上に印象が残ることも珍しくない

1話の段階ではわけがわからない。
3体のロボットがどこかの施設を襲ったかと思えば場面が変わり、3人の少女が誘拐されそうになっている。
冒頭のシーンで引き込まれる・・・というよりも「どういう状況なのか?」がいまいち飲み込めず、
せっかく高いクォリティで描かれているキャラクターや機械、背景の作画を味わいにくい。
だが、そのいまいち飲み込めない状況が一つの設定がわかることで少し興味のある展開になっていく。
それは3人の少女が「ガリレオ・ガリレイ」の子孫であるという事実。

更に絵の見せ方。
さすがは「梅津泰臣」と言いたくなるほど1シーンごとの絵の見せ方が面白い。
キャラクターのちょこちょことした動きと、シーンの緩急をしっかりとつけ
動きのあるシーンは動きの面白さ、動きのないシーンは1枚絵としての魅力、
そういったアニメの「動」と「止」の面白さを感じることが出来る
1シーン1シーンを切り取ってみても絵としての力がある作品といえば分かりやすい

1話の終盤では「巨大な金魚型飛行艇」が家から現れ、
そんな巨大な飛行艇を「小さい少女1人」が動かしながら激しい銃撃戦を繰り返す。
小さい少女がでかい飛行艇を動かすギャップ的魅力、そして「小物感が強い敵」が出ることで
1話の序盤のわけのわからなさを終盤ではわけが分からないが面白いに変えている。

しかしながら2話以降は前述した「絵」の面白さも急になくなり、単調な動きや甘い演出が増えていく。
わけのわからないストーリーを絵がうまいことカバーしているのが1話の面白さだったが、
1話にあった面白さが2話以降にはない。

ストーリー的にも「いろいろな組織が狙っているガリレオの遺産」を見つけるために
ガリレオの子孫である3姉妹が空を旅しながら探すという感じだ
しかしながら、冒険活劇的な面白さを色々な要素が邪魔をする
正直言って1クール、しかも全11話という短さの中に色々な設定を入れすぎだ。

淡々とストーリーを進めつつ「組織」が襲ってきたり「空賊」が襲ってきたりするが
基本的に「遺産はどこだ」という台詞のみで襲ってきて何とか撃退するか撤退して事なきを得て、
しばらくすると襲ってくる。
そんな中で別居したり一人暮らししていたりする
バラバラになった「家族」が家族としての絆を取り戻す展開も入れてくる。
そこに更に「ガリレオの遺産」の謎解き入ってくる。

色々な要素を序盤から同時に展開するためゴチャゴチャしている感じが強く、
ゴチャゴチャしているのに登場人物が少ない。
キャラクターの作画や背景やメカの作画がよく雰囲気は「冒険活劇」なのだが
はっきり言ってしまえば雰囲気だけでいつまでたっても「中身」がみえてこない。
中身がなく雰囲気だけだからこそゴチャゴチャした感じが目立ち、
見ている最中に「次はどうなるんだろう」という展開の期待感が生まれない

更に話が進めば進むほど展開にもかなり無理があったりご都合主義が目立つ
「明らかに即死レベル」の場所から落ちても
あからさまな怪我の描写ではなく手術が必要な「発熱」という分かりづらい描写で、
しかも手術はすごい技術の注射で終わり(苦笑)
怪我の原因になったビルから落ちるシーンは確かに派手なのだが、
そのシーンをやりたいために後の展開が雑になってしまっている感じが強い

ストーリーの流れも「ガリレオの遺産」のてかがりである6枚のスケッチを探す感じなのだが、
次のスケッチがある場所があっさりとわかってしまい、スケッチ自体もあっさり見つかる。
冒険活劇的な面白さを期待したいのに、その部分の面白さがほとんどない
各話の繋がりも非常に甘く、仲良くなった少年が死んだという話をした後に
次の話ではその事は忘れて姉の風邪を治す話になっていたりする。
しかも、その熱は「風邪」なのにまるで死に至る病のごとく描写される
ちょっとわけがわからない(苦笑)

冒険活劇、SF,深刻なエネルギー問題を抱えている世界、空賊、可愛らしいキャラクターと
根本の設定が絡みあえば絡むほどチグハグな展開を産んでおり、
「やりたいシーンを見せたい」ためだけの繋がりの薄いストーリー展開や、
もはや突っ込んでくださいと言わんばかりのストーリー展開,
更に超展開としか言えない終盤の展開や強引にまとめた最終話など「脚本」が駄目過ぎる作品だった

全体的に見て雰囲気だけは凄くいい。
エネルギー問題を抱えている世界の背景描写は素晴らしく、
どこか殺伐とした世界観の中で3人の少女たちの可愛らしいキャラクターが合っており、
3人の少女が空飛ぶ金魚に乗って「ガリレオの遺産」を探すという根本の設定や展開自体はいい。
だが、その根本の設定や世界観を生かしきれず全11話だけでは明らかに捌き切れない設定や
全11話なのに各話の繋がりが非常に弱く、前の話は何だったんだ?と感じるほど話が弱い。

全11話ではなく2クールあればもっと面白かったかもしれない、
いや、逆に2時間位の映画にまとめたらもっとスッキリと面白い作品になったかもしれない。
面白くなりそうなポイントは多くあるのにそれを生かしきれていないもどかしさがあり、
雰囲気だけはいいので最後まで飽きずに楽しめるが、
最後まで見るとなんともいえない感じが残ってしまう。

これは個人的な考えかも知れないが、この作品は「主人公が居ない」用に感じる。
この作品の主人公は「三女」であることは間違いなのだが、
本来彼女はヒロインの立ち位置なのに主人公のように振る舞っており、
主人公が居ないせいで物語の繋がりが弱くなっている感じが強い。
終始、パズーの居ない「天空の城ラピュタ」を見ているような感覚だった。

本来は「ガリレオ」がこの作品の主人公だったかもしれない。
彼が出てくる終盤の9話や10話は話としてまとまっており、ヒロインの可愛さも際立つ。
しかし彼が出てくるのは2話のみ。
彼がヒロインに当てた時間を超えたラブレターなどロマンチックなのに生かしきれない。
本当に色々なポイントが惜しくて仕方がない。

最終話に至ってはさんざん冒険活劇を繰り返したのに
「裁判」で終わるなどちょっと意味がわからない(苦笑)
結局色々なことを投げてうえにごまかした最終話になっており、何がしたかったんだと思う点も多い。
きちんとした尺ときちんとした脚本家がいれば化けた作品だったかもしれないだけに残念だ。

個人的にはOPとEDで「裸にオーバーオール」という大胆な恰好を三女がしていて
本編でも出てくるのかと期待していたのだがEDのみで残念だ(笑)