ガッチャマン クラウズ

評価/★★★★☆(60点)

ガッチャマン クラウズ 評価

中村健治
監督/全12話
声優/内田真礼,逢坂良太,浪川大輔,細見大輔,小岩井ことりほか

あらすじ
異星人犯罪者を秘密裏に駆除する特殊部隊・ガッチャマン。その存在はフィクションとして、市民からは実在を否定されていた。 2015年初夏。日常に物足りなさを感じていた女子高生、一ノ瀬はじめは、突如目の前に現れたJ・J・ロビンソンより謎の手帳『NOTE』を授かり、フィクションであるはずの戦士・ガッチャマンとなる使命を受ける。予感を頼りに学校を飛び出したはじめは、そこでガッチャマンとして戦う・橘清音と出会い、フィクションが現実であった事を知る。

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ヒーローって何なんすかね?なれるんすかね?

本作品は『ガッチャマン』シリーズの33年ぶりの新作(笑)
ただガッチャマンと銘打っているものの内容としては
ガッチャマンを見ていなくても一切問題ない。
なお、2期の制作が決まっている。

基本的なストーリーはSFアクション。
「科学忍者隊ガッチャマン」は創作のお話として存在する世界、
そんな世界で暮らす女子高生「はじめ」はある日突然、謎の人物から「手帳」を受け取る。
その手帳は「ガッチャマン」に変身するためのアイテムだった。
彼らは世間に秘密にして日々、宇宙人と戦っていた
というところからストーリーが始まる

見だして感じるのはキャラクターデザインの独特さだろう。
どちらかというと「アート系」とも言えそうな色合いを使っており
眼の色や髪の色もかなりビビットなカラーリングになっており、
髪の毛に至ってはなんともいえない色使いで思わず目がそこに行ってしまう感じだ。

そんなキャラクターが「変身」をする。
ガッチャマンという掛け声と共に流れるBGMと共に主人公が変身の掛け声を放ち、
「バードゴー」と叫び変身をする。
このシーンは非常に短いのだが、変身した後のスーツのかっこよさ、
戦闘シーンの「必殺技」による簡潔だがわかりやすく、単純に面白いと感じるシーンは
1話の段階から一気に「ガッチャマンクラウズ」の世界観に引き込まれる。

変身物の1話のインパクトは流石は「タツノコプロ」と言いたくなる出来栄えだ

ストーリー的には1話からかなり色々詰め込んでいる。
破天荒過ぎるヒロインがノリノリでガッチャマンになる性格の癖の強さや
いろいろな伏線を1話の段階から敷いており、場面展開も早い。
前述した「キャラクターデザイン」の派手さだけではなく、
戦闘中のエフェクトや演出も別の制作会社だが「シャフト」のような
ビビットな演出や癖のある演出が非常に多い。

ストーリー展開自体は王道な「変身ヒーローもの」の雰囲気を匂わせているのだが、
演出やキャラクターデザイン、セリフやストーリー構成の癖が強い
ストーリー自体は王道なのに見せ方が少しひねくれている
そのひねくれ具合は「キャラクター設定」にも反映されており、
ヒロインは破天荒、真面目だが金髪、おかま、パンダなど、他のガッチャマン達もかなり癖がある。
序盤から人によっては「見難い」印象を受けるかもしれない。

更に言えば序盤から戦闘シーンが少ない。
少ない上に非常に短く、作画的に「動きが少ない」シーンが多い。
「ガッチャマン」というタイトルから想像できる変身ヒーローアクションのシーンが少ないというのは
1話のインパクトに比べて、地味な印象を受ける。
ガッチャマンが戦っていた「MESU」という宇宙人もヒロインが早々に手懐けてしまったため
序盤で1度、戦う相手がいなくなってしまっており、
1話以外で「スッキリと終わる」戦闘シーンがないことも淡々となってしまった要員だろう

だが1度戦う敵がいなくなったからこそ「戦う敵」が作中で現れる。
この作品は「ガッチャマン」というタイトルが付いているが、はっきりって名ばかりだ
中身は完ぺきに最近のアニメであり、更に「インターネット」という媒体を
変身ヒーローもののストーリーの中に取り込んでいる。

この世界にはソーシャルネットワークの進化系である「GALAX」というものが存在する。
GALAX同士のユーザーが繋がり助けあうネットワーク、
それぞれのユーザーの特徴や特技、情報の共有によって新しい社会システムが若者の間では流行りだしている。
ガッチャマンとしての活動を描く中で、その「GALAX」の凄さなどを序盤は解説している

そして、その中で暗躍している敵は「ネットスラング」を多用しまくる。
メシウマやgkbrなど口癖のように多用しまくり安易に凶悪な犯罪を犯しまくる
ソーシャルネットワークの凄さを描写する一方で、ネットスラングを多用する宇宙人が居る
「インターネット」という媒体の表と裏を同時に描写しているすることでネットの凄さと危うさを魅せている。
どちらかというと序盤からガッチャマンというよりも敵である宇宙人、
そして「GALAX」を開発し運営している「累」という人間の描写が中心になる。

「累」は人助けの出来る「GALAX」というシステムを作った
そして彼は宇宙人と契約し「CROWDS」というものを生み出す能力を得た。
だが、その宇宙人は悪い宇宙人だった。
そして「累」はガッチャマンというヒーローの存在を信じない、架空のものだと思っている
ヒーローが居ないからこそ自らや「GALAX」が人助けする存在になるしか無いと感じている

