精霊使いの剣舞

2014年12月3日

評価/★★☆☆☆(35点)

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集え、駄作好き。この作品は駄作の中の名作中の名作!

原作はライトノベルな本作品。
アニメーション制作はティー・エヌ・ケー、監督は柳沢テツヤ。

見出して感じるのは作画のヤバさだ。
冒頭のシーン、遠いアングルからの作画が「お?」と一瞬止めて確認したくなるほど
ギリギリの作画だ、OPも流れる前のこのアニメが始まって1分もしないうちに
作画の不安がよぎる、同時になぜか喋らない。

1話の冒頭は剣を持った少女とやけにアンバランスな鎧をこきこんだ少女との戦いなのだが
なぜか一切声も発さずに「SE」と「BGM」のみ
深い演出意図があるのかは図りかねるが、
いきなりダイジェスト映像を1話の冒頭から見せられたような気分になる。

そして、私はこのアニメをどうやら一度見たことがあるらしい。
どこかで見た主人公、どこかで見たヒロインが
どこかで見たシュチエーションで、どこかで聞いたことのあるセリフを喋る。
1度見たことがなければここまでの既視感は感じないだろう。
それくらいテンプレート的だ(苦笑)

テンプレート的なことを別に否定はしない。
色々な作品の色々な要素をつなぎあわせて「1つの作品」に仕上げるのも才能であり、
その作り上げた作品が「面白ければ」パクりだろうがテンプレートだろうが私は気にしない。
だが、この作品は面白く無い。
もはや身も蓋もない言い方だが、
この作品を形容する上でそれほど的確な言葉はないだろう、もはや致命的だ。

そして作画。
1話の冒頭3分でヒロインのツンデレ少女が裸で水浴びしており、主人公がそれを見てしまう
その後の展開については「今あなたが予想した内容」で間違ってないはずだが、
この少女の裸、冒頭で1番大事なシーンのはずだ
少女と少年が出会う「きっかけ」の大事なシーンだ
そんな大事なシーンのヒロインの裸の作画が「のっぺり」すぎる(苦笑)

これが90年台のアニメの作画なら気にならないが2014年のアニメの作画で
大事なヒロインのセクシーシーンを全く印象残らないシーンに仕上げるのはある意味すごい
裸であまり隠していないのに「光規制」が全くいらないほど
セクシーのかけらもない。

その後の展開も少し頭を抱えるほど酷い。
ファンタジーラノベアニメにありがちな「専門用語」を視聴者に一切説明せずに並べ立て
それっぽい雰囲気とそれっぽいセリフでそれっぽいストーリーを展開しているだけに過ぎず
視聴者に先の展開を「見たい」と感じさせない
今までに見てきた色々な作品の色々なシーンが頭をよぎり、
「こうなるんだろうな」と思う展開になる
あまりにも予想出来て「予知能力」でも身につけた気分になるほどだ

このアニメのキャラクターは魔法を使う際に「詠唱」を行う。
この詠唱がそこそこ長い詠唱文を言うのだが、はっきりいって演出が稚拙すぎる
魔法を使うアニメの「魔法を使うシーン」の迫力が一切なく、
「盛り上がりどころ」の見せ方が一切出来ていない。

ヒロインの初登場、主人公の精霊契約シーン、主人公の正体がわかるシーンなど
この作品を描く上で「盛り上げて描かないといけない所」を全く盛り上げずに描く。
無駄にテンポがいいせいで物語に必要な「溜め」が一切なく、
再生速度を3倍位にして見ているような感覚になるほど
「アニメーション」としての完成度のレベルが低すぎる。
これならば同じシーンでも原作のほうが「想像」が効く分、かなりマシだろう
「下着」が見えるようなシーンも結構多いのだが、本当に「見える」だけで何も感じない。

ただこの作品、逆に考えるとここまで笑える作品はない。
テンプレートオンパレードで物語を進め、
テンプレートオンパレードなヒロインがどんどん主人公に惚れていく(笑)
テンポの早さがもはやダイジェストチックな加速度的ストーリー展開を産んでおり、
ちょっと落ち着けといいたくなるほどストーリーがどんどん進む。

もう少し落ち着いてじっくりとシーンを見せてくれれば
テンプレート的とはいえヒロインを可愛いと思うシーンも有るだろう
だが、そんなことはしない。
ヒロインが物凄い可愛いシーンも、ヒロインが物凄いセクシーなシーンも
「さらっ」っと描写して無かったことのように次のシーンにどんどん進む(笑)

感覚としては「スーパーマリオ」のスター状態に近い。
常時無敵状態で敵も障害物もあったもんじゃないゲームを進めるように
ものすごい速度でストーリーを進める。
ある意味で濃密ではあるのだ、本来は2話かけて描くようなストーリーを1話、
へたしたらAパードだけで描いている。
これでテンプレート的じゃない複雑な作品なら話が絶対に理解できなかっただろう

