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生態系破壊幼女「異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます。」レビュー

異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます。 ファンタジー
画像引用元:©️向日葵・高上優里子/双葉社・もふなで製作委員会
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評価 ★★☆☆☆(23点) 全12話

TVアニメ「異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます。」本PV

あらすじ 27歳で過労死した秋津みどりは、神様に「死に方を変え特別な力を与える代わりに転生しないか」と持ち掛けられる。引用- Wikipedia

生態系破壊幼女

原作は小説家になろうで連載していた作品。
監督は北村淳一、制作はEMTスクエアード。

過労死

主人公はアラサーのOLだ、残業続きの仕事のせいで彼女は過労死してしまう。
そんな彼女の前にいきなり神様が現れ、死に方を選ばせる代わりに
異世界に特別な力を持って転生させてもらうことになる。

この手のなろう系アニメとしてはベタすぎる導入だ。
しいていえばチート能力と言えるのが
「人間以外」の生物に好かれやすくなる能力というだけだ。

ベタな導入部分は特に面白みも新鮮味も一切なく、
設定的な面白みもキャラの魅力も感じない。

いわゆる「幼女」な主人公だ。
裕福な家庭に生まれて、特に苦労もなく、3歳まで健康に暮らしている。
神様にもらった能力のせいか動物に囲まれ、もふもふを楽しんでいる。
それ以上でもそれ以下でもない。

中身は27歳のOLなはずなのだが、転生したせいか精神まで
幼女に退行している感じすらある。
制作のEMTスクエアードらしく、作画のクォリティは普通だ。
むしろEMTスクエアードにしては良い方ともいえる。

もふもふに好かれる、人類以外の種族に好かれる彼女は、
「精霊獣」とよばれるドラゴンにすら好かれる始末だ。
彼女自身の戦闘能力はそこまでないが、ドラゴンや大きな虎など
この世界において特別な獣たちと仲良くなってしまう。

内容としての面白みはかなり薄いものの、
主人公を演じているのが加隈亜衣さんで可愛らしさが強調されており、
主人公の父を古谷徹さんが演じている。
このあたりの実力のある声優陣のお陰で、薄味な話にも
最低限の面白みを感じられるようになっている。

言い換えれば声優に救われてる部分が大きい。
序盤から色々な立ち位置のキャラがポンポン出てくるが、
あまり印象に残るキャラクターは居ない。

動物王国

序盤はそんな能力を持つ主人公が色々な動物や魔物とであい、
そんな動物や魔物と仲良くなっていく。
異世界だからこその特別な魔物や動物がどんどん出てきながら、
徐々に周囲のキャラも彼女の能力についての理解を深めていく。

そんな中で異世界の知識を身に着けたり、食べ物を食べたりと、
主人公自身も異世界を楽しんでいる。
だが、前世の知識があるアラサーの女性なはずなのに、
あざといくらい幼女の振る舞いをしている。

前世や異世界転生という要素がなければ、
そんな幼女の可愛さを素直に楽しめたかもしれないが、
中身がアラサーで幼女の振る舞いをしていると考えると
かなりきついものがある。

数多のなろう主人公のようなイキりやチートは
ほとんどないが、その分、あざとさが強まっている印象だ。

主人公は魔法のある世界で魔力もなく、両親にすら似ていない、
貴族において「落ちこぼれ」だ。
だが、そんな落ちこぼれな主人公はありとあらゆる「もふもふ」と
仲良く慣れる能力がある。このあたりも、いかにもな「なろう」であり、
貴族同士の闘いなどもベタで特に面白みはない。

その能力が故に貴族や王族に気に入られ、
多くの魔物や精霊と仲良くなり、どんどんと成り上がっていく。

ゴブリン

この世界には人に敵対している魔物も存在する。
その1つが「ゴブリン」だ。
しかし、そんな相手でも主人公の能力の前では関係ない。
「人間以外の生物に好かれる」能力が故にゴブリンであろうと、
なんであろうと関係ない。

だが、それはあくまで主人公だけだ。
人間は魔物たちの生息地を奪い、人間の生息地を増やしている。
魔物たちの生活を奪い、生息域を減らしたのは人間の罪だ。
どこか動物愛護的なニュアンスすら匂わせてくる。

人間でありながら、人間以外の生物に好かれる彼女は、
彼らの事情も知ってしまったからこそ、彼らをも守ろうとする。
生態系のバランスが崩れ、人間の生息圏までやってきてしまい、
狩られてしまいそうなゴブリンたちを彼女はどうするのか。

魔物や動物の心の声が通じてしまうからこそ、
生態系の難しさを彼女は感じている。
そんな彼女が守ろうとしたホブゴブリンや雲が、
なぜか進化し別の種族になる。どこかで見たことのあるような展開だ。

はぁ?

