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異世界ヨスガノソラ(偽)「マジック・メイカー ~異世界魔法の作り方~ 」レビュー

マジック・メイカー ~異世界魔法の作り方~ ファンタジー
©鏑木カヅキ/MFブックス/マジック・メイカー製作委員会
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評価 ★★☆☆☆(27点) 全12話

TVアニメ『マジック・メイカー ~異世界魔法の作り方~』メインPV第1弾【2025年1月より放送開始!】

あらすじ なろうサイトで人気の原作!3,300万PVを誇る原作が、小説・漫画・そしてアニメへ!【鑑定】することしかできない最弱職で不遇職の【鑑定士】アイン。 引用- Wikipedia

異世界ヨスガノソラ(偽)

原作は小説家になろうで連載されている作品。
監督は古賀一臣 、制作はスタジオディーン

概念

主人公は下級貴族の息子として生まれている。
一人の姉がおり、しっかりした彼は「こっそり」と
裏庭で「ファイヤーボール」と叫んだりしている。
この世界には魔物もいて、妖精もいる。

だが、この世界に「魔法」はない。
非常に珍しい作品だ、異世界もの、小説家になろう原作の作品で
異世界を舞台にしていて「魔法」というものが存在しないというのは驚愕の設定だ。

魔法という概念自体が確認されていない。
そんな世界で主人公だけが魔法を使えてチートでヒャッハー!なら
いつものなろう系作品ではあるものの、
この作品は主人公も魔法が使えず、チートな能力もない。

そんな世界で主人公の姉はとある現象を目にする。
湖から光の玉が浮き上がる、摩訶不思議な現象だ。
その光の玉は大人にも見えず、
子供にも見えること見えない子がいるうえに見え方も違う。

なにもない場所から光を生み出す、この現象は「魔法」ではないのか。
二人はその日以来、魔法の研究に勤しむことになる。
魔法の概念もない世界で、魔法を作り上げようとする。
シンプルに物語の行く末が気になる作品だ。

検証

主人公は必死に光の玉を検証しようとする。
湖のなかの何が光の玉を生み出しているのか。
1つ1つ検証しながら答えにたどり着く。それは「感情」だ。
湖の中にいる魚たち、オスとメスの肴が近寄る際の
「求愛行動」、恋愛感情という強い感情が光の玉を生んでいる。

これだけなら、そういう光を出す魚がいるというだけで魔法とはいえない。
だが、検証の中で二人はたどり着く。
姉の弟に対する思い、弟の姉に対する思い、
それは「血の絆」を超えた恋愛感情だ。

異世界でも姉と弟では結婚することはできない。
それでもずっと姉のそばにいると主人公が宣言した瞬間に
「光」が主人公の中から溢れ出す。
この世界において求愛行動、恋愛感情、
強い感情が魔法の源を生み出すことを主人公は突き止める。

転生

2話になると主人公の前世が描かれる。
主人公はかなり痛いオタクであり、30歳まで童貞を貫くと
魔法使いになれるという噂を信じており、
実際にそれを検証しているものの、魔法は使えなかった。
彼にとってつまらない人生は唐突に終りを迎え、異世界へと転生している。

現実ではありえない魔法の存在、
そんな存在の手がかりを彼は異世界で見つける。
前世からの願いである「魔法」に彼は執着し、技術も概念も存在しない
異世界で魔法を作り上げようとしている。

ただ魔法名を唱えるだけで魔法が使えるわけじゃない。
なろう系ではご都合主義で片付けられる技術体系の
根本からこの作品は描こうとしている。

彼が唯一掴んだ手がかりは姉への告白だ(笑)
姉に求愛行動をすれば魔法のような現象が起こる、
そんな求愛行動に姉も本気であり、主人公も本気だ。

この時点で多くの人が頭にとある作品を浮かべ始める。
「ヨスガノソラ」だ(笑)
ファンタジーではないものの、ヨスガノソラは
姉と弟の恋愛を描き、そして玄関でパコパコするという
とんでもないシーンを見せてくれた作品だった。

血