面白さが加速度的に失われていく作品「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」レビュー

2017年8月12日

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評価 ★☆☆(☆☆(19点)全12話

あらすじ 仕事を辞めて、1年間無職を続け、家主であるセリカのすねをかじり続けていた青年・グレンだったが、ついに痺れを切らされて、強制的にアルザーノ帝国魔術学院の非常勤講師として働くこととなる。引用 – Wikipedia

面白さが加速度的に失われていく作品

原作はライトノベルな本作品。
監督は和ト湊、制作はライデンフィルム。
最近はライトノベル原作だと「なろう系」で異世界召喚タイプが多いが、
この作品は珍しくなろう系でも異世界召喚タイプの作品でもない。

見出して感じるのはとんでもなく「どすけべ」な制服だろう。
アニメの中に出てくる学校の制服は色々なデザインが有るが、
ここまで大胆すぎるデザインはなかなかない(笑)
女性とは常にへそ出し、ガーターベルト、ニーソ、ミニスカと
18禁ゲームでもここまで大胆な制服デザインはない。

そしてベタベタな展開。
主人公とヒロインが路地の角でぶつかりそうになる。
ライトノベルならば誰しもが思いつくシチュエーションだが、
残念ながらこんなドスケベな制服なのにラッキースケベ的展開はなく、
やや肩透かしは食らう。

更に癖のある主人公、先に言っておくが性格は悪い(笑)
クセの強いナルシズムすら感じる台詞回しや、
だるそうでヤル気のない態度とストレートな主人公像とは言い難く、目つきも悪い。
そんな彼が「魔術講師」として赴任するところからストーリーが始まる。

序盤は元々ニートのような生活を送っていた主人公に
魔術講師なんてつとまるわけがなく、生徒たちの怒りを買う。
生徒から決闘を申し込まれて戦いが描かれる。
他の作品なら「一見弱そうな主人公が実はすごい力を持っていた」というような
お約束展開が描かれるのがテンプレート的であり、
ある種のライトノベルにおける様式美のようなものが有る。

しかし、この作品の主人公はあっさりと負ける(笑)
いわゆるオレツエー的な要素が描かれるかと思ったら、
ヤル気はないわ、性格は悪いわ、弱いわでとんでもない「ろくでなし」だ。
この「ろくでなし」感はギャグ的要素にもなっているのだが、
好みの分かれる主人公ではある。

ただ話が進んでいくと以外にも「魔法」の設定がしっかりしていることがわかる。
例えば詠唱。この作品における魔法は「詠唱」し発動するものだ。
多くの魔法を使うアニメにおいてこの詠唱は意味がありそうなさそうなものが
多かったり、意味がは有るがそれっぽく長くしたりしている。

この作品の場合はきちんと詠唱のルールや文体が有り、
それを主人公が「授業」という形で解説する。
そこに妙な説得力が有り、魔法やファンタジーという
空想なものを扱う作品だからこそ設定の説得力は大切だ。

そのおかげもあって「戦闘シーン」が序盤は面白い。
しっかりと戦闘に使う際の魔法の設定を説明したからこそ、
アニメーションとしての戦闘の迫力はやや物足りなさは有るものの、
魔法使い同士の詠唱による魔法発動をしっかりと描きながらの戦闘シーンが面白い。

戦闘の「駆け引き」も意外としっかりしており、
特殊な魔法の無効化の魔法を使えるという設定の主人公では有るが、
決して最強ではなく「発動している魔法には効果がない」という
条件があるからこその、戦闘の駆け引きが生まれており見所にもなっている。

しかしながら話が進んでくると色々な作品が見え隠れする。
主人公が敵を鉄拳制裁する様など
形は違えど「とある魔術の禁書目録」の上条とかぶっており、
敵の魔法を無効化するのも理論的には「魔法科高校の劣等生」のお兄様だ。

主人公のダメっぷりやクズっぷりがいい塩梅でギャグになっており、
そういった要素が他のラノベアニメとも違うともいえるが、
「クズっぷり」という点においては「この素晴らしき世界を」の
カズマのような貫いたクズっぷりが有るわけでもなく、
中盤からはクズっぷりやろくでなしぶりが皆無になってしまうため魅力が薄れる

ややテンポが早すぎるのも気になる所だ。
別に5分アニメでもないのにキャラクターがやや「早口」になることが多く、
会話と会話の間がない夫婦漫才のごとくキャラ同士が会話するシーンが有る。
あまり重要なセリフじゃないからこそ早口にしているのかもしれないが、
あまりにも早口すぎて雰囲気ぶち壊しになってる時があるのは気になる所だ

ストーリーを早く進めたいのは分かる。
だが、描くなら描くで早送りで適当に描くのではなく、きちんと描くべきだろう。
制作側が「描きたいシーン」に早く行きたいという気持ちが
見え隠れしてしまっており、こういう行為は原作に対してやや失礼だ。
ダイジェストを使ったりする方法もあるだろうに
ダイジェストは使わない厄介さも有る

調べた所、1~3話までは原作1巻の内容で、
4話~12話では原作の2巻~5巻の内容を描いているようだ。
4話以降は一巻当たり2話という感じでやっており、流石に詰め込みすぎだ。

しかも、この作品は「学園モノ」という要素もあるおかげでキャラクター数も多い。
せっかく可愛いキャラクターも多いのに、
詰め込みすぎで速いテンポのストーリーでは各キャラの魅力が
きちんと発揮されないまま終わっている感じも強い。

序盤と終盤では色々と印象も違う。
前述した主人公のロクでなし要素は序盤くらいしかなく、
魔法の詠唱シーンと主人公の能力を活かした戦闘シーンの面白さも中盤くらいまで、
ヒロインの可愛さも序盤は感じられたが
中盤以降はやや面倒くさい感じのヒロインになってしまう。
序盤で感じたこの作品の面白さというのが徐々に失われていくのは残念だ

総評

全体的に見て雑な作品だ。
色々なラノベの要素が見え隠れする作品では有るものの、
テンプレート的な「ラノベアニメ」らしい面白さがきちんとあり、
意外と駆け引きの有る戦闘シーンが面白くキャラクターも可愛い。
だが、無理矢理1クールという尺に原作5巻分の内容を押し込めたせいで、
細かい部分が雑になり、原作の面白さを上辺をなぞるようにしか描写できていない

せっかく序盤は面白かったのにストーリー構成と脚本の雑さのせいで
中盤以降からのしっくりとこない、見ていて頭のなかに内容が入ってこないような
ふわっとした作りになってしまっていたのが残念だ。

本来は原作にはもう少しあるのかもしれないが
細かい部分のキャラクター描写が省かれてしまっているせいか、
キャラクターに愛着がわかなかった。
一部ヒロインが序盤と終盤ではかなり印象が違い、割と面倒くさいキャラも多い。

個人的な感想

個人的には制服のデザインに何かしらの意味があるのか気になったのだが、
特にないようだ(苦笑)
おそらくこの作品を来年思い出そうとしてもこの制服のデザインくらいしか
思い出せないくらいのある意味インパクトは有るのだが、
そのインパクトに意味が無いのは本当に残念だ。

売上的には2000枚前後とものすごく微妙だ。
ここまで詰め込まずにきちんと一人ひとりのキャラを丁寧に描けば、
もう少し売上が違ったかもしれないだけに残念だ。

余談だが、本作品の監督の「和ト湊」さんの情報がぜんぜん出てこない。
恐らくは誰かの別名なのだろうが、この出来栄えだと何かしら
やらかした監督が名前を変えたのかもしれない。
今後、要注意の監督だろう

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