「Caligula -カリギュラ-」レビュー

評価 ★★★☆☆(50点) 全12話

あらすじ 宮比市立吉志舞高校の1年生・式島律は、充実した高校生活を送っていた。時が経ち、2年生として迎えた入学式、新入生代表として壇上に上がった少年はありえない人物だった。引用- Wikipedia

騙されたと思って最後まで見てほしい。

原作はPSVITAで発売されたゲーム作品。
監督は和田純一、制作はサテライト。

雰囲気の暗さとめんどくさい台詞回し


引用元:©FURYU/Caligula製作委員会

見出して感じるのは暗さだろう。
使われてる色合いが灰色っぽい色が多いせいで、
常にお天気が曇りみたいな雰囲気になっており、見ているだけで気分が沈む。

台詞回しもかなり癖が強い。
いわゆる「ポエミー」な感じの「意識高い系」台詞が多く、
回りくどいうえにわかりにくいセリフだ。
例えば主人公の1話のセリフ

「もし誰かに今、君は幸せなのかと尋ねられたらきっと、いや、
その直接的な問いに答える前に幸せとは何なのか、それを考えよう」

これが主人公のモノローグなセリフとして流れる。
別に他のキャラに幸せか?と聴かれたわけでもないのに、
幸せの定義の御高説を聞かされる。
この主人公は心理学が好きらしく、ちょくちょく心理学を持ち出すのだが、
それがめんどくさい台詞回しにつながってしまっている。

分かりづらい世界観


引用元:©FURYU/Caligula製作委員会

序盤から主人公は自分の居る世界に「違和感」を感じている。
目に映る景色にノイズが走ったり、自分の発言に友人が反応しなかったり、
ときおり記憶にない映像が見えたり、極めつけは卒業式で暴動が起こる。
1話の段階では主人公ですら状況を理解できておらず、
当然、視聴者も「???」だ。

1話の段階ではわけがわからない作品は多くある。
だが、この作品の場合はその「わからない」と感じる部分を、
「知りたい」と思わせるほどの魅力を1話から出せておらず、
わからない=つまらないと感じさせてしまっている。

2話になっても3話になっても4話になっても、
明確にこの作品の世界がなんのかと言うのはわからない。
その間にもストーリーは進んでいるものの、
主人公以外のキャラの視点でも話が描かれるため混乱しやすく、
寄り道ばかりをしている印象が強い。

ゲーム未プレイはお断りなのか


引用元:©FURYU/Caligula製作委員会

おそらく原作ゲームをプレイしていれば
「あー、このシーンかー」と思うようなシーン描写になっているのだろう。
だが未プレイの人が序盤を見ても分からない部分が多く、
説明してくれそうなキャラが居るのに説明を引き伸ばしており、
主人公が戦うシーンも序盤はない。

1話かけてメインキャラクターの掘り下げを行っている回もあるのだが、
キャラクターの過去やトラウマなど「ありがち」でしかなく、
この作品だからこそのキャラ描写というのが薄い。
描かれた所で特にキャラの印象が深まるわけでもなく、
いつまでたってもキャラの魅力を感じない。

ぽっと出のキャラが主人公を差し置いて能力に覚醒するシーンなど、
ゲーム未プレイの視聴者にとっては「何だこの展開?」となってしまう。
能力の覚醒も散々引っ張っておいて全員一気に覚醒する。
掘り下げた話の中で覚醒するなら理解できるが、
一気に覚醒させるのはなんとも盛り上がりの欠ける展開だ。

ダサすぎる覚醒した姿


引用元:©FURYU/Caligula製作委員会

メインキャラの内面のトラウマやどす黒い感情を実体化させたものが
この作品における能力と覚醒した姿なのだが、これが致命的にダサい。
腕が黒くなって武器が生えたいるような姿は驚くほどにかっこ悪く、
もうちょっとデザイン性のある姿にできなかったのか?と思うほどダサい。

しかも特殊能力というよりは腕に生えた武器で殴る、撃つだけの
何のひねりもない戦闘シーンは面白みがなく、
戦闘シーンが少ない割にアクションシーンに気合が入っていないため、
盛り上がらない。