序盤はこの「累」とガッチャマン達が一切絡まない。
だからこそ、いつ、この2つの線が交わるのか、どういうストーリー展開になっていくのか
オリジナルアニメだからこそ「予測の出来ない」面白さが生まれている
< 淡々としたストーリー展開と少ない上に短い戦闘シーンではあるものの
ストーリーに対する期待感、更に奇抜な演出に因る派手な画面のお陰で
淡々としてはいるものの不思議と見ていて飽きない。

飽きが来ない最大の原因は悪い宇宙人である「カッツェ」の存在だろう。
彼はつねにノリノリだ(笑)
演じている宮野真守さんのノリノリでハイテンションな演技のおかげもであるが、
ネットスラングを多用しながら「累」をおちょくりまくり、飄々と人の姿にばけて犯罪を犯しまくる。
分かりやすい「敵」であり、分かりやすい「悪」の存在だ。
わかりやすい魅力的な敵がいるからこそ、その存在にどうやって立ち向かうかという面白さが生まれている。

そして2つの線が交わる。
この作品が「面白い」と実感するのは物語の中盤である6話、7話だろう。
ガッチャマンの存在が世間にも広まり、その存在が架空のものだと思っていた「累」も知る、
ガッチャマンというヒーローの存在とヒーローが居なくても世界を救えると思っている「累」、
その2つが交わり「カッツェ」を倒そうとする

淡々としていたストーリーに一気に緊張感が生まれ、
それまで変身しなかったガッチャマン達が続々と変身する。
しかし「カッツェ」にはかなわない。
物語中盤からの緊迫感や面白さの加速度は素晴らしく、
ストーリーがどういう方向に向かっていくのか全く想像できない面白さだ。

予測できない面白さは「予測できない敵」の存在と「予測できない主人公」だからだろう。
正義の味方と悪の敵、その両者の台詞の掛け合いは思わず笑ってしまうほど軽い(笑)
ヒロインは語尾に「っす」とつけて話し、敵はネットスラング多用でノリノリな会話、
正義の味方と悪の敵とは思えないほど軽すぎる会話のシーンが非常に面白い。
両者の会話のシーンはこの作品ならではの魅力だろう。

この作品の主人公である「はじめ」は最初は破天荒すぎてついていけないヒロインだった。
だが、中盤からこの予測できないストーリーの中で予測できないヒロインの存在が際立つ
彼女の破天荒な言動や行動にもきちんと理念があることがわかり、物語の主人公として存在価値を強め
魅力的な敵に対する魅力的な主人公を中盤から見せていた

そんな主人公に触発されるように、他のガッチャマン達も奮起する。
人と接触するのを拒んでいたもの、目の前の出来事しか見えなかかったもの、
自分がすごい存在ではないと自覚してしまったもの、闘うことに恐怖していたもの、
それぞれが最後の戦いに向けて決意を固め集結する。
サブキャラでしかなかった「日本の総理」ですらブチ切れるほどの決意を固める(笑)
ストーリー展開とキャラの魅力が終盤にして最大限に盛り上がる。

そして最終話。
コレに関してははっきりいって「賛否両論」だろう。
GALAXを最大に使った人命救助、ゲーム感覚だからこそ最大限に人のスキルが活かされる人命救助のシーンは
ソーシャルゲームのような面白さを醸しだしており、最終話らしい盛り上がりが生まれていた
だが2期が決定している作品なだけに解決していない謎や結末がわからないキャラもおり、
若干不完全な最終話になってしまったことは否めない、それが非常に残念だ

全体的に見て「変身ヒーローもの」で「ガッチャマン」ということを意識してしまうと
期待はずれな印象はある。
変身ヒーローとしては戦闘シーンが少なく、すっきりとした戦闘シーンが少ない。
しかしながら「最近のアニメ」のSF作品として捉えればこの作品の完成度は高い。

変身ヒーローという王道のストーリーの中にインターネットの要素を入れ、
ソーシャルネットワークの危うさと利点をうまく濁しつつもストーリーの中で最大限に活かし、
最初は掴みかねていた「面白さ」を積み重ねるストーリーの中で徐々に見せ始め、
同時にキャラクターの魅力も徐々に出てくる。
そして緊迫した状況の中でのストーリー展開の予測不可能な展開の数々は純粋に「面白い」と感じやすい
だが、それゆえに最終話の結末が色々とフワフワしてしまった感じはある。

本来なら2期をやらずとも締められたはずだ。
11話のAパートがなぜか総集編になっており、この10分があれば
フワフワしてしまった部分をきちんと描写し物語を締めることも出来た。
だが、それをせずに「2期」という次に繋げるための展開になってしまったのは残念でならない

だが、その分2期には期待したい。
本来締められたはずのストーリーをここからどういうストーリー展開にするのか、
ここからどうやって「ヒーロー」を見せてくれるのか
ここからどうやって「ガッチャマン」と「クラウズ」を活かしたストーリーが見せてくれるのか
1期最終話を中途半端にしてしまった分、2期にかかる期待は非常に大きい。
2期への期待も加味して評価は高めにしたがこれで2期が残念な出来栄えだったら
1期の評価も下げてしまいそうだ(苦笑)

DVDがまさかのBOX発売でTV版では描写されなかったシーンが有るとのことなので
そのシーンにも少し期待したい所だ
ついでにいえば全体的に「作画」が不安定でたまに気になった、
その点が修正され追加のシーンで不満を感じた最終話が保管されるような内容になっていれば・・・
もう少し評価を上げられるかもしれない。
発売次第、見てみたいと思います

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