SF

アニメ畑も耕せ!ヤンマー!「未ル わたしのみらい」レビュー

2.0
未ル わたしのみらい SF
画像引用元:©YANMAR
スポンサーリンク

評価 ★★☆☆☆(27点) 全5話

TVアニメ『未ル わたしのみらい』オープニング主題歌V.W.P「愛詩」が流れるメインPV第2弾公開!|2025年4月2日地上波TV放送開始!

あらすじ ロボットと人間の出会いを描く物語。未来で生まれた武器を持たないロボット「MIRU」は、 時空を超えて、さまざまな時代の人々に寄り添う。 引用- Wikipedia

アニメ畑も耕せ!ヤンマー!

本作品はヤンマーが手掛けたアニメ作品。
監督は各話によって違い、制作も各話によって違う。
全5話という変則的な形で放送された。

1話

この作品はいわゆるオムニバス形式で描かれている。
1話1話で監督も違い、制作も違うからこそ主人公も違い、雰囲気もまるで違う。
唯一の共通点は遠い未来で人類によって作られた、 武器を持たないロボット「MIRU」。がでてくることだけだ。

MIRUは時空を超えることができ、様々な時代に訪れ人々と触れる。
1話で描かれるのはAIが発展した未来で宇宙デブリの除去作業を行う二人だ。
この1話に関しては「プラネテス」の焼き直しのような エピソードでしかなく新鮮味もなく、
硬いフルCGの描写は安っぽさすら生まれている。

ヤンマーが手掛けるアニメということで期待していたのに、
その1話でいきなりプラネテスの焼き直しという
拍子抜けのエピソードであり、フルCGのクォリティも低い。
一体何がしたいんだろうかとシンプルに疑問に感じてしまう。

デブリの中にある娘の遺品を発見したものの
大ピンチになる1話の主人公だが、唐突に1話のヒロインが
「MIRU」の姿になり主人公を助けてヒロインはどこかに消えて終わる。
あまりにも唐突なMIRUの登場に理路整然としておらず、
あっけにとられてしまう。

MIRUのデザイン自体は素晴らしいものの、
それをストーリーの中で活かしきれていない。

2話

2話になると宇宙から地球の熱帯雨林の住む青年の物語になる。
ツアーガイドをしている彼、虫や動物が好きで
熱帯雨林を愛している青年だからこそ
気候の影響や環境破壊を憂いている。

1話は宇宙のゴミ、デブリの問題を扱っていたが、
2話は環境破壊の問題だ。
そういったテーマがあるのはわかるものの、話がシンプルにつまらない。

オムニバス形式の良さを活かしきれておらず、
1話という短い時間の中でキャラを掘り下げきれず、
ふわっとしたテーマとストーリーがふわっと描かれて、
MIRUが登場していろいろな問題をなんとかして終わる、
基本はこの繰り返しだ。ひたすらに薄い。

道徳的なメッセージ性やテーマを盛り込みたいのはわかるが、
熱帯雨林で山火事が起きてなんとかしようとするものの、
主人公が「助けてくれ!MirRU」と叫べばMIRUが助けてくれて終わる。
主人公とMIRUの関係性も薄く、問題解決もMIRUだよりだ。

1話ほどの作画の悪さは感じないものの、
1話はプラネテスのパクリ、
2話は取ってつけたような最環境問題で終わる。

ヤンマーが自社の工場やロビーなどで
見学に来ている子どもたちに向けて流すようなストーリーを
ひたすらみせられているような印象だ。

3話

3話は少し未来のAIについて描かれている。
苦学生な音大生な主人公はバイトに明け暮れながらも
必死にピアノの練習に明け暮れている。
そのなかで自分の演奏をAIにラーニングさせるプロジェクトに参加する。

人とAIの演奏、どっちが人を感動させるのか。
そんなプロジェクトに参加したものの、
彼女はバイトの帰り道に事故にあってしまい、
MIRUによって助け出されるものの片手が不自由になる。

