青春アニメ

最高のガールズラブコメ「わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)」レビュー

4.0
わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?) 青春アニメ
画像引用元:©みかみてれん・竹嶋えく/集英社・わたなれ製作委員会
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評価 ★★★★☆(69点) 全12話

本予告 #わたなれ|わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)~ネクストシャイン!~|続編全5話が制作・TV放送・劇場公開!11/21(金)~新宿バルト9ほかにて

あらすじ 「勝ち取るんだ最高の学園生活を!」ぼっちな中学生時代から変わるため、高校デビューを果たした甘織れな子。しかし根が陰キャ気質のせいで、憧れの陽キャ生活に馴染めず窒息寸前に…。引用- Wikipedia

最高のガールズラブコメ

原作はライトノベルな本作品。
監督は内沼菜摘、制作はstudio MOTHER

陰キャ

主人公はいわゆる「陰キャ」な女の子だ。
明るい陽キャグループの中にいるものの、その根っこの部分は
簡単に変えることができず、話題についていくことすら必死だ。

その必死さをアニメーションで見せている。
彼女の主観映像でカメラをふりまわし、彼女の動揺を見せる。
シンプルではあるものの、この演出、カメラワークが
「主人公」の心理描写につながり、1話の冒頭から強烈に
主人公の印象がつく。

テンポよく彼女がどうして陽キャのグループにいるのかを
主人公のナレーションにより一気に解説し、
彼女以外の陽キャなメインキャラを一気に見せる。
それぞれが可愛らしいキャラクターデザインで、
きちんと「髪の色」をわけることでキャラの見分けもつけやすい。

やってることに派手さはないのだが、堅実なアニメづくりがなされており、
不思議な「安心感」すら感じさせてくれる。
そんな安心感を感じさせたあとに主人公は「学校の屋上」から滑り落ち、
陽キャ代表な王塚真唯に抱きかかえられて木の上に落下する(笑)

意味のわからないシーン展開はギャグ的ですらあり、
荒唐無稽なあり得ない感じではあるものの、
そのありえなさがいい塩梅でギャグになっている。

告白

そんな展開から二人は心から打ち解けることになる。
陰キャと陽キャ、本来は混じり合うことのない二人が混じり合う。
心の底から打ち解けあった二人は本当の友達になる。
怒涛の会話劇が聞いているだけで心地よく、
リズムカルなテンポ感をうみ、自然とキャラクターが観ている側に溶け込んでくる。

だが、そんなリズムをガラッと壊し、別のリズムに変えるのがギャグだ。
屋上から唐突に滑り落ちるのもそうだが、
本当の友達になったはずなのに「王塚真唯 」は主人公に惚れてしまう(笑)
かっこいい女性ではあるものの、主人公にはそのケがないゆえに、
恋人ではなく親友が欲しい彼女は当然、断る。

それでも「王塚真唯」という女性は諦めない、1度決めたら貫き通す。
恋人か親友か、交互に繰り返しながら自分の恋人にしようとする。
とんでもねぇ作品だ。
友達以上恋人以下、ぐいぐい迫ってくる彼女と戸惑う主人公の姿が
可愛らしく、見ているだけでニヤニヤしてしまう百合模様が描かれている。

これが異性愛だとややきついノリだが、
同性愛、百合だからこそこのノリがなし得る。

「王塚真唯 」はいわゆるスパダリだ。
陽キャのグループの中で主人公が困っていれば、陰キャな主人公を思い、
さりげなく助け舟を出してくれて、
しかも超絶お金もち。

少女漫画などでは散々見た光景ではあるものの、
百合でこれをやることで「なるほど、スパダリか」は思いつつも、
それが効果的に作用している。
しかも同性だからこその距離感、同性だからこそのスキンシップも許される。

振り回される主人公がシンプルに可愛らしく、
1話からニヤニヤが止まらない作品だ。

特別

主人公にとって恋愛はおろか友達もあまり経験のないことだ。
それゆえに彼女は戸惑い続けている。
どこか自分にはありえないこと、特別だったことが起こりすぎる、
だからこそ、それを受け入れられない。

コロコロと戸惑いながら変わる表情が可愛らしく、
日常アニメというアニメーションでは派手さが生まれにくい部分で、
この作品はド派手だ。
キラキラな目の描写、きらびやかな髪、場面によっては
「光」を意識した撮影処理により印象的なシーンが随所で生まれる。

その作画の良さ、演出の良さがセクシーシーンでも活かされる。
毎話のようにお風呂やセクシーシーンが有り、
下着などもこれでもか!と思うほど詳細に描かれている。
裸の付き合いで誰にも明かせなかった思いを吐露し、
二人はより深く繋がっていく。
それは友情が恋なのか。それはまだ主人公にはわからない。

