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「いぬやしき」レビュー

いぬやしき SF
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評価 ★★★★☆(59点) 全11話

あらすじ 老年を迎える冴えないサラリーマン・犬屋敷壱郎は、会社や家庭からも疎外された生活を送っており、ようやく購入した一戸建てすらも、家族の歓心を得ることができなかった。引用- Wikipedia

俺が悪役でジジイがヒーロー

原作はGANTZでお馴染みの奥浩哉による漫画作品。既に完結済み。
監督はさとうけいいち、制作はMAPPA。
いわゆる「ノイタミナ枠」で放映された作品だ

見出して感じるのは声の違和感だ。
声優ではなく俳優である「小日向文世」さんが演じており、
外見的には白髪混じりのほぼおじいさんなのだが、妙に声が高い。
声優ではない演技というのにはやや違和感があり、少し聞きづらい。

もう一人の主人公の若者を演じている「村上虹郎」さんはもっと違和感が強い。
「 村上虹郎」さんの場合は違和感ではなくやや声の演技の経験不足を感じさせる。
キャラクター的に「サイコパス気味」なキャラクターだからこそ、
経験不足なのが逆に合っているとも言えなくはないのだが、
やや慣れるまでに時間がかかるのは両者とも同じだ。
いぬやしき

そんな二人の主人公がおそらく「UFO」と事故に遭う所からストーリーが始まる。
宇宙人と思われる生命体に「兵器ユニット」を利用し再生され、
普通の人間ではなくなった彼らがその力をどう使い、どう生きるのかというのが
この作品の主軸になっている。

主人公は機械の体に改造された自分を試す。
還暦間近の彼は改造された体を決して使いこなしてるとはいえず模索し、
自分の力をどう使うか迷い、溜め込んでいた正義へと使い出す。
人の命を救うことで「自分が人間であり犬屋敷 壱郎」という人間であるという
アイデンティティを確立しようとする。

もう一人の主人公は完璧に自分の体を使いこなしている。
若いからこその潤応力で冷静に自分の「兵器」としての能力を完璧に使いこなす。
しかし、彼は正義にその力を使わない。
「自分が人間であり獅子神 皓」という人間であることを人を傷つけ殺す事で
アイデンティティを確立しよとする。
いぬやしき

同じ力を手に入れた二人の主人公ではあるが、力の使い方はまるで違う。
機械の体になってしまったが宇宙人からは何の説明もない、
だからこそ「前と同じような人間である」という実感を求めて力を使う。
突然、力を手に入れた人間がどうその力を使うのか?
これは「マーベラス」などのアメコミ映画ではよくある展開だ。

しかし大きく違うのは還暦間近の男と若者、
2人が同じ力を手に入れているという点だ。
同じ力を持つヴィランが現れるのもアメコミの醍醐味ではあるが、
それは物語が進んだあとの話であり、この作品は最初からだ。

冴えない還暦間近の男が正義に燃え、ネジの外れた狂った若者が悪に浸る。
自分の能力に戸惑いつつも微笑ましく正義を執行する老人と、
自分の能力をしっかりと把握し、何の感情もなく殺人を繰り返す若者。
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その2人が交互に描かれる。
爽快感のある老人の人助けと嫌悪感のある若者の殺人、
交わりそうで交わらない二人の行動は交互に描かれるからこそ対比が生まれ、
「いつ、この2人が戦うのか」という期待感が大きくなっていく

ただ、やや余計なエピソードやいまいち飲み込み難い話もある。
もう一人の主人公の殺人の理由も「友達を虐めてたから」という理由で
いじめっ子を殺す部分はまだ理解できなくもないのだが、
何の罪もない人をただただ「自分が人間である」ということへの実感のためだけに、
殺していくのは理由としてはやや弱く、バックボーンが薄い。

おそらく原作を読めばもう少し飲み込める部分があるのだろう。
全11話で原作の最終話まで描くために省略された話も多いようで、
いわゆる「積み重ね」という部分が薄い。
この点においては逆にもう少し省略しても良いエピソードや、
「殺人の描写の仕方」で印象は変わったかもしれない。
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しかし、ストーリーは面白い。
1クールで彼らが戦うのは10話だ。ノイタミナ枠なため全11話しかない。
最終話直前に極限状態の彼らが対峙し、ようやく戦う。
その戦いはわずか10分だ。
だが、その10分の中に込められたアクションの迫力は素晴らしiい。

ただ終盤の展開は慌ただしすぎる。
全11話という尺に全10巻の漫画作品を押し込めてしまったがゆえに、
最終話の尺が足りていない感じが強く、10話まで盛り上がり方に比べてしまうと
最終話の盛り上がりはやや薄い。
ただ物語はきちんと完結しておりスッキリと見終われる作品だ。
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総評

全体的に見て好みの分かれる作品だ。
ストーリー的には1話から11話までで起承転結のスッキリとした話であり、
まとめてみれば一本の映画を見終わったような気分になれる。
その反面でグロ描写や生々しい描写など嫌悪感を懐きやすい要素も多く、
もう一人の主人公の無慈悲な殺人も見る人によって意見が別れるところだろう

ストーリー自体はよくできている。
1クールのアニメというよりは映画を11話に分割したような感じではあるものの、
二人の主人公が正反対に力を使い、自分が人間であることの証明と、
自分が生まれてきたことの意味を模索する姿は面白い。

やや極端な描写やキャラ付けはあるものの、しっかりとした面白さがあり、
「この作品で描きたいこと」が分かりやすく伝わる。
ただ、その描きたいことに対して尺がたりていない部分が多く、
いわゆる「カタルシス」を感じる前に終わってしまった感じの作品だった。
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個人的な感想

個人的には実写で見てみたいと思ってしまった作品だった。
3DCFによる戦闘シーンはたしかによく動き迫力がある、
改造された機械の体の機構は細かく描かれており凄いのだが、
どうにもそれが「面白い」と感じにくい部分があった。
リアルに追求したがゆえにアニメ的な面白さが薄れてしまい、
コレだったら実写でみたほうが面白いのでは?と感じてしまった。

なお実写映画も決まっており、主演はとんねるずの木梨憲武さんだ。
映画館に見には行かないと思うがBDが出たら見てみたいと思う。

「」は面白い?つまらない?

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