「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」レビュー

評価 ☆☆☆☆☆(3点) 全12話

あらすじ オンラインゲームの下請け会社に勤めるアラサープログラマー鈴木一郎(29)。後輩の失踪によって複数のプロジェクトを並行して手がける中、仕事に一区切りをつけて仮眠をとった一郎は、唐突に異世界の荒野で目を覚ます。視界には見慣れたゲームによく似たユーザーインターフェイス、現れる大量のモンスター。そしてそこへ大量の流星雨が降り注ぐ。引用- Wikipedia

京都人もブチ切れるほどの薄味

原作はライトノベルな本作品。
小説家になろうで連載されている、いわゆる「なろう系」な作品だ。
異世界はスマートフォンとともにが相性としてスマホ太郎と呼ばれている為か、
この作品はデスマ次郎と呼ばれている。
監督は大沼心、制作はSILVER LINK. × CONNECT

見出してそうそうデスマーチ宣言だ(苦笑)
プログラマーである主人公が休日出勤し、仕事を開始、
その際に自ら「デスマーチの始まりだ」と言い放つ。

タイトル通りにデスマーチしてたら異世界へ行ってしまう主人公、
淡々としたストーリー展開かつ予想できるストーリー展開は、
びっくりするほど意外性がなく、盛り上がらない。
更に1クールという貴重な尺の中の1話のAパートという大事な掴みを
丸々現実世界で主人公がプログラマーとしてデスマーチする様を見せられる。

引用元:© 愛七ひろ・shri・KADOKAWA カドカワBOOKS刊/デスマ製作委員会

はっきりいって作品全体でテンポが悪すぎる。
1話はデスマーチの主人公と異世界への突入、
2話は異世界の市内探索、
3話で敵との戦闘かと思いきやダラダラの迷宮探索開始と
1クールのアニメとは思えないほどストーリー展開が遅い。

展開が遅いだけならまだ耐えられるが描かれる内容も薄い。
単純なテンポの悪さだけでなく、明らかに尺稼ぎをしているシーンも目立つ。
特に主人公が異世界の食べ物や料理を食べるシーンの多さは異常だ、
その都度、食レポのように解説をしてくれるのだが、心底どうでもいい上に
全く面白くない主人公の食レポを毎度のように聞かされる。

そもそも必要のないシーンが多すぎる。
主人公の食レポもそうなのだが、「そのシーンは必要なのか?」
「今描く必要があるのか?」と思うシーンがあまりにも多く、
そのたびに話の腰を折られ、1話1話の内容が薄まっていく。

後の展開のために必要なシーンというのももちろんあるのだが、
その必要なシーンもグダグダと描いているせいでテンポが常に悪く、
盛り上がるシーンになっても、それまでがグダグダなせいで
全く持っても盛り上がらない。

引用元:© 愛七ひろ・shri・KADOKAWA カドカワBOOKS刊/デスマ製作委員会

ご都合主義感も全開だ。
主人公が訪れた異世界は主人公が作ったゲームの世界に少し似ている。
主人公の目の前には「ゲーム風UI」が常に見えており、
レベルやアイテム獲得のメッセージなども表示され描写されている。
そのせいで主人公は最初、夢だと思いこんでいる。
当然、なろう系なので主人公は最強だ。

主人公は異世界に来た時点でとんでもないレベルアップをしており、
ステータスはカンスト状態だ。
アイテムはデータのような形で所持しておりほぼ無限に持てるうえに
周囲でドロップしたアイテムは自動で取得されるおまけ付き、
もはや最強というよりはただのチート状態だ。

引用元:© 愛七ひろ・shri・KADOKAWA カドカワBOOKS刊/デスマ製作委員会

スキルに関しても自動取得され、なにかするたびに何らかのスキルを得る。
言い訳を言えば詐術スキルを取得し、スキルポイントを割り振れば
相手の信頼を得る言い訳をしゃべることができ、
言語もスキルポイントを割り振ればきちんと認識できるようになる。
ちなみにスキルポイントは無限に近いのでやりたい放題だ。

ただ、せっかく圧倒的なレベル差とステータスやスキルを持ってるのに
負けることはないにしろ苦戦したり罠にはまったりすることが多すぎて、
強さがイマイチわかりにくい。
1度魔法を喰らえばその属性の魔法に対して耐性をえることもできるのだが、
1度はくらないといけない。

