アニメコラム

【アニメ円盤問題】BD・DVDはすでにコレクターグッズなのか?

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どうも笠希々です。
コラム記事のアクセスはいつも妙に高いのはなんでなんでしょうか(笑)
本日のニュースでこんな記事が出ていました。

発売中止の作品まで…… アニメの“円盤”は消滅するのか?

なかなか興味深い記事です。
しかし、記事の中に出ている販売中止になった作品が
「Phantom in the Twilight」なのはちょっとあれですね。
中国アニメはそもそも円盤を出すことすら珍しく、
売上なんか関係なしに2期をやることも多いので、
売上云々で出すのにはふさわしくない作品でした。

ここで昨今のアニメ市場を少し振り返りつつ、
BDとDVDの行く末をまとめてみることにしました。
いつもどおり長い記事ですのでお暇な時にお読みください。

作品数の倍化

皆さんは1年に放送されるアニメの本数をご存知でしょうか?
約200本です(苦笑)
2日に1本(2クールや4クールの作品も含む)は見ないと
全てのアニメを年内に見終わることができません。

毎クール50本以上の作品が放映されており、その勢いが途絶えません。
円盤が売れない時代と言われてるのにもかかわらず、
この毎クール50本ペースは2015年くらいから続いています。
2010年くらいまでは30本くらいだったことを考えると、
かなり増えているのことがわかます。

例えば7年前の2011年の冬アニメは新作は24本でしたが、
2018年の冬アニメの新作は52本です。

たった7年位で倍以上の本数になっています。
2011年冬は「インフィニットストラス」「魔法少女まどか☆マギカ」
「君に届け」などかなり有名な作品が多くあります。
2018年冬は「ゆるキャン△」「宇宙よりも遠い場所」「オーバーロードⅡ」など
こちらも負けていません。

売上を見てみよう

さて、では2011年冬アニメと2018年冬アニメの売上を見てみましょう。
まずは2011年冬アニメの売上です。
(数字に関してはwikiなどを参考にしてます)

  • 71,056 魔法少女まどか☆マギカ
  • 33,813 IS<インフィニット・ストラトス
  • *6,775 君に届け 2ND SEASON
  • *5,299 フリージング
  • *4,653 這いよる!ニャルアニ リメンバー・マイ・ラブ (クラフト先生)
  • *3,231 これはゾンビですか?
  • *2,851 夢喰いメリー
  • *2,739 お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!
  • *2,521 GOSICK -ゴシック-
  • *1,491 レベルE
  • *1,162 べるぜバブ
  • *1,117 みつどもえ 増量中!
  • *1,064 スイートプリキュア♪
  • *1,007 放浪息子
  • **,986 カードファイト!! ヴァンガード
  • **,982 Rio RainbowGate!
  • **,785 フラクタル
  • **,596 ドラゴンクライシス!
  • **,*** ウルヴァリン

ISと魔法少女まどか☆マギカの売上は圧巻ですね(笑)
ここで電卓をはじいて総売上を見てみましょう。
2011年冬アニメの総合売上は「142,128枚」となります。

さて、続いては2018年冬アニメを見てみましょう。

  • 37,406 アイドリッシュセブン
  • 14,197 ゆるキャン△
  • 11,425 続『刀剣乱舞-花丸-』
  • 10,295 宇宙よりも遠い場所
  • *7,575 ヴァイオレット・エヴァーガーデン
  • *6,855 からかい上手の高木さん
  • *6,563 ポプテピピック
  • *6,488 ダーリン・イン・ザ・フランキス
  • *6,457 オーバーロードⅡ
  • *4,053 ハクメイとミコチ
  • *2,670 りゅうおうのおしごと!
  • *1,914 スロウスタート
  • *1,827 デスマーチからはじまる異世界狂想曲
  • *1,644 学園ベビーシッターズ
  • *1,377 citrus シトラス
  • *1,357 覇穹 封神演義
  • *1,331 博多豚骨ラーメンズ
  • *1,057 ラーメン大好き小泉さん
  • *1,009 刀使ノ巫女
  • **,955 ミイラの飼い方
  • **,931 だがしかし2
  • **,652 恋は雨上がりのように
  • **,604 三ツ星カラーズ
  • **,507 たくのみ
  • **,388 メルヘン・メドヘン
  • **,283 斉木楠雄のΨ難 第2期
  • **,260 伊藤潤二コレクション
  • **,231 キリングバイツ

7年前くらいに比べて女性向けアニメがかなり目立っています。
さて、2018年冬アニメの総売上を見てみましょう
「130,311枚」となりました。数字だけ見れば1万枚足りません。
あと1つヒット作があれば2011年冬とあまり変わらない売上ですね。

