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「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON -覚醒前夜-」レビュー

2.0
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評価 ★★☆☆☆(28点) 全8話

TVアニメ「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」第2弾PV

あらすじ 願いの成就とひきかえに、人知れず戦い続ける魔法少女たち。しかし環いろはは、自分の願いを忘れてしまっていた。『魔法少女になった時、私は何を願ったんだっけ?』日常の中にぽっかりと空いた穴。失われてしまった大切ななにか。理由もわからないまま、戦いつづける毎日……。そんなとき、魔法少女たちの間で噂が流れはじめる。『神浜に行けば、魔法少女は救われる』魔法少女とウワサの集まる街、神浜市。失われた願いを求める、環いろはの物語がはじまる――。引用- Wikipedia

種死現象

本作品はマギアレコードの2期。
1期から1年半以上も期間が空いており、
更に全8話構成として制作されており、
2022年には最終章という3期も全4話で放送された。

続き

1期の段階ではソシャゲ原作アニメらしく、
大量のキャラクターがばかすこ出てきてろくにストーリーが進まず、
主人公の仲間が揃って、少しだけ話が進んできただけで終わった。

主人公は魔法少女になるときに何を願ったのか、
断片的な記憶に残る「妹」はどこへいったのか。
魔法少女が魔女にならないシステム、ドッペルはなんなのか。
魔女を全て滅ぼそうとするマギウスという組織はなんなのか。
魔法少女の宿命から解放されることはできるのか。

いろいろな謎を残し、結局、暁美ほむらや鹿目まどかなども出ずに終わり、
色々と出し惜しみしたまま終わってしまい、消化不良が残る1期だった。
だからこそ、そんな消化不良が解消される2期であってほしいという想いが
あった。

そんな中で2期の1話では早速、鹿目まどかと暁美ほむらが出る。
出し惜しみしまくった1期はなんだったのか?と思うほど
あっさりと出る二人の魔法少女。
「魔法少女まどか☆マギカ」のあの10話のあのシーン、
そんなあのシーンから分岐した世界。

まどかがいる、ほむらがいる、さやかがいる。
だが、そこに「マミ」はいない。
「マギウス」という組織の理念に囚われ、魔法少女を魔女にさせないためにも
彼女は地獄に落とされた一本に糸にすがるようにマギウスにすがった。

輪廻のシステム、希望をつかんだ代償という呪い。
魔女と戦い命を落とすのか、戦いの果で魔女になるのか。
その「真実」を知った魔法少女たちは自らの輪廻の理からの解放を願っている。

1期を見たのが2年近く前だったせいもあって、
マギアレコードのキャラの印象はほとんどないがゆえに、
「まどかマギカ」のキャラが出るだけでテンションが上ってしまう。
真実を知った「まどか」と「さやか」、知っている「ほむら」。そしてQB。

私達が求めていた「まどかマギカ」の雰囲気を全開に1話から感じられる。
この理不尽な世界、ギスギスしたキャラ同士の会話、
緊張の糸が常に途切れる寸前まで張り詰めたような雰囲気と会話劇が
シャフトらしい演出で彩られる。

「まどかマギカ」本編と違うのは「ドッペル」という救済システムの存在だ。
そんなシステムを知り、彼女たちはどう選択するのか。
まどかを救いたい「ほむら」にも新たなる選択肢が目の前に現れる。
マギアレコードの主人公そっちのけで彼女たちがこの世界で、
マギアレコードの世界で何を選択するのかのほうが気になってしまう

悩むさやか、足掻くほむら、そしてそこに居る「まどか」という主人公が
主人公らしい行動をしてくれる。悩みながらも、苦しみながらも、彼女は主人公だ。

「魔法少女になんかなっちゃったけど
みんなと一緒なら、後悔なんかしない」

彼女のそんな言葉に本編を知っているからこそ、涙腺を刺激されてしまう。
彼女は自分自身の選択を後悔してこなかった。
だからこそ主人公として存在する。

1話の作画だけは本当に素晴らしく、
各キャラの変身シーンから戦闘シーンまでよく動き、
みんなで助け合い、手を取り合いながら戦う様が自由だ。
「魔法少女まどかマギカ」では在り得なかった3人の共闘、
それだけで感動できてしまう。

