花咲くいろは


花咲くいろは感想

評価/★★☆☆☆(36点)


花咲くいろは感想

制作/P.A.WORKS
監督/安藤真裕
声優/伊藤かな恵,小見川千明,豊崎愛生,久保田民絵ほか
全26話


あらすじ

16歳の少女・松前緒花は、母が夜逃げした事情から、全く面識の無い祖母が経営する
温泉旅館・喜翆荘(きっすいそう)で住込みで働きながら学校に通うことに。
緒花はこの旅館の個性的な従業員達とともに、艱難辛苦を経験しながら成長していく。




おはな、くうきよめ

本作品はP.A.WORKSによるアニメオリジナル作品。
キャラクター原案は色々と話題の岸田メル、
シリーズ構成はあの日見た花の名前を僕達はまだ知らないでお馴染みの岡田麿里と
監督以外はかなり有名所だ。
まず見だして感じるのは背景の美しさ。
主人公が電車に乗っている時の風景や旅館周辺の風景など
丹念に書きこまれており、作品全体で背景描写に関してはこだわりを感じた
「旅館」という独特の空気感をきちんと表現されていた
しかしながら、同時に挿入歌がうざい。
歌っている方が独特の声質で単独で聴くならいいのかもしれませんが、
主人公がせっかくしゃべっているのに一話で、しかも10分もしないうちに
いきなり挿入歌をいれられると雰囲気が壊れてしまう。
更には一話の最後のシーンで主人公が涙しながら雑巾を吹きをするというシーンで
EDへ、だが、ED曲も挿入歌と同じかたが歌っており、違和感を感じる。
作品と雰囲気があっているならいいのだが、明らかに違和感を感じてしまい
せっかくの「旅館」の雰囲気を壊してしまっていた。
OPやEDだけなら別にそこまでOP曲やED曲にこだわらないが、
挿入歌やED曲へシーンをつなげるなど、作中のシーンを邪魔しているのは
若干、評価を下げるポイントになってしまった。
また主人公を演じている「伊藤かな恵」さん、
神のみぞ知るセカイでかなり「エルシィ」のイメージが強く付いてしまい
最近演じられた「そふてに」では、どうもエルシィの色合いが強く出すぎていて
本作では不安だったのだが、エルシィとはまた違った少し低めの声の演技は
若干「達観している少女」の雰囲気を出していた。
ストーリーは旅館を舞台にした青春モノ。
主人公は母親とその恋人が夜逃げする際に、母親の祖母が経営する旅館へと預けられる。
新しい環境に戸惑いつつも主人公はやりがいをみつけていく・・・
という感じだろうか?
だが、そもそもの旅館へ来るというストーリー展開が強引だ。
母親とその恋人は、恋人が作った借金のせいで夜逃げするが、
何故か主人公だけは祖母の所へという理不尽すぎる展開、更には祖母のところへ来たら
いきなり旅館で働け・・・(苦笑)、この冒頭の展開はもう少し何とかならなかったのか?
と思ってしまい、序盤から躓きを感じた、この躓きはストーリー全体に言えることだ
特に序盤のストーリー展開は結構無理のある展開が多く、
主人公の性格に起因しているものはあるものの「そういう流れ?」と疑問を抱く
更には3話では露骨なエロ要素が入り、1話2話で健全な青春モノストーリーという
イメージだったのが、エロ要素で更に違和感を感じてしまう。
だが序盤をのり越せば、昼ドラマちっくなキャラクターとストーリー展開は
アニメで見る新鮮さもあり、徐々に主人公が旅館に愛着を持ち
明るく頑張る様子は朝ドラ的要素も秘めつつ、旅館という世界観を作り上げていた
しかしながら1クールを境にまた躓きが増える。
特につまずきというよりも立ち止まりに似た「必要性」を感じない話がもりだくさんになる、
その必要性のない話がラストへつながるのならまだいいが、特に繋がらないし
主人公の成長などにもつながっていない。
序盤から続いていた主人公の恋が、脚本のブレの象徴かもしれない
一話で主人公は幼なじみの男から夜逃げが決まった事実を打ち明けた後に
「好きでした」となぜか過去形の告白を受ける。
中盤で東京に一時的の戻ったときに幼馴染と再開すると、
幼馴染は返事を待っているという、それならば最初のセリフは
