「七星のスバル」レビュー

評価 ☆☆☆☆☆(6点) 全12話

あらすじ 世界的人気のあったMMORPG、「ユニオン」において伝説となったスバルという小学生のパーティがあった。引用- Wikipedia

あの日見たシュタゲオンラインの名前を僕はまだ魔法戦争

原作はライトノベルな本作品。
監督は仁昌寺義人、制作はLerche。
監督の仁昌寺義人さんは長い間、演出を手がけており、
本作品はTVアニメの監督として初作品となる。
なお原作はアニメ最終話直前に完結した。

ちなみに余談だがアニメ放送中にプロデューサーが逮捕された(笑)

新鮮味0


引用元:©田尾典丈・小学館/「七星のスバル」製作委員会

この作品の舞台は「MMORPG」だ。
もはやSAO以降、数多のMMO舞台の作品が描かれており、
なんの新鮮味のない舞台設定は正直「今更感」が非常に強い。

それだけならまだしもキャラクターデザインが古い。
というよりも洗練されていない。柔らかい絵柄と雰囲気は
「かっこよさ」は感じられず、「可愛らしさ」も甘い。
アニメを30本くらい見れば似たようなキャラが見つかりそうなほど、
個性を感じないキャラクターデザインからはあまりやる気を感じない。

ゲームで死んだと思ったらリアルでも


引用元:©田尾典丈・小学館/「七星のスバル」製作委員会

主人公たちが過去にやっていたゲームはキャラの死=キャラのロストという
常時、ハードコアモードのような設定だ。
そんな中で主人公たちの仲間の一人がキャラのロストと
同時にリアルでも死亡する。

ゲームでの死=リアルでも死という何処かで聞いたことのある設定を、
序盤シリアス全開で描かれる。
一気に時間が経過しトラウマを抱えたまま育った主人公は
再びゲームの中で死んだはずのヒロインと再会する。

この作品は色々なところで「あの花オンライン」と呼ばれている(苦笑)
そう呼ばれる事が痛いほど納得できてしまうほどに、
あの花の設定をSAOのゲームの中に落とし込んだだけのような世界観は
面白さや期待感というよりは「呆れる」感じが強い。

キャラクターの立ち位置やキャラクター性も、ほぼ「あの花」だ。
ただ、確かに「SAO」+「あの花」な設定と世界観ではあるものの、
パクリ元がいいだけに「どういうストーリー展開になるのか」という
部分は気になる所であり、話の展開でパクリ元からどう差別化していくかが、
この作品の肝であり、見る側としても始まりはパクリであれ、
話が面白くなれば気にならなくなるはずだ。

突っ込み所が多すぎて面白さ以前の問題


引用元:©田尾典丈・小学館/「七星のスバル」製作委員会

6年前の出来事を逆恨みしている仲間や、ヒロインの特殊能力がほしいからと
仲間になれと襲ってくるモブキャラと細かいツッコミ所は
最初からあるが、話が進めば進むほどツッコミ所が増えていく。

根本の「死んだはずの幼馴染がゲーム内で生きていた」という設定ですら、
現実世界で本当に死んでるかどうかを彼女の家や両親に
確認しに行くということすらしない。
ゲーム内で生きてる生きてないの論争をする前に、
やれることをやるということをこの作品のキャラはしない。

細かい部分を突っ込みだしたらキリがなく、
ゲームシステムも練り込みが浅いせいでガバガバであり、
正直、ゲームとしてはいわゆるクソゲーの領域の設定が多くある。

特にキャラごとに違う「センス」によるキャラ優遇がひどく、
メインキャラクターたちが「なぜ強いのか」がまるで説得力がない。
メインキャラだから強いのは当たり前かもしれないが、
その強さにまるで説得力がなく、急に強くなるためついていけない

「ゲーム」という設定上、ある程度の最低限の平等さやルールの中で
強いキャラと弱いキャラの違いがきちんと描かれるならいいが、
この作品は単純に「メインキャラが優遇」されてるにすぎない。
センスでなんでもありな主人公たちの俺ツエーは見てられない。

魅力のない戦闘シーン


引用元:©田尾典丈・小学館/「七星のスバル」製作委員会

MMOが舞台ということもあり戦闘シーンは非常に多い。
だが直線的な動きの戦闘シーンと、とてもじゃないが演出畑の監督が
手がけたとは思えない戦闘シーンは面白さなどなく、
いわゆる「俺ツエー」な感じの戦闘シーンも迫力がまるでない。

はっきりいってダサい。
主人公が技を放つときに「獅子」が出たり、
他のキャラも拳と共に「龍」が出たり(笑)
見ながら自然と口から「だせぇーw」とこぼれ落ちてしまうほどの、
ダサさは一周回ってギャグだ。

未来予知や時間停止、空間湾曲など色々すごそうな技を使うのだが、
凄そうなのは設定だけでアニメーションとしての描写が
まるでついていけていない。
そのせいでダサさが極まっている。