センスのあるワードで繰り出される会話で怒涛のセリフを飛ばし合い、
トントン拍子に「キス」までする(笑)
主人公のあたふたする態度も「王塚真唯 」 のスパダリな態度も、
どれもこれも「ずるい」と思ってしまうほどのニヤニヤが生まれている。

ちなみに2話以降、キスしまくりである。
とんでもないキスアニメだ。

いい女

問題なのは主人公の周りにいい女しかいないことだ。
しかも全員タイプが違う、
「王塚真唯 」 によってそういうスイッチ、性癖のようなものを刺激されたせいか、
普通の女の子同士の交流ですら主人公の受け取り方も変わってしまう。

「王塚真唯 」 のグイグイさも異様なほどであり、
それに流され戸惑い、ときに怒る。
彼女の揺り動かされる心情の描写も見事であり、
ニヤニヤしつつも二人の関係性がどうなるのかが見逃せない。

傷つけたり傷つけられたりしながらも、
二人は友達以上恋人以下の関係が続いていく。
そこにさりげなく周囲のいい女たちが介入することで、
ときに刺激になり、ときに誤解を生む(笑)

この主人公こと「れな子」はとんでもねぇタラシである。
天然で人の心にズカッと入り込み、忘れられない痕跡を残す。
それが多くのキャラクターの心を開くきっかけになり、
多くのキャラが彼女に「ハマって」いく。

女たち

序盤は1対1のラブコメだが、中盤からはハーレムじみてくる。
その中心にいる「れな子」がきちんと魅力があるからこそ、
このハーレム状況にも納得ができ、自然と物語と楽しめる。
素晴らしいキャラクターの見せ方と、
それぞれのキャラの立ち位置がしっかりしている。

「れな子」 が純粋に行動し、純粋に思ったことを言っただけ。
彼女に悪意はない、だが、その悪意のなさがストレートに
周囲の女たちに伝わり、それが伝染していく。
「れな子」 に好意をいだくもの、「れな子」 を利用するもの。
それぞれがそれぞれの「欲望」をあらわにしていく。

それは言い換えれば「素の自分」でいられるということだ。
欲望というのは人に見せるものではない、誰しも、本心や欲望を
心のなかに隠し「仮面」を被っている。
主人公は「陰キャ」な自分を隠し「陽キャ」の仮面を被り、
「王塚真唯 」 は周囲から、両親から求められたお嬢様であろうとしている。

だが、そんな彼女たちの仮面が「れな子」によって剥がされていく。
その結果、欲望が爆発する(笑)

ライバル

「琴紗月」は「王塚真唯 」に対してライバル心を抱いている。
だが、「王塚真唯 」 には勝てない。
そんな彼女の弱点が「れな子」であり、彼女は利用しようとする。
2週間限定の恋人だ、そんな2週間の恋人模様がいじらしい。

クールビューティーな「琴紗月」 が妻のように自分に尽くしてくれる。
たまらない、シンプルにたまらない。
あくまで仮の恋人同士なのに「デレる」彼女の態度は、
いわゆるツンデレという古典的なキャラ属性なのが、
その古典的な属性が突き刺さる。

序盤はどこか「少女漫画的」なニュアンスのある百合なのだが、
中盤になると「少女漫画的」なニュアンスのあるハーレム百合になる。
ギャグ要素はブレないものの、恋愛模様の描き方が
序盤から中盤で綺麗なグラデーションで違和感無く移行しており、
序盤のインパクトでの出落ちで終わらせず、作品に厚みが生まれている。

そのなかでもアニメーションによる演出がたまらない。
レイアウトもそうだが、印象的なのは光の演出だ。
登場人物たちの心理描写であると同時に作品の空気感を
「光」で作り上げており、場面によってキャラに当たる光の具合が
コロコロ変わるのが見ていて面白い。

あまり裕福ではない「琴紗月 」はスパダリな「王塚真唯 」のように
会員制のプール付きカフェなんて場所には誘えない。
自分の家で自分で飾り付けた小さなお風呂で、
お風呂の光すらつかないなかルームライトで照らされる二人。

幻想的ですらあるのに、この作品らしい「オチ」もあり、
思わずキスを交わした二人の秘密、そんな秘密が二人の仲をより深めていく。
クールでいようと、自分が思う自分らしい自分でいようとしているのに、
主人公によって踏み込まれてしまったせいで、
彼女はもうクールで居続けることができない。

複雑

話が進めば進むほど恋愛模様が複雑になっていく。
主人公は誰とも付き合ってはいない、だが一人は友達以上恋人以下な感じになり、
一人とは2週間限定で付き合い、一人は主人公に告白されたと思っている。
ちなみに中盤の時点で二人とキスしまくりだ。
これが男性主人公ならとんでもないやつだが、この作品が百合だからこそ許される。

