逆境無頼カイジ 破戒録篇


逆境無頼カイジ 破戒録篇感想

評価/★★★★☆(67点)


逆境無頼カイジ 破戒録篇感想

制作/マッドハウス
監督/佐藤雄三
声優/萩原聖人,チョー,二又一成,浪川大輔ほか
全26話


あらすじ

スターサイドホテルの勝負でさらに借金を約1000万円に増やすことになり、
逃亡生活を送っていたカイジは遠藤に再びギャンブルを紹介するよう依頼する。
しかし規定によりギャンブルは紹介されず、ギャンブルの元締である帝愛グループ
の地下施設で強制労働をさせられることになった。




ギャンブルとは泥試合、愚かなもの。

物語は一期の最終話から、数ヶ月時間が流れたところ。
ちなみにカイジの借金はなんだかんだで900万を超えており、
また「クズ」に逆戻りしている(苦笑)
しかし、今回は物語のスタートから「ギャンブル」ではない。
カイジは借金を返すために地中の底から働かされている所から始まる
相変わらずだが、人間の心理描写がうまい。
普通のアニメで言う人間の心理描写ではなく、人間の本能や欲望を見透かされたような、
まるで抉るような心理描写は共感ではなく、この表現は一種の恐怖にも近い。
劣悪され過酷すぎる労働の環境を一ヶ月味わった後の
「キンキンに冷えたビール」をカイジが飲み干す様は、
ビールをおいしい。と感じた人間なら、このシーンを見れば
よだれを塊で飲み干してしまう、しかし、借金まみれで実質500円のビール・・・
この欲望と我慢の天秤はあまりにも憎く、あまりにも突き刺さる描写だ
そして、登場人物の一人がそんなカイジを見て名台詞を言う
「食べ終わったら、奴は満足してはこう考えるだろう。
 明日からがんばろう、明日から節約だと
 まあ、その考え片が駄目、明日からがんばるんじゃない。今日、今日だけ頑張るんだ
 今日頑張ったもの、今日頑張り始めたものに明日はくるんだ」
憎らしいまでに自堕落に落ちやすい人間の心をメッタ刺しにするようなこのセリフは
たった一話でこれほどまでに、人の心理に深く食い込み
この自堕落な主人公の行く末を「もっと見たい」と感じさせる
そして始まる「賭博」
一話でここまでの文章を想い越させる「カイジ」という作品は
原作の力強さを感じさせる。
序盤のギャンブルはチンチロ、サイコロを使ったものだが
カイジが「ギャンブル」とは何かを思い出し、覚醒するシーンは
大胆な演出と迫力のある作画で視聴者に「カイジ」を実感させる構成は
一期を見ていることが前提である2期において、
2期も続けてみようという気にさせる。
そしてチンチロの勝負の行方は、息を呑むという表現では抑えがつかない
イカサマをかけたシーンは特に、描写と演出に力が入っており
心臓を鷲掴みにされているような感覚にもなる。
だが、その次に始まった「沼」編が茶館もたつく。
一玉4000円の沼というイカサマパチンコに挑む話なのだが、とにかく長い。
あたりに玉が入るかどうかという展開ではあるのだが、
そこまでの描写が若干しつこく、話数を重ねれば重ねるほど
「長いっ!」と思ってしまう。
これが人間相手の勝負なら心理戦ということで、長さもあまり感じなかったかもしれないが
イカサマされているパチンコという台に向かってうっているだけで、
話数を追うごとにそのイカサマを突破していくという感じなのだが、
カイジが売っている段階で1つをのおき、その実はイカサマ突破は全てすんでおり、
あとは「入るかどうか」という描写がほんとうに長い。
更にはイカサマ突破したかと思ったら、まだ入らない。とにかく本当に入らない(苦笑)
確かに簡単に勝負がつかないのが「カイジ」の魅力ではあるのだが、
この長さは26話一気に見た私でもダレてしまうのだから、
一週間感覚でリアルタイムで見ていた人にとっては、中弛みを強く感じてしまっただろう
話自体は面白いのだが、展開がなかなか次にいかないのは何とも言えない。
ただ、これは原作も長いそうなので原作通りといえばそれまでなのだが、
アニメ化にあたり、原作の欠点を打ち消すくらいの若干の改変も必要だったのでは?と感じる
ようやくパチンコに決着がついても
「あ・・・ようやく終わった・・・」という感じになってしまう。
せっかくのフラストレーションの開放が、弱い。
しかしながら、最終話で有る意味、お約束的展開でカイジらしさを魅せつけられ、
長いパチンコ編を終わった感覚を味わえた。
全体的に見て完成度は高い、カイジという作品が好きならば確実に楽しめ
クズなんだけど憎めないキャラクターはもはや愛しさすらかにさせる。
更にはねりこまれたギャンブルストーリーは予想することのできない展開の数々で
純粋に「面白い」と感じ、作りこまれた心理描写は息を呑むシーンの連続だ。
しかしながら、唯一の欠点はパチンコが長いということ。
それ以外には文句のつけようのない完成度なだけに、
あの長すぎるパチンコは純粋に「おもしろんだけど、長いんだよね」と感じさせてしまう。
それだけが唯一残念だ。
ただ、一期のカイジを見て「面白い」と感じたのならぜひ見て欲しい。
最後にはカイジのクズさ加減に思わず笑ってしまうことだろう
3期やるならば、次は完結編とかになるんだろうか?
ぜひ期待したいですね。