だが、プロジェクトに参加していたこともあり、
彼女の片手はAIを搭載した機械によりサポートされ
ピアノを弾けるようになる。
しかも、以前よりもうまく、以前よりも評価される。

果たしてそれは自分の演奏なのか、AIの演奏なのか。
彼女が悩んでいると唐突にAIの片腕に彼女が飲み込まれて
モンスターみたいになる(笑)
あまりにも唐突な展開に意味がわからず、テーマ自体は面白いのに、
話の展開があまりにも強引すぎてついていけない。

物語の折り返し地点になっても
オムニバス形式の良さを活かしきれず、脚本も甘い。
ずーっとふわふわだ。
一応「MIRU」が人々に触れることで徐々に成長しているのはわかるが、
それくらいしか話のつながりがない。

4話

4話は特にひどい、まるで倍速再生でもしているような感覚で
意味のわからないストーリーが展開するうえに
作画のクォリティも低い。

紛争地帯の和平を結んだ外交官ではあるものの、
帰国した矢先に和平が決裂してしまう。
落ち込んで酒を飲んだ帰り道に事故が起きて主人公が死にそうになるものの、
MIRUによって助けられる。

再び和平交渉を頑張ろうとした矢先に交通事故にあい、
チンピラがそれに見とれているとチンピラの花火が
副首相の車にあたり、結果的に大きな戦争につながる。
バタフライエフェクトというものを視覚的に描きたかったのはわかるが、
エピソードの面白みは強烈に薄い。

最期も結局、過去に戻って4話の主人公をもう1度たすけて終わる。
MIRUがなんとかして終わりだ。

5話

この5話に至るまで微妙な印象を受けるが、最終話の5話も微妙だ。
地球が氷河期のような状況になっており、地球は滅亡の危機にある。
母が死にたった一人で生き抜いてきた少女はAI犬とであい、研究者と出会う。

そのAI犬は「MIRU」のパーツであり、
MIRUは地球が滅びた原因である戦争の歴史を変えるための存在だ。
そんなMIRUの誕生秘話が描かれて終わる。
話がうすすぎて笑ってしまうほどの薄さだ。

1話から4話まではまだ1話ごとのテーマのようなものを感じたが、
5話に限って言えばMIRUができましたくらいであり、
本当にナニからナニまで薄い作品だった。

総評:あのヤンマーがアニメを手掛けた結果…

全体的に見て微妙な作品だ。
序盤はヤンマーの企業理念的なものを感じる部分があり、
端的に言えばSDgs的なことをいいたいのはわかる。
人の可能性を信じ、挑戦を後押しするのがヤンマーの役目であり、
ヤンマーとともに持続的な未来へ行こうというニュアンスだ。

そういう企業理念が詰まった作品なのはわかるが、
企業理念を聞かされても面白いとなるのは19歳くらいの
自己啓発本を読みまくっている男子大学生くらいであり、
遠足で訪れた工場見学で魅せられるような内容だ。

ヤンマーがアニメに挑戦をしたという心意気は素晴らしく、
MIRUのデザイン自体は先鋭的かつ斬新であるものの、
それが活かされずに終わってしまっているのが本当にもったいない。

ヤンマーにはぜひ、アニメという畑も耕してほしいところだ

個人的な感想:輪廻のラグランジェ

企業とアニメというとパっと浮かぶのは輪廻のラグランジェだろうか(笑)、
2025年に輪廻のラグランジェの話をしているのは
私くらいかもしれない、まるっ!という一切はやらなかった決めセリフと、
もはや誰もストーリーを覚えていないロボットアニメ、
日産が手掛けたロボットデザインだけは素晴らしかった作品だった。

GAINAXとSUBARUが手を組んで放課後のプレアデスという
作品も作られたが、こういう巨大な企業とアニメが絡むと
どうにも空回りすることが多いのはジンクスなのかもしれない。

全5話でサクッと見れる部分はあるものの、
どれも刺さりきらずに終わってしまった作品だった。

「未ル わたしのみらい」に似てるアニメレビュー

「未ル わたしのみらい」は面白い?つまらない?