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最高潮の圧巻バトル「呪術廻戦 死滅回游 前編」レビュー

4.0
呪術廻戦 死滅回游 前編 アクションアニメ一覧
画像引用元:©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会
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評価 ★★★★☆(67点) 全12話

TVアニメ『呪術廻戦』第3期「死滅回游 前編」仙台結界PV|OPテーマ:King Gnu「AIZO」|最終回「仙台結界」3月26日(木)深夜0時26分~本編拡大スペシャルにて全国同時放送!

あらすじ 「渋谷事変」を経て、羂索により呪霊が蔓延る魔窟と化した全国10の結界(コロニー) 引用- Wikipedia

最高潮の圧巻バトル

本作品は呪術廻戦3期。
監督は御所園翔太、制作はMAPPA。

序盤

本作品の序盤の評判はかなり賛否両論だった。
こちらは3期の5話までのレビューの方をご覧いただきたいが、
3期の5話あたりまで、かなり癖のある演出が多く、
妙に引きの絵が多く、3期の5話ではロトスコープを使った
ワンカットの会話シーンがあるなど様々な手法が試されていた印象だ。

「死滅回遊」というものが始まり、呪術師や呪いの戦いが本格的になり、
あちらこちらで戦いが行われている状況だ。
そんな中での会話シーン1つにしても癖のある演出を盛り込み、
実写映画のパロディなども盛り込まれているせいもあって、
好みが分かれてしまう要素が非常に多かった。

これはある種の実験だったのだろう。
呪術廻戦は2期でも摩虎羅戦などでアニメーション的な実験をしており、
好みは分かれるが映像的には挑戦的な技術をあえて盛り込んでおり、
この3期でもその挑戦を序盤で行っている。

人気のある原作を余計な改変無くハイクォリティなアニメーションでアニメにする。
それは今のアニメに求められていることだが、
「アニメだからこそ」の表現を使い、アニメだからこその面白みを、
漫画という媒体では出せないアニメだからこその表現を
模索することも大切なことだ。

そこに賛否両論はあるものの、私個人としては
序盤の3期6話、53話あたりまでの引きの多さはかなり気になるところだ。
序盤は各話によって演出のクセがかわり、
1話1話別々の監督が手掛けましたというほうが納得できるくらいだ。

実写的な演出をしたかと思えば、パロディ全開の戦闘シーンがあったり、
そうかとおもえば漫画的なコミカルなエフェクトがあったりと、
あえて背中ばかり見せて会話シーンを進行したり、
ここまでコロコロと変わると次にどういう見せ方をしてくれるのかというのも
楽しみになってくる。

序盤の段階ではその意図が見えなかったのだが、
序盤をすぎると「映像的な挑戦」を積極的に試みている意図が見えてくる。

死滅回遊

中盤になると死滅回遊が本格的に始まる。
「羂索」と契約し現代に蘇った呪術師と巻き込まれた人たち、
そんな死滅回遊に積極的に参加する者たち。
複雑に思惑が絡み合う死滅回遊はややルールが細かくややこしいいが、
そのルールを除けば「バトル」の連続だ。

ありとあらゆる呪術を持つものたち、
頭がヘリコプターになっているおっさんや、全身にレシートを貼り付けている男、
半分だけレオタードを着込んでいる男に、弁護士の男。
様々な呪術を持つ癖のあるキャラクターが敵味方入り乱れて、
虎杖や伏黒と戦う、バトルまみれだ。

序盤はやたら暗いシーンが多いのだが、中盤になると一気に画面が明るくなり、
明らかな引きの絵もなくなる、死滅回遊が本格的に始まったからこそ、
アニメ的な見せ方も変わり、一気にわかりやすいエンタメバトルになっていく。

私は1期のレビューで呪術廻戦という作品は「エゴイズム」の
ぶつかり合いだと評している。ようは傲慢さだ。
その最たる例が「領域展開」であり、その領域に入ってしまえば
領域を展開したものの攻撃が「必中」になり「必殺」になるという
とんでもない設定だ(笑)

身勝手で、子どものような傲慢さ、絶対的なエゴイズムを発揮する領域展開。
術式というそれぞれが持つ技も、そこに理屈のようなものはなく、
各キャラクターが自らの能力が「こうだ」と思い、それを押し付け合っている。
そんなエゴイズムのぶつかり合いが3期では全開になっている。

そのエゴイズムをアニメ制作側も発揮したのが3期と言えるかもしれない。
自らが良いと思うものを、貫く。
各話で面白いと思う演出を、各話にふさわしいとおもう構図で、
全力の作画でアニメーションという媒体を使って描いている。

見る側のエゴイズムもそこにぶつかるのだが、ある意味で呪術廻戦という
作品らしい表現と言えるのかもしれない。

プレイヤー

そんな死滅回遊に参加するプレイヤーの掘り下げも見事だ。
中盤からはかなりテンポよく次々とバトルが描かれるがゆえに新たなキャラクターも多い。
中盤ででてくる「日車」は弁護士として活躍し、
自らが正しいと思う正義を貫こうとしていたのだが、
正義だけが常に認められる世の中ではない。

そんな「日車」が持つポイントを虎杖は欲しい。
あーだこーだと会話をするものの、その会話もテンポよく進み、
「エゴイズム」のぶつかりあいが始まる。
己の正義を貫こうとする「日車」、「正しい死」 のために戦う虎杖、
この両者のぶつかり合いは呪術廻戦らしさに溢れている。

「日車」の領域展開の中では暴力を振るうことはできない。
弁護士の日車は領域に巻き込んだ者を容疑者として、強制的に裁判を開く。
自らの正義を、弁護士としての傲慢さを押し付け、
それを押し付けられた虎杖もまた自らの「エゴイズム」を押し付ける。