こう見ると作品数は倍以上になっているのに
売上はそこまで大きく変わっていないということがわかります。
アニメのBD・DVDを買う顧客数はそこまで変わっていないのに、
作品数が増えたことで1作品ごとの売上が低下して
分散してしまっているのが現状です。

もちろん今回比較した時期もあると思いますが。
私がなぜ2011年冬というのを出したかと言いますと、
この時期は売上の印象が強かった覚えがあります。

「1フラクタル」なんて揶揄する言葉も産まれていますし、
ISや魔法少女まどか☆マギカの売上のインパクトはかなり大きかったので
この時期を採用してみました。
全部の時期を調べるのは流石に面倒です(苦笑)

コレクターズアイテムになりつつあるBD・DVD

アニメは見るけどDVD・BDは買わない。
そういう人は多いのではないでしょうか?
アニメの円盤はぶっちゃけて言えば高いです(苦笑)

1巻あたり2話しか入っていないのに7000円位します。
1クールだと6巻出て全部で4万円くらいかかってしまうわけです。

この値段をポンポンと出せてしまう人はなかなか居ないでしょう。
1クールに1作品ならばともかく、すべての作品を買う人というのは
「マニア」な人でも限られていると思われます。

一方で同じアニメでも映画になると1本あたり6000円、
ディズニーだったりすると3000円くらいだったりします。
1本のアニメ映画が150分だとすれば、アニメでは6話くらいになってしまいます。
アニメだと3巻分の尺が映画だと1巻にまとまっています。

同じ尺で見ればTVアニメだと2万円、映画だと6千円です。
同じアニメのBDなのにこれだけの値段の差があります。
もちろん映画の場合は「興行収入」というものがあるからこその、
この値段ではあります。

しかし、どんなに好きな作品でも「4万円」出すのは
厳しいと感じる人は多いでしょう。
特に学生にしてみれば1ヶ月分のバイト代くらいあります。

本当に好きで円盤を揃えたい、特典映像やオーディーオコメンタリー、
特典グッズがほしい!というファンの中のファンみたいな人が、
円盤を買っているのが現状です。
同じグッズを大量に揃えることも多い女性ファンが買う
女性向けの作品の売上枚数が多いことも納得できます。

今や見る手段は円盤だけではない

円盤はもともと「放送の終わったアニメを見る手段」でしたが、
しかし、現状は配信サイトによる配信が非常に盛んです。

7年くらい前まではバンダイチャンネルくらいしかありませんでした。
しかし、2011年夏からhuluが日本に上陸し、2014年になるとDアニメが生まれ、
2015年にはnetfixが日本に上陸、更にAmazonプライビデオが
サービス開始されました。

特に2015年辺りから配信サイトによるアニメ配信は本当に盛んになり、
現在では上の4つのサイトに入っていれば放送中のアニメは
8割は見ることができます。
放送終了後に配信が中止や停止になることもありますが、
録画しなくても気軽に見れる手段がここ5,6年で一気に増えました。

1作品ごとの円盤の売上傾向は確かに減少傾向にあるのは事実です。
しかし、同時に5,6年前よりも気軽にアニメに触れることのできる手段が増え、
「円盤を買わなくても」アニメを楽しんでいる層は増えていると感じます。

Dアニメなど500円払えば見放題です(苦笑)
たった2話で7000円の円盤と比較すると、
単純に「見る」だけならば配信サイトを選ぶ人が間違いなく多いでしょう。

今までアニメを地上波で見たあとにもう1度見たくて買う層がいましたが、
その層の視聴欲は配信サイトで十分に満たされるようになっています。

アニメを放送や配信サイトで「見た」あとに作品のファンになり、
特典映像やコレクターズアイテムとしてその作品の円盤を「買う」という風に
変わっていっているのでしょう。

円盤以外の売上はどうなのか?

