アクション

仁義を穿け「MONSTERS 一百三情飛龍侍極」レビュー

3.0
MONSTERS 一百三情飛龍侍極 アクション
(C)尾田栄一郎/集英社
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評価 ★★★☆☆(50点) 全1話

『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』予告編 – Netflix

あらすじ 最強の剣豪「キング」との戦いを夢見る侍・リューマは放浪の末、野垂れ死に寸前で町に辿り着き、フレアという女性に助けられる。そこでリューマは、竜(ドラゴン)の襲撃事件に巻き込まれる。引用- Wikipedia

 

本作品はONEPIECEで有名な尾田栄一郎さんによる
短編マンガを原作とした作品。
ONE PIECEと世界観を共有する作品であり、
NetflixやAmazonPrimeにて全1話のアニメとして制作された。
監督は朴性厚、制作はE&H production

ナレーション

冒頭ナレーションベースで簡単に世界観が説明される。
「龍の角笛」と呼ばれる不思議な力を持つアイテムが
10年前に盗まれた事件が起きるものの犯人が誰かはわかっていない。
そんなナレーションを中井和哉さんが担当されている。

渋いナレーションから王道のジャンプ漫画の1話を
彷彿とさせる展開が待ち受けている。
主人公であるリョーマは「侍」だ。
お腹をすかせている中でご飯を奢ってもらった彼は
侍であり剣士だからこそ「恩義」を重んじている。

そんな剣士の刀の「鞘」に同じ店に訪れていた
「シラノ」の刀の鞘がぶつかってしまう。
剣士であること、侍であることこそが主人公である
リョーマの存在意義だ、鞘当による決闘が行われるものの、
リョーマは負けてしまう。

冒頭からきちんと「リョーマ」という主人公を掘り下げており、
同時にヒロインである「フレア」を印象付けている。
たった25分しかない作品だからこそ
サクサクとしたテンポで物語が描かれている印象だ。

リョーマという男はわかりやすい主人公だ。
強者と戦いたい、「兵の魂」を重んじつつも、
ある種の戦闘狂だ。

竜の角笛

そんなリョーマの前に「ディーアール」という男が現れ、
唐突に龍の角笛を吹き鳴らしてしまう。
龍の角笛はドラゴンを呼ぶ笛だ。
盗まれたはずの笛がなぜ小悪党が持っているのか。
シンプルに先の展開が気になるものになってる

街の住民が避難する中で、
「シラノ」はたった一人、ドラゴンを立ち向かおうとしている。
だがヒロインであるフレアはかつてのドラゴン事件の際の生き残りだからこそ、
街に残ろうとしている。

そんな生き残りである彼女は真実を目にしてしまう。
「シラノ」はただの火事場泥棒だ。
7年前の事件も彼らが起こした事件であり、
ドラゴンを呼び寄せて火事場泥棒をしている厄介な悪党でしか無い。

信じていたはずのシラノに裏切れたフレアを前にして、
リョーマは仁義を果たそうとする。

戦闘

戦闘シーンの演出はかなりこだわって描かれている。
決して長い戦闘シーンではない。たった一瞬だ。
そんな一瞬の「居合」の演出が凄まじく、
モノクロの演出から一瞬の刀さばきを描き、
刀が鞘に収まった瞬間には戦闘が終わっている。

刹那の一閃を、この刹那の瞬間を描くために
この作品はあったといいたくなるほどの、
迫力のある作画で描かれた戦闘シーンは見事だ。

そしてドラゴンとの戦闘シーン。
巨大な体のドラゴンの体を駆け回りながら、
相手が飛んでいようと関係なく立ち回るリョーマの姿は
シンプルにかっこよく、だが、どこか情けない終りを迎える(笑)

物語自体はシンプルではあるものの、
そんなシンプルなストーリーの中で戦闘シーンを盛り上げており、
「リョーマ」という男の魅力をきちんと描ききっている。

世界一のツワモノの名「キング」。
だが彼はそう呼ばれてることを知らない。
どこかにいるキングを求めて彼は旅を続けている。
そしてラストでは「ワンピース」とのつながりもきちんと描いており、
ワンピースファンならば見て損はない作品だった。

総評:ワンピースファン必見?!

全体的に見てシンプルな作品だ。
原作が短編だからこそ1話25分ほどの尺しか無いがゆえに
テンポよく物語が進み、起承転結すっきりとした
ストーリーが展開されており、
ラストは「ワンピース」とつながる展開になっている。

作画のクォリティも素晴らしく、
特に終盤の戦闘シーンは「居合」や剣士でありながら「空中戦」を
描くなど迫力たっぷりな作画を短い尺できちんと描いており、
印象に残る戦闘シーンになっている。

1話しか無いながらもワンピースファンに向けた
要素もあり、ワンピースファンならば見て損はない作品だ。

個人的な感想:OVA

昔ならこの手の作品はOVAとして制作されることが多かったが、
そんなOVAもほとんど制作されなくなり、
その代わりに配信サイト限定の作品も増えてきた印象だ。

たった1話しかできない原作をNetflixでアニメ化する。
その試み自体も面白く、
今後も色々な短編作品がTVアニメの尺に縛られることなく
アニメ化されることを期待したいところだ。

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