この物凄いテンポの早さと「だれにでも分かるテンプレート」要素が
見事にマッチしている(笑)
どちらが欠けてもだめだ、早過ぎるテンポとテンプレートすぎる展開、ちょろすぎるヒロイン、
本来は酷評するときにしか使わない用語の数々が絶妙なバランスで組み合わさることで
「妙な面白さ」が出てくる。
断言しよう、この作品は「駄作」好きにはたまらない(笑)

特に戦闘シーンの「動かなさ」はもはやギャグアニメレベルだ。
戦闘シーンにおけるアクションシーンのアクションがアクションになっておらず、
止め絵を「動いている風」に魅せる演出を常に使い、
そこに詠唱シーンを入れることで更にテンポを崩す。

ここで一例出すが

「ヒロインのピンチで走って駆け寄ってきたのに一時停止して
 時間たっぷり回想たっぷりで呪文を唱えて敵を倒す主人公」

どうだろうか(笑)
走りながら呪文詠唱しろよなどと突っ込んではいけない、
甘んじてこの奇跡的な戦闘シーンを受け入れることで「つまらない」ではなく
「笑える」という感情に変化する事ができる。

話が進めば進むほど設定が大げさになっていくが気にしてはいけない。
主人公が自ら「最強」をいきなり名乗ったり、
大したキッカケもなくどんどんとヒロインたちが主人公に惚れていくが気にしてはいけない、
主人公の左にいるヒロインと
右にいるヒロインで作画の力の入れ具合が違うのも気にしてはいけない

スタッフの熱が右の女の子「エスト」に行ってしまうのも仕方ない。
なにせこのコはこの作品の中の唯一の「オアシス」のごとく可愛い
演じている「加隈亜衣」さんの素晴らしい声質と演技と
スタッフの贔屓のお陰で彼女のセクシーシーンだけは萌えることができる。
毎話お約束のように彼女とのシーンが有るのもポイントだ

そこまで慣れてしまえば最終話まで一気に見終わることができる。
もちろん駄作アニメの定番「俺たちの戦いはこれからだ」というお約束を守る
最後の最後までたっぷりと駄作具合を笑いきれる作品だ。

全体的に見てこの作品はいわゆる1周回って面白い作品だ。
駄作好き以外は1周することもなく終わるだろうが、
駄作好きの「つまんねwwおもしろww」というツンデレ心ともいえる嗜好を
見れば見るほど刺激される。
もっと作画崩れろ、もっとテンプレート的になれ、
心の中で思わずそう思ってしまうほど逆に面白い。

作画が崩れれば崩れるほど、テンプレート的であればあるほどこの作品は面白くなる。
変に設定に凝る必要なんて一切ない、どんどん色々な作品から取り入れてくれ。
変に作画に拘る必要なんて一切ない、どんどん崩れてくれ。
低予算アニメ万歳!と言いたくなるほど奇跡的な作品だ

ここまで賞賛しているのは不思議と見ている間に「イラツキ」を感じないからだ
作画崩れすぎだろ!テンポ早過ぎるだろ!いろいろな作品からパクリすぎだろ!
と、中途半端な駄作具合であればこの作品もそんな苛立ちを感じていたに違いない
だが、この作品はそんな苛立ちを一切感じさせないほど振りきってしまっており
その上、娯楽における最低限の決まりは守っている。

どんどん登場するキャラクター、どんどん勝手に進んでいくストーリー、
見ている側のことなど一切考えないような素晴らしい完成度だ
そんな中での駄作具合と「エスト」の可愛さでこの作品を楽しみ切ることができる
1話で見るのを止める方が多数だと思うが、エストが出るまでは見て欲しいところだ

私に騙されたと思って何も期待せず「駄作具合」を楽しむつもりで見て欲しい。
恐らく3話で物凄くハマるはずだ。
逆に3話ハマらない人にとってこの作品はただの「駄作」以外の何物でもない、
ここまでひどい作品は中々ないが、そんな中々無いひどい作品の中でもこの作品は
「酷さの中にある面白さ」が存分に出てしまっている。

例えは悪いのだがブルーチーズやくさやのような作品だ。
匂いを嗅いだ時点で拒否感が出るほどの食べ物、だが、
その匂いを乗り越えてしまえば「味」という名の面白さがある。

この作品はアニメーションとしてはかなり最悪な出来栄えだ。
だが「娯楽作品」としてはある嗜好を持つものにおいては最高の作品だ
確かにつまらない、確かに駄作だ、確かにひどい作品だ
だが、それを乗り越えると「形容しがたい面白さ」をひしひしと感じられるはずだ
この作品は愛すべき駄作の中の名作だ。

個人的な意見になるが全話一気に見ることをおすすめしたい
最終話を見終わった後に変な「脳内麻薬」がでているはずだ
駄作万歳!駄作最高!もっとこんな駄作を見せてくれ!
そんなバッドトリップに陥るはずだ

もし最終話まで見れたのならぜひ注目していただきたい
Aパートでは最終話ということもあり物凄い作画を頑張っている、
だがBパートになると、とたんに作画のレベルが落ちる(笑)
このなんともやめられない止まらない駄作感、ぜひ貴方にも味わっていただきたい。