そんな雑なストーリー構成で大丈夫か?「コメット・ルシファー」レビュー

評価☆☆☆☆☆(0点)全12話
コメット・ルシファー vol.6 (特装限定版) [Blu-ray]

あらすじ
ギフトジウムと呼ばれる鉱石が大地を覆う惑星ギフト。ガーデン・インディゴの街に住む少年ソウゴ・アマギは、研究者の母を持ち、鉱石集めを趣味としていた。ある日、赤く光る鉱石を発見したソウゴはクラスメイトの少女カオン、そして同級生のロマンとオットの騒動に巻き込まれ、街の地下へ続く大穴に転落してしまう。一方、地下深くの地底湖ではギフト行政府軍がある作業を行っていた。周囲を探索するソウゴとカオンは、水の抜けた地底湖で一人の少女に出会い、さらに行政府軍と謎のロボットの戦闘を目撃する。

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そんな雑なストーリー構成で大丈夫か?

見だして感じるのは苦笑する要素の数々だろう。
「冒険活劇を描きたい」
そう思った時にあなたはどんな過去このアニメ作品を浮かべるだろうか?
ふしぎの海のナディア?それとも天空の城ラピュタ?
多くの方がアニメでの冒険活劇といえばこの2作品、
一般的にはやはり「天空の城ラピュタ」が近いだろう。

過去にこの作品と同じ過ちを犯した作品がある、フラクタルだ。
ラピュタを下敷きに置いたような1話の始まりは
多くのものがラピュタ(笑)と言い放ったが、
この作品も同じようにラピュタ(笑)である。

フラクタルほど露骨ではないにしろ、
こういう風に描いてしまえば明らかに多くの視聴者から
「ラピュタっぽい」と批判されるのはわかると思うのだが、
あまりにもいろいろな要素がラピュタすぎる。

更にありとあらゆる作品から要素をかき集めている。
ラピュタ、エウレカ、グレンラガンetc…
こういう作品を監督か脚本家の人が好きなんだろうなというのが
ダイレクトに伝わってくるほど各作品の要素を取り入れすぎており、
それが混ざり合ってオリジナル要素にもなっていない。

どこかで見たことのある設定、どこかで見たことのあるキャラ、
どこかで見たことのあるストーリー、どこかで見たことのある展開、
見れば見るほど既視感が強まっていき、
見れば見るほど違和感も強まっていく。

やりたいシーン、やりたいストーリー展開を描きたいがあまりに、
色々なことが説明不足な中でストーリーを強引に進めるため、
アニメの中ではテンション高めに盛り上がっているシーンを描写していても、
そのシーンに至るまでの展開の雑さのせいで、盛り上がりきらない。

例えばいかにも宮﨑駿っぽい感じの逃亡シーンがある、
唐突に出てきたヒロインが唐突に婚約者から逃げてきている。
そのヒロインと主人公との関係性もわからないままに逃亡し、
逃亡した後に街に空いている巨大な穴にかなりの高さから落ちるが、
なぜか無傷で無事。

これがラピュタなら目玉焼きが乗ったパンが出て来るようなシーンだが、
なぜ助かったのかよくわからず、次のシーンでは岩から女の子が出て来る。
そうかと思えばロボットまで出て来る。
もはや慌ただしすぎる展開に一切ついていけず頭のなかは
「???」で埋まっている。

しかし、そんな中で出て来るロボットのデザインが本当に素晴らしい。
なんでこんな雑な作品の世界のロボットとして生まれてしまったんだと
嘆きたくなるほどの素晴らしすぎるロボットのデザインは、
最近のロボットアニメの流線型ではなく、物凄いごついロボットだ。

この無駄に肩幅のあるロボットデザインに
妙にそそられる男子は少なくないはずだ。
そのロボットがデザインから想像できる素晴らしい戦闘シーンを見せてくれる。
ドコドコ!という大地を蹴る足音と殴りという攻撃方法など、
ロマンに溢れるロボット描写は本当に素晴らしい。

だが、そんな素晴らしいロボットが居るのにもかかわらず
ストーリーでは一切生かされない。
そもそも序盤は主人公機のロボットが出るシーンが少なく、
冒険活劇的などうでもいいアクションシーンばかりだ。

ストーリーも明らかに尺の使い方がおかしい。
主人公の手に浮び上る紋章の秘密やヒロインの謎、敵の目的など
色々と明かして欲しい謎が色々あるのだが、
序盤ではそのほとんどが解説されない。

