「Phantom in the Twilight」レビュー

評価 ★★☆☆☆(36点) 全12話

あらすじ ロンドンを舞台に、留学生のバイルー・トンが夜のみ営業する喫茶店「カフェ・フォービドゥン」に迷い込むところから物語は始まる。引用- Wikipedia

これは果たして中国アニメなのか

本作品は中国のモバイルゲーム配信会社のHappy Elementsが
企画・原作・一社提供を務めるオリジナルアニメ作品。
いわゆる「中国アニメ」と言われる作品だ。
監督は森邦宏、制作はライデンフィルム。

シリーズ構成や脚本は冴えない彼女の育て方の
「丸戸史明」が手がけている。

唐突すぎる展開と詰め込み感


引用元:©2018 Happy Elements AP

1話の唐突感は凄まじい。
ヒロインが友人とロンドンに留学してきたことが分かるのだが、
彼女たちの荷物がひったくられ、ひったくり犯を追いかける中で
ヒロインが「謎の技」を使い紙飛行機でひったくり犯を探す。

たどり着いた先は自分の曾祖母に関係する場所で、
彼らは「吸血鬼」や「キョンシー」などの異型であり、
ひったくり犯も化物、そんな化物と戦うだけで
ヒロインも曾祖母の武器を地面から取り出して戦い、
一緒にロンドンに来た友人は誘拐されてしまう。

とめちゃくちゃ展開が忙しい(苦笑)
1話にどれだけ詰め込むんだと言うレベルで、
この作品の要素と雰囲気、「こういう感じのストーリーをやりますよ」
というのがわかりやすく描かれる。

正直言って目新しい要素はない。
日本ならば2000年代前半の木曜夕方くらいにやっていそうなアニメだ。
ただ、目新しい要素というものはないものの1話の時点では、
この怒涛の展開も相まって面白さを感じる。

丁寧なストーリー運びキャラ描写


引用元:©2018 Happy Elements AP

さらわれた幼馴染はずっとさらわれっぱなしなのは問題だが、
ストーリー自体は悪くない。王道かつストレートなバトルファンタジーの中で
序盤はメインキャラを一人ひとり丁寧に掘り下げつつ、
ヒロインとの関係性を深めていく。

特殊な設定や文化的な要素の多い中国アニメだが、
この作品はそういった特殊な設定や文化的な要素が薄く、
「中国」要素はヒロインの名前とキョンシーくらいだ。
だからこそ日本人が見ても違和感が少ない。

さらに言えば演じている声優陣。
花澤香菜、櫻井孝宏、岡田信彦、杉田智和など
いまやベテラン声優になりつつある声優陣がメインキャラを演じることで、
しっかりとキャラクターの印象もつく。
この声優さんたちのファンならばより楽しみやすいだろう

淡々とした中盤以降


引用元:©2018 Happy Elements AP

序盤こそメインキャラの掘り下げの話が面白いのだが、
中盤以降はやや地味になってしまう。
話自体はだんだん壮大になっていくのだが、見せ場の作り方が悪く、
演出が地味かつ控えめなせいか盛り上がり所で盛り上がりきらない。

結局、キャラクターもストーリーも日本のアニメでは
使い古されたものであり、新鮮さの薄さも相まって
「この作品ならでは」の面白さを感じず、
決してつまらないわけではないのだがきちんとした面白さを感じられない。

強い恋愛要素があるわけでも、女性向けの露骨なシーンがあるわけでもない。
淡々としたストーリー展開とキャラ描写が続いてしまう。

その展開は意味があるのか?


引用元:©2018 Happy Elements AP

中盤、ヒロインは強い力を使った代償で友人のことだけを忘れてしまう。
一体どうやって記憶が戻る展開を見せてくれるのか?というのが、
この展開を作った意味だろう。
しかし、びっくりするほどあっさり思い出す。

わざわざ1話かけて友人を忘れて思い出す展開を作る意味があったのか?
と感じてしまう。

意外にまとまっているラスト


引用元:©2018 Happy Elements AP

ただ1クールできっちりとストーリーをまとめており、
やや説明不足で気になる部分はあるものの、
全12話できちんと起承転結スッキリとした構成になっている。

2期を想定した要素や中途半端に終わる中国アニメも多い中で、
この作品はきちんと1クールで完結している。
そういった意味では色々な意味で中国アニメとしては珍しい作品だった。

総評:地味で無難だがきっちり楽しめる


引用元:©2018 Happy Elements AP

全体的に地味さや盛り上がりの薄さ、設定の新鮮さなどはないものの、
丁寧なキャラクター描写とストーリー展開になっており、
1話から最終話まででスッキリとしたストーリーになっている。
いい意味でも悪い意味でも「無難」な作品であり、
1話を気に入れば最後まで楽しめる作品だろう。

ただ、この作品だからこその面白さは薄く、
ドコかで見たことのあるような設定とキャラとストーリーではある。
しかしながら、それを1クールできっちりとまとめており、
無難ではあるが、その無難さがこの作品の魅力かもしれない。

ベテランの声優陣も多く出ており、キャラクター数も1クールではちょうどいい。
ほんとうに「いい塩梅」で1クールできている。
ストレートにこの作品は面白い!といえる明確ななにかはないものの、
決してつまらないというわけではなく駄作でもない。

だが決して名作でもない。1番評価に困る凡作であり、
もう1つなにか派手な要素か刺激的な何かがアレば
違ったかもしれない。

個人的な感想:これは中国アニメなのだろうか?


引用元:©2018 Happy Elements AP

中国アニメではあるものの、他の中国アニメのような荒唐無稽さはない。
日本人の監督、脚本家、制作会社なのだから
出来上がるのはほぼ日本のアニメと創意がない。

中国資本なだけの作品であり、
逆にこの作品を中国アニメといっていのか?という疑問はある。
もちろん、ヒロインの中国名など中国要素もあるのだが、
他の作品のような中国の文化的要素やお国柄を感じる設定があるわけではない。

そういった意味でこの作品は「日本アニメ」なのか「中国アニメ」なのか
ちょっと悩んでしまう作品だった。
企画や原作が中国の会社だけに色々と口は出しているのだろうが、
今回はその口出しが少なめだったのかもしれない。
お金だけだしてくれるのならもっと中国アニメが増えてほしいところだ(笑)

なお、発売予定だったBDの発売が中止になった。
中国アニメはBDすら発売シないことも多いため珍しいなと思っていたのだが、
やはり作品の地味さが人気にも直結してしまったようだ。

しかし、決して駄作ではない。
「声優目当て」でみても楽しめる上に、よくまとまっている作品だ。
中国アニメという先入観だけで見ていない方は、
1話だけでも試してみると良いかもしれない。