アクション

「グレイプニル」レビュー

3.0
アクション
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評価 41点 全13話

あらすじ 加賀谷修一は、自身も知らない内に犬のぬいぐるみに似た「バケモノ」に変身する能力を得た高校生。引用- Wikipedia

惜しまれるB級アニメ

原作はヤングマガジンサードで連載中の漫画作品。
監督は米田和弘、製作はPINE JAM

普通


画像引用元:グレイプニル 1話より
©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会

この作品の主人公は普通を求めている。
クラスメイトに馴染み、特別な何かになることを求めず、
「自分」は居なくてもいいと思うほど、何処か寂しさすら感じさせる。
自分よりも他人を優先し、自分というものをどこか俯瞰的に見ている。
そんな無特徴とも言える主人公を淡々と見せる。

彼の中には「怪物」がいる。
故に普通であろうと、自分を捨てさろうとしている。
彼は変身できる、きぐるみに(笑)

非常にうまい見せ方だ。普通すぎて無個性ともいえる主人公を見せた後に
そんな彼がなぜか田舎の遊園地のマスコットキャラのような
「きぐるみ」に変身できる能力を持っている。
自分でも何故そんな能力を持ってしまったかはわからず、
そんな能力を持っていることを同じ学校の女子にバレてしまう所から物語が始まる。

なぜ主人公は変身能力を得たのか、彼女の持つコインは何なのか、
そのコインを狙ってやってくる敵の目的は何なのか。
1話でしっかりと謎を明示し、ストーリーへの期待感を強める。

懐かしさ


画像引用元:グレイプニル 1話より
©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会

この作品はどこか懐かしい雰囲気がある。
10年前のセクシーアニメ全盛期の頃の作品のようなセクシーシーンが多く、
「下着」の描写はかなり多い。
主人公も「きぐるみ」であるがゆえに中に人を取り込むことができる。

空っぽなきぐるみの主人公の中にヒロインが入ることで
自分がない、中身のなかった主人公がヒロインという中身を得ることで
本当の力で戦うことができる。
大胆に動き回る戦闘シーン、殴り合い、暴力的表現や血液の表現も多い。

10年前にやっていたセクシーとバトルとグロ、そんなあの頃の
アニメのノリを感じさせる懐かしい「B級アニメ」だ。
自分の意志ではなく、殺人を犯してしまう主人公の罪悪感、
平気で人を殺すヒロイン。

主人公とヒロインのキャラクターを序盤できっちりと際立たせている。
姉の行方を求めてるヒロインと自らを探す主人公。
ある意味での共存関係になった二人の関係性がきっちりと序盤で築かれる。

パワーダウン


画像引用元:グレイプニル 3話より
©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会

ただ序盤をすぎるとややパワーダウンしてしまっている。
早々に行方不明になっていた姉とも再会し、ある程度の謎は分かってしまう。
コインの謎、主人公があんな姿になってしまった理由、
断片的に描かれてる部分はあるものの、ある程度の情報が分かる。

コインは宇宙人のものであり、宇宙人は人間に集めさせている。
「100枚」のコインを集めればさらなる力を手に入れることもできる。
中盤からはコイン集めが物語の主軸となり、
他の能力者との戦いが基本となってくる。
いわゆる「デスゲーム」「バトルロイヤル」的なストーリー展開になっていく。

ただ、そうなっていくとキャラクターが必然的に増える。
使い捨てのような敵キャラも多く、トントン拍子に仲間が増えていくものの
いまいちその過程が丁寧に作られてるとは言い難い。
1度でたら、ほとんど出番のないキャラクターも多く、
キャラクターを使い余している感じが強い。

小競り合い


画像引用元:グレイプニル 5話より
©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会

どうでもいい敵が大量に現れ、どうでもいい小競り合いが行われる。
ヤンキーの縄張り争いのような話は特に面白みがない。
メインストーリーから脇道にそれるようなストーリーになってしまい、
だらーっとしたストーリーはテンポの悪さを感じさせる。

100枚集めれば更なる力を手に入れられることは分かってるものの、
具体的に全部で何枚あるのかというのは明示されていない。
結局、話の都合で無限に能力者が現れてしまう。
主人公たちにも一応仲間ができるのだが、基本的に使えない。

