「超可動ガール1/6」レビュー

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SF
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評価 ★★★★★(81点) 全12話

あらすじ 二次元(アニメ・ゲーム・漫画)を愛する健康で優良なオタク社会人房伊田春人。一人暮らしを始めたのを機に自分が大好きなSFアニメ『少女→惑星探査』のヒロイン、ノーナのフィギュアを購入すると、なんとそのノーナが動き出した。引用- Wikipedia

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1/6の純情な感情

原作は月刊アクションで連載中の漫画作品。
監督は元永慶太郎、制作はstudio A-CAT。
1話15分ほどの短編アニメ。

懐かしい


引用元:©ÖYSTER /双葉社・「超可動ガール1/6 」製作委員会

見出して感じるのは懐かしさを感じるキャラクターデザインだろう。
特に主人公の髪型と髪の色は慣れるまでやや違和感があるほどであり、
「昔のアニメ」や漫画にはこういう奇抜な髪型のキャラデザのキャラが居たなと
思い起こさせるようなデザインだ。

作画は低予算さを感じさせる部分はあるものの、
この低予算な感じが逆に20年くらい前の作品を思い起こさせる雰囲気を醸し出す、
作中ではCGなどもバリバリ使われている、
それなのに20年末の得ような雰囲気がある。
なんとも不思議な雰囲気を感じさせてくれる作品だ。

「フィギュア」がある日意思を持って動き出すというテーマの作品も、
ハンドメイドメイを彷彿とさせる内容だ。
動き出したフィギュア「ノーナ」はアニメの内容そのままの記憶を持ったまま
なぜかいきなり動き出し、彼女が出るアニメのオタクである
主人公とともに暮らし始める所から話が始まる。

あっさりバレる秘密


引用元:©ÖYSTER /双葉社・「超可動ガール1/6 」製作委員会

当初、主人公は「ノーナ」に対し彼女がフィギュアであることを隠している。
しかし、その秘密はあっさり2話でバレる。
自らの設定を資料を見せ、原作を読ませ、アニメを見せ、アニメ雑誌を見せ、
彼女がフィギュアであることを自覚させる。

本来ならもっとショックを受けてシリアスになってもおかしくないシーンだが、
この作品はあくまでも「明るく」「ギャグ」として物語を展開するため、
同人誌を見られ、彼が書いた彼女に対する「婚姻届」まで見られることで、
彼と彼女は結婚する。

相当にぶっ飛んでる作品だ(笑)
動き出したフィギュアとたった2話でケッコンする主人公など前代未聞だろう。
典型的なオタクである主人公と、フィギュアであるニーナの結婚生活、
これがこの作品の主軸であり、面白さだ。

オタク


引用元:©ÖYSTER /双葉社・「超可動ガール1/6 」製作委員会

この作品の主人公は典型的なオタクだ、彼の友人もまたオタクであり、
作品を肯定的に受け止めるオタクである主人公と、
作品を否定的に受け止めがちな主人公の友人、
この二人の「オタク談義」は聴いてるだけでも笑えてくるほど熱い語り合いであり、
古いタイプのオタクほど彼らの会話は刺さるはずだ。

オタクとして作品を愛し、キャラを愛してる主人公の情熱は熱く、
それがきちんと「ノーナ」というヒロインに対する愛にもつながっている。
彼のそんな情熱があるからこそ「ノーナ」というヒロインも
彼に対して深い愛情がわき始める。

ギャグなノリで結婚した二人ではあるものの、
そこにきちんとした「愛情」の描写を感じられる。
だからこそ主人公も、ヒロインも好きになれる。
ちなみに主人公の友人が持っていたフィギュアも動き出しており、
主人公と同じような状況になっている。

