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陰謀論詰め合わせセット「LAZARUS ラザロ」レビュー

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ラザロ 未分類
画像引用元:©2024 The Cartoon Network, Inc. All Rights Reserved
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評価 ★★☆☆☆(30点) 全13話

『LAZARUS ラザロ』#13 アクションムービー|"LAZARUS" #13 Action Trailer

あらすじ 西暦2052年。世界はかつてない平和な時代を迎え、脳神経学博士スキナーの開発した鎮痛剤「ハプナ」が大きく貢献していた。副作用がない「奇跡の薬」として世界中に広まり、人類を苦痛から解放したハプナ。 引用- Wikipedia

陰謀論詰め合わせセット

本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は渡辺信一郎 、制作はMAPPA

ハプナ

1話冒頭からおしゃれさが大爆発している。
渡辺信一郎監督といえばカウボーイビバップだが、
そんなカウボーイビバップを彷彿とさせるどこかアメリカンかつ
シャレオツな世界観、音楽に至るまで「オシャレさ」を感じさせると同時に
それをどこか乾いた作画で描くことで画面が引き締まる。

主人公であるアクセルはひょうひょうとした態度の若者だ。
「888年」の懲役をかされていた主人公のもとにとある人物がやってくる。
世界中ではやったハプナという鎮痛剤、副作用もなく、安価で
世界中にばらまかれているハプナ、そんなハプナには「重大な副作用」がある。
ハプナを1度飲めば3年後に体内で突然変異し、死に至る。

開発者であるスキナー博士は人類を憂い、環境破壊を憂い、
人類そのものを亡き者にしようとしている。
30日以内にスキナー博士を見つけなければ人類が滅ぶ。
そこで目をつけられたのが主人公だ。

「悪意」というものがなく、人を謀ったような態度なアクセル。
刑務所内での大胆なアクション、いわゆるパルクールは
見ているだけで楽しいアクションシーンであり、
ジャジーな音楽流れる中であっというまに脱獄してしまう。

1話の冒頭から主人公をきちんと魅せ、物語の目的、終着点を示している。
世界中は大混乱になり、終末のような状況だ。
ほぼ全人類の寿命が残り30日、スキナー博士を見つけたところで
多くの人が救われるわけではない。

そんな中でアクセルという男は逃げ回るものの捕まってしまい、
強制的に「ラザロ」というチームに入れられてしまう。
お手本のような丁寧な1話が心地よく、
物語への期待感を強く感じさせてくれる。

捜索

2話以降はスキナー博士を探す話が描かれる。
主人公やメインキャラクターたちを掘り下げつつ、
物語がゆっくりと進んでいく。

アクセルという男がなぜ888年の懲役だったのか、
癖のあるラザロのメンバーたちがどんなキャラで、どんな過去があるのか、
世界中のありとあらゆる組織がスキナー博士を探しているものの、
彼は見つからない。

世界中でスキナー博士は見つかる。
監視システムに誰かが侵入し、顔をスキナー博士の顔に書き換えてしまっている。
この世が終わる、そんな終末を迎える世界で、
世界中の人々がそれぞれ世界の終焉に向けて様々なことをしている。

ただ丁寧なストーリーではあるものの話が進んでいる感が薄く、
序盤はかなり淡々としている印象を受けてしまう。
これが20年前の2クールアニメならともかく、
2025年の1クールアニメとしてはテンポの悪さはかなり気になってしまう。

序盤はだらーっとスキナー博士を捜索しているだけで、
仲間の過去もガッツリ描かれるわけでもなく、
スキナー博士を見つかるわけでもない。
スキナー博士の消息の情報や家族、金の流れを追っているものの見つからず、
人類滅亡まで30日しかないのにチンタラしている感じすらある。

正直、1話を見た後に6話あたりまで飛ばしても
ストーリーが繋がってしまうほど2話から5話までグダグダだ。
渡辺信一郎監督はそういう作風の作品が多いのだが、
2クールだからこそ許されてた部分もあり、
1クールだとこのテンポの悪さはかなり気になってしまう。

アニメーションのクォリティや雰囲気がきちんとあり、
キャラが立っているからこそ、そのテンポの悪いストーリーも
楽しめるのだが、展開の遅さ、テンポの悪さはかなり気になってしまう。

過去

中盤をすぎるとラザロのメンバーの過去が描かれる。
「AI」こそ神と崇める宗教のもとにいたメンバー、
そんなAIは神になることを命じられている。
ロシアの特殊工作員や元ハプナ研究者やおぼっちゃまなど、
色々とバックボーンが描かれることでキャラの深みは生まれるものの、時間がない。

もう中盤の時点で人類滅亡まで2週間を切ってる。
それなのにスキナー博士と関係ない仲間の救出にたっぷり時間をかける。
出会って2週間くらいの間柄の仲間の救出を優先してしまうのは
ちょっと意味がわからず、話が進んでいるようで進んでいない。

そもそも世界中にハプナの真実は告げられているはずなのに、
多くの人類が落ち着いている。
もっとヒャッハー!な感じになってもおかしくないのだが、
呑気にTV番組も放送され、呑気にお店は開いており、呑気に
人々はこの騒動の前と同じ日常を送っている。