ハイスピードなバトルは見ているだけで心地よく、
序盤のような癖のある演出もない。

「裁判」であっさりと自らの罪を認める虎杖、
それは彼の中の正義、正しさの証明だ。
渋谷での大量殺人、彼の中の宿儺がやらかした行為ではあるものの、
彼に責任があると虎杖自身が思ってしまっている。

それが「虎杖」という男の正しさだ。
誰かに己の罪を裁いてほしい、あの時に自分が宿儺とともに死んでいれば。
何度もそう思うことがあったからこそ、彼は宿儺の行為も
自らの罪と思っている。

3期の序盤で自らの罪に押しつぶされそうになっていた彼が、
誰かを助けるために立ち上がり、誰かを助けることで
己の正しさを証明しようとしている。
そんなエゴイズム、正義を「日車」に見せつける。

なにをもって正義なのか、なにをもって正しいのか。
「正しい死」という祖父から受けたある種の呪いに囚われている
虎杖悠仁と、正しい正義を貫こうとする弁護士である「日車」の戦い、
そして対比は呪術廻戦らしいものになっている。

センターマン

中盤ででてくる「お笑い芸人」のインパクトは凄まじい(笑)
私の世代なら、見覚えのある半分だけを着ている男、
彼は戦いの中で「笑い」を貫こうとしている。
命の奪い合いが行われているシリアスな状況なのに
彼は「芸人」として「笑い」を押し付ける。これぞ呪術廻戦だ。

序盤のくせのある演出の数々はどこへやら、
中盤からはエンタメ全開で呪術廻戦らしいキャラクター描写と、
呪術廻戦らしいバトルシーンの数々を全開に描いており、
目まぐるしく変わる状況とテンポの良い展開で飽きさせない。

呪術廻戦というバトルアクションファンタジーを
これでもかと中盤以降は余すこと無く感じさせてくれる。

最終話

特に最終話のバトルシーンは圧巻の一言だ。
乙骨裕太という呪術廻戦0の主人公によるバトルシーン、
単純な1対1のバトルではない、1対1対1対1、
乱戦での呪術のぶつかり合いは「最高潮」と言わざるを得ない。

本来は2話ないし3話くらいかけて描かれるバトルだ。
それをアニメでは1話にぎゅううっと圧縮している、
明らかにこの最終話だけレベルが違う。
もともと呪術廻戦の戦闘シーンのクォリティは高いのだが、
この最終話だけは異質といってもいいほど気合が入りまくりだ。

ハイスピードに、だが、序盤の禪院真希の戦闘シーンのような
ただ早いだけではなく「メリハリ」を意識したハイスピードな
戦闘シーンはたまらない。
目まぐるしく動きながらも「刀の一閃」をきちんと描き、
「居合」という静と動の動きを見せ、最後には「キス」だ(笑)

乙骨裕太

一人片付けたかと思えば新たな敵がやってきて、
新たな術式に対応を求められる。
ナチュラルに敵を「煽り」ながら術式の対応を考え、
持ちうる全ての技を相手にぶつける。

通常再生で倍速再生のような戦闘シーンの描き方は
もう笑うしか無い、画面に釘付けになり、息をするまもなく、
次々と展開がかわり「領域」をぶつける。
ハイスピードなのにきちんと動きがわかる、
ただ早いだけじゃない戦闘シーンの魅力が凄まじい。

たった5分の全力、呪術廻戦0で見せたあの「全力」の
乙骨裕太の姿をまた見られると言うだけでたまらない。
前作の主人公的な立場の彼が、5分の全力、
乙骨の「コピー」の術式というチートに対し、
敵も負けていない。

最高のメインディッシュと「最終話の最後にOPが流れる」という
視聴者に対する「最高のデザート」まで用意してくれる。

総評:これぞ呪術廻戦、エゴイズムのぶつかり合いだ

全体的に見て素晴らしい作品だ。
序盤こそ演出のクセの強さは好みが分かれる部分が強く、
テンポもあまり良くない、しかし、そんな序盤をすぎると
バトルの連続を最高潮のテンポと最高峰のアニメーションで魅せており、
このバトルの連続に大満足してしまう。

死滅回遊のルールのややこしさはあるものの、
中盤からはそういった細かい説明や細かいモノローグなどはサラッと片付け、
「バトル」に注目させるような描写の仕方をしており、
特に最終話などは本来は3話くらいかけて描けそうな内容なのに
1話にぎゅううっと圧縮している。

だからこそのテンポ感がたまらず、
呪術廻戦というキャラクター同士の「傲慢さ」をぶつけ合うバトルが
120%全開に描かれている。

序盤の実験的とも言える演出の数々もまた制作側の傲慢、
エゴイズムであり、そこと視聴者のエゴイズムのぶつけ合いをへて、
最高のバトルを楽しめるような下ごしらえをしていたような感じもあり、
メインディッシュ、そしてデザートまで
たっぷりと満たされたような気分になる作品だった。

後編がいつになるかはわからないものの、
楽しみにしたいところだ。

個人的な感想:序盤

序盤のクセの強さは何だったのかと思うほど、
中盤から一気に灰汁が抜けたかのようにエンタメエンタメしてる
ちょっと不思議な作品だった。

制作側の挑戦心など好意的に捉えることもでき、
レビューでもそれを書いているが、
序盤と中盤以降とでここまで演出のクセ、
作品の雰囲気が変わる作品も珍しい。

3期がいつ制作されていたかはわからないが、
もしかしたらチェンソーマンの映画でのヒットの
影響もあるのかもしれない。
後編の方でも前編の序盤のような演出があるのか、
それともそういう演出は完全になくなるのか気になるところだ。

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