あの夏で待ってる


あの夏で待ってる感想


評価/★☆☆☆☆(19点)


あの夏で待ってる感想

制作/J.C.STAFF
監督/長井龍雪
声優/戸松遥,島崎信長,石原夏織ほか


あらすじ
ある夜、霧島海人は趣味の8mmカメラで湖周辺の夜景を撮っていたが、突然光り始めた空に何かの物体を目撃する。次の瞬間、辺りが閃光と衝撃に包まれると同時に海人は吹き飛ばされて重傷を負い、そのまま湖へと落下していく。朦朧とする意識の中、海人は自分の手を掴む女性を目撃する。



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あやまれ!井出安軌監督にあやまれ!

本作品は2012年に放映されたアニメオリジナル作品。
「おねがい」シリーズの黒田洋介と羽音たらくにより、製作された
一応オマージュ的な作品だ
だが、「おねがいシリーズ」を見ていなくても問題ない。
見ていれば、ちょっと楽しめる部分があるくらいだろう

基本的なストーリーはラブコメ。
ヒロインである「イチカ」は宇宙人、地球に来る途中で事故にあい
地球に落下してしまう。その落下先には夜景を撮っていた
主人公がいて、ぶつかってしまう。
宇宙船も壊れ住むところがなくなったヒロインは主人公の家に
「自分は宇宙人であることを秘密」にして居候することになった
というところからストーリーが始まる。

ただ序盤から「おねがいシリーズ」と比較すると、無理な展開が多い。
おねがいシリーズ特有の「ヒロインとの同居」という設定、
この同居にいたるまでのストーリー展開がご都合主義が目立つ

ヒロインであるイチカは自分が宇宙人であることを隠しているのだが、
本当に隠す気があるのか?というバレバレ、
それにあまり疑問を持たない周り(苦笑)
特に謎の宇宙生物を見ても周りがつっこ込まないというアニメ的ご都合主義が
序盤から目立ちまくる。

更に主人公の妄想。
ほぼ毎話、主人公の妄想シーンが入るのだが、コレがムダに長い。
ムダに長い上に別段「面白い」わけでもなく「えろい」わけでもない。
妄想の描写のベクトルが変な方向に行っており、意味のあるシーンなのか謎だ。
ストーリーのテンポも崩してしまっている

恐らく原因として監督にある。
おねがいシリーズは代々?「いでやすのり」監督が担当しており、
そこに羽音たらくのキャラデザと黒田洋介さんの脚本という組み合わせだったが
本作の監督は「あの花」などで有名な長井龍雪監督になっている。

そのせいか、非常に違和感を生む部分がある。
メインである主人公とヒロインの恋はあまり魅力的でなく、
逆に「長井龍雪」さんが特異なドロドロとした恋愛関係を描いている
サブキャラ達の恋愛のほうが面白い。
メインとサブのストーリーがちぐはぐになっており、
1クールの中で「違和感」が生まれてしまっていた

決定的なのはメインヒロインである「イチカ」の魅力の無さだろう。
年上で眼鏡してて巨乳で戸松遥なヒロインという、かなり魅力的な要素はあるのに
全くもって魅力的ではない。
魅力的でないヒロインと主人公の恋愛模様を見せられても結局のところ
「どうでもいい」感じが出てしまう。

だが、そのどうでもいいストーリーをサブのストーリーが支える。
特に主人公に恋をしている「柑菜」は非常に可愛らしく、
彼女を中心に巡っていた恋愛関係の模様は気になるストーリー展開をしていた。
この「柑菜」というキャラがサブヒロインなのに完璧に
メインヒロインである「イチカ」を食ってしまっている。

だからこそ、メインヒロインが報われる恋愛展開になってしまうことで
サブヒロインの報われなさが際立ち、メインヒロインの魅力や
メインヒロインへの感情移入がますまず薄まる。
サブヒロインが魅力的すぎて、メインヒロインの魅力がなさすぎるという
致命的な描写になってしまっていた。

ただ、9話あたりからメインヒロインが素直になり、可愛さも出てきたが
本作品は1クールだ。
ヒロインの魅力が出てくるのが終盤というのはなんとも言えない

根本的なことを言ってしまえば、この作品で何がしたいかがわからない。
おねがい☆ティーチャーでは結婚生活と歳の差によるスレ違いが芯にあった
おねがいツインズではどちらかが妹なのか?という要素が
ストーリーの芯にあった。

