青春

ハナヤマタ

青春
スポンサーリンク

評価/★★☆☆☆(28点)

OP詐欺

原作はまんがタイムきららフォワードで連載中の漫画作品
アニメーション制作はマッドハウス、監督はいしづかあつこ

見出して感じるのは「美麗」さだろう。
キャラクターが醸し出す雰囲気、色彩、和風な雰囲気、着物、花火など
冒頭のシーンからOPにかけて綺麗な作画で綺羅びやかな雰囲気を醸し出しており
思わず目を奪われる。
この作品ははっきりいって作画のレベルはそこまで高くはない。
もう少し繊細に言うならば「動き」としてのアニメーションの面白さは薄い

だが、動き=作画枚数を増やせない分、1枚1枚の作画の演出がしっかりしており
若干、キャラの表情が崩れそうになってるところもあるのだが
背景や「美麗な演出」で独特な雰囲気を出しており
予算の少なさも感じると同時に、予算が少ないなりの工夫を感じる

ただストーリー展開とキャラクターがやや厳しい。
主人公である「関谷 なる」はヒロイン願望があるのだが、
やりたい事も見つからず、気弱な性格だ
そんな彼女の前に「ハナ」と呼ばれる少女が現れよさこいに誘われる
というところから始まる。

いわゆる「ウジウジ」っとした主人公だ
キラキラしたヒロインに憧れるのに何もしない、
今の自分を変えたいのに今の状況が変わることが怖い自分もいる。
若干見ていると「いら」っとするタイプの主人公であり、
Googleで「ハナヤマタ 主人公」まで入力すると予測で
「ハナヤマタ 主人公 うざい」という検索ワードが出てくほどの主人公だ(苦笑)

ウジウジしてるだけならまだ「うざい」とは感じなかったかもしれないが
すぐに泣く。
キャラクターにあまり感情移入していない、出来ない状態で泣いているシーンを描かれても
余計にうざさが増しているだけでどうにも主人公を好きになれない。

そんな主人公に前に現れる「ハナ」という少女もこれまたうざい。
演じている声優さんの演技と声質もあると思うのだが、
いわゆる「キンキン」とした声であり、オシの強いキャラクターだけに
そのキンキンとした声による演技が「うざさ」を産んでしまっている。
更に彼女の行動。

よさこいを主人公に進めるだけでなく、留学してきた学校で執拗によさこいメンバーを募集する。
ちなみにこの作品の舞台は「鎌倉」だ。
よさこいをするのが夢と言っているのだが、よさこいは基本的に高知のものだ
「よさこい」をやるために留学しているのになぜ鎌倉の学校に留学してくるのか。
鎌倉でやろうとするほうが無理がある。

私的な意見になるが「よさこい」自体あまりメジャーなものではなく、
メジャーである高知を舞台にせずなぜ鎌倉が舞台なのかが理解できず、
都合よく鎌倉で「よさこい」のお祭りが開かれるなど
物語全体から「わざとらしさ」が漂っている。
鎌倉にあるはずのない「よさこいショップ」、主人公や「ハナ」のキャラクター、
よさこいをやりたいというストーリー、これがファンタジーならばわざとらしさは感じないが、
青春日常ものでのわざとらしさは不自然さな感じが生まれてしまっている。

更にそこに新人声優さんの演技力不足が目立つ。
恐らくベテランの声優さんならばこのわざとらしさも少しは薄れたと思うが、
妙にドロっとしたキャラクター同士の関係性のシリアス展開もあり、
そのドロっとしたシリアスなシーンでの演技力不足が特に目立つ。
そのせいで余計に「わざとらしさ」が強まってしまっている

そして「泣き」のシーンの多さ。ほぼ毎話、誰かが泣いている。
感情が高ぶって、ストーリー的にも盛り上がってキャラクターが泣くならば
こちらも釣られて涙腺を刺激されてしまうかもしれないが、
毎話のように特に大したストーリー展開でもなく盛り上がってもないのに泣かれても厳しく
毎話のようにあるため正直飽きる。

更に顔を赤らめる描写、不自然なほど多い。この作品に男性キャラクターはいない。
それなのに顔を赤らめるキャラクターが多く、頻繁だ
特に「同性愛」的な描写があるわけじゃない、あくまでも女の子同士の友情であり
キマシタワー!的な感じではないのに頻繁に顔を赤らめる描写は違和感が強い
少し頬を染めるくらいなら「照れ」の描写として受け止められるが
真っ赤になるので余計に違和感が強い。

キャラクター描写とやりたい事は物凄く伝わってくる。
気弱だった主人公が徐々に変わっていく姿、ハナの真っ直ぐなキャラ、
ヤヤの主人公に対する嫉妬、多美がはこいりお嬢様から変わっていく姿など
1つ1つのキャラクターの描写とヨサコイというものを通じて「変わっていく」姿は
ストーレートに面白い。

だが、その面白さに対して違和感の強いストーリー展開や設定、過剰な演出など
ストレートに面白いキャラクターの描写と青春模様をわざとらしさが邪魔をしてしまい
キャラクターたちの感情の激しさに見ている側がついていけず、
わざとらしく色々なことを過剰にやりすぎている感じが否めない

そして作画のレベル。
1話以降明らかに劣化してしまい、癖のある「まつげ」のデザインのキャラクターだけに
崩れこそしないもののギリギリの時も多く、
5話で「よさこい」を初めて全員で見るシーンが有るのだが
キャラクターたちは圧倒されるが、視聴者は全く圧倒されない。
キャラクターと同じように視聴者にも「よさこい」の魅力を伝えられなければ
キャラクターに感情移入しにくいのに、そこの描写の手を抜いてしまったのは残念だ