アニメは何も円盤だけで稼いでいるわけではありません。
配信収入、グッズ、音楽、パチンコ、ライブなど
様々な方法で稼いでいます。

アニメ市場自体は現在2兆円の市場だと言われています。
(ユーザーが支払ったお金の総額)
一方でアニメ制作業界の売上は2300億円だそうです。
アニメ制作業界の売上の推移を軽く見てみましょう

引用元:アニメ産業レポート2017
http://aja.gr.jp/jigyou/chousa/sangyo_toukei

放送権利収入は放送数に従って増加しています。
一方ビデオ(円盤)は2011年は162億でしたが2016年には125億円に。
3割位減っちゃってます。

一方で配信は2011年は31億円だったのが2016年には120億円に。
約4倍です。円盤の売上は40億下がったけど
配信の売り上げは90億も伸びているのが現状です。
ちなみに海外に対する配信や売上も3倍近くになっています。

アニメ全体の売上は伸びているのに「円盤」の売上が下がっているのが
このグラフでおわかりいただけると思います。

円盤は過去のものになるかもしれない

近い将来、BDやDVDを1クールのアニメで全6巻出すことなんて
なくなるかもしれません。そう考えると寂しい部分はあります。
ですが今「アニメのVHS」が売られていないように「アニメのBD・DVD」も
売られなくなる時代が来るんだと思います。

技術の進歩と時代の変化によって廃れるものがあるのは致し方ありません。
円盤自体はもしかしたらゲームのように1巻に全話まとめた通常版と、
特典映像などがついた特別版の2種類が売られるような形になるかもしれません。
実際最近でははじめから「BOX」売りする作品も増えてきてます。

今までと同じように円盤を販売する方式は厳しいのかもしれませんし、
「コアなファン」ではなく「カジュアルな層」も
円盤を変えるような値段や方式に移り変わる時期ではないでしょうか。

しかし、そういった円盤販売の変化が起こっても、
それすらも無くなってしまう時が来るかもしれません。
ですが「アニメ」そのものがなくなるわけではありません。
配信サイトが増えたことで「カジュアルなアニメ視聴者」がぐっと
増えている印象があります。

そういった人たちが増えてオタクと呼べる人が増えれば、
円盤の売上は下がるかもしれませんが、
アニメ市場自体はもっと伸びていくものだと思っています。

こういう「売上が下がった」という話題が出ると、
ロボットアニメと同じようにすぐに「アニメの衰退」に結びつける層が
いるのですが、実際のデータを見ていただければ、
円盤は衰退しているがアニメ自体は衰退していないことが
おわかりいただけると思います。

最後に

このサイトのアクセス数もありがたいことに去年の倍以上に増えています。
作品名で検索して配信サイトで見るアニメを決めるのにも
役立てているのかなと思っています。

海外からも結構謎のアクセスが多くて、
たまにどこかのフォーラムで晒されてるようなのですが、
中国の会員制のサイトだったりして、
どんな話題でこのサイトのURLがはられたのかめちゃめちゃ気になってます。

これは今回の話題の中で出すかどうか迷ったのですが、
配信サイトが増えたことで「違法視聴層」もだいぶ減ったのでは?と感じます。
たった500円払えば広告もなく快適に見れる配信サイトがあるのに、
わざわざ広告だらけで色々なリスクも有る違法視聴に頼る必要性はないでしょう。

もし、この記事を読んでいて違法視聴してるような方が居るならば、
たった500円のDアニメにぜひご加入ください(笑)

最後までお読みいただきありがとうございました。

「」は面白い?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください

  1. 片倉(焼くとタイプ) より:

    DVD・BDの売行にはそれらの再生装置も関連していると思います。今のパソコン、特にモバイルノート
    パソコンではDVDドライブはありません。DVDドライブがないのでDVDを買ってパソコンで見るという
    行為自体がおきないわけです。またテレビのない家庭(若年層 スマホで動画を視聴する)、テレビは
    あるけれどDVDプレーヤーのない家庭(ハードディスクに録画して見たら消す)も円盤は買いません。
    再生装置が無ければそもそも円盤を買っても見られませんしね。

  2. ウルトルラマン より:

    実際問題円盤って、不景気ともいえる今の時代ちと高いなと感じます。
    昨今の子供向け作品では、深夜アニメ2話分の値段で1クール収録(若しくは円盤が受注orレンタルオンリーかそもそも販売無し)という事も多いですが、これらもあくまで玩具などの子供向けのグッズ展開があってこそあの値段に抑えられるところもあると思いますし。

  3. アニメサイユ より:

    円盤がコレクターアイテムかと言われたら、レーザーディスクの時代からそうですよ。
    円盤が売れなくなってきたのはグッズの種類が多すぎて円盤への優先順位が下がって買う余裕が無いのと、
    円盤自体の商品価値が薄いのが主な原因です。
     配信で済ます層は元々円盤を買わない層が大半なのであまり影響はありません。むしろレンタルショップへの打撃が大きいです。

     今後のアニメ市場は、海外市場は拡大傾向なので、海外進出への希望は持てます。
    ただし、日本国内は景気の停滞・悪化、大きなヒット作が生まれない環境、少子高齢化などの影響で
    伸び悩みや縮小傾向に入りつつあります