評価 ★★☆☆☆(39点)
あらすじ 「渋谷事変」を経て、夏油 傑(加茂憲倫)により呪霊が蔓延る魔窟と化した全国10の結界(コロニー)。 引用- Wikipedia
本作品は呪術廻戦3期の1話から5話までのレビュー。
監督は御所園翔太、制作はMAPPA
ネットでの評判が賛否両論を産んでいたため、
3期5話まで気になってみてしまったレビューとなる。
戦闘
私は先行上映版のほうで序盤の1話と2話は見ている。
そのときも感じたが「暗さ」が3期ではかなり顕著だ。
1期、2期をへてシリアスな状況であることは間違いなく、
そのため、画面が暗くなるのも致し方なしではあるのかもしれないが、
明らかに1期や2期に比べて露骨に画面がくらい。
3期の1話でも「光」 というものを相当意識しており、
禪院家が集う狭い部屋の中で揺れる「明かり」にあわせて影も揺れ動く。
暗さを強調させたからこそ光も強まる。
そういった「演出」をかなり強めている印象だ。
ハイスピードな戦闘シーンはMAPPAらしく、ダイナミックなカメラワークで
ド派手なエフェクトを飛ばしまくる。いわゆる原作改変も多い。
3期の1話では「禪院直哉」がさりげなく髪をかきあげるシーンを入れたり、
いい意味での原作改変も行われている。
ただ、迫力のある戦闘シーンを作り上げている一方で、
その作画がすごすぎる性もあって逆にわかりづらくなっている。
特に3期の2話で高速で動く禪院直哉の動きは早すぎて逆によくわからず、
戦っている相手の技である「超新星」もなにをやっているかがわからない。
アニメーションとは動きを見せるものだ、
だが、アニメは動きだけではない。
「止め」もきちんと見せることで、メリハリが生まれる。
そのメリハリを意識せずにひたすら「動」かしている印象だ。
そのせいで止めの印象が薄く、決めシーンの決め、見得が生まれていない。
会話
会話シーンでの演出、カメラワークはところどころ気になってしまう。
3期のOPでは名作アニメや名画など、様々なパロディが含まれており、
そんなパロディや演出のクセの強さはどことなく、
あの「チェンソーマン」の1期を彷彿とさせる部分がある。
3期の3話では「死滅回遊」に関する説明があり、
これに関しては致し方ない部分もある。
「死滅回遊」自体がかなりややこしいルールであり、
パワポでも使ったかのような解説はわかりやすくはある。
簡単に言えば人類補完計画のようなものだが、ややこしい。
封印された五条悟の解放、羂索の計画の阻止、天元の守護、
天使という存在の保護、停学中の3年と会うなど、やることも多い。
そのやることの説明をしている3期の3話は
逆に演出的なとがりもなく、見やすい。
原作改変
ただ、3期の4話になるとまた演出の癖が出てくる。
このあたりはSNSでも原作との比較が目立ち始めたが、
原作では顔のアップになってるシーンも
あえて「引き」の絵になっているようなシーンが多い。
原作とは同じシーンでも構図、見せ方が違う。
そのせいでより原作との比較、原作改変という声が大きくなり、
この3期の4話以降は特にそれが顕著になっていく。
漫画は漫画、アニメはアニメ、原作とは媒体が違うからこそ
表現の変化が生まれるのは当たり前だ。
なにもかも原作通りにやるのは異様であり、
原作の構図もそのままアニメでやればただの色のついた紙芝居でしかない。
原作のニュアンスを読み取り、アニメーションという表現方法だからこその
表現を模索することはアニメにするうえで必要なことだ。
ちょっとした構図の違いに関しては、私自身は特に問題に感じなかった。
だが、露骨に「引き」の絵や露骨に顔のアップを避けるようなシーンが
3期ではかなり目立つ。
原作では説明が入っていた部分も説明を入れていないせいで、
原作を読んでいないとわかりづらい部分もかなり多くなっている印象だ。
あえてそういう説明セリフを削って
アニメーションとして表現しようとしているのはわかる。
だが、そのせいでキャラの心理描写やシーンとシーンのつなぎが甘くなっている。
3期の4話などは覚醒した真希による「キルビル」パロディを
製作がやりたかったのはわかる、わかるが、
たった1話で禅院家崩壊までを描くのは圧縮しすぎだ。
アニメーションという技術としては面白く、
覚醒した真希の戦闘シーンはシンプルに見ていて面白いのだが、
演出過多がどんどん目立っていく。
ロトスコープ
特に3期の5話はかなり厳しいものがある。
主人公である虎杖悠仁と秤、この二人が会話をするのだが
ワンカットの5分ほどの長回しだ。
専門的な言葉を使わないならカメラの角度を一切変えず、
同じ構図、同じ視線で二人が会話し続けるさまを5分ほど写している。
カメラを固定して5分間同じ映像を撮っているようなものだ。
ズームなども行われない。
非常に細かく二人が動きながら会話をしているというのは興味深くはある。
これは「ロトスコープ」で制作されており、
実写の映像をトレースしてアニメーションにしている技術だ。
ロトスコープ特有のぬるぬる感、それを会話劇に用いるのは
たまにあるのだが、それが効果的に作用しているとはいい難い。
戦闘シーンになっても固定でロトスコープでやるのは
ちょっとやり過ぎ感があり、戦闘シーンの演出にしろ、
会話シーンの演出にしろ、あまりにもクセが強い3期になってしまっている。
総評:演出のクセのせいで賛否両論に
全体的に見てあくまでも3期の5話までの評価ではあるものの、
1期や2期に比べて明らかに演出のクセは強くなっている。
2期の時点からところどころ、そのクセの強さは感じていたが、
3期はそれがより顕著になり、それゆえに原作との比較も
欠点としてSNSで騒がれてしまっている印象だ。
原作と違うということ自体は私個人としては欠点にはならないが、
「違ってもいい」が「わかりづらく」なっているのは悪手でしかない。
死滅回遊に関する説明はかなり丁寧にやっていたが、
そこ以外のキャラの細かい描写や技などの設定の解説など、
明らかに削られてしまっている部分が多く、さらっと流されるようなシーンが多い。
禪院直哉戦での演出などは個人的には好意的に受け入れられたが、
その一方で虎杖悠仁と秤の5分ほどのロトスコープでの会話は
個人的には受け入れがたい演出だ。
こういった演出の数々を呪術廻戦3期でMAPPAは試そうとしているのかもしれないが、
今後も賛否両論な作品になることは間違いなさそうだ。
個人的な感想:賛否両論
原作は原作、アニメはアニメで私は原作改変に関しては賛成派だ。
ぶっちゃけ面白ければ原作で死んだキャラが生きててもいいし、逆も然りだ。
原作通りにやることがアニメでは正解となっている今の時代を
私はあまり好ましく思っていない。
だからこそ原作を改変するという事自体は否定的ではないものの、
それでも受け入れがたい部分がちょこちょことあり、
シーン単位で私陣の中でも賛否両論が起こってしまっている。
これだけ大人気な作品であえて原作通りにやらず、
MAPPAらしさを貫き通す流れ自体は称賛したいものの、
今後、この賛否両論、炎上の流れが加速していかないかが心配だ。