「よさこい」も部活動として本格的になってきても
きちんと踊るシーンは描かれない。
最終話でようやく踊るのだが結局ほとんど「OP」からの流用であり、
さんざん何度も見たOPのよさこいでは盛り上がることはなかった

全体的に見てこの作品で評価できるのはOPの部分だ。
曲、踊り、キャラクターの描写、演出が高いクォリティで描かれており
これから始まる本編への期待感と作品の空気作りが素晴らしく、
毎話毎話OPを飛ばさずにじっくり見てしまう。
だが、結局本編はそのOPを超えることはない。

本編になるとOP以上に踊ることはなく、
本編になるとOP以上に作画のクォリティを維持できておらず、
キャラクターたちに巻き起こるトラブルもシリアスな展開が多く、
一部の声優さんを除いてシリアスなシーンになると演技力不足が目立ち、
ストーリーも予定調和な展開が多く、そのわりにはキャラクターの反応が激しく過剰で
ついていけない感じが目立ってしまっていた。

これがきちんとベテランの声優さん達が演じるシリアスなシーンなら
きちんと雰囲気を作り感情移入も出来たかもしれない。
これが普通の日常系でシリアスなシーンがなければ気にならなかったかもしれないが
シリアスなシーンや泣く演技など演技力が求められやすいシーンの多い作品で
メインキャラ5人中3人も新人声優を使ってしまったことは厳しい。

だが、逆に演技力という以前の問題の場合もある
シリアスな内容に対して演出も過剰すぎるのだ。
「そこまでシリアスな雰囲気を出す話?」ッて思ってしまうほど
極端に重苦しい雰囲気を醸し出してしまっており、
逆に演技力のある声優さんがシリアスなシーンを演じると
その過剰な演出をより後押ししてしまってる場合もある。

作品の「雰囲気作り」を作画に力を入れられない分、
制作側が演出で少し過剰にしすぎている感じは否めない。
シリアス展開自体は予定調和で解決することが多く、
あってもなくてもいいトラブルも多い。
「大会にエントリーし忘れてました」→「ギスギス」→「なんとかなりました」という風に
どうにも顔をしかめてしまう展開が多い。

ストーリーが盛り上がってきてシリアスなら感情移入できるが、
ストーリーの盛り上げのためにシリアスを利用して話を作っており、
すぐに泣く展開になるため話がパターン化してしまっている。
特に11話と最終話のシリアス展開は「茶番」な感じが物凄く強く、
王道的展開とも言えない。

予算が少ないなりの工夫は感じられたが、
この作品はもっときっちりと作れば面白く王道的青春作品になったはずだ
要所要所をきっちり抑えて作れば低予算でも面白くなったと思うが要所を抑えずに
中途半端な予算で所々手抜きをしないとできない作品に仕上がってしまったのは
残念でならない

個人的にメインの5人よりもサブキャラのほうが感情移入できた
主人公の父親、先生、よさこいショップの店長と
サブキャラのほうが魅力的に見える部分が多くメインキャラは面倒くさい感じが強く
最後まで感情移入しきれなかった。

売り上げ的に1巻はイベントチケット効果で4700枚とやや好調だが
2巻以降はグッと右肩で2500枚前後と何度も微妙な売上枚数だ
原作の売れ行きが伸びれば2期があるかもしれないが・・・
2期が作られるならもう少し予算を増やして作っていただきたいところだ

「」は面白い?つまらない?

この作品をどう思いましたか?あなたのご感想をお聞かせください

  1. みぼしー より:

    「よさこいは高知のものだ」と書かれていますが、高知だけのものではありません。仙台や札幌など高知以外にもよさこい祭が活発に行われてる地域はたくさんあります。神奈川もよさこい祭が活発に行われている地域の一つで、湘南よさこい祭、平塚よさこい祭、鎌倉祭などでは非常に多くのよさこいチームが参加し盛大に盛り上がっています。
    今や高知にとどまらず日本全国で多くの人がよさこいを楽しむようになり、鎌倉にもよさこいを愛する人がたくさんいるにもかかわらず「鎌倉を舞台にするのはわざとらしい」などと書くのは鎌倉在住のよさこい民に対する配慮に欠けるのではないでしょうか。

  2. 笠希々 より:

    「よさこいは高知のものだ」の文章に基本的という言葉を足しました。
    世間的な常識として、よさこい=高知であり、
    海外の女の子が留学してきてまでよさこいをやろうとしているのに、
    なぜ、よさこいが活発な高知ではなく、鎌倉でやるのか。
    その部分で説得力に欠けました。

    鎌倉には実際にない「よさこいショップ」までアニメの中で強引に作ったり
    (モデルになったお店は和菓子屋)
    鎌倉を物語の舞台にするためのいささか無理のある部分が目立ちました。
    「鎌倉を舞台にするのはわざとらしい」というより
    作品全体が「わざとらしい」という意味です。

    留学してきた女の子がきっかけではなく、
    鎌倉在住の女の子が最近地元で活発になってきてる「よさこい」を知り
    そこからよさこい部としての活動が描かれるならば
    鎌倉という舞台設定が生きてきますが、
    普通の視聴者や、発祥である高知の方からしてみれば
    「なぜ、高知じゃないんだ?」と思うでしょう。