主人公たちよりも弱い能力者がいるチームにわざわざ入る理由もいまいちわからず、
中ボス的な存在の敵も毒で一網打尽されてしまう(苦笑)
主人公の真の力の断片や、真の力の使い方を見せられた後に、
小狡い方法で勝利されてもいまいち盛り上がりに欠けてしまう。

味方の中にも裏切りそうなキャラが居て、あっさり裏切るのだが、
主人公や仲間たちはそんな裏切りに気づかず、
「あれ?そういえばいないね?」というような描写は違和感が凄まじい。
キャラクターを出したのは良いが持て余し、
忘れたかのようにしばらく出さないか一気に殺す。

強い敵から何とか逃げたという状況のはずなのに、
のんきに日常生活に戻るのも意味がわからず、早くコインを集めよう、
強敵が襲ってくるかもしれないという状況なのに学校に通い出す(笑)
ちょっと意味がわからない。

中盤からキャラが増えたことで、明らかにキャラクターの使い方が雑になっていく。
この中盤のストーリーは必要だったのか?とすら感じる。
序盤をすぎるとストーリーがずーっと大味だ。

終盤


画像引用元:グレイプニル 12話より
©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会

1話からの主人公の成長の描写はしっかりしている。
臆病で何も出来なく、ヒロインが中にはいらなければ弱く人も殺せなかった。
しかし、友達を失ったからこそ彼はこの戦いを終わらせるために決意し、
自らの手と意思で人を殺す。
この意識の変化と成長、ヒロインとの関係性自体は悪くない。

しかし、雑にキャラクターを始末したと思ったら、また雑に新キャラを出す。
色々と終盤で明かされる事実はあるものの、
本来はもっと丁寧に描かなければいかない部分ですら尺の都合で
雑に描いてしまっている感じが否めず、そのせいでキャラクターの行動が
かなり突飛に感じてしまう。

終盤の詰め込み具合は凄まじく、主人公の幼馴染として
新キャラが一杯でてきたと思ったら過去回想が始まり、
新キャラが新キャラを勘違いしてうっかり殺してしまい狂ってる様を見せられる。
はっきりいってまったくついていけない。

主人公の仲間になったキャラクターたちも戦線離脱してしまい、
ますます中盤のストーリーはなんだったんだ?という感じが強まってしまい、
結局はいろいろな謎を残したまま俺たちの戦いはこれからだで終わってしまう。
消化不良感が強く残る作品だった。

総評:うぅーん


画像引用元:グレイプニル 13話より
©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会

全体的に見て色々と惜しい作品だ。序盤のストーリーはきちんと面白く、
主人公とヒロインの関係性とキャラクターも魅力的であり、期待感は強かった。
しかし中盤からはやや出落ち感が強まってしまい、
脇道にそれるようなストーリーになってしまい、物語の謎を解決を
敢えて引き伸ばしような回りくどさをひしひしと感じてしまう。

中盤以降、かなり多くのキャラクターは出るものの、
居ても居なくてもどうでもいいようなキャラクターも多く、退場も早い。
原作が完結していないがゆえに1クールで脚本を調整するのに
戸惑っている感じが手にとるように分かり、
序盤は丁寧だったのに中盤からは大味な脚本になってる部分も非常に多い。

色々と原作or2期にぶん投げている部分が非常に多く、
原作がもう少し進んでから2クールなり分割2クールでストーリー構成されてれば
もう少しこの作品の面白さをストレートに楽しめそうだが、
とりあえず原作のキリのいいところまでアニメ化したという印象を強く受ける。

終盤のキャラクターの感情や行動にはついていけないことが多く、
物語の主軸たる主人公とヒロインの関係性と成長、二人の物語は面白いものの、
それ以外がどうにも面白みにかけてしまっていた。

戦闘シーンは非常によく動き、セクシーなシーンも多いため
色々とB級アニメっぽい面白さは合ったものの、
ストーリーが回り道しすぎているような作品だった。

個人的な感想:ナツコ…


画像引用元:グレイプニル 10話より
©武田すん・講談社/グレイプニル製作委員会

10話の脚本がどうにも見に覚えのある手法だったため調べたところ、
なんと高橋ナツコさんだった(笑)
アニオリ展開も非常に多いようで、本来は原作では死んでいないキャラを
10話で殺している。流石である。

2期があるかどうかはわからないものの、
2期がアレばみたいと感じさせるだけの魅力は感じる1期だった

「」は面白い?つまらない?

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