劇場版 とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇蹟

評価/★☆☆☆☆(15点)


劇場版 とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟- ストーリー下敷

制作/J.C.STAFF
監督/錦織博
声優/阿部敦,井口裕香,佐藤利奈ほか


あらすじ
学園都市製宇宙エレベーター『エンデュミオン』。その完成を目前に控えたある日、上条とインデックスは『無能力者(レベル0)』の少女、鳴護アリサと出会う。




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劇場版とある魔術の禁書目録を見に行ったはずなのに三澤紗千香LIVEだった・・・
何これ。


本作品はとある魔術の禁書目録の劇場作品。
2期が2010年から2011年にかけて放送されたので約2年ぶりの作品となる。
キャストや制作スタッフさんに変更はない

基本的なストーリーはSFファンタジー。
超能力と魔術が混同する世界で不幸な主人公である「上条当麻」、
彼は同居人であるインデックスと食事に出かける最中、道端で歌っている少女に出会う
彼女は最近巷で流行りつつある「アリサ」という歌手だった
そんな彼女が何故か、魔術サイドからも科学サイドからも狙われていた
というところからストーリーは始まる。

始まって感じるのは背景作画の細かい描写だろう。
今作の主軸である「宇宙エレベーター」やビルなどの背景、
更に物語後半からの宇宙ステーションの描写などは素晴らしく、
CGなどを駆使して、かなりクォリティの高い作画になっており
劇場という大きなスクリーンで見ても遜色のない出来栄えになっていた。

しかしながら、そんな背景作画のレベルの高さと打って変わって
ストーリー自体は微妙だ。
今回のヒロインである「アリサ」の歌手活動が前半から中盤まで描かれてしまい
その過程で彼女が何故か狙われるという序盤は悪くはないのだが、
本筋を進めつつ「歌」が流れまくる。
もう・・・本当に何曲流せば気が済むんだというぐらい
アリサの歌う曲を劇中で流しまくる。

wikipediaを見ていただければわかるが、
本作品の劇中歌で三澤紗千香さんが歌っているものが6曲もある(苦笑)
上映時間が90分なので単純計算でも15分に1曲は流れてることになる。
同じ曲を流しているシーンも有るため実質それ以上ということだ。
三澤紗千香さんの曲が絶え間なく流れ続ける映画と言っても過言ではない。

劇場版だけのオリジナルキャラだからこそ掘り下げが必要なのはわかるが
過剰なまでに歌を流しつつ物語を展開するので正直、鬱陶しく感じてしまう。
特に中盤以降ではライブシーンも何回かあるのだが・・・これが本当に酷い。
アニメのライブシーンというとマクロスFやアイドルマスターを浮かべる方がいると思うが
特にインパクトのない歌が流れる中、派手な演出で誤魔化したライブシーンは
見ていて本当につまらなく、
ライブシーンでストーリーがなかなか展開しない苛立ちさえ感じる。

とある魔術の禁書目録のキャラクターデザイン上仕方ないのだが、
マクロスFのように等身の高いキャラクターデザインでないため
大きなステージ上に「ぽつん」とアリサが立ちながら、
誰が振り付けしたんだ!と言いたくなるようなとってつけたような振り付けをしつつ
普通のテンポが高いだけの曲を歌い、観覧席ではサイリウムふってる風の描写・・w

ストーリー的にはアリサがストーリートミュージシャンから
デビューし初ライブをするという盛り上がり所ではあるのだが、
そもそもその過程が「トントン拍子」に進んでしまうため感動もなく、
それなのにまるで「盛り上がりどころ」のようにつまらないライブシーンが描写される。
監督はライブシーンがやりたかっただけなのだろうか?と感じてしまうくらいだ。

彼女が歌う事と彼女のキャラ描写に必死なため、彼女にばかり焦点あたってしまい
結果として他のキャラクターになかなか焦点が当たらない。
「アクセラレータ」などのファンの方はほとんど出ない覚悟で見たほうがいいだろう。
美琴など科学サイドの人間もかなり脇に追いやられている感が強く、
「初の劇場版」なのにこうも映画オリジナルキャラばかりに焦点をあてる展開は
ファン向けの作品なのにと感じてしまう。

そして「あざとさ」。
ライブシーンも色々な意味であざとく感じるが、裸の描写が異様に多い。
違和感を感じるほど「裸のシーン」の作画のレベルが上がっており
他のシーンと比べると異質なまでの描き込み具合で
劇場という大きなスクリーンで裸が何度も映されると、エロ!というよりも
あざとさしか感じなかった。

