翠星のガルガンティア

評価/★★★★☆(69点)

翠星のガルガンティア 評価

全15話
監督/村田和也
声優/石川界人,金元寿子,杉田智和,阿澄佳奈,大原さやかほか

あらすじ
遠い未来、宇宙に進出した人類は「人類銀河同盟」を結成し、宇宙生命体「ヒディアーズ」と争いを続けていた。人類銀河同盟の少尉レドは、ワームホールを使って作戦宙域から撤退する際にヒディアーズに襲われ、乗機「チェインバー」と共に転移事故に巻き込まれてしまう。

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くたばれ、ブリキ野郎。

本作品はオリジナルTVアニメ作品。
監督に村田和也、シリーズ構成に虚淵玄、キャラクター原案に鳴子ハナハルと
何とも面白い組み合わせの作品だ。
虚淵玄氏の名前があるため「鬱展開」を想像してしまう方も居ると思うが、その要素は殆ど無い。

開始早々、描き込まれた宇宙描写に驚く。
開始冒頭のシーンである宇宙での戦闘シーンの3DCGが素晴らしく
この作品ならではの用語が飛び交う中で描かれる戦闘は素晴らしい。
未知の敵、味方のロボット、飛び交うビーム、ミサイル、
4,5年前の3DCG技術なら確実に違和感を感じるシーンだが
技術の進歩と流石は「プロダクションIG」と感じるシーンだ
その戦闘の際、主人公は味方から離れ未知の惑星へと転移されてしまう

1話から非常に面白い。
前半で3DCGによる繊細な宇宙での戦闘シーンを描写したかと思えば、
後半では陸のほとんどが海になった「地球」を舞台にストーリーが展開する。
主人公が宇宙での戦闘から地球で飛ばされるが言葉も通じず、
主人公の常識では「地球は消滅したことになっている」という点も
アニメにおける「1話」の面白さと視聴者を一気にアニメの世界へと入り込ませる内容だ
1話単独で評価するなら個人的には「100点」をつけたいくらいだ

主人公は消滅したはずの地球で生き残りである彼らと言葉も通じず、
自分が乗るロボット「チェインバー」を通じて翻訳しつつ徐々に互いの認識を深めていく。
片言に喋るチェインバーと、地球の少女である「エイミー」の会話で
この作品の地球の世界観を自然に解説する。
「海から電力を補給する」など本作品ならではの設定だろう

文化や倫理観、技術の違いからすれ違いもあるが、
主人公は徐々に「船団ガルガンチュア」の船団員と親しくなっていく
主人公はずっと宇宙で未知の敵と戦い続けてきた。
戦いばかりの宇宙では「家族」という概念や
「弱いものがなぜ淘汰されないのか」ということが彼には理解できない。
自分が生きる意味は戦うことだけだと思っている。

そんな彼が徐々に変わっていく。
普通に魚をとったり牛を育てたながら生活している彼らの様子を見て、
ヒロインや色々なキャラクターとの会話の中で自分の存在意義、
「生活」することの意味、「お金」を稼ぐことの意味を実感していき行動をする
序盤から中盤まではそんな彼の成長物語だ
しかし、彼は成長しても「戦うこと」をやめられない。
戦士であるがゆえに共存を望む人たちとは相容れられない

そして彼は滅びたはずの地球で彼が戦ってきた敵の「真実」を知る。
地球に来る前までの彼ならば同じ真実をつきつけられても動揺はしなかったかもしれない
しかし彼は「人の心」に触れてしまった。
兵士である彼は同時に人である心を手に入れてしまったことで、
「敵の真実」をしったことで強烈な「罪悪感」に囚われる。
自分の存在意義、行動意義、兵士として自分の理由を悩む

そんな彼に彼が乗るロボット「チェインバー」が答える。
彼は地球に来て独自の進化を遂げている。
彼は自分の「存在意義」を根幹に彼に「自分の結論」を投げかける
彼もまた機械の身でありながら「成長」していた

終盤、二人が成長した彼らの前に「成長前の彼らの常識」がつきたてられる。
彼らの成長前の常識は刃を向け、その刃は「船団ガルガンチュア」にまで伸びようとする
そして二人はその常識と戦う事を決意する。
二人は地球で「人間」を触れ合ったことで「兵士」であることを捨て「人間」になる

最後の戦いは壮絶だ。
自らの身を痛め、神経を削り、命を消費して戦う彼ら。
そして二人が成長しからこそ二人の別れが訪れる。
「チェインバー」の最後の行動、最後のセリフは「AI」の領域を超えたものだ。
そして物語は終わる。

全体的に見て1クールできっちりとまとまったSFジュブナイルアニメだ。
ロボット物としては戦闘シーンの少なさが目立っているが、
SFジュブナイルと割り切れば素晴らしい出来栄えといえるだろう。

しかし、その反面で欠点も目立つ。それは「1クール」という短さ故に生まれている。
2期を想定していないストーリー構成なだけに、1話以外は宇宙での戦闘シーンはなく
あくまで地球の中でのストーリー展開になってしまっており、「宇宙での戦闘」は何も解決していない。
2クールあれば宇宙へ戻るような展開もあっただろうが、
1クールという短さ故に小さくまとまってしまった印象は拭えない。

またキャラクターも2クールの割りには多い。
魅力的なキャラクターも多く、きっちりと描写さればもっとこの作品に引き込まれる要素はあったが
キャラクター描写が不足しているキャラクターも多い。
2クールあればもっとサブキャラクターが生きる内容もあっただけにもったいない感じる。

そう、この作品はもったいない。
基本的な設定、スト^ーリー、キャラクター、
どれもこれも1クールという尺でまとめる以上「小さくまとめる」意外に方法はなく、
もっと面白くなるストーリー、もっとワクワクする戦闘シーン、もっと魅力的になるキャラ、
そういう要素が多く含まれているのにそれが最大限に発揮できていないもどかしさを感じてしまう。

手軽に見れてしまうSFジュブナイルロボットアニメという魅力はあるものの、
その反面手軽すぎてもっと重さが欲しかった。もっとガツン!と来るものが欲しかった。
そう感じてしまう作品だ。
丁寧に作られている作品なだけに、本当にもったいない。

DVDの販売がなぜかBOX3巻という発売方法で、新規話であるOVAも収録されており
新作のOVAが「14話」というように話数に含まれているため、
もしかしたら2期や続編を期待できるのかとも思うのだが・・・ 
綺麗にまとまっているだけに蛇足にならないか?という不安ももちろんあるが
続編を「映画」などでやるのも悪くないのでは?と感じる作品だ。
もっとこの作品での世界観の「広がり」を感じたいだけに続編を強く希望したい。

超個人的な話だが感情のない「AI」が最後にパイロットのために自律的に行動するっていう
展開に弱いな~とひしひしと感じてしまった作品だった(笑)

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