王道は間延びしてはいけない「ゼロから始める魔法の書」レビュー

2017年8月28日

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評価 ★★★☆☆(43点)全12話

あらすじ 「獣堕ち」と呼ばれる生まれつき半人半獣の姿をした傭兵の「俺」は、自身の首を狙う魔女から逃げている最中、ゼロと名乗る別の魔女に窮地を助けられる。引用 – Wikipedia

王道は間延びしてはいけない

原作はライトノベルな本作品。
監督は平川哲生、制作はWHITE FOX。

余談だが原作者のwikipediaによると
「工業高校出身であり女子生徒がクラスに
自分一人という学校生活を送ったため、学園小説は書けない」らしい(笑)
この手のファンタジーライトノベル作品で原作者が女性と言うのは結構珍しい。

見出して感じるのはやや古臭さを感じる世界観だ。
異世界転生モノやなろう系が流行り、ヤレヤレ系の主人公が台東する中で、
最近のアニメというよりはスレイヤーズ、オーフェン、リウイなどの
90年台のライトノベルファンタジーを彷彿とさせる
捻りのないストレートな「ファンタジー」の世界観になっている。

そんな中で主人公は獣人だ。
獣堕ちと呼ばれる半人半獣のキャラクターであり大柄で大雑把。
そんな彼と旅をするのは世間知らずの「魔女」であり、
彼女の旅の護衛を務める代わりに自分を人間の姿にしてもらうという
条件で契約を交わす。

これほどまでにシンプルかつ分かりやすい設定は最近では珍しい(笑)
ややこしさのかけらもないストレートな設定で、余計な設定がほとんどない。
1話できちんと分かりやすい説明をしてくれるので、
この作品を見て「よく分からない」という人は少ないだろう。
そういった複雑さがなく、物凄くシンプルな剣と魔法の世界観の中の
ファンタジーストーリーだ。

ただ良くも悪くも王道だ。
本来ならばもう少しこの作品ならではの設定や独特なキャラを出す所だろうが、
この作品はあくまでも王道かつストレートなストーリーになっており、
それゆえに地味である。

作画がお世辞にも良くなく、せっかくのロリキャラのヒロインの
可愛さもあまり100%引き出しているとはいえず、
萌え的ものをキャラデザから期待する人もいるかもしれないが肩透かしだろう。
セクシーシーンは一応、全裸などのシーンも有るのだが露骨なエロ描写ではない。

さらに言えばテンポも悪い。
原作は10巻出ているのだが、なぜかアニメ化されたのは1巻の内容だけ。
1クールで原作一巻分しか描かれてない。
流石にテンポの悪さを感じる部分も多く盛り上がりどころの
盛り上がりも薄まってしまっている。

ストーリーもなかなか進まない。
割と最近の作品はサクサク進むことも多いが、
この作品はかなり丁寧に「冒険の道中」を描いている。

オーフェンやスレイヤーズを楽しんだ世代にとっては
この道中が描かれる感じは懐かしくも有るのだが、
この年代の作品は基本的に2クールだったかからこそ
冒険の道中をしっかりと描けた。

しかし、昨今の1クール大量生産事情では
じっくりと冒険の道中を描いてしまうのはダラダラとした印象や
地味な印象が強くついてしまい見るのを辞めてしまう人も多かっただろう。
いわゆる3話切りされやすい作品といえるだろう。

序盤でしっかりと丁寧なキャラクター描写がされ、
一人ひとりのキャラの印象がしっかりと残るのは悪くないのだが
このテンポの悪さはやや作品の足を引っ張ってしまっている

ただ、この冒険の道中の雰囲気が悪くないのだ。
ツンツンな獣人とクールなロリ魔女と生意気なショタ、
この3人の旅路のまったりとした雰囲気が良く、
その旅路の中できっちりと世界観を描きつつ、
3人が3人、影響しあって変化していく流れが面白い。

だからこそ中盤以降のシリアスパートがグダグダになってしまってるのがもったいない。
序盤から中盤までの冒険の道中は楽しめるのだが、
中盤からのシリアスはテンポの悪さもあって無駄に引っ張ってる感じが強く、
結局、ストーリーも内輪揉めで終わってしまっており、
こういった「冒険」を描いている作品の割にはこじんまりとまとまってしまっていた

総評

全体的に見て惜しい作品だ。
本来はこの作品は2クールないし4クールくらいでがっつりと描かれる作品だろう。
しかし、それを1クールという尺で描いてしまい、
更にその1クールをかけて原作一巻分の内容だけを描いてしまったがゆえに、
テンポの悪さが生まれてしまい、作品全体が間延びしてしまっていた。

決してつまらない作品ではない。
いわゆる王道かつストレートなファンタジーストーリーであり、
男女問わずそれなりに楽しめる作品では有る。
だが、この作品だからこその要素はなく地味かつ淡々としており、
起承転結スッキリとしている話なのだが、盛り上がりところは薄い。

1クールで1巻ではなく、アニメ映画として1巻の内容をやれば
2時間か90分位で間延びせずにできただろう。
せっかくストーリーは面白く、キャラクターも魅力的なのに、
1クールに引き伸ばしてしまったせいでテンポの悪さと地味さが
目立ってしまったのは残念だ

個人的な感想

個人的には1話から最終話まで一気に見る視聴スタイルなので楽しめたが、
1週間に1話のようなTVアニメの本来の見方だと厳しそうだなと感じてしまった。
ただキャラクターの使い方もうまく、ストーリーも面白かっただけに、
作画や演出面でもう少し盛り上がり所をきっちりと盛り上げてほしかった。

時代が違えば2クールくらいで、スレイヤーズやオーフェンのように
長く愛される作品になったかもしれないだけに残念だ。
原作者の方はスレイヤーズやベルセルク、キノの旅などが好きなようだが、
その「好き具合」が伝わる内容なだけに私もおそらく同世代の人間として
この作品がこんなな感じにアニメ化されてしまったのが残念でならない。

売上的にはBOX売りだが363枚と爆死。
原作は既に10巻も出ているのになぜ1巻だけ1クールでアニメ化したのか・・・
謎だ。