魔物と共存するためにどうすればいいか、彼女は考える。
彼女が考えた方法、人間たちに住処を終われた魔物を結界が張った場所に集め、
それだけでは魔物の数が増えすぎてしまうので、
定期的に冒険者に魔物をかってもらうことで数を調整する。

完全な管理社会の出来上がりだ(苦笑)
かなり独善的な計画であり、とても魔物のものとは思えない。
結局は魔物たちを管理し、数まで調整している。
これがもし、人間の特定の人種相手ならとんでもない差別だ。
政治的な考えで言えば立派な植民地主義だ。

彼女は魔物との「共存」を考えていたはずなのに、完全な支配だ。
主人公がそういう性格ならば理解できるが、
そういった冷徹な性格ではない。

「転生したらスライムだった件」のように自身も魔物だからこそ、
魔物の国を作る!というような展開にするわけでもなく、
完全人間による魔物のの管理社会を生み出そうとしている。

彼女のそんな考えに周囲の大人たちも賛同し、
彼女の考えを実現するために動き出すのが終盤だ。
序盤ののほほんとした雰囲気とは裏腹に、
中盤からはシリアスなストーリーを展開している。

魔物集め

自身の作戦のために各地の魔物と出会い、
コボルトなどの種族と関わっていく。
一部の人間は彼らを排除しようと動いており、
そんな中で主人公たちは彼らを保護するために動く。

彼女の作戦、理想のためにコボルトにも人間にも被害が出てしまう。
序盤から中盤まではのんびりとした癒し系アニメだったのだが、
中盤からはかなり雰囲気が変わっており、
このあたりは好みが分かれるところだ。

なんやかんやあって戦いは終わったものの、
彼女の戦いは続いていくというところで物語は終わる。
色々と終盤は作品自体の雰囲気が変わってしまい、
かなりシリアスな展開になってしまうのは何とも言えない
印象が残ってしまう作品だった。

総評:管理社会やんけ!

全体的に見て、序盤はなろう系作品らしい要素で、
転生して人間以外に好かれる能力を利用して
様々な生物に好かれながら、もふもふを楽しむ主人公の姿をみて
癒やされる気分になれる作品だ。

しかしながら、中盤から人間から迫害されている魔物を
どうするのか?という問題が浮かび上がり、
そんな問題を彼女は「魔物を管理し、支配する」ことによって
人間たちとの無駄な争いをやめさせようとしている。

ただ、その方法もかなり支配的であり、
魔物を一定の場所に集めて、定期的に冒険者に間引かせることで
魔物を殺さずに生かしつつ、個体数も管理するというとんでもない発想だ。
たしかに彼女がやらなければ魔物たちはただただ人間たちに
虐殺されてしまうことを考えれば、現状ではベストなのかもしれないが
イマイチ納得しにくいものがある。

序盤から中盤までは癒し系アニメだったが、
中盤からはシリアス要素がかなり強くなってしまい、
魔物たちにも人間たちにも死者が出てしまう。

そんな戦闘シーンのクォリティも低く、
1枚絵としてみたときのクォリティはそれなりだが、
アニメーションとしての面白さは薄い。

キャラクターもかなり多く、序盤に出てきて終盤には
一切出てこないようなキャラも多い。
加隈亜衣さんや古谷徹さんなどの実力派の声優がでているおかげで
キャラの印象は尽きやすいが、居ても居なくてもいいような
キャラもかなりいる印象だ。

そもそも「異世界転生」要素は必要だったのか?と思うほど、
主人公の見た目も幼く、言動も幼い。
心の中はアラサーだが、見た目や行動やセリフは完全に幼女な
矛盾も飲み込みがたいものがある作品だ。

序盤の時点でこの作品を好きに慣れた人も、
中盤からの雰囲気の変化に戸惑ってしまう部分もある。
もふもふスローライフ系として徹底していれば
作品全体のイメージも違ったかもしれないが、
中途半端にシリアスな要素を入れたせいで、微妙な印象が
残ってしまう作品だった。

個人的な感想:シリアスかもふもふか

序盤と終盤で作品に対する印象が変わる作品だ。
序盤こそツッコミどころはあるが、幼女が動物と仲良くしている
光景をひたすら眺める癒し系アニメとして
一定の需要はありそうだなと感じるが、終盤でそれが一変してしまう。

結局どっちづかずな作品になってしまっている。
癒し系アニメをしたいのか、シリアスファンタジーアニメをしたいのか、
どちらもやろうとして中途半端な感じになっている。

中盤からは「転生したらスライムだった件」の要素が
かなり多く出てくるのも気になるところだ。

2期があるかどうかはわからないが、
なにやら魔物排除に向けて暗躍している組織もありそうなので、
2期があればそのあたりも掘り下げられるのかもしれないが、
個人的には2期をやる前に内容を忘れていそうな作品だった。

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