「えんどろ~!」レビュー

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ファンタジー
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評価 ★★★★☆(66点) 全12話

あらすじ 剣と魔法の大陸ナラル島には、人々とモンスターが共存して暮らしている。しかし、そこに恐ろしい魔王がいた。引用- Wikipedia

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エンドロールのその先に

本作品はTVアニメオリジナル作品。
アニメに先駆けコミカライズなどメディアミックスも展開された。
監督はゆゆ式などでおなじみのかおり、制作はStudio五組。
キャラクターデザインは「ゆるゆり」でおなじみのなもり。

世界の半分をやろう!


画像引用元:えんどろ~! 1話より
©ERP/えんどろ~製作委員会!

1話からクライマックスだ。
勇者と思われる少女達が魔王と戦い、魔王が彼女たちを誘惑する。

「その力余のために使うなら世界の半分を与えてもよいぞ勇者よ」

古いRPGで見たことのある台詞、そんな台詞からこの作品は始まる。
世界の半分をもらったところでどうなるのかはともかく、
当然、勇者は勇者であるがゆえにそれを否定し、ラストバトルが始まる。

ゆるゆりの「なもり」が手掛けたキャラクターデザインは
非常に可愛らしく、そんな可愛い女の子が魔王らしい魔王な敵と
戦うさまはちょこちょことよく動いており、
小さい体で魔王に立ち向かうさまがダイナミックな戦闘シーンの
面白さを生んでいる。

勇者たちは魔王を倒すために「禁断の魔法」を使う。
魔王を次元の彼方へと屠る魔法、そんなえげつない魔法で
彼女たちは魔王を倒すことが出来た。

めでたしめでたし。

エンドロールのその先に


画像引用元:えんどろ~! 1話より
©ERP/えんどろ~製作委員会!

と、ここで終わらないのがこの作品だ(笑)
正義が悪を打倒し、魔王は消え去り、平和が訪れてエンドロールが流れる。
本来ならココで終わる、しかし、この作品はここからはじまる。

勇者たちが使った禁断の魔法は禁断であるがゆえに危険だ。
失敗すれば暴走の可能性がある。そんな魔法を彼女たちは「失敗」し、
暴走した結果、時間が巻き戻ってしまっている。
「魔王」だけが記憶を保持し、「魔王」は同じ過ちを繰り返さないために
ユーシャを勇者にさせないために奮闘する。

彼女たちの先生となり、試練を与え勇者にならないように努力する。
だが、空回りをしつづける。
勇者にさせないように画策したり、パーティーの仲を悪くしようとしたり
色々と画策するものの、結果的に運命の歯車が彼女を勇者にし、
パーティーの仲はより強固なものになってしまう。

そんな魔王の悲哀と勇者たちの軽いノリがギャグになっており、
「ファンタジー世界」での魔王と勇者の日常ものという
この作品ならではの面白さを築き上げている。

因果


画像引用元:えんどろ~! 3話より
©ERP/えんどろ~製作委員会!

この世界は魔王と勇者の因果にとらわれている。
「魔王が勇者を倒し、世界に平和が訪れる」そんな展開を
魔王も勇者も999代目になるまで続いており、
魔王は時間がたてば何処からともなく現れ、勇者も同じように現れる。
永遠と魔王と勇者の戦いが続いている。

そんな因果、常識、固定観念ともいえるものに
彼女たちも囚われている。
勇者達は魔王を倒すべく冒険者になろうとしており、
魔王は勇者たちを妨害しようとしている。
長年続く因果が彼女たちの行動につながっている。

そんな設定の中で彼女たちのゆるくて軽いノリの
ドタバタ日常が描かれつつ一人一人のキャラクターを掘り下げている。
勇者たちの4人のパーティーは全員がボケのような状態であり、
そんなボケボケな彼女たちの行動を魔王が冷静に突っ込むことで
ギャグとして成立させている。

そんな自由にボケまくる勇者たちに魔王は呆れてしまう。
同じように歴史が繰り返すかもしれない、勇者達に振り回されたくない、
魔王自身が何をしても、結果的には同じような運命でまた時間が
巻き戻ってしまうかもしれない。

だからこそ魔王は変化を求めた。違うルートへと自らの意思で進む。
それは魔王をやめるという選択だ。
魔王である自分自身が魔王にならなければいい。

魔王であった「マオ」が魔王をやめるという選択、
それが果たして許されるのか?別の魔王が現れるのではないか?と
見ている側に色々と考えさせつつ、
ゆるい日常の中で先が読めない展開が気になって仕方なくなってくる。

クエスト


画像引用元:えんどろ~! 4話より
©ERP/えんどろ~製作委員会!

本当に序盤から中盤はゆるい。
RPGの王道である「クエスト」を繰り返しながら、
彼女たちは徐々に強くなる。
ときには猫探し、ときには邪神を倒し、お姫様と出会ったり、
彼女たちは「勇者」としての活躍をゆるいながらも続けていく。

そんな彼女たちの姿を「マオ」もまたゆるく見つめている。
なぜならば彼女は魔王をもうやめたからだ。
彼女たちが伝説の剣を手に入れ、邪神を倒すほど強くなり、
本物の勇者と姫に認められても関係ない。

彼女は魔王になるために生まれ、魔王としての教育を受け、
魔王として行動をしてきた。そうなる運命だった。
しかし、それゆえに孤独で空虚だ。
「魔王」としての役割を自分から求めたわけではない。

