「デカダンス」レビュー

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SF
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評価 70点 全12話

あらすじ 西暦2400年代後半、文明が崩壊した世界で、人類は怪物のような生命体ガドルの脅威に晒されていた。引用- Wikipedia

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やりたいことをやり尽くせ!

本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は立川譲、制作はNUT。

世界観


画像引用元:デカダンス 1話より
©DECA-DENCE PROJECT

1話冒頭から引き込まれる世界観が描かれる。
乾いた土地、荒れ果てた街の中で「オーパーツ」を発見する主人公の父親。
主人公である「ナツメ」の父親は「世界に秘密がある」と感じている。
そんな父親についてきた幼い主人公は父親についていて
「地上」に訪れている。そこに現れるのは謎の生命体「ガドル」だ。

ガドルに襲われ「右手」を失い、父親も失った主人公。
1話冒頭から残酷とも言える世界観が描かれ、彼女は彼女たちが暮らす
「デカダンス」へと帰っていく。

「がドル」に襲われ世界の人口は9割失い、
移動要塞である「デカダンス」を作り、ガドルの体液で動くそれを
維持しつつ、人類の新たなる世界である「デカダンス」を保っている。
世界が滅ばされ、残された人類の生き残りをかけた戦い。

ガドルと戦う力を持ったものは「ギア」と呼ばれ、
ガドルと戦えないものは彼らをサポートする「タンカー」と呼ばれる。
心身健康であればギアになることができるが、
主人公は右手を失ったったために戦いたくともギアにはなれない。

1話から丁寧に世界観とこの作品の設定を自然に説明しており、
ポストアポカリプスな世界観と主人公をきちんと芯にすえ、
この作品で見せたいものを1話からどんどんと見せられる印象だ。

巨大移動要塞、スチームパンク、ポストアポカリプス、
機械の油の匂いと埃っぽい空気感を見てる側の鼻腔にただよわせるような
この世界観だけでたまらない。

容赦なく失われる命、生きようとあがき戦う彼ら。
その世界の裏で「バグ」と呼ばれるものを収集してるもの。
1話で描かれる世界観に飲み込まれる。

え?!


画像引用元:デカダンス 2話より
©DECA-DENCE PROJECT

そんな面白そうと思った世界観が
実は「ゲーム」であることがあっさりと明らかになる。
2話冒頭でナレーションで本当にあっさりとその事実が
見てる側に提示され、せっかく面白そうと思った世界観が
ゲームでしたというネタバレをされてしまうことでやや萎える。

マトリックスのように電子空間で暮らしていた人間が
電子空間であることに気づくというような展開ではなく、
プレイヤーである彼らは当然、ゲームであることはわかっている。
あまりにあっさりと世界観の秘密が明らかになり、
そのあっさりさにある意味で衝撃を受ける。

他の作品なら「ネタバレ禁止です」と制作側が言うレベルの
世界観がひっくり返る秘密を2話の序盤であっさりと提示することで
逆にここからどんなストーリーが展開するのかという
期待感を感じさせてくれる。

ややこしい


画像引用元:デカダンス 2話より
©DECA-DENCE PROJECT

2話で明かされる設定は少しややこしい。
「デカダンス」というゲームであることは間違いないのだが、
デカダンスは現実で行われているゲームだ。
現実世界での人間は絶滅危惧種であり、プレイヤーはサイボーグだ。
チート行為をすれば運営会社から彼らはスクラップにされる。
それでも彼らは「生の実感」のためにデカダンスをプレイしている。

「人間は絶滅危惧種」という点がゲーム内の設定を同じであり、
それがややこしさを生んでおり、しかも、サイボーグたちは
まるで「カートゥンアニメ」のようなキャラデザと作画で描かれており
シリアスな話なのにシリアスな雰囲気になりきれない
ちぐはぐさも生まれている。

生き残っている人間は「NPC」としてデカダンスの中で暮らしており、
システムにとって不要と判断されればサイボーグと同じように
バグと扱われ処分される。
システムという名のAIである支配者とAIの支配のもとで暮らしている
サイボーグたち、そしてNPCとして扱われ真実を知らない人類。

主人公であるナツメは人間であり、もうひとりの主人公である
カブラギはAIの命令で動いている「サイボーグ」だ。
どちらもデカダンスの中では人間の姿をしているものの、
ナツメは世界の真実を知らず、カブラギは世界の真実を知っている。

1話ではナツメの視点、2話ではカブラギの視点で描かれることで
多角的にこの作品の世界を描いている。
1話で描かれた世界はスチームパンク、ポストアポカリプスだったが
2話で描かれるのはディストピアだ。

管理されてることを知らない少女のまっすぐな思いに影響され、
支配され諦めていた「カブラギ」はシステムにとって
イレギュラーな存在であるナツメにある種の希望を見出していく。

真実を知るものと世界の平和を望むもの。


画像引用元:デカダンス 5話より
©DECA-DENCE PROJECT

真実を知るサイボーグと、真実を知らない人間の
物語が中盤から描かれていく。
「カブラギ」はこの世界がゲームであることを知っており、
AIによって管理されていることを知っている。
それゆえにゲーム内の負けイベントも知っている。

しかし「ナツメ」は真実は知らない。負けイベントと知らず、
ゲームとも知らず、人間として、この世界に生きるものとして、
何より死んでしまった父親の想いを叶えるために彼女は
真実を知らぬまま戦いに挑んでいく。
彼女はこの絶望と終わりなき世界で自由と平和を求めている。

だがカブラギはこの世界に自由も平和も終わりもないことを自覚し、
AIの管理と、ナツメという人間のイレギュラーな自由な意思との
板挟みの中で迷い、考え、影響されていく。
支配され諦めていたカブラギにとっての「自由」と「救い」の
存在であるナツメを助けるためにカブラギもイレギュラーになっていく