「好きです」か、もしくは「付き合ってください」のような
未来を感じるセリフではないとかなり不自然だ。
しかし、幼馴染の男は「好きでした!」と言い放ち、主人公の前から逃げている。
そして1クールの終わりに主人公は甘えていた幼馴染と決別するために叫ぶ。
確かにそれまでの主人公と幼馴染の関係には違和感はあったものの
この決別の叫びで、主人公のある種の成長が垣間見えた。
しかしながら、その後たまに幼馴染を思い出す主人公の描写があったかと思えば、
片思いする宣言・・・、そしてそれに切れ死ねを連呼する登場人物・・・
思わず、この恋愛の展開は「(´д`)ェェ・・・・」と
飲み込めない感じが多かった。
ただ終盤へつながる「旅館」の存続の危機は24話という長さを締める
ストーリーとしては大変良くできていた。
しかしながら、主人公が「松前 緒花」ではなく、その祖母である
「四十万 スイ」にフェードしているようにも感じた
彼女の夢とある種の有終の美を飾る様なストーリー展開は
花咲くいろはという作品で一人の人生を描いているようだった。
旦那と共に旅館をいとない、旦那がいなくなった後も旅館を一人で経営している中
出ていった娘と生まれた孫、孫が娘の事情で唐突に現れ、
きつく当たりつつもきちんと指導をし、仲居として少し育った所で
娘が旅館へ来て、3人でお酒を飲み、そして旅館を締めるときに3人で仲居をし
頼りなかった息子も少しだけ頼り甲斐が出る。
そして誰もいなくなった旅館を一人、ゆっくりゆっくり歩き噛み締め
思い出に浸り旦那の面影感じ、孫娘を慈しむ。
一人の老婆の人生を噛み締めることの出来る作品に仕上がってしまった。
この主人公の移り変わりに関しては、なんとも言えないが
最終話にかけての締め方はきっちりとしているのは最後の最後で好印象を残した
全体的に芯がぶれすぎている。
全24話の中で大事な話が少なく、キャラクターの魅力はあるのだが
ストーリー展開やつなげ方が雑すぎて、すんなりとストーリーに入り込めない。
せっかくのキャラの魅力が理解出来ない行動原理や言動に潰されているのに
濃いキャラが全面に出ているせいで「キャラ性の押し売り」のような
全体でアクの強い感じになっおり、キャラに感情移入できない。
また、狙いすぎている点も飲み込めない。
序盤の唐突なエロ展開や、
ホビロンやボンボルなどの造語もかなり無理矢理で旅館の世界観を邪魔している。
更に言えば「和倉結名」は毎回気まぐれで色々な方言を使うという
とってつけたようなわざとらしいキャラ性は正直「うざい」と感じる。
その他にも最初から最後まで一切使えない経営コンサルタント、
なぜかSMに反応する番台、服のセンスが悪い料理長など
「出したはいいが生かせていない」キャラが多すぎる。
正直、この作品は2クールという尺が長すぎた。
1クールならば余計な話もなくなり、もっと主人公の成長や青春がすっきりと描かれ
「旅館」で働く「少女」の「青春」という3つのキーワードがうまく絡み合い
低評価につながるポイントが、もっと薄れただろう
全24話という長さで、せっかくの濃い味噌汁がどんどんと薄まってしまったような感じだ
作画やキャラクターデザイン、声優、設定と骨組みは悪くはないのに
せっかくの大ストーリーという大黒柱が細長くなってしまっている。
また内容的にも好き嫌いがはっきりと別れてしまい、なおかつ芯が弱い。
本来ならもっと面白く出来るはずの設定を生かしきれていないのは
2クールという長さではもったいない。だが、2クールという長さが欠点・・・という
何ともいたたまれない作品になってしまった。
しかしながら、「P.A.WORKS10周年記念アニメーション作品」と銘打っているだけに
作画の完成度は本当に素晴らしかった。
ただ個人的にはP.A. Works製作のものはどうも私の好みから少し外れてしまい
いつもストーリーを完璧に飲み込めない感じになるのはどうしてだろうか・・・
(true tears、CANAAN、Angel Beats!など)