評価 ★★☆☆☆(25点) 全12話
あらすじ なろうサイトで人気の原作!3,300万PVを誇る原作が、小説・漫画・そしてアニメへ!【鑑定】することしかできない最弱職で不遇職の【鑑定士】アイン。 引用- Wikipedia
前代未聞のキャラ原案追放アニメ
原作は小説家になろうで連載している小説。
監督は志村錠児、製作はOLM Team Yoshioka
また追放
1話冒頭からファンタジーな世界で銀翼と呼ばれるパーティーの
戦闘が描かれる。OLM製作だけあって作画のクオリティは高く、
エフェクト満載の激しい戦闘シーンが描かれる。
そんな激しい戦闘の中で主人公は傷ついた仲間のために
ポーションのようなものを制作し使用しているだけだ。
クエストは失敗し、そんな失敗の原因は主人公のせいと詰め寄られる。
90以上の高レベルなパーティーの中、主人公の職業は「料理人」だ。
パーティーのリーダーの理不尽な追求と料理人という職業ゆえに、
主人公は追放されることになる。
ありがちだ。
「お前のような料理人は我が隊にはふさわしくないのだ」というのだが、
そんな料理人とわかってて主人公をパーティーに入れてたはずなのに、
料理人だからーと追放するのも意味不明でしかない。
いつものやつだ。もう何人目の追放者だろうか。
なろう系も形を変え、大量に作られており、
そんな中で追放系は1ジャンルになっている。
ジャンルになってしまったがゆえにテンプレになり、
多くの人がもう飽きたと感じる展開でしかない。
ただ珍しいのは、追放された主人公が再び冒険者になるのではなく、
「食堂」を開くという展開になるところだろう。
脱サラ的な感覚だ。
奴隷
これまたテンプレだ、食堂を開こうとしている主人公の前に
「奴隷」の少女が現れる。
彼女の死んだ目を見た主人公は思わず、彼女を買うことになる。
ベタだ、奴隷少女を手に入れるというなろう系ではありがちな導入を
ありがちなまま見せてくれる。
そんな人生に、現実に絶望している少女に
「炒飯」を食わせると、彼女は涙を流し、主人公に感謝する。
金と飯であっさりメインヒロインゲットだ。
奴隷なヒロインとともに食堂を開くことになる。
淡々としているが、食堂という展開は独特では有る。
追放食堂
この作品のタイトルのとおり、主人公は追放され食堂を開く。
そんな食堂には様々な追放者が現れる。
いわゆる「訳あり」だ。
訳ありなキャラが毎話のように訪れ、そんな訳ありなキャラの
事情を描きつつ、主人公が介入することに酔って解決していく。
テンプレートが序盤の段階で出来上がっており、
それが特に面白いわけでもない。
女戦士が「女だから」とパーティーに入れてもらえずに
焦る中で入ったパーティーは女の子を乱暴する悪者であり、
そんな乱暴に到るシーンまでを生々しく描く。
もちろん、主人公が介入することで難を逃れる展開にはなるものの、
胸糞的な展開に面白さを感じるわけでもない。
トラブルを高レベルな主人公がパワーで解決する。
ちなみにお店は開店初日から大繁盛だ。
二日目にはすでに常連が大量に出てきており、
お店ものとしての面白さが有るわけでもない。
繰り返し繰り返し
1話で奴隷ヒロインの心を掴んだのも食事だったが、
2話でも女戦士の心を飯でつかみ、3話でも魔法使いを飯で心をつかむ。
飯きっかけで心を広いたキャラが悩みを主人公に話し、
トラブルが起こって主人公が介入して解決する、この繰り返しだ。
でてくる食事もひたすら「炒飯」を出している印象が強い。
1話や3話と連続で出てくるのもそうだが、
中盤で「BBQ」でチャーハンを作ったときは何の冗談かと思ってしまった。
主人公が炒飯馬鹿と言われていることが終盤にわかるが、
終盤のシリアスなシーンですら炒飯が出てくる。
そんな炒飯を出し続けながら、
ストーリーの展開もずっと同じだ。
3話で飽きがすでに生まれている。
いくら好きな炒飯でも三食出されれば飽きるものだ。