ヒロインも視聴者もイラつかせる主人公


引用元:©田尾典丈・小学館/「七星のスバル」製作委員会

ライトノベル原作のアニメにおける主人公は基本的に鈍感である。
ヒロインたちの好意にまるで気づかず、「え?なんていった?」を繰り返し、
恋愛事情の決着を引き伸ばすのは常套句だ。
しかし、この作品の主人公はそれ以前である。

例えば現実世界でとあるヒロインの機嫌を損ね、そのまま別れる。
ゲームの世界で一緒にプレイするものの当然、ヒロインは不機嫌だ。
見る側も不機嫌の理由はわかっている。
だが主人公はまるで現実世界の出来事などなかったかのように
「お前、体調でも悪いのか?今日ずっと様子がおかしいぞ」と言い放つ。

こんな主人公に好感などもてるわけがない(苦笑)
ヒロインも苛立ち、視聴者も苛立つ。
主人公よりもヒロインに共感してしまう。

これもシュタインズゲートの選択か


引用元:©田尾典丈・小学館/「七星のスバル」製作委員会

あの花オンラインと呼ばれてる通りの内容を序盤から中盤まで見せられるが、
終盤になって急に「シュタインズゲート」になる。
何を言ってるかわからないだろう、私もわからない(笑)

ネタバレになってしまうが、ゲームの世界で使える能力は
実はいわゆる「超能力」のようなものであり、
彼らがやっているゲームは現実で超能力を使えるようにするためのもの
ということが終盤で急に分かる。

「特異点」などの言葉も出てきて、この作品がSFな作品な事はわかるのだが、
あまりにも唐突な路線変更は混乱しやすく、
見てる側は「あの花オンライン」だと思ってたら、
「あの花シュタインズオンライン」になってしまい、ゴチャゴチャだ。

見てる側が「この作品の脚本力で本当に話をまとめられるのか?」と
心配になるほど、ここ10年位で売れたアニメの要素を組み込んでいる。
これで2クールや4クールの作品なら期待できる部分はあるかもしれないが、
この作品は1クールだ。

んだよ、意味が分かんねえ


引用元:©田尾典丈・小学館/「七星のスバル」製作委員会

様々なアニメの要素を取り入れつつ話が壮大になっていくのだが、
結局、最終話は「俺たちの戦いはこれからだ」で終わる。
これで区切りがきちんとついていれば「続きは原作で読もう!」と
思うかもしれないが、この作品はびっくりするほどに投げっぱなしである。

なぜ死んだはずのヒロインがゲームで生きているのかも、
黒幕がどんな目的で現実で使える能力をゲームで鍛えているのかも、
主人公が謎の覚醒をしたのも特異点だったのも、
いろいろな伏線は投げっぱなしで楽しくゲームで遊んで終わる。

スッキリとした感じで終わってる風な最終回なのだが、
あくまでも「風」であり、見てる側は何1つすっきりしない。
モヤモヤっとしたものが残ってしまい、
これをきっかけに原作を読みたいとも思えない作品だった。

総評:ストーリー構成が最大の問題


引用元:©田尾典丈・小学館/「七星のスバル」製作委員会

全体的に見るとストーリー構成に問題があった作品だ。
原作は「全7巻」で完結している。
つまりやりようによってはストーリーをアニメで描き終わる事もできた。
もちろん、ある程度の原作改変やカットは必要だろうが
完結まで描くこともできるはずだ。

結局、1クールではいろいろな作品の色々な要素を借りて組み合わせて
オリジナルっぽいなにかを作り上げてはいるが、
最後まで見ても何1つすっきりとしないストーリーは
「パクリ」という印象しか残らない。
これできちんと描ききれていればもう少し印象は違っただろう。

ストーリー以外にもダサすぎる戦闘シーンややる気を感じないキャラザ、
魅力を感じない主人公など問題点は多くあるものの、
面白そうで面白くならない継ぎ接ぎストーリーと構成が最大の問題点だった。
この作品に「シュタゲ要素」もあることが早い段階でわかれば、
3話切リなどする人は少なかったはずだ。

きっちりとアニメ化すれば、もう少し見れる部分もありそうであり、
そういう要素が垣間見えるだけに「もったいない」と感じる作品だった。

個人的な感想:なぜ負けヒロインほど可愛いのか


引用元:©田尾典丈・小学館/「七星のスバル」製作委員会

メインヒロインはそんなに可愛いと思わなかったのだが、
いわゆる「滑り台」な「負けヒロイン」の立場にいる「碓氷咲月」が
非常に可愛かった(笑)
彼女が居るからこそ最後までなんやかんや見れたという部分も大きい。

原作者の田尾典丈さんは他にも「中古でも恋がしたい」などを手がけており、
人気度や知名度ならばそちらのほうが大きい。
原作の1巻のamazonレビューは12件しかなく、
正直、そこまでこの作品が原作から人気というわけでもないようだ。

なぜ、この作品をアニメ化したんだろうか(苦笑)
プロデューサーも逮捕されているためもはや真相は闇の中だが、
色々と腑に落ちない作品だった。