吉野弘幸脚本のお約束、面白そうな序盤とグダグダな中盤と尻窄みの終盤「終末のイゼッタ」レビュー

2017年6月26日

評価★★☆☆☆(39点)全12話

あらすじ 1939年、ゲルマニア帝国は欧州の支配を目論み隣国リヴォニアに侵攻を開始し、その戦火は瞬く間に欧州全域に広がった。翌1940年、侵略の矛先はアルプスの小国エイルシュタット公国にも向けられようとしていた。引用 – Wikipedia


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吉野弘幸脚本のお約束、面白そうな序盤とグダグダな中盤と尻窄みの終盤

本作品はTVアニメオリジナル作品。
監督は藤森雅也、制作は亜細亜堂。
ちなみに脚本は吉野弘幸。

見出して感じるのは「ジブリっぽさ」だろい。
絵柄ではなく演出や雰囲気という感じなのだが、
冒頭の少女が歌うシーンなど「ナウシカか?」というような雰囲気があり、
空から女の子が落ちてきてラピュタかと思いきや、
落ちてきた女の子が魔法使いでほうきならぬ銃器にまたがって魔女の宅急便。
ジブリがいっぱい。な雰囲気あふれる要素が所々垣間見える。

ただ、ストーリー的にはやや入り込みづらい。
「第二次世界大戦時」くらいの時代背景で架空の国家の姫が秘密裏に動いてる
と言うのは分かるのだが、モチーフ自体は第二次世界大戦時だが、
架空の国ではあるため、国の名前や人物の名前が分かりづらく、
会話劇を繰り広げられてもいまいち入ってこない。

雰囲気も地味で暗い場面も多く1話の時点でテンポの悪さを感じてしまう。
だらーっとストーリーが展開している感じが強く、
戦闘シーンまでの流れが悪い。

しかし絵的なインパクトは強い。
戦闘機が飛び交うような世界観の中で、銃器にまたがり空を飛ぶイゼッタ。
背後を戦闘機に狙われつつも自らの血を飛ばし、魔法を使い撃退する。
イゼッタのみが魔法を使えるという世界観だからこその、
戦闘機と魔女の戦闘シーンはこの作品だからこその味になっている。

ただ、その反面で効果音が弱すぎる。
銃撃の音やイゼッタが魔法を用いて的に武器をぶつける音など妙に軽く、
せっかく迫力ある戦闘シーンをアニメーションで描けているのに
音が軽いせいか重厚感がまるで無い。

武器や戦車などの描写がリアルかつ細かく描かれているだけに
その反面で音の迫力がないのが悪い意味で変なギャップが生まれている。
魔法を使って戦車を投げ飛ばすと言うシーンなのに、
投げ飛ばされた戦車の音の迫力がないせいで迫力が生まれていない。

ストーリー的には序盤は面白い。
圧倒的に不利な国の姫様とその友達でも有る魔女のイゼッタ。
彼女の国を救うため魔法を使って数では圧倒的に不利な敵との
戦いに身を投じる。

非常にシンプルな設定と世界観の中で、
「イゼッタ」というこの世界で唯一の魔女であり、
身分の差を感じない友情を結んだ姫様が、一国の主として友を兵器として
使わなければいけないと言う姫様の葛藤と、
姫のために自分の力を使うイゼッタ。

この2人が物語の主軸になっており、それぞれに魅力があるのだが、
その反面で地味だ。
第二次世界大戦くらいの世界観をモチーフにしており、
ストーリー的な進行も史実をモチーフにしているのは分かるのだが、
そのせいか盛り上がりがなく淡々とストーリーを展開している感じが強い。

政治的駆け引きなども描かれるのだが、
1クールのアニメとしてはやや冗長すぎてテンポにかけてしまう。
セクシー要素など刺激的なシーンも有ったり、
姫様とイゼッタの「百合百合」な関係性もニヤニヤと楽しめるとも言えるのだが、
もう一歩強いセクシー要素やもう一歩強いキャラ萌え要素があるわけではない。

1クールという尺ゆえにこの作品にある要素が掘り下げ不足になっている部分が多く、
1つ1つの要素とその組み合わせから生まれる作品の独自性は感じ、
面白さも感じられそうなのだが、もう一歩踏み込めば素直に楽しめるのに、
そのもう一歩がなくもどかしさが常に漂う。

終盤も結局、魔女VS魔女になってしまって残念だ。
魔女VS兵器という構図だからこそこの作品の面白さになっていて、
敵国側も魔女の弱点を手に入れたのに、
それを人間の力で兵器を使い利用するなら盛り上がりどころになるが、
魔女VS魔女の形で利用されると微妙だ。

敵の魔女の掘り下げも甘く、イゼッタと姫様以外にも魅力的なキャラは居るのだが、
結局、掘り下げ不足のままで終わってしまい出した意味がないキャラも多い。
物語の世界観的に当然死亡するキャラクターも出てくるのだが、
徹底的に死亡するのは男性キャラのみ。
この作品における男性キャラは女性キャラに比べて描写が浅く、
描写の浅いキャラの死は見ていて響くものがない。

全体的に惜しい作品だ。
キャラクター、世界観、設定など物語を作り上げる要素は面白く、
「魔女と兵器」の戦闘シーンというこの作品だからこその戦闘シーン、
淡々と地味では有るものの序盤から中盤くらいまでは
楽しめるストーリー展開だ。

しかしながら、戦闘シーンにおける効果音の迫力不足や
1クールと言う尺の中でイゼッタと姫様以外のキャラクター描写が浅く、
中盤以降のストーリー展開の盛り上がりが薄く、
結局、いろいろな要素が中途半端になってしまっている感じが否めない。

逆にシンプルに1時間30分位の映画としてまとめたら、
テンポの悪さが消えてほどよく作品の冗長になっている部分がこそげ落されて
スッキリと楽しめる作品になったかもしれない。
2クールでも映画でもなく1クールと言う尺が
この作品の魅力を殺してしまっていた

個人的には「ああ、吉野弘幸脚本だな」という感じの作品だった。
序盤は惹き込まれ、中盤くらいから違和感を感じ、
引っかかる部分やもやもやした感じはありつつも
何となくキレイに見える展開で終わる。

吉野弘幸という脚本家のお決まりのパターンであり、
面白そうな要素を結局は殺してしまうのもお約束だ。
ソ・ラ・ノ・ヲ・ト、ギルティクラウンでしたときと同じようなミスをシており、
本当に成長のない脚本家だ。

彼の脚本では無ければもう少し
素直に面白くなりそうな作品だっただけに残念だ。