一人ひとりのエピソードも無駄に重く、
女騎士は男に襲われそうになり、魔法使いはダンジョンに放置され、
賢者はブラックパーティーにこき使われ精神崩壊寸前だ。
キャラクターたちが追い詰められるさまが生々しく、
それが面白さやキャラの魅力につながるわけでもなく、
胸糞な感じが強い、そこからの主人公の行動によって
ざまぁ的なスッキリ感も生まれづらく、モヤモヤっとしたものが溜まる。
主人公によってキャラクターたちが救われるという
展開を描きたいのはわかるが、特に主人公もかっこいいわけでもない。
中盤
中盤になると序盤の繰り返しをやめ、
出し尽くしたメインキャラの掘り下げが始まる。
奴隷なヒロインの出生が明かされ、それに関するストーリーが
展開したりするが、特に面白いわけでもない。
風邪イベントなどの日常系イベントなども描かれる。
そういった日常系イベントもだらーっと
1話かけて描くため、テンポの悪さも感じる。
主人公自体も元パーティーメンバーの嫌がらせを受けたりして、
店を燃やされてしまう。
そんな店を燃やした奴らへの復讐を、今まで助けてきた人々とともに
行うという展開自体は悪くないのだが、全体的にだらーっとした
テンポで描かれているせいで盛り上がりが生まれない。
追放せしもの
終盤、主人公を追放したパーティーリーダーの過去が描かれる。
ただこれに関しても特に盛り上がりになるわけでもなく、
両親に先立たれ幼い弟がいる中で、
己の欲望のみを推し進めてきた男というだけの話だ。
出世欲が強く「この世のすべてのものを俺のものに!」みたいな
考えで動いており、過去が描かれたところで彼の印象が変わるわけでも、
物語に面白みが生まれるわけでもない。
そんなやつと主人公の戦いが終盤では描かれる。
レベルはほぼ同じだが、職業が違う。
主人公は料理人であり、敵は重剣士だ。
レベルや職業で色々なことが決まるような世界なのに、
主人公はレベル100になり勝利を掴む。
そもそもこの職業というのものが自分で決めるものなのか、
神様的なものに決められるのか、そういう基本設定すら描かれていないからこそ、
このあたりの設定のガバガバさを感じてしまう。
「スキル構成」や「極振り」などのゲーム的なワードもでてくるのだが、
そのあたりの描写もないのに唐突にゲーム的なワードを出されても意味がない。
なろう系にありがちな特に考えなしにレベルや職業やスキルといった
なろう系ではよくある設定をそのまま使っているだけで、
うわべしかないからこそ、ガバガバ感が生まれる。
レベル100にも何かしらの意味があるようで、
最終話では計画だのなんだの色々とあるようだが、
それを匂わせても先が気にならない作品だった。
総評:前代未聞のキャラ原案追放アニメ
全体的に見て微妙な作品だ。
1話から4話までは同じようなことを繰り返し、
中盤では日常アニメのような展開になり、
終盤はシリアスな展開になるものの、序盤も中盤も終盤も
盛り上がりどころというのがなく淡々と描かれてしまっている。
職業、レベル、スキルなど、なろう系ファンタジーにはありがちな
設定が重要な感じででてくるものの、そのあたりの説明や
描写がふわっとしているせいで、よくわからないものになってしまっている。
序盤のストーリーもやたら胸糞に感じるような描写が多いのも
気になるところだ。
キャラクター自体は可愛らしく、中盤のテイストが
もう少ししっかり続いていれば印象は違ったかもしれない。
日常系アニメなのか、バトルを描きたいのか、
どっちつかずになっている感じが強い。
そのキャラクターの可愛らしさ、デザインの原案そのものが
アニメ放送前に事件を起こしやらかしてしまっており、
スタッフ欄から削除されている(苦笑)
それを考えると、2期があればキャラクターデザインの変更はさけられないだろう。
追放ものアニメで作品に関わったものが現実社会から
追放されるというなんとも皮肉めいた部分だけは
前代未聞な作品だった。



