「天狼 Sirius the Jaeger」レビュー

評価 ★★☆☆☆(38点) 全12話

あらすじ 昭和初期の東京。闇の世界で吸血鬼(ヴァンパイア)を狩るために、吸血鬼狩りのスペシャリスト集団「狩人」が来日する引用- Wikipedia

1クールに詰め込みすぎだ

本作品はPA.WORKSによるTVアニメオリジナル作品。
監督は安藤真裕。配信はNetflix独占となっており、
アメリカで開催された「Anime Expo 2018」で先行上映されるなど、
やや海外を意識した作品になっている。

キャラクターの多さ


引用元:© Project SIRIUS/「天狼 Sirius the Jaeger」製作委員会

見出して感じるのはキャラの多さだ。
1話の3分くらいの段階で7人くらいのメインキャラがドバっと出てくる。
その7人だけで物語が描かれるなら問題なかったかもしれないが、
話が進めば進むほどキャラが増え総勢20人を超えるキャラクターが出る。

1クールの尺の作品としてはこのキャラ数はやや過剰であり、
そのキャラクターをさばききれておらず、
一人ひとりをきっちりと描写できているとも言えない。
キャラクターデザインはよく「印象」には残りやすいのだが、
多くのキャラクターを掘り下げる尺が根本的に足りていない。

特に序盤の「ヒロイン」の描写はややついていけない部分がある。
一目惚れでグイグイ主人公に迫っていき、
余計なことに首を突っ込むタイプのヒロインであり、
彼女に関しては好みの分かれる部分だろう。

三節棍アクション


引用元:© Project SIRIUS/「天狼 Sirius the Jaeger」製作委員会

この作品の主人公は戦闘の際に「三節棍」を用いる。
戦闘シーンはキビキビと動き、そのキビキビとした気持ちのいい動きの中で、
三節棍を使った戦闘シーンは新鮮であり、
敵の攻撃が三節棍にあたった際の「音」にもきっちりこだわってるからこそ、
戦闘シーンが面白い。

いわゆる「人体破損」描写もあり、軽快な動きと「夜」という
シチュエーションの中で真っ赤な血が飛び散る様は美しく、
「吸血鬼」という要素のある作品できちんと、
血を映えさせるための演出になっている。
ただ人体破損といっても、そこまで「グロ」さを感じるものではない。

この当たりは好みが分かれる描写であり海外配信も考えて、
やや抑え気味になってる部分もあるのかもしれないが、
ここまで「破損」しているならば、抑えて絵がなくても良かったのでは?
と感じる部分もあり、やや淡々としたストーリーだからこそ過激な部分が
もう少し欲しかったところだ。

良く言えば王道、悪く言えば地味


引用元:© Project SIRIUS/「天狼 Sirius the Jaeger」製作委員会

設定的にあまり新鮮に感じる部分は少ない。
昭和初期の日本という舞台設定はやや新鮮であるものの、
根本的にはアニメでもよく出てくる「吸血鬼モノ」であり、
この作品だからこそという設定はあまりない。

ストーリーも序盤は特に淡々としている。
戦闘シーンこそ派手に動くものの、ストーリー自体の盛り上がりが薄く、
ゆっくりとしたストーリー展開になっており、
それ故に地味さが目立つ。

同時期に放映されるアニメの作品数が増え、いわゆる「3話切り」される
作品も多い中で、この作品は丁寧に描きすぎているがゆえに
序盤はなかかなかストーリーが盛り上がりそうで盛り上がらない感じが強い。

設定の多さ


引用元:© Project SIRIUS/「天狼 Sirius the Jaeger」製作委員会

話としては吸血鬼モノなのだが、付随する設定が多い。
主人公は「人狼」だったり、フランケンシュタインが出てきたり、
肝心の吸血鬼たちは病気が流行ってたり、
舞台の日本の人物は完璧に巻き込まれただけだが、
武士の生き残りみたいなのがテロ行為を行っていたり.と盛りだくさんだ。