記憶を持ったまま過去に戻り自由な勇者に振り回され、
魔王であることすら捨てたことを「自分の意志」で選んでいる。
自分の意志で選んだからこそ自由で楽しい、
定められた運命ではなく自由な自分の意志による選択と暮らしだ。

魔王であった頃の彼女より、彼女は生徒や同僚にかこまれ楽しそうだ。
自由すぎる勇者たちに影響され、彼女も自由なマオになっていく。
だからこそ、彼女は自らの意思で魔王になることも選ぶ。

生徒たちの成長を際すために、先生として、
自らの意思で魔王になる姿と、勇者である生徒たちの姿、
そんな姿に「勇者に助けられる姫」であった姫も、
自分の運命や与えられた役割から解放される。

魔王だから魔王ではない、姫だから姫ではない。
彼女たちの与えられた役割からの脱却がこの作品では描かれている。
この作品に出てくる誰もが良い子だ、そんな良い子たちだからこそ
彼女たちの日常が微笑ましく、彼女たちが自由になる姿に
涙腺を刺激されてしまう。

優しい世界がこの作品には広がっている。

記憶


画像引用元:えんどろ~! 11話より
©ERP/えんどろ~製作委員会!

終盤で一気に物語が進む。彼女たちは思い出してしまう。
勇者たちが忘れていた記憶、そして過去に戻ってやり直したという記憶、
彼女たちが忘れていたはずの記憶が蘇る。
思い出したからこそ彼女たちは使命に燃える

「なら倒さなきゃ!だって私は勇者だから!」

彼女は勇者なユーシャだ。それは変わっていない。
魔王であったマオが自ら魔王であることやめ自由を謳歌し、
ローナ姫は姫としての立場で勇者に救われるだけの存在であることをやめ
彼女の友人となった。
だが、ユーシャは勇者だ。記憶を思い出したからこそ、より使命に燃える。

そんな彼女を見てマオも決意する、これは矜持なのだと。
彼女たちに正体を明かし、魔王らしく姫をさらう。
魔王と勇者の戦い、定められた運命。

エンドロールのその先へ


画像引用元:えんどろ~! 12話より
©ERP/えんどろ~製作委員会!

マオが魔王であることを知り、ユーシャは悩む。
勇者として姫を助けるために魔王と戦わないといけない、
だが、彼女たちにとっては魔王であると同時にマオ先生だ。
色々なことを教わり、楽しい日々を過ごしてきた先生だ。

だからこそ使命に悩む。
勇者だからこそ魔王と戦わないといけない、でも、戦いたくない。
そもそも自分はなぜ勇者になりたかったのだろうか。
彼女たちは自身に課せられた宿命に悩み、そして答えを出す。

かっこいいから勇者になりたかった、
みんなに楽しく笑っていてほしいから勇者になりたかった。
そんな彼女だからこそ出した答え。

彼女たちが自由で自らの意思で答えを選んだからこその結果。
ちょっとおバカで軽いノリで自由すぎる勇者が呪文を失敗したからこそ
運命が変わった、偶然が奇跡に繋がり、
その奇跡を今度は自分たちの意思で手に入れる。

誰も不幸にならない、誰もが幸せになれるハッピーエンド。
エンドロールのその先にあった本当のエンディングで
この作品の幕は閉じる。

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総評:ロールと言う概念の向こう側


画像引用元:えんどろ~! 12話より
©ERP/えんどろ~製作委員会!

全体的に見て綺麗にまとまっている作品だ。
魔王による過去改変が描かれるかと思いきや、
この作品は「役割」からの解放を描いている作品だ。
世界観の設定、そこから生まれるストーリーと役割を与えられるキャラ、
そんな役割を与えられたキャラクターたちが自らの役割から解放される。

マオは魔王であることをやめる、自由な勇者たちのように自由に、
ローナ姫は攫われるだけの姫であることをやめる、
友として彼女たちと仲良く過ごすために、
ユーシャは勇者であることをやめる、誰もが笑顔になれる世界のために。

それぞれが世界から、ストーリーから、はては創造主から
与えられた「役割」があり、それに縛られてきた。
そんな彼女たちが自身の役割=ロールをエンドするための物語だ。
魔王が魔王をやめ、勇者が勇者をやめる。物語と言う名の宿命、
運命からの解放のストーリーがきちんと描かれている。

そんなストーリーに説得力が生まれているのは
きちんとしたキャラクター描写があるからだ。
勇者パーティーたちの軽く、ちょっとおバカで明るいノリ、
そんなノリにバカバカしさを感じてしまう魔王に同情し、
彼女たちと純粋に友だちになりたいという姫に感情移入してしまう。

関わってるスタッフ、監督やキャラクターデザインが
「なもり」さんであるがゆえにいわゆる「きらら系」や
「ゆるゆり」のような雰囲気がありつつ、
キャラクターの可愛さと掛け合いを楽しませつつ、
しっかりとしたストーリーで魅せてくれる作品だ。

個人的な感想:ゆるーくやさしくあかるく


画像引用元:えんどろ~! 1話より
©ERP/えんどろ~製作委員会!

予想以上にしっかりとした作品だった。
序盤からノリが軽くギャグも多く、そのノリや雰囲気が壊さずに
シリアスなストーリーも展開しているのに重すぎない。

キャラクターたちの取った選択も納得できるキャラ描写があり、
やや「あのドラゴン」がご都合主義すぎる存在であることは
否めないものの、見終わった後にすっきりとした1つの作品を見終わった
余韻を残してくれる作品だ。

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