久しぶりに開けた押入みたいな匂いのするアニメ「聖戦ケルベロス 竜刻のファタリテ」レビュー

2016年7月3日

評価★☆☆☆☆(18点)全12話
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あらすじ 剣と魔法が支配するクナアーン大陸。クナアーン大陸には、各地に出没し大地を焼き、破壊をほしいままにしていた邪竜と恐れられるダガンゾートが存在していた。10年前ヒイロの両親達が、ダガンゾートを封印しようと魔法の儀式を行ったが、失敗。ヒイロは両親の仇を討つために剣の修行に励み、邪竜退治の旅に出る!引用 – Wikipedia


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久しぶりに開けた押入みたいな匂いのするアニメ

原作がグリーが運営するソーシャルゲーム。
監督は近藤信宏、制作はブリッジ。
なぜか日本より先に中国で先行配信された。
原作ゲームは「美しすぎるカードゲーム」という謳い文句で、
EXILEがコスプレして宣伝してたやつと言われればピンとくる人も多いだろう。

見だして感じるのは「ベタベタ感」だろう。
剣と魔法と龍、ファンタジーを構成する基本的な要素を基本的なまま、
「Theファンタジー」と言いたくなるようなベタさだ。

更に1話から作画が微妙だ。
キャラクターデザインも「ありがち」かつ特徴の薄いデザインで、
キャラクターを外見的に記憶しづらく、
1話の冒頭は龍との戦闘シーンなのに紙芝居チックで動かない。

キャラクターの表情が常に不安定で、
1話の時点でシーンによってキャラクターの顔が違いすぎる。
せめて1話くらいはしっかりと描いてほしいと感じるほど、
ふわふわっとした作画が危ういシーンの数々のせいで、
内容が頭に入ってこない。

ストーリー展開もものすごい遅い。
非常にだらーっとストーリーが進む。
これが刺激的なストーリーだったり、続きが見たくなるようなストーリーならば
テンポの遅さも許容できたかもしれないが、
この作品を構成する要素は「ベタなファンタジー」であり、ベタベタだ。
はっきり言ってしまえば「何年前のアニメだ?」と思うほど古臭い。

簡単にいえば「スレイヤーズ」や「魔術士オーフェン」のような
90年台のファンタジーラノベアニメのような世界観の中で、
2000年代前半のスクラップド・プリンセスのような
ストーリーの雰囲気の中に、最近の中二病主人公を放り込んでいる。

もはやファンタジーラノベにおける
「基本」となりつつ要素をひねらずにそのままやっており、
それをきっちりとした作画で描かれるなら見れたかもしれないが、
笑ってしまうほどクォリティの低い作画で描かれるため、
盛り上がり所であるはずの戦闘シーンは爆笑してみてしまう。

作画の枚数に限りがあり、予算も厳しいのだろう。
それは見ている間中にひしひしと感じるのだが、
その作画枚数の少なさをごまかすための演出と動き、
主人公のキザセリフが見事なまでに「ギャグシーン」のような
戦闘シーンになってしまっており、ダサすぎて笑えてくるレベルだ

作画も話が進めば進むほど「予算」がなくなっていくのはわかる。
むしろ不安定だった1話が1番マシだったかもしれないと感じるほど
「ぐにゃぐにゃ」な感じの作画は酷い。
しかし、作画崩壊という要素をギャグとして受け止めれる人ならば、
この作品は至高のギャグアニメにも見えるだろう。
ここまで酷い作画崩壊&不安定ぶりは久しぶりに見た。

ストーリー的にはこの作画崩壊ぶりのカオス感と、
王道のファンタジー世界観、遅すぎるテンポと
本来は「見るのがきつい」はずの要素ばかりが揃っているのだが、
不思議をつまらないということはない。

スライムにも苦戦するような主人公が両親の敵である龍を倒すために、
修行したり、謎のヒロインと出会ったり、
非常にベタかつ王道的なストーリーなのだが、
捻っていないからこそ、その王道さが心地よく、
話が進んでいくと意外とこの作品のストーリーを楽しめる。

全体的に見て「一周回って面白く感じるか」どうかが肝な作品だ。
ベテベタかつ王道な設定とストーリーは目新しさはないものの、
起承転結しっかりと作られており、
そんな中でギャグテイストな主人公の中二病的性格と
作画の崩壊さが相まって一周回って笑えるアニメになっているが、
いわゆる「駄作好き」な人以外には楽しみにくい作品だ。

しかし、王道なストーリーは話が進んでいくと面白さも積み重なっていき、
物語の中盤まで見てしまえば「先が気になる」ストーリー展開になっており、
序盤のとっつきにくさを乗り越えてしまえば最後まで楽しめる作品だ。

ただ、それでも作画の不安定さや演出の弱さなどが
その王道の面白さを感じにくくさせてしまっており、
「6話」くらいまで見てもらえばこの作品の面白さを感じることができるが、
その6話までのハードルの高さが作画や演出の弱さのせいで生まれてしまっている。

最近のアニメにはない捻りのない王道な設定のファンタジーは、
若干の懐かしさを沸き立たせてくれる作品だ。
とてもじゃないが2016年の作品とは思えないが、
2002年くらいの深夜アニメを彷彿とさせる雰囲気は、
このくらいの年代のアニメをリアルタイムで見ていた人にとっては
ツボに入る面白さを感じることができるだろう。

ストーリー的にもきっちりと完結しており、
これで作画と序盤のストーリーのテンポがもう少し早ければ、
高い評価ができただけに色々と惜しい作品だった。

ただ、この作品を見て
美しすぎるカードゲームをプレイしたいと思う人が何人いるのだろうか(苦笑)
非常に今更感のあるアニメ化だ。