だが、本作品は・・・芯がない。
普通のラブコメという感じで、そこに何か本作品らしいものを感じなかった。
芯がなくとも登場キャラクターの「掛け合い」や心理描写が丁寧であれば
アニメとして面白いのだが、本作品のキャラクターは
上辺だけの設定と可愛い外見だけで、中身が無い。

心理描写を丁寧にしなければならないメインキャラよりも
サブキャラのほうが繊細に描かれているという本末転倒な構成。
だからこそ、キャラクターへ感情移入できず上辺だけのままで終わってしまう。
ある種、「羽音たらく」先生のキャラクターデザインと「声優」さんたちに
救われている部分が多かった。

本作品は敢えて例えるならターミネーター3だ。
ターミネーター1はそれなりに面白く、ターミネーター2は面白かった
だが、ターミネーター3は何か違う上に何かかけていて面白くない。
本作品はそんな印象を受けてしまった。

これが「おねがいシリーズ」と無縁ならば少しだけ評価が違ったかもしれない
だが、同じスタッフで同じ長野県が舞台、最終ではおねがい☆ティーチャーでも出た
湖が出るなど無関係と言うには無理な話だ。
だが「おねがいシリーズ」との関係性を無視しても、
テンプレート的などこかで見たような内容は面白みにかける

突飛な内容なのはヒロインが「宇宙人」というだけだが、
この「宇宙人」という設定が生かされていない。
序盤から中盤まで一切生かされないまま進み、終盤になって
「思い出した」かのように宇宙人に設定が生かされる。

そして終盤、どんどん片付いていくサブキャラの恋愛事情。
ゴタゴタしたと思ったら「あっさり告白」して「あっさり振られる」という
余韻もなく各キャラの恋愛が終わってしまい、なんだか落ち着かない

更に最終話。
これはギャグアニメだったのだろうか?と感じてしまう展開だ。
それまでネタとして出ていた「MIB」の伏線を活かすという
意味不明な強引な展開だった。

その強引な展開に引き寄せられるようにメインのストーリーも強引だ。
ヒロインが宇宙に帰ったと思ったら、よくわからないうちに帰ってきてる(?)
無理矢理にハッピーエンドにしてしまって、感動しきれない。

全体的に見て何がしたいかわからない作品だった。
確かに各キャラのデザインや声優さん達の演技もよく、
キャラクターによっては萌えシーンやえろいシーンもありよかったのだが、
ストーリー的にはテンプレート的なラブコメで、
そうかと思えば終盤強引に茶番を交えてまとめてしまい、
色々詰め込みすぎて破綻してしまっていた。

おねがいシリーズに絡めるならもっと絡める
絡めないなら一切絡めない、おねがいシリーズを意識した要素が
変にストーリーに交わっているのもすっきりとした作品になっていない原因だ
本作品の檸檬とおねがいシリーズのイチゴの関係性や、
最後に出てきた「井上喜久子」声のご先祖様など、中途半端に絡めたせいで
すっきりしない部分も出ていた。

序盤の強引な展開も思い返せば思い返すほど謎だ。
ヒロインは「記憶にある場所」を探しに来たはずなのに
学校に転校してきた理由が私は気になって仕方ない、
ずっと地球にいるわけではないはずなのに。
主人公に「先輩」と呼ばせるためだけの設定だったのだろうか?

個人的には、おねがいシリーズとは比較にならないほどの駄作だった。
絵的な良さはあったし、各キャラは確かに魅力的なのだが
メインヒロインの魅力の無さと序盤と終盤のストーリー展開が低評価につながった
面白い話もあったのだが、どうもインパクトに欠ける部分も多かった

ただ、個人的に密かに期待しているのが「おねがいシリーズ」恒例の
13話の存在だ。
これまで「おねがいシリーズ」は未放映の13話を特典として入れ、
その13話は毎度、はっちゃけており非常に楽しめる。
もし13話があれば、きちんと描かれなかったヒロインが帰ってきた理由や
サブキャラ達の今後なども描かれ、すっきりとした作品になるかもしれない。

13話・・・あるのだろうか・・・