とある科学の超電磁砲

評価/★★★★☆(62点)

とある科学の超電磁砲 評価

全24話
監督/長井龍雪
声優/佐藤利奈,新井里美,豊崎愛生,伊藤かな恵,阿部敦ほか

あらすじ
一八〇万人を超える学生が集い、超能力開発を受ける「学園都市」。 その日常の裏側には、学生たちによる「風紀委員」の活躍があった。 しかし、彼らの目が届かぬ暗がりもある。 裏路地で平和を乱す不良学生たち。その彼らを一筋の閃光が襲う。 そこには、学園都市最強の電撃姫、『超電磁砲』御坂美琴の姿があった……。

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レールガンは伊達じゃない

とある魔術の禁書目録のスピンオフである本作品。
前提として、とある魔術の禁書目録を観ていていないと
楽しめない部分もあるので、できれば見た後での見る事ををおすすめします。

基本的なストーリーはファンタジー。
学園都市と呼ばれる超能力開発のための都市、
そんな都市で7人しか居ないレベル5の1人「御坂美琴」を中心とし、
学園都市の事件を解決していくというところからストーリーが始まる

見だして感じるのはテンポの良さとキャラ描写の良さだろう。
1話から「とある魔術の禁書目録」を見ていない人でも分かりやすいように
キャラ紹介的なストーリーを展開すると同時に事件が発生し、
それぞれのキャラがそれぞれの立場で活躍し事件を解決する。

「とある魔術の禁書目録」は設定やキャラ数の多さゆえにわかりづらい部分が多く
話が進めば進むほど所見お断りな風潮になっていっているが、
この作品はスピンオフだけにキャラクター数が限られており、
キャラクター同士の関係性やいわゆる設定がわかりやすい「科学側」のストーリーなため
ストーリーがすっきりしている。

序盤から「能力者」を中心に話が進む。
各話で違う能力者が何らかの事件を起こし、その事件を4人の登場人物が解決する
彼らの動機は劣等感からくる行動だったり、いじめからくる報復だったり。
不安定な少年少女という年代の能力者だからこそ自らの力を悪用し事件を起こす。

そんな事件を4人の登場人物がそれぞれの立場で動く。
レベル5という高い能力を持つ「御坂美琴」、レベル4のテレポート能力持つ「黒子」
レベル1の能力しか無いがサポートにたける「初春飾利」、
そして何の能力も持たない「佐天涙子」。
この4人がそれぞれの立場でしっかりしたキャラクター描写をしつつ
事件を解決するストーリーが序盤からテンポよく進む。

テンポよく進む中で戦闘シーンも魅せる。
「御坂美琴」の電撃の能力や「黒子」のテレポートを駆使しした戦闘シーンは
躍動感にあふれており、タイプの違う敵との戦闘シーンなだけにワンパターンにならず
しっかりと序盤から見応えのある戦闘シーンになっている

特に「黒子」の過剰とも言える「御坂美琴」への愛情は笑えるシーンだ(笑)
彼女はパンツをかぶって御坂美琴に襲い掛かるほど彼女を愛しており、
愛してるがゆえの変態的行動は思わず笑ってしまう。

そんな中でゆっくりと「伏線」を張り巡らせる。
それは学生たちの間で流行っている都市伝説だったり、
佐天涙子のレベル0という劣等感だったり、
2クールというストーリー構成だからこそ出来るゆっくりと着実に進むストーリー構成だ。

特に1クール、13話までのストーリー構成は逸脱だ。
序盤から丁寧にキャラクター描写をしつつ伏線を張り巡らせ、
4人のメインキャラクターにしっかりと感情移入させつつ「学園都市」の設定を解説する。
その中で能力の上がる「レベルアッパー」の存在が明らかになり、
レベル0の佐天涙子の周りが優秀が故の劣等感から来る行動は
キャラクター描写がしっかりしているからこそ「佐天涙子」というキャラに感情移入できる
感情移入できるがゆえに、佐天涙子の行動には同情にも似た何かを彷彿とさせる。

彼女は自分自身の行動をすぐに悔やむ。
誘惑に負けレベルアッパーを使い、目の前で友人が倒れ自らも意識を失う。
「能力のない自分」を欠陥品と自ら蔑む。
そんな彼女に対し「初春飾利」が励まし、彼女の行動で自らを見つめなおす「御坂美琴」だったり
キャラクターの行動に対し他のキャラキターが影響を受け、行動を起こし成長する。

更に設定もきちんと練られている。
序盤の肝である「レベルアッパー」の仕組みがきちんとしており、
なぜ能力のレベルが上がるのかが科学的にきちんと論理付けられ納得することが出来る。
きちんと練られた設定の上でストーリーが進み、そこに魅力的なキャラクターが絡むことで
魅力的かつすっきりと面白いストーリーを展開している

しかしながら中盤以降ダレる。
せっかく前半から中盤までテンポよく物語を展開し、キャラクター描写も光っていたのだが
中盤からアニメオリジナルの話に変わり急激にテンポが悪くなる。
内容自体も明らかに「アニメオリジナルです!」と分かるほど
序盤から中盤までの内容との違和感を感じる

その原因はメインの4人とは関係のないサブキャラが中心の話だからだろう。
もちろん4人が事件解決にむけて動くスタイルは変わらないのだが、
サブキャラが主軸となってしまうため物語のおもしろみがブレてしまう。
序盤から中盤までがキャラを深めつつ伏線をしくという展開に対して
中盤からは短篇集を繋いだような感じになってしまっている

しかしながら終盤で盛り返す。
序盤から中盤までの「レベルアッパー事件」のその後のような話だが、
序盤から中盤までの面白さを取り戻すように王道ではあるものの伏線を張りつつ
「熱い展開」を繰り広げる。

特に小物ではあるものの「悪者」として凄まじい顔芸を見せつける敵キャラは
最初から分かりやすく「あ、こいつ敵だ」と登場するキャラであるものの
その変貌ぶりや下衆ぶりが際立ち敵としてのキャラ立ちが素晴らしい(笑)

更にキャラ描写も光る。特にレベル0の佐天涙子の活躍ぶりは素晴らしい。
彼女は能力レベル0でありながらバッドを片手に戦闘に参加する
そんな彼女の姿は彼女の成長を感じると同時にキャラクターとしての魅力が120%出ている。
そして「能力がないからこそ」の彼女の行動は
それまでの彼女の描写があったからこそ最大に盛り上がるシーンだ。

そして戦闘シーン。
特に最終話の戦闘シーンの描写は素晴らしく、
カーレースを繰り広げながら激しいアクションを繰り返し、
「とある科学の超電磁砲」にふさわしい「レールガン」の描写は迫力抜群だ。

全体的に見てスピンオフ作品として本編を超える面白さのある作品だ。
2クールという長さ故に途中オリジナルストーリーを入れすぎてダレてしまう展開もあり
またスピンオフであるがゆえに本編を見ていないと面白さを感じられない部分など欠点はあるものの
「学園都市」と「超能力」という2つの設定を活かした練られたストーリーは素直に面白く、
そこに魅力的なキャラクターがいることで作品としての完成度高めていた。

2クールで続編がなくともすっきりと物語を締めているのは好感が持てると同時に
それだけに中盤のダレがもったいないと感じてしまう作品だ。
更に言えば「狙った」シーンも多いだけにそういった要素が嫌いな方は受け付けないだろう
キャラ萌え的な部分もスピンオフ作品なだけに多い。
作品全体として面白いと感じる部分が多いのだが、所々で詰めの甘さを感じてしまう作品だった。

前半だけなら文句なしに高い評価ができたのだが・・・
色々と惜しい作品でした。