見てる側は完全に「カブラギ」の視点でこの物語を見ているが、
同時に「デカダンス」の中のナツメという主人公の気持ちもわかり、
カブラギに共感することができる。

破壊と自由


画像引用元:デカダンス 6話より
©DECA-DENCE PROJECT

管理された社会、ディストピアな世界観には「反乱」がつきものだ。
カブラギはナツメのセリフや言動に共感し、彼女と同じようjに
自らも自由を求めるようになる。すべての真実を知ってる彼だからこそ
システムそのものを破壊しようと何も知らないナツメとともに試む

社会には秩序と言う名のシステムが必要だ。
この世界では秩序が崩壊し、人類の9割が滅びたからこそ
人類の殆どは全身機械のサイボーグとかし秩序の名のもとに
デカダンスを楽しんでいた。

しかし、それは支配されていることと同義だ。
秩序と自由と支配と社会。同じサイボーグの中でも意見が食い違い、
戦う中でカブラギは破壊と自由を選ぶ。

カブラギの敵は悪として描かれているものの、決して悪とは言い切れない。
システムの秩序の中で生きようとする彼らもまた
彼自身の選択の1つだ。だからこそ憎めない。
主義と主張と思想のぶつかり合いの9話はこの作品の山場といえる。

真実


画像引用元:デカダンス 10話より
©DECA-DENCE PROJECT

秩序という名のシステムが破壊される中で「ナツメ」も真実を知る。
自分が守ろうとした世界、戦ってきた存在、
カブラギの存在でさえも「偽り」であることを知ってしまう。
真実を知り、1度は自暴自棄になり絶望仕掛ける。

だが、彼女は変わろうとしてここまでやってきた。
イレギュラーな彼女が幼い頃から変わろうと生きてきた。
自分が見てきたものを、自分が信じてきたものをもう1度信じ、
世界の変革も彼女なりに受け入れる。

1クールゆえにややあっさりと真実を受け入れた感じはあるものの、
1クールだからこそのテンポで物語が進んでいく
爽快感あふれる面白さがしっかりとある。

熱血


画像引用元:デカダンス 12話より
©DECA-DENCE PROJECT

ゲームの中で敵として用意され生み出されていた「ガトル」でさえ、
彼らなりに自由を求め、その結果、進化し、人類に相対する。
システムという名の秩序から解き放たれた人類、サイボーグ、ガトル、
そしてAIたちが、それぞれの自由を求めて自由のもとに戦う。

自らの意思で自らがすることを決める。自由だ。
この作品はまっすぐにストーリーが進んでいる、
心の通った気持ちのいいストーリーは最終話で熱くさせてくれる。
人の体を持った人間も、機械の体を持ったサイボーグたちも
己の「魂」を震わせ、自らが生きるために戦う。

システム側だったカブラギの友人もバグとなりカブラギに協力し、
「デカダンス」を起動させる。
体は関係ない、デカダンスに魂を宿し、みんなで作り上げた武器で戦う。
久しぶりに感じさせてくれた熱くたぎる熱血展開だ。

この作品は最後の最後で「ロボットアニメ」になる。
制作側が描きたかったすべてを込めた1クール、
制作側も楽しく作ったことを見ていて感じられる。
なにせ登場人物の多くは最終局面で笑顔だ。

自由に支配されない彼らの「デカダンス」。
ロマンの象徴ともいえる「ドリル」で貫き、
言葉通りすべてを破壊し尽くした「カブラギ」の姿は自らも破壊する。

ラストシーンの「1枚絵」でほろりと
涙を流せる素敵な作品に仕上がっている

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総評:これが彼らのやりたかったこと


画像引用元:デカダンス 12話より
©DECA-DENCE PROJECT

全体的に見て制作側の「やりたいこと」を詰め込んだような作品だ。
1話でナツメ目線で巨大移動要塞、スチームパンク、ポストアポカリプスな
世界を見せたかと思えば2話でカブラギ目線でディストピアであることを
描き、そこから「支配と自由」の物語を真っ直ぐに進めたかと思えば、
最後にはドリルですべてを破壊尽くすロボットアニメになる(笑)

いろいろな要素が入り乱れており、
2話の説明はややこしい部分があるものの、
「この物語はどうなるんだろう、キャラクターたちはどうなるんだろう」
と、純粋に先が気になるアニメになっており、そこに自由を求める
「キャラクター」たちが生きている作品だ。

これだけ色々な要素があり、ごちゃごちゃしてる部分はあるものの、
それを1クールで綺麗にまとめている。
本来は2クールくらいでもっとガッツリと掘り下げて描ける部分は
あったたと思うが、いい意味であっさりしている作品だ。

最終話のラストの1枚絵、あの1枚絵をみるために
この物語が存在したと言いたくなるほど良いラストであり、
「良い作品を見た」という後味がじんわりと残る作品だった。

個人的な感想:よかった


画像引用元:デカダンス 12話より
©DECA-DENCE PROJECT

1話で世界観に惚れ、2話でそれがあっさりと覆されてしまったときは
やや肩透かしというか拍子抜けした感じがあったものの、
そこからいい意味で気持ちの良いストーリーを展開してくれた作品だ。

キャラクターたちも生き生きとしており、サイボーグたちの
カートゥンなデザインも最初は慣れなかったものの
中盤くらいからは妙な愛着すら湧いてしまった。

1クール故にもう少し大きく広げられそうなストーリーを
手堅くまとめた感じもあり、そういった意味では2クールで
この作品をガッツリと見たかったなとも感じられる。
それだけこの作品を楽しんでみていた証かもしれない。

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