そんな彼女たちがマギアレコードの舞台である
「神浜市」にマミを救うためにやってくる。
物語が絡み合い、つながる。

やちよ

彼女は「生き残る」ことを願った魔法少女だ。
だからこそ、彼女のそんな願いとは裏腹に自分の周りにいる
友達や仲間が死ぬゆく光景を何度も見ている。
「いろは」とは約束したはずだった、だが、そんないろはが
生死不明の行方不明になってしまったからこそ彼女は暴走する。

頑なにマギウスを拒否し、かつての友を拒否し、
ときにはそんな友を殺す一歩手前まで追い込まれる。
だが、そんな彼女が「自分と向き合う」ことを選ぶ。
もうだれも犠牲にしたくはない、かつての選択を後悔せず、
一歩前に進む覚悟をする。

1期では感じなかった彼女の魅力が2期ではきちんと感じられ、
同時に1期の1話以降姿を見せなかった「黒江」が動き出し、
ドッペルの真実や物語の謎も少しずつ明らかになっていく。
妹の存在、妹と一緒の病院に入院してた二人の少女、
そんな二人の少女が作り出した「噂」。

そしてドッペルという魔女にならない上に魔女の力を使えるシステム。
だが、そんなメリットしか無いシステムはこの作品の世界観らしくない。
強い依存性による自我の喪失とも言える現象が起こっている。

ドッペル?

ただ、この「ドッペル」自体はデメリットがあるとはいえ
救済システムであることは間違いない。
ソウルジェムがにごりきってしまえば魔法少女は魔女になってしまう。
ドッペルシステムを使えば精神的なデメリットはあれど、
魔女になるまでの時間稼ぎができる。それは真実だ。

そして2期の中盤でもう1つのデメリットが明かされる。
ドッペルは強い力であり、魔女になるのを防ぐことができる、
だが、ドッペルの力を使えば使うほど、魔女にならないように
ドッペルでソウルジェムの濁りを発散させればさせるほど、
ドッペルが魔法少女の人格を乗っ取ってしまう。

この真実に主人公は漠然と「否定」するものの、
他の解決策は一切提示せずに、ドッペルにはなるのはダメだ、
ドッペルに頼ってはいけないと言い放つ。
しかし、魔女になる寸前の魔法少女は魔女になるか、死ぬかしかない。
そんな状況でドッペルはデメリットはあれど魔女になるまでの時間稼ぎができる。

主人公の仲間がドッペルの使いすぎでドッペルに飲み込まれたりするものの、
ドッペルを使わなければそもそももっと前に魔女になっていたはずだ。
漠然と否定することしかせず、解決策は一切提示しない。
感情論だけで否定しているだけだ。

ドッペルシステムがなければ、今までと同じように魔女を借り続け
グリーシードを手に入れるしか無いうえに、いつか限界は来る。
少なくとも問題はあれどドッペルシステムは一時的な延命処置のようなものだ。
それを感情論で否定する主人公にどうにも感情移入できず、
物語の謎も明かされそうで明かされない。

場面転換

まどか達一行も各話でちらっと動向が描かれるものの、
なかなか合流してくれず、マミさんは1期最終話以降姿すら見せない。
人口魔女やマギウスの本当の目的などもよくわからないままであり、
1期では明らかにならない謎が気になりはしたものの話にはついていけたが、
2期では話についていけなくなっていく。

そもそも主人公は妹の行方を探していたはずだが、
そんなことはすっかり忘れている。
物語自体は盛り上がっていることは分かるが、
その盛り上がりについていけない。

同時に展開している話があまりにも多く、
主人公は昔なじみの二人に会いに行こうとしている中で、
人口魔女が覚醒し、ワルプルギスの夜がやってきて、
杏子は杏子でグリーシードを盗み出していて、鶴野はなんか知らないが
闇落ちみたいになっていて…と色々なキャラが色々な場所で色々なことをしている。

キャラの多さが場面転換の多さにつながっており、
それが余計にストーリーについていきづらくしてしまっている。
そのせいでキャラの掘り下げや心理描写もおろそかになってしまっており、
別にいらないんじゃないか?と思うキャラも多い。
名前すら知らないキャラがいきなり出てくることも有る。

ソシャゲ原作アニメ特有のキャラの多さに作品が振り回されている

だんだんと話も作画も雑になってくる。
全8話という構成、本来なら3期にあたる部分も2期でやるはずだったのかもしれない。
シャフトはもともとスケジュール問題を抱えている制作会社だが、
そんなスケジュールの都合をひしひしと感じてしまう。
特に中盤からはアップの絵が多かったり背景をうつしたりと明らかにごまかしている。