正直、盛りすぎだ。
特に「日本」が舞台だからこそ日本人のキャラや組織も多く出ているが、
メインストーリーに対しての必要性は薄い。
2クールなら活かせた設定やキャラも多かったかもしれないが、
1クールと言う尺の中では活かしきれていない設定や、
掘り下げきれていないキャラクターが多い。

主人公だけでも吸血鬼への復讐や、吸血鬼になってしまった兄の存在、
主人公の一族に伝わる「天狼の匣」と呼ばれるものの存在と、
1クールの尺では十分すぎるほどの設定があり、
2クールか4クールくらいを想定したような設定が
残ってしまっているような感じだ。

あっさりと死ぬキャラ


引用元:© Project SIRIUS/「天狼 Sirius the Jaeger」製作委員会

重要そうなキャラやインパクトのあるキャラがあっさり死ぬことが多い。
散々主人公を煽って強キャラ感を出しておきながら、
びっくりするほどあっさりと死んでしまうキャラも居る。
1クールという尺の中で20名以上のキャラを出しているため、
仕方ない部分もあるのだが、やや拍子抜けするほどあっさりだ。

せっかく戦闘シーンの質は高く、よく動くアクションは見ていて面白いのに、
その戦闘シーンの盛り上がりの末に死ぬというよりは、
「あ、死んだ」という感じのあっさりさだ。
キャラクターの死というのは本来、ストーリーの盛り上がりところなのだが、
その盛り上がりがあっさりしてしまっているのは残念だ。

シリウスの匣


引用元:© Project SIRIUS/「天狼 Sirius the Jaeger」製作委員会

物語の中核にあるのはシリウスの匣というものだ。
これは超絶便利アイテムであり、何でもできるようなのだが、
作中で何でもできる様子が描かれない。

終盤ではお約束のごとく敵が「匣」を手に入れるものの、
結局は大暴走するところまではお約束ではあるものの、
敵も「匣」をきちんと使っては居ない。
最終的には主人公が「匣」を手に入れるものの結局は使わずに
持ってるだけで終わってしまい、モヤモヤっとしたものが
残ってしまった。

総評:ワンクールでは王道の面白さには至らなかった


引用元:© Project SIRIUS/「天狼 Sirius the Jaeger」製作委員会

全体的に見て丁寧に作られている作品だ。
戦闘シーンのキビキビしたアクションや血の描写は素晴らしく、
キャラクターデザインも魅力的だ。
だが、1クールの中では使いこなせていないキャラと設定の多さは致命的であり、
これが2クールか4クールなら活かせてた部分もあるかもしれないが、
1クールの中では無駄な設定やキャラが多い。

ストーリー自体のやりたいこと、描きたいことは分かる。
丁寧に作られているがゆえの淡々とした感じや地味さもあり、
話自体は決してつまらないわけではなく最後まで見れてしまうのだが、
やりたいことを全部やろうとして、
結果的に全部中途半端になってしまった感じが否めない。

1クールではこの作品の本来の魅力を発揮しきれずに終わっており、
せめて分割でもいいので2クールで描かれれば、
もっと素直に面白さを感じられたかもしれないだけに、
もどかしさや惜しさみたいなのをひしひしと感じてしまう作品だった。

個人的な感想:三節棍を貫いてほしかった

引用元:© Project SIRIUS/「天狼 Sirius the Jaeger」製作委員会

1話での「三節棍」アクションは非常に魅力的だったのだが、
最終話で刀を使いだしたときはものすごい残念だった(苦笑)

じゃじゃ馬お転婆なヒロインも結局は
主人公的にどうでもいい感じになってしまい、
吸血鬼娘に乗り換えるのかと思いきや、どっかへ行ってしまいと、
最後まで主人公以外のキャラの使い方が下手な作品だった。

いわゆる「兄弟愛」的な描写も多いので
女性向けも意識した上でのヒロインの描写なのかもしれないが、
それならば最初からヒロインを出さなければよかったのでは?と
思うところもありと色々とやはり中途半端だ。

昭和初期の雰囲気やキャラクターデザイン、
アクションシーンは良かっただけに1クールに
強引に押し込めたようなストーリーだけが本当に残念だった。

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