その恋愛模様はハチャメチャでキスしまくりなのだが、
キャラクター描写が紳士だ。
それぞれのキャラが抱えているものを徐々にあらわにし、被っている仮面を脱いでいく。
誰しもが日常生活や社会の中で被っている仮面、
それが共感を生み、真面目な話をしながらもギャグを忘れない。

この絶妙なバランスがこの作品をこの作品らしめんとしている。

惚れ

終盤は「瀬名紫陽花 」とのストーリーになる。
中盤で主人公が少し勘違いさせてしまった女だ。
幼い弟達がいて、優しく引っ込み思案でおしとやか、
だがそれは彼女が多くのものを抱え込んでいる証拠でもある。
二人だけの逃避行、彼女の家出に付き合う主人公との旅路はまるで駆け落ちだ。

温泉地での互いの気持ちを吐露するシーンでは真面目だ、
だがいざ二人で温泉をはいったら乳繰り合う(笑)
これが男性主人公ならば許されない、百合だからこその
ファンタジーセクシーシーンが生まれている

「大体おっぱいがなんだ!私にだってあるんだ!」

こんなセリフは百合ラブコメ、ガールズラブコメだからこそだ。
そんなイチャイチャラブコメの裏で、
主人公の知らぬ間に「ライバル同士」の会話も繰り広げられる。
いじらしいまでの「瀬名紫陽花 」のキャラクターと心理描写、
言葉にしないアニメーションによる演技が素晴らしく、ニヤニヤしてしまう。

ベタではあるものの、そのベタな演出がこの作品には刺さる。
最終話での「女同士」の会話は秀逸だ。
主人公はそこにはいない、同じ思いを抱える女たちの会話は「同盟」だ。
ライバルである前に友達だからこその会話に涙腺を刺激されてしまう。

陰キャだった主人公、特別ではなかった主人公が
「特別」になる最終話、まるで舞台のようにスポットライトが当たる演出と
「告白」と結末に泣き笑いしてしまう作品だった。

総評:叫びたくなる百合模様

全体的に見て素晴らしいガールズラブコメだ。
陰キャな主人公がスパダリ女子に口説かれる序盤は
どこか少女漫画的でもあり、中盤からはヒロインが増えることにより
少女漫画的なハーレラブコメっぽさが強くなり、
見ていて飽きることがない。

こういったハーレラブコメにおいて主人公の存在は重要だ。
可愛らしいヒロインたちが惚れる理由がきちんとなければ
物語やキャラクターへの没入感が生まれない。
だが、この作品は違う、きちんと主人公である「れな子」に魅力がある。

陰キャなのに精一杯陽キャなふりをし続ける彼女が、
同じように「仮面」を被って生きているヒロインたちの心の楔をほどき、
それがきっかけで彼女たちに恋心が目覚める。
その過程が自然であり、惚れてしまうのも納得できてしまう。
しかも、それを主人公自身は自覚せずにやっているからこそ魅力的だ。

各ヒロインの魅力もきちんとあり、序盤、中盤、終盤と
一人ひとりの魅力をきちんと掘り下げるエピソードがある。
属性だけ見るとスパダリお嬢様、ツンデレ、おとなしいなど
ありがちなヒロイン属性なのだが、そのありがちなものを
どストレートにぶつけてくる。ありがちとは裏を返せば王道だ。

真面目にキャラクターたちの内面を描きながらギャグもしっかりとあり、
セクシーシーンも毎話のようにきちんとある。
作画のクオリティも高く、そんな作画を演出や撮影で盛り上げている。
特に光の演出は印象的であり、決めのシーンでの光の使い方が秀逸だ。
だからこそ印象深いシーンの印象がより深くなり、キャラの魅力にもつながる。

キャラクターデザインも秀逸であり、どのキャラも顔がいい。
そんないい女達による百合模様が見ているだけで悶えてしまうような
展開を生んでおり、もう見ていてニヤニヤが止まらない作品だった。

個人的な感想:映画

1クールの最終話としてはキリが良いとは
言い切れない部分があるラストではあるものの、
直後に映画化が決定し、現在、スクリーンの客席を埋め尽くしている(笑)

たしかにこのラストからの直後の映画化なら間違いなくお客さんは入る、
これで半年や1年のブランクが空いてしまえば別だが、
二ヶ月たらずで公開されており、商業展開的なうまさも感じるところだ。

制作のstudioMOTHERは新し目の制作会社ではあるものの、
今後、もっととんでもない作品を作り上げるかもしれない。
期待したいところだ。

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