覚醒した理由もいまいち腑に落ちず、
この当たりは原作ゲームをやってね!ということなのかもしれないが、
そういった部分を勢いでごまかすということもできていない。

面白くなってくる中盤


引用元:©FURYU/Caligula製作委員会

中盤以降までストーリーを見るとこの作品の世界観と設定、
そして「描きたいこと」が見てる側に明確に伝わってくる。
特に敵側がなぜ偽りの世界を守るのかというのがきちんと描かれることで
面白さが増していき、主人公たちよりも彼らの行く末が気になってくる。

偽りの世界は理想が叶う世界だ。
お金がほしいと思えばお金持ちに、イケメンになりたいと思えばイケメンに。
現実世界では味わえない「理想郷」だからこそ敵は理想郷を守ろとする。
しかし、偽りであることには変わらず、現実にきちんと向き合い、
乗り越えた主人公たちは現実世界に帰ろうとしている。

この図式が中盤以降明確になることで
ようやくストーリーが面白くなってくる。

惜しまれる終盤


引用元:©FURYU/Caligula製作委員会

ようやく面白くなってくると作画が息切れする。
ギャグにしか思えないような作画のシーンや、
戦闘シーンの迫力の無さは致命的であり、
明らかに予算かスケジュールが足りていないのが終盤になって伝わってしまう

掘り下げ不足だったメインキャラの事情も終盤できっちりと描かれる、
彼らのこれまでの行動やこれまでのストーリーで分かりづらかった部分や、
セリフの意味がきちんと繋がる。
「わからない」「意味不明」と感じたゲーム未プレイの人も10話まで見れば、
その意味がわからなかった部分がわかるようになっている。

ただ、分からない部分がきちんと繋がる10話まで
ゲーム未プレイの視聴者がどれだけついてきたか疑問だ。
ゲームプレイ済みの人はわかってるからこそストーリーについていけるが、
未プレイの人に対しては優しくないストーリー構成が
作品全体に響いてしまった。

総評:10話まで耐えれるかどうかが境目


引用元:©FURYU/Caligula製作委員会

全体的に見て最後まで見ると、この作品を面白かったと言えるのだが、
最後まで見続けられるかが問題だ。
ゲーム未プレイの人には分かりづらいうえにテンポの悪いストーリー構成と、
序盤から中盤まで正直言って退屈なシーンも多く、
メインキャラの掘り下げが甘いせいでキャラにも感情移入しづらい。

7話以降は敵側の目的もしっかりとわかり、
10話まで見れば序盤から中盤まで描かれたことの意味もわかるのだが、
3話切り、下手したら1話切りすることの多い視聴者が増えた昨今で、
このストーリー構成は厳しいところだろう。

せっかく中盤以降で面白くなってきても作画が不安定過ぎて
戦闘シーンの盛り上がりが薄くなってしまっており、
面白くなってきたのにガタガタな作画なのは残念でしかない。

全12話、きっちりと見るとこの作品のストーリーは面白く、
最後まで見てよかったと言える作品なのだが、
最後まで見ないとこの面白さが伝わらない。
ある意味で憎いストーリー構成であり、
良くも悪くもストーリー構成が作品全体の評価につながっていた。

時代が違えば評価も違っただろう。
1クールで3話までに盛り上がりを作るというのが
当たり前になってしまった最近のアニメ事情では、
この作品の面白さが多くの人に伝わりきらないのが残念でならない。

個人的な感想:最後まで見て初めて評価できる


引用元:©FURYU/Caligula製作委員会

私自身も中盤までこの作品が全く面白くなかった。
ゲーム自体はしっていたのだが未プレイであるがゆえに、
序盤の内容はかなり厳しく中盤くらい見るのをやめようかと思ったくらいだ。

ただ、最終話まで見た今は「もう1度最初から見てみようかな?」と
思うほど面白さの余韻をきっちりと感じている。
ゲームにすら手を出そうか考えてるレベルだ(笑)

最近はアニメの作品自体が増えすぎて必然的に視聴者がせっかちになり、
1話や3話くらいで作品の評価を終えてしまう人が多いが、
こういう作品を見てしまうとそういったせっかちな人が
もったいないと感じてしまう作品だった。

このレビューを見て、まだこの作品を見ていない人、
もしくは見ていたが序盤で見るのを止めてしまった人は
騙されたと思って10話、いや7話くらいまで見てほしい。
面白さがひょっこりと顔を出し始めるはずだ。