話もどんどん雑になっていく。
いろいろな状況が色々なところで同時に起こっており、
場面転換しまくりながら見せるためゴチャゴチャしたストーリーになっており、
終盤はそこに「まどか達」も絡んでくるため余計にごちゃごちゃする。

マギウスのやり方も問題だが、主人公たちは最後まで
一切、他の解決手段を提案しない。ワルプルギスの夜がそこまで迫ってる。
本編では最大の脅威だった存在をどうするのか。
少なくともマギウスは人口魔女でワルプルギスの夜を食おうとしている。

杏子は彼女たちに問う。
「ソイツがワルプルギス食ったら、本当に魔法少女をどうにかしてくれんの?」

ずーっと思っていた疑問だ。
しかし、「マギウスの主張なんて興味ないわ。」と否定してしまい、
それ以上の言及はない。
結局、妹の行方もわからぬまま、マギウスの計画も本当なのかわからぬままだ。

極めつけは雑なマミさんの扱いだ。
終盤で出てきたかと思えば、彼女の心の闇や
それに対する答えや解決策も提示しないまま、
さやかが1刺ししたら正気に戻って終わり、まどか達は自分たちの街に帰ってしまう。

3期で解決する部分もあるのかもしれないが、
「まどか達」の出し方やマミさんの扱いなど、
あくまで「魔法少女まどかマギカ」ファンに向けたサービスにしかなっておらず、
むしろ彼女たちが出ないほうがストーリーがスムーズに進んだのでは?と思うほどの雑さだ。

原作ゲームをやっていないと特に思い入れもない
「鶴野」というキャラの救出劇に尺をとられてしまい、
続きは3期でという要素が非常に多すぎだ。

総評:前作キャラが客寄せパンダ

全体的にみて序盤こそ1期から出し惜しみした「前作キャラ」の登場や
物語、やちよのキャラクター描写、そこからの主人公救出劇と面白い部分があったのだが、
話が進んでくるとどんどんといろいろな部分が雑になっていく。
キャラクターの心理描写、ストーリー構成、作画、キャラの扱い。
とうてい全8話ではさばけない話とキャラをなんとかさばこうと必死だ。

物語の謎も明かされた部分もあるものの、明かされてない部分も多い。
行方不明の妹は行方不明のまま、
マギウスの計画が進行すれば本当に魔法少女は救われたのか?と
気になる所も多いが、主人公たちがそれに触れない。

そのせいでマギウスの計画に問題は有るものの、
彼女たちなりに自分たちの理想に向かって行動しているだけに、
それを感情論で否定する主人公達がどうにもよくわからない。
魔女にならない方法、魔法少女のシステムからの脱却を
彼女たちが示しているわけでもない。

まどか達やマミさんの扱いも雑の極みであり、
「彼女たちが出る」のを期待するファンも居て、
それが宣伝になるのは分かるものの、きちんと使いこなしておらず、
客寄せパンダにしかなっていない感じの作品だった

個人的な感想:うぅーん

1話から4話くらいまでは面白さを感じていたのだが、
5話あたりからはどうにも雑な部分が目立ってしまい、
更には場面転換の多さもあって話についていきづらい作品だった。
原作をやっていれば分かる部分もあるのかもしれないが、
これでは原作をやろうとも思えない。

3期、残り4話でどうストーリーが展開するのかはわからないが
すっきりと終わってほしいところだ。

「マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON -覚醒前夜-」は面白い?つまらない?

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  1. 匿名 より:

    ソシャゲ憎しで叩きたいためだけに書いたのかというくらい酷いレビュー。
    しかしながらアニメ版だけを視聴し、「まどマギの世界はこうでなければ!」など思い込みを前提とした上で期間を開けた視聴をしたならこう思った視聴者もいたのではという視点でもある。
    つまりは、ソシャゲ版をプレイしたユーザー向けのファンディスク的なアニメだと思う…。
    ただ「思う」と言葉を濁したのは、アニメ版の結末が原作ゲームとはあまりにかけ離れているため、ソシャゲ版のファンですら、これは失敗した別エンド、めちゃくちゃすぎるなど意見が二分するものだからである。
    その意味では受け手次第ではマギアレコードファンとしてもなんとも中途半端になってしまった感が残念。