増えていくフィギュアたち


引用元:©ÖYSTER /双葉社・「超可動ガール1/6 」製作委員会

話が進むたびに主人公のもとには動くフィギュアたちが集まっていく。
最初は主人公が好きだったアニメのキャラが、次は好きだったゲームのキャラが、
キャラクターが増えることでにぎやかになっていきドタバタコメディとしての
面白さが増していく。

キャラクターが増えても主人公の彼女たちに対する愛情は変わらない。
オタク特有の「願望」を叶えつつ、それがセクシーシーンにもなりつつ、
彼の欲望とオタクとしての行動や言動がきちんとギャグになっている。

他のフィギュアに対して「嫉妬」をするノーナの姿も非常に可愛らしく、
同時に主人公にとって婚姻届に名前を書いたのはノーナだけであり、
彼女だけは特別だ。その特別感がしっかり伝わる。

フィギュアたちが、自分たちがフィギュアだと自覚しつつも、
現実世界での生活を楽しんでいる。
そのさまが微笑ましく、そのさまが見ていて面白い。
1話15分だからこそのサクサクとしたテンポも丁度いい。

ストーリー


引用元:©ÖYSTER /双葉社・「超可動ガール1/6 」製作委員会

単純な日常アニメではなくファンタジーとしての要素もあり、
人間であるはずの主人公が「ゲームの世界」に入ったりすることもある。
しかし、そんな特別な状況になっても主人公は全く慌てない(笑)
彼の順応性の高さが故にストーリーのテンポがよく、
サクサクと小気味よくストーリーが進んでくれる。

1話15分だからこそのテンポの良さが作品としての面白さを強めてくれる。
話が進むたびに主人公とノーナの関係性も深まっていき、
ノーナの「奥さん」としての行動や言動がいちいち微笑ましく感じてしまうほど、
この「ノーナ」というヒロインに主人公と同じような愛着がわいてしまう。

そんなノーナやフィギュアたちに振り回される主人公にも愛着がわく。
彼のオタクが故の自己肯定感の低さや、オタクだからこそのウブさ、
おそらく多くの男性オタクが彼に共感してしまうはずだ。
彼の言動や行動に「違和感」がない。

だからこそ、彼と彼女たちの日常が面白い。
しっかりと「魅力のあるキャラクター」がこの作品には存在する。
魅力のあるキャラクターだからこそストーリーが面白い。

彼女たちを作った人間や彼女たちの謎が終盤で一気にギャグテイストで
明かされるのもこの作品らしく、変に小難しい部分もない。
1話から12話まで明るいテイストで描かれるからこそ、
スッキリと見ることができる。

オタクの願望の果ては何なのか


引用元:©ÖYSTER /双葉社・「超可動ガール1/6 」製作委員会

ある意味、この作品のテーマはそこだ。
アニメやゲーム、漫画、そういった3次元では本来、触れることのできない
「2次元のキャラ」に対する愛情の行く末。
フィギュアとはいえ意思を持ち動き出しコミュニケーションをしてくれる。

この時点ですでにオタクの願望はある程度叶ってると言っても良い。
目の前で好きなキャラが自由に動いて、自由に喋って、自分を好きになってくれる。
ある意味で身勝手とも言えるオタクの願望を描いているのがこの作品だ。

オタクの愛情の行きつき先はどこなのか。
2次元の世界に、自分の愛した世界に行くことではないだろうか?
ある意味でそれが1番の願望とも言える、全てのオタクの夢だ。
「このアニメの世界に行きたい」
アニメを見ていて幾度となく思った願望だ。

「ノーナ」の原作のアニメはすっきりとしないモヤモヤとしたエンドであり、
ハッピーエンドとはいえない。主人公自身もこの最終話を、
ノーナの消滅という最終話を受け入れる事ができなかった。
だからこそ、ノーナには「最終話」の記憶がない。

終盤で自分自身の物語の結末を見たノーナは
自らの作品「『少女→惑星探査』」の結末を
「なに?これで終わりですか?後味悪っ」と普通に言い放つ。
しかし、最初は平然にしていた彼女の中には1つの決心が生まれる。

