ストレンジ・プラス

2015年12月29日

☆☆☆☆☆(3点)

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ギャグに大事な間をテンポで破壊してしまった作品

原作はコミックZERO-SUMで連載中の漫画作品。
峰倉かずや、羽海野チカ、織音、武内崇などが単行本の帯を描いたこともあり、
ギャグ漫画として高い評価を受けている作品だ。
アニメ自体は5分のショートアニメとして制作され、2クール放映された
1期、2期と分かれているが本サイトでは1つのレビューにまとめる

見出して早々「原作を読んでない人はお帰りください」と言われるような気分になる
最低限の「世界観」や「設定」の説明がなく、なんとなく始まる。
「恐らくこういう設定なのだろう」と解釈しながら見なければならず、
それが1話30分の普通のアニメならば問題ないが5分、
実質本編は3分30秒ほどの作品では非常に厳しい。

そしてギャグ。
ここまで「ど滑り」しているギャグアニメは初めて見たと言いたくなるほど
見事に1つ1つのボケが滑っており、そのうえ古い。
原作が2002年から連載されてるからかもしれないが、
最近のギャグアニメというよりは90年台のギャグアニメのような雰囲気だ
その1つ1つのボケがノリや勢いで「ほら!面白いだろ!」と言われるような演出になっており
「5分」という尺の中でボケを詰め込みすぎて死んでしまっている。

いくらショートアニメだからって常に「早送り」しているように台詞を喋らせる必要はない。
ギャグアニメ、特に本作品の場合「キャラクター同士の掛け合い」に重きをおいている作品で
キャラクターとキャラクターの会話の間を殺してしまうことは
「ギャグ」自体の面白さを削ることと同じだ。
本来はもう1呼吸置いてから突っ込んだり、もう少しテンションを落としてテンポを上げれば
笑えるボケも多く無駄にテンションを上げて、無駄にテンポを上げるせいで
本来は笑えるはずのギャグも笑えない。

長台詞を入れてしまうことで尺を余計に取られてしまっている話も多く、
結果的にキャラクターのテンションも無駄に上がってしまい台詞が聞き取れない場合も多い
制作側がギャグアニメにおけるボケの「勢い」を「テンポを早くする」事と勘違いしており、
話によってはネタを詰め込みすぎていて1つのネタも頭に入ってこない場合も多い
「尺が3分」というのを意識せず、本来はもう少しギャグを削らないといけないのに
他のギャグを圧縮してしまうことで何とかギャグを取り入れようとするため、
1つ1つのギャグが死んでいる。

更に作画の不安定さ、話によって「演出」でもないのに背景の描き方や
キャラクターの描き方がバラバラで安定しておらず、
話によっては「別作品」のような雰囲気まで出している始末だ。
毎話で演出や作画監督が違うのは他のアニメでは当たり前だが、ある程度の統一感はある
だが、この作品の場合はその「統一感」が取れていない。
監督がこの作品が初監督なのを見終わった後に知ったが、妙に納得してしまう。

毎話の作画の指示、音響監督から声優さんへの指示、脚本への指示、
そういったものが出来ておらずというより、監督の「意図」が
うまく他のスタッフに伝わっておらず、その結果、色々な部分がバラバラになってしまい
「ギャグシーン」の「演出」と「作画の雰囲気」と「声優さんの喋り」がチグハグで
そんなチグハグなのが1話の中に多くつめ込まれているため、
結局「ギャグアニメ」なのに「ギャグ」が見ている側にストレートに伝わらない

更に予算も少ないのだろう。
「キャラクターの後頭部」を映すことでしゃべっている口の動き隠したり、
ギャグアニメにおける「動き」の面白さも作画枚数が少ないことにより
硬い動きや無駄に同じシーンを長回ししているシーンも多く、
ストーリーのテンポの割には「シーン展開」が少ない。
「シーンの動き」に対しても「台詞」があまりにも多く、
結果としてセリフ量に相応しい動きをキャラクターがしていない

2期の1話でようやく状況の説明したが、今更遅く
「あえてそれを取り込んでボケにしましたw」という制作側の意図が尽く滑っており、
更に1期の反省点を2期できちんと踏まえようとした意気込みは分かる。
前述したテンポや間を2期では改善しようとしているのだが、
逆にテンポが落ちすぎていたり、間を取り過ぎてギャグが流れてしまったり、
1期と2期のテンポの「中間」くらいがちょうどいいのに、はっきりいって極端すぎる。

1期の終盤である程度、この作品の「テンポ」や「間」に慣れており
1期の終盤は割りと「笑えないこともない」ギャグシーンも増えていた
だが、2期でそれを崩してしまったことで「この作品の見方」をリセットしなければならず、
詰め込み過ぎたギャグとハイテンションなテンポという1期の面白みがなくなる。
もはや統一感どこ行ったという突っ込みたくなるほど制作意図が不安定だ
個人的には2期からの「中途半端なパロディ」が寒すぎて引いてしまった

全体的にアニメ化失敗と言わざるを得ない。
本来は「3分」というショートアニメではなく、「15分」ぐらいの尺がちょうどいいのだろう
15分で描かなければならない内容を無理矢理3分に押し込めてしまったことで
原作の面白さも5分の1になってしまったような感覚だ
個性の強いキャラクターの掛け合いがギャグになっている作品なのに
その「掛け合い」におけるテンポと間がとにかくズレてしまっており、
結果として滑りっぱなしなギャグアニメになってしまっていた。

特に1期の序盤と2期は酷い。
1期の中盤から終盤までは「テンポ」や「間」に問題はあるものの
そのテンポと間に慣れることが出来たので強い笑いにはならないのの不快には感じなかった
だが、2期からはせっかく慣れたテンポを崩し丁寧に描写しようとして失敗しており
更に「キャラクター」が増えることでテンポが遅く間延びしているのに
変にごちゃごちゃしてしまっており、ぐだーっと笑えないギャグシーンが続いている。

そんなぐだーっと笑えないギャグシーンを展開したのに
「オチ」が「オチ」になっていない話も多く、1話1話の区切り方も悪すぎる。
更には中途半端なパロディのせいで人によっては不快感すら生まれるだろう

唯一評価できるとすれば有名声優ばかりを起用している点かもしれないが、
有名&ベテラン声優を使えば面白いアニメが作れるわけでもない
この作品に限っては逆に新人声優さんのほうが「カオス」さや「シュールさ」が増して
面白かったかもしれない。
せっかくのベテラン声優たちの演技力を持て余してしまっている作品だった

原作は非常に評価が高く面白いと言われている作品だっただけに本当に残念だ
いつか、15分もしくは30分アニメとしてリメイクされることを期待したい