そのせいで主人公は最強なはずのに無双感や俺ツエー感がいまいちであり、
この手の作品にありがちなサクサク感や爽快感というのがまるでない。
戦闘シーンも作画の予算があまりないのか演出頼りな戦闘シーンであり、
1話の時点では作画的にも頑張っているのだが終盤は明らかに手抜きだ。
アニメーションとしての面白さはまるでなく、迫力なんてものはない。

引用元:© 愛七ひろ・shri・KADOKAWA カドカワBOOKS刊/デスマ製作委員会

キャラクターも、いわゆる「ハーレム」要因として多いのだが、
多いだけで驚くほど魅力がない。
序盤からどんどんとキャラを追加する割には必要性のないキャラが多く、
無駄にキャラを増やすだけでキャラクターの役割というものが薄い。

例えば序盤から主人公に好意を寄せているヒロインのように見えるキャラが
居るのだが終盤で居なくなり結局はサブキャラ扱いだ。
メインキャラのように見える描写が多く、明らかに主人公の嫁候補的な
ヒロインに見えていたのにもかかわらず結局はサブキャラに降格してしまい、
キャラクターの使い方が下手なことをひしひしと感じてしまう。
それなのに無駄にキャラ数が多いのが余計に厄介だ。

ストーリー構成もかなり疑問が残る。
終盤で今更主人公が自分の能力を検証しながら他のキャラと旅をして、
結局最終話はポーションの納品で終わる展開など意味がわからない。
1クールの最低限の物語の「盛り上げ」や「締め」ということも出来ておらず、
なぜ、こんな中途半端なストーリー構成にしたのか理解できずに終わってしまった

引用元:© 愛七ひろ・shri・KADOKAWA カドカワBOOKS刊/デスマ製作委員会

総評

全体的に見て驚くほどの駄作だ。
グダグダで無駄なシーンの多すぎるストーリーは見ていて退屈であり、
数だけはいるが魅力ないキャラクターには何の感情も抱けず、
予算的にギリギリなのか手抜きを感じる戦闘シーンでは
アニメーションとしての面白さもない。

根本的に主人公に魅力がないも原因だろう。
チート級の設定がありながら、それを活かそうとしないシーンが多く、
活かし方も下手すぎるせいで爽快感がない。
「異世界」に転生したわけでも召喚されたわけでもないようなのだが、
思わせぶりな伏線だけ貼って結局は何も分からずじまいだ。

どうでもいいシーンが多すぎるのも原因だ。
主人公の食レポもそうだが、「お湯が湧いて笛がなる仕組み」を
幼女キャラに解説するシーンで3分も使っている。
面白みもなく必要性もないシーンを入れまくるうえに尺を割くせいで、
ただでさえ薄いストーリーが余計に薄くなってしまう。

引用元:© 愛七ひろ・shri・KADOKAWA カドカワBOOKS刊/デスマ製作委員会

原作が原因の部分ももちろんあるのだろう。
だが、その原作の悪い部分を悪いままに、
良い部分すらも薄めて描いている感じが強く、
制作側がこの作品を「面白くしよう」という心粋を作品からまるで感じない。
それどころから「ヤル気」すらも感じない。

大沼心監督はベテランであり、
ストーリー構成と脚本の下山健人さんもベテランだ。
そんな二人が関わっているのに「プロ」としての仕事ができていない。
原作に対してコレは失礼な仕事ぶりだ。
原作どうこう以前に単純に「アニメ」としての出来栄えが悪すぎる作品だった

引用元:© 愛七ひろ・shri・KADOKAWA カドカワBOOKS刊/デスマ製作委員会

個人的な感想

個人的には「異世界はスマートフォンとともに。」よりは面白いだろうと
見始めたのだが、その期待を大きく裏切る作品だった。
スマホ太郎は私個人としては「面白さ」というのが垣間見える部分もあり、
つまらないのだが、とんでもない展開やツッコミを入れることで
楽しめる部分もあった。しかし、この作品はそれすらない。

特にストーリー構成に関してはなぜこんな中途半端な所で
1クールが終わるんだと思うほどに中途半端だった。
1つの作品としてきちんと仕上げようと思ったら、
こんなストーリー構成にはならないだろう。
原作はどうであればプロとして
面白いものに仕上げようとする努力をしてほしかった所だ。

売り上げ的には1500枚前後。
2期の可能性は低いだろうが、2期があるならばスタッフは変えてほしい所だ。