更に物語を大きくしすぎた感。
今回宇宙エレベーターが出る事で、何と上条当麻宇宙へ行きます。
もう1度言います、上条当麻宇宙へ行きます(苦笑)
なんというか・・・わざわざ宇宙まで行く意味があったのか・・・?と感じてしまう。
上条当麻とインデックスが宇宙服を来てシャトルに乗ってるシーンは何ともシュールで
若干ネタバレになってしまうため、反転文字で描写するが

「神裂が宇宙服なしで真空に飛び出し迎撃ミサイルを切り落とし、生身で大気圏突入」
するというシーンも有り、本当に意味不明だ。意味不明すぎて逆に笑えるが・・・w

劇場だから派手なシーンをやりたかった。後悔はしていない。
という監督の声が聞こえてくるかのようだ。

ストーリーも前半から中盤までグダグダとした感じが続き、
歌と戦闘が交互に描かれるような印象で、同じような展開が続いているように感じる
なぜ科学サイドも魔術サイドも「アリサ」を狙うのかというのが
なかなか明かされないまま前述したとおり歌ばっかりなので
本筋のストーリーが進まない。

終盤で一気に物語が進むのだが、ストーリー的に説明不足な点が多い。
本作品の前日談がPSPでゲーム化されているらしいが、
それをやっていないとわからない点が多すぎる。
いつの間にかできていたステイルの弟子、今回の敵の目的と手段、
アリサがいつの間にか美琴と知り合いになっていたなど、
本来なら映画で描写しなければならない部分を省いてしまっている点は厳しい所だ。

そんな説明不足な状態で「上条当麻宇宙へ行く」という展開になり、
いつものように説教&右ストレートと新鮮味の欠片もない展開で終わってしまい、
最後の締めも何とも微妙な感じで終わってしまいカタルシスを感じるまもなく
エンディング曲が流れてしまった印象だ。

全体的に見て駄作としか言いようが無い。
「とある魔術の禁書目録」を見ていない&読んでいない人お断りなのは仕方ないが、
それを差し置いても映画オリジナルキャラの描写に必死過ぎて、
この映画を見に来た「とある魔術の禁書目録」ファンが好きなキャラクターが
ほとんど活躍しない&描写されない展開が続き、
やっと出てきたかと思えば「出てこないと文句出る」というぐらいのとってつけたシーン。
特定のキャラのファンが楽しめるとは言い難い。

確かに作画のレベルは高い。
だが、作画の質と演出が派手なだけでアニメーションとして
「面白みのあるシーン」になってはいない。
ただ派手なだけ、ただ早いだけの劇場アニメにありがちなシーンに
なってしまっていたのは残念だ

ストーリーも敵の目的が微妙で

彼女の【動機】の部分が描写されていないため感情移入することができず、
見ている側が蚊帳のそとになってしまい、そんな状況で
宇宙に行ったり地球を巻き込んだりと大きなことをされても冷めてしまう。

こういってしまうと本当に失礼なのはわかるが、
この作品そのものが「劇場版とある魔術の禁書目録」というよりも
「三澤紗千香LIVE」に近いものになってしまっているという点は本当に残念だ。
彼女のファンならば歓喜するのかもしれないが、
正直ファンでない方は若干嫌悪感すら抱くレベルだ。

更にこう書いてしまうと更に反感を買うのは覚悟の上で書くが
正直、三澤紗千香さんの「ゴリ押し」が酷い。
彼女の演技や声質は新人ということを考えれば頑張ってる部類で普通なのだが、
映画オリジナルキャラで劇中歌を6曲も歌うというのはあまりにも酷い。
というよりも本来は有り得ない事だろう。
特別に歌が上手、楽曲がインパクトが残る、声質が特徴的・・・というわけでもない。
1曲や2曲歌うのなら理解できるが・・・

私は800作品居事情をこのサイトでレビューしているが
特定の声優さんを名指しで「ゴリ押し」と表現したのは初めてだ。
本来そういう裏事情を描写するのは控えているが、
この作品は裏事情が表に出すぎてしまい作品そのものをつまらなくしてしまった。
もっと上手い具合に裏事情を隠せなかったのだろうか。

とある魔術の禁書目録という人気作でファンも多い作品なだけに
「ファンを裏切る」ような作品が初の劇場版になってしまったのは本当に残念だ。
ただ、人気作なだけに興行収入はいいようだ。(特典もあるしね)
もし、次回作があるならこんな作品にならないことを切に願いたい。

とある科学の超電磁砲2期には期待してます。