解説されないままにどうでもいい日常話と
どうでもいいトラブル話ばかりで、心底どうでもいい。
これが2クールないし4クールくらいのアニメならば
序盤の日常描写でキャラクター描写を深めるというのも分かるのだが、
この作品は1クールだ。
見ている此方側が心配してしまうほどの尺の使い方をしている

これがシンプルな冒険活劇や、シンプルなロボット物ならば
尺の使い方の心配はしないのだが、
前述したようにこの作品は色々な作品から要素を取り入れすぎており、
いろいろな要素があるのにそれを活かさずに
貴重な1クールという尺をどうでもいい日常描写に割きすぎている。

見ていない人に軽く分かりやすく言うならば

1話で謎を秘めたヒロインと出会う、
2話でヒロインと仲良くなる話、
3話で日常トラブル
4話で日常トラブル、
5話でようやく敵との戦闘、
6話でようやく冒険に出る。

一応、「SFジュブナイル冒険活劇アニメ」と言われているアニメだ。
それなのに冒険に出るのは6話だ、正直いって遅すぎる。
いざ冒険に出てものんびりしているため、
本当に見てるこちらが心配になるほどストーリー進行が遅い。

キャラクター描写もかなり中途半端で、
基本的に主人公が「ロボットに乗らない」ため、
敵との戦闘シーンでもわーわー言ってるだけ、
危機的状況に陥っても謎パワーで全て解決してしまうため、
その謎パワーもよくわからないうえに、主人公の成長が見えてこない。

いざロボットに乗り込むかと思えば何の説明もなく、
「9話」で乗る。もう遅すぎるなんてものじゃない。
挿入歌で盛り上がってる風でごまかしてはいるのだが、
そんなことよりも色々なことが気になりすぎて頭に一切入ってこない。

全体的に見て本当に雑すぎる作品だ。
ストーリーがプロットのよう感じの脚本の作品はたまにある、
だが、この作品の場合はプロット未満、アイデア帳レベルの脚本で、
やりたいことや描きたいシーンだけを雑に詰め込んでいるだけであり、
ストーリーがバラバラな方向に広がってしまっている。

これが2クールや4クールなら化けたかもしれない、
だが1クールという尺を全く意識せずに、
アイデアだけを詰め込んだストーリーは破綻してしまっている。
終盤にヒロインの正体が判明するが、
「ヒロインは実は天使でした、この星そのものです」と
言われても見ている側は大混乱だ。

一言で言ってしまえば何がしたいかわからない。
冒険活劇がしたいのか、ロボットがしたいのか、ファンタジーがしたいのか、
散らかりまくって片付けようともしないアニメだ。
結果的に尺が足りなくなったのか、9話以降の雑さは物凄い。

今まで乗れなかったロボットにいきなり乗り込んだり、
登場人物が無駄死したり、黒いロボットが現れたり、主人公が落ち込んだり、
マスコットキャラが美少女化したり、パンから銃が出てきたり、
もう一人天使が現れたり・・・
「もうすぐ最終話だ、事前に考えていたアイデア全てぶち込んじまえ!」
と言わんばかりの雑な終盤の展開は目も当てられない。

最終話は今まで語られなかった設定も語られ、
滅茶苦茶のまま終わる、本当に滅茶苦茶だ。
本当に何がしたかったのか、あれはなんだったんだ・・・と
1クール見て、見た時間が本当に損した気持ちになる作品は初めてだ。
最終話でロボットに乗らず囚われのお姫様状態の主人公など
ある意味、アニメで初の試みかもしれない(苦笑)

作画は悪くはなく、曲やロボットデザインは素晴らしかった。
だが、微妙なキャラデザとアイデア帳レベルの脚本、
1クールという尺を一切意識しないストーリー構成のせいで、
この作品で本来は評価されるべきポイントが全て無意味になってしまっていた。

売り上げ的には1巻あたり300枚以下、
2巻に至ってはランキングに予測では72枚~105枚、
爆死という言葉では言い表せないほどの売り上げだ。
製作会社やプロデューサーなどのクビが飛びかねないレベルだろう。

ストーリー的には一応完結しているため、2期などはもちろんないだろうが・・・
あのロボットデザインだけは本当に惜しまれる。
スーパーロボット大戦あたりで参戦したら
逆にストーリー的にもちょうどいいかもしれない。

見終わったあとなので正確な判断はできないが、
今から見る人は1話と最終話だけ見れば
大体のストーリーは理解できるかもしれない。
まだ見ていない人は是非試していただきたい(笑)