GJ部

評価/★★★☆☆(59点)


GJ 部 Vol.1 [Blu-ray]

制作/動画工房
監督/藤原佳幸
声優/下野紘,内田真礼,三森すずこほか


あらすじ
いつもの放課後、いつもの昼休み。
高校生の僕、四ノ宮京夜が過ごすのは、個性的な4人の彼女たちとの、ゆるふわな時間。
生徒総数千人を超えるマンモス高校にある、正体不明の部活GJ部。 ほんわか日常系ハートフルコメディ!




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GJ部とは何なのか?それはGJ部はGJ部でしか無いとしか答えられない


原作はライトノベルな本作品。
珍しくすでに「完結」している作品のアニメ化だ

始まって早々独特過ぎるOPが流れる。
この非常にクセのあるOPは好みが分かれる点だろうが、
ある意味、このOPはこのアニメを見る人を選ぶことを象徴している曲だ。

この作品はアニメでは珍しくない「活動が特にない部活」のアニメで
アニメでは珍しくない「男1人女性複数」のアニメで
アニメでは珍しくない「日常をたんたんと描く」アニメだ。
そんなアニメでは珍しくないだらけの作品なのだが、
独特の空気感が安易な萌えアニメとしての雰囲気を崩している。

まず音楽がない。
背景で流れる曲がないため無音の状態でキャラクターが喋る事が多い
テンポが遅いが、その代わりに「自然な会話」になっており
キャラクターとキャラクターにある空気をうまく描写している。

ただ序盤、特に1話や2話からこの作品の魅力の1つである「空気」を感じるのは難しい
このアニメはこういう雰囲気なんだ、独特のリズムでストーリーが進んだと
理解できるまではこの作品を「面白い」と感じにくい。

安易な萌えアニメの雰囲気で安易な萌えアニメのキャラクターという外見で
中身は「日常」というミスマッチな空気感を作っており
その空気感に馴染むまで時間がかかる。

萌え的なシーンも有るのだが、例えば「女性キャラが照れる」というシーンも
自然な会話の流れから独特のテンポのあとに女性キャラが照れる。
あざとさというのを感じにくく、自然なテレの描写なのだが
ストレートに「可愛い」や「萌え」を描写しておらず、その自然な描写に気づくまでは
この作品のキャラに「可愛い」と感じにくい。

ゆえに慣れるまでは人によって「つまらない」と感じにくい。
そもそもGJ部がどんな活動をしているのか、彼女たちと主人公の出会いなどが
描かれていないため、この作品の世界観に入って行きづらく
それだけに慣れるまで時間がかかり、面白くなるまで話数もかかってしまう。
途中で切った方も多かっただろう。

話数が重なってくるとこの空気感にも慣れ、キャラクターたちの自然な可愛さが目に入る。
主人公に髪を梳いてもらう、主人公が女性キャラクターを呼び捨てにするなど
「大きな事件」はストーリーの中でおこらないが、
彼女たちのゆっくりと流れる日常の中でのストーリーは慣れてしまうと妙にハマる。

また露骨なエロ描写やパロディが本作品にはない。
物語の最初のとっかかりやストーリーの中だるみを防ぐ刺激として
エロ描写やパロディが使われる萌え日常アニメは多いが、
本作品はあえてそれをせず、キャラクターの可愛さと日常ストーリーだけで
物語を構成している。

ただ、展開についていけないことも多い。
本当に「あれ・・・いつ入ったんだ」と思うくらい自然にというよりも唐突に
GJ部に新入部員が入ってたりと、本来のアニメならきちんと描く恥ずべき部分を描かずに
展開が変わってしまったりすることもある。
時間の流れも早くいつのまにか季節が変わっていることも多い。
2回めのバレンタインがすぐ来たときはさすがに早すぎる感が否めなかった

これもGJ部の作品の味といってしまえばそれまでだが、
この作品の独特な空気に慣れてきたところで、もう1度突き放されたような
そんな感覚を覚える。

さらに言えばネタのバリエーションが少ない。
特に「ブラッシング」で女性キャラが赤面というシーンがあるのだが、
コレに関しては1話の中で色々なキャラがやる分にはブラッシング回と納得できるが
2,3話間に挟んで別の女性キャラがブラッシングされるという展開が多く、
流石に後半はキャラが変わっても反応もワンパターンなので飽きてしまった。

キャラクターも内容の割りには「作りすぎている」感も否めない。
部長の主人公を噛むという行為はまだ許せるが、
キララの作り過ぎな肉ばっかり食っている猫のようなキャラは
この作品の世界観の中では作りすぎている感があり、
彼女の妹のキャラもそれにつられてか若干作りすぎだ。

全体的に見て人を選ぶ作品だ。
キャラクターデザインやOPから典型的な萌えアニメを想像するので
そういった要素の多そうなアニメと連想しがちで、
そういったアニメが嫌いな方はこの作品を見ないだろう。
逆にそういった要素が好きな方でも、外見と中身が違うため
見る姿勢を崩されたような拍子抜けする内容になってしまっている。

だが、その拍子抜けするような「日常描写」がこの作品の魅力であり
面白さだと気づけばこの作品を存分に楽しめる。
噛めば噛むほど味が出る、最初の1噛み、2噛み・・・いや3噛みでは味が出ない
4回味わって初めてこの作品の味を感じることが出来る。そんな作品だ。

更にこの系統の作品としては珍しく、きちんと物語を締めている。
時間の流れの速さはこのためとも言えるが、
最終話で彼女たちが「卒業」してしまうという喪失感は
今まで物語で大きな起伏がなかっただけに大きく、
この作品の登場人物の「大きな変化」というのが恋愛ではなく、
卒業と別れというのがこの作品の憎いところだろう。
登場人物が「涙を流さない」別れのシーンというのもこの作品らしい。

きちんと濁さずに1クールでこの作品を閉めたことは評価したい。
慣れてしまえば楽しめる、ピンとくれば楽しめる、
表現の仕方は色々あるが、人によってこの作品が面白くなるまで時間がかかり
それがこの作品のカセになっているが、それがなくなってしまえば
1つの作品として「面白い」と言えるアニメになっている。

この作品を「名作!」「佳作!」というのは、もう1歩何かが足りないが
決して「駄作」や「つまらない」作品ではない。
最期まで見て初めてこの作品の面白さを感じることができる、そんな作品だ。
展開からいって2期はないだろう。
それだけに原作に手を出したくなる魅力を秘めた作品だった