たまに思い出したかのように無差別殺人を行うものが
でてきたりするものの、世紀末感が薄い。
そんな中で終盤一人の暗殺者がアクセル抹殺のために雇われる。
あと数日で人類の滅亡が確定しようとしているのに(苦笑)

アクセルの過去も明らかになり、物語は佳境を迎えるものの、
この暗殺者に限っては非常にどうでもいい感がすごい。

陰謀論

終盤になってくるとこの作品でやりたいことが見えてくる。
「陰謀論」だ。
そもそものハプナも言い換えれば反ワクチン論だ。
実は大変な副作用があってマイクロチップが埋め込まれて
人類を管理しようとしているという話や、
半年や1年後に死ぬなんて陰謀論がコロナ禍に流行していた。

作中での3年前に「地球温暖化」により北極の氷が溶けて消失する
ということをスキナーが予言しており、
スキナー自身は黙示録における7番目のラッパを自称しており、
作中での10年以内に様々な島が地球温暖化の影響で海に沈んでいる。

反ワクチン、地球温暖化、上流階級しか知らない病院だったり、
密かに行われている薬の人体実験だったり。
いろいろな陰謀論が物語の中で絡んでいる。

そのせいで終盤ごちゃごちゃしており、
主人公はアクセルはぽっと出の暗殺者とバトって意識不明の重体になる。
みている側としては何の思い入れもないキャラと主人公が戦っても
特に盛り上がりが生まれるわけでもない。

もうまもなくタイムリミットという状況なのに
メインキャラもモブキャラにも一切焦りがない。
暗殺者も政府の秘密の計画で作られた存在ということも明らかになり
終盤を迎える。

灯台下暗し

終盤でスキナー博士の居場所が発覚する。
実はスキナーは自身の兵器を生物兵器として使用されそうになったものの
スキナー博士は反対し、その際に事件が起き、
薬が流出し多くの人が死んだものの、
ラザロとして集められた5人は薬に耐性があった。

スキナー博士はこの情報を全世界に知らせるべくハプナを作り上げた。
全ては政府の陰謀が絡んでいる。
ハプナが元々は生物兵器だった、これもコロナの頃に流れた噂だ。

そんなスキナー博士は実は3話で訪れたホームレスの所にいることが明らかになる。
3話でスキナー博士に似た存在がちらっと出ていたのだが、
にているだけかと思えば本人だ(苦笑)
灯台下暗しにもほどがあり、この1クールはなんだったのか?と思うような
謎のかくれんぼだ。

実はここに居た!という驚きがない。
むしろ「え?そこなの?」という拍子抜け感のほうが強く、
最終話で特効薬が見つかり、生産されるものの、
果たして間に合うのか?と思うようなギリギリ感がある。

これならばハプナによる副作用で3年後に熱は出るものの
死にはしない、死ぬという情報だけがフェイクで
スキナー博士は政府の陰謀を知らせたかったというオチのほうがまだ理解できる。
序盤こそ良かったものの そういったツッコミどころも多く、
右肩下がりになってしまった作品だった。

総評:右肩下がりのオリジナルアニメ

全体的に見てなんとも惜しい作品だ。
1話の期待感は素晴らしく、人類滅亡を防ぐために集められたメンバー、
残り30日でウィルスの開発者を探すというストーリーや、
ジョン・ウィックの監督を呼んで監修してもらったアクションシーンは
一級品の魅力があり、パルクールや戦闘シーンなど見ごたえがしっかりとあった。

しかし、話が進めば進むほど拍子抜けだ。
博士の情報を見つける、探しに行く、そこには居ない。
この流れが何度も続いてしまう。

細かい伏線は敷いているものの、それが面白さとして作用しておらず、
博士が最終話で近所のホームレスのたまり場で見つかったときは
なんだそれと思わずがっくりしてしまうほどだ。

コロナ禍のときに流れた陰謀論の数々に着想を得たことはわかる。
人類を救う薬が実は政府の陰謀で生まれた危険なものだった。
あのころのコロナのワクチンに対する陰謀論そのものだ。
地球温暖化や政府が秘密裏に育てた暗殺者など、
いろいろな陰謀論も混ざっており、面白そうではあるのだが、
それがうまく噛み合っていない。

2話から6話くらいまでのテンポの悪さも気になり、
終盤はどんどんと慌ただしくなっており、
もう少しペース配分を考えてほしいストーリー構成だ。
これが2クールのアニメならともかく1クールのアニメとしては
退屈な話が多い。

アニメーションのクォリティは高いのにストーリーが安っぽい。
非常にもったいない作品だった。

個人的な感想:ジークアクス

同時期にジークアクスもやっており、そちらがツメツメで
テンポマシマシな作品だっただけに、
この作品のゆるゆるテンポナシナシなのも気になってしまった。

今の時代、受けるのはジークアクスのやり方なのだろう。
この作品も時代が違えば2クールでもっと名作になり得たかもしれない。
そういう可能性は感じるだけにもったいなさはあるが、
色々と活かしきれていない感のある作品だった。

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