原作の中ではノーナはもうひとりのノーナと言われる人物とともに対消滅している。
自分だけが幸せになっていて良いのだろうかと彼女は考え、
彼女は自らの世界に入り、結末を変えようとする。
それは自分が幸せだからこそ、主人公との生活を楽しんだがゆえの決心だ。

主人公もまた彼女とともに彼女の世界に入り込む。
そのキャラクターが好きだからこそ、その作品が好きだからこそ、
「キャラクターの死を受け入れられない」からこそ、
主人公もアニメの世界に入って自らの手で救うことを選んだ。

方法は横暴としか言いようがない(笑)
自らが好きな作品の世界の登場人物になって、
自分が好きなキャラクターを救うために、自分が見たい結末を作り上げる。
やってることはかなりとんでもない。だが、それでいい。

見る人の解釈によって、想像によって、作品の形は変わっていく。
作品とはそういうものだ。
この作品の「主人公」にとっての『少女→惑星探査』という
ノーナが出る作品の結末を作り上げた。
自らも作品の一分になり、自らが考えた結末とストーリーに行き着く。

なんて身勝手なんだろう、だが、オタクとは身勝手なものだ。
これでいいじゃないかと納得させてくれるストーリーは本当に素晴らしく、
これからも彼と彼女たちの物語が続いていくと感じさせてくれる
最終話の最後のシーンも含めて完成度の高い作品だった。

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総評:オタクの願望が報われたって良いじゃないか


引用元:©ÖYSTER /双葉社・「超可動ガール1/6 」製作委員会

全体的に見て素晴らしい作品だった。
やや古臭いテイストのキャラデザと雰囲気は人を選ぶ分あるかもしれないが、
「自分が好きな作品」のフィギュアが動き出し、生活する。
そんなオタクの願望をコミカルに描き、ひとりひとりのキャラが魅力的で、
彼と彼女たちの生活にクスクスと笑わされてほっこりとすることができる。

作品のテーマは「オタクの願望成就」だ(笑)
自分が好きな作品のキャラクターがフィギュアとはいえ現実に現れて、
自分の意志で話し、動き、自分を好きになって自分と一緒に居てくれる。
こんなオタクが日頃から叶わぬ思いとして抱えているような夢を
この作品は作品として形にしている。

特に最終話の「納得の行かない作品の改変」はオタクならば1度は思ったはずだ。
死んでしまったキャラクターを死なせないようにしたい、
物語の終わりに納得がいかない、このキャラクターたちの物語をもっと見たい、
そんな究極の願望を、この作品の主人公は叶えている。

主人公が真っ直ぐなオタクで、情熱に溢れ、作品に対する愛があるからこそ、
それが見てる側に伝わるからこそ最終話の展開が本当に素晴らしく、
幸せな余韻を残してくれる、そんな素敵な作品だ。

オタクならば是非見てほしい、
この作品はオタクの夢を叶えている作品だ。

個人的な感想:いつか見果てぬ先に


引用元:©ÖYSTER /双葉社・「超可動ガール1/6 」製作委員会

1クール全12話、1話15分しっかりと楽しめた作品だ。
ギャグテイストでサクサク進み、最後は幸せな余韻を感じられる、
本当にいい作品だ。
愛すべき主人公が居て、魅力的なヒロインが居て、真っ直ぐなストーリーがある。
雰囲気のふるさはあるものの、しっかりと描きたいことが伝わり、それが面白い。

部屋に飾ってるフィギュアが動き出したら、こんな生活をおくれるかもしれない。
オタクのやや気持ち悪いとも言われるような願望を
真摯に叶えてくれるような作品だった。
正直、見る前はここまでの作品だとは思わず予想外に面白かった作品だ。

このレビューを見てるみなさんも、軽い気持ちで見てほしい。
きっと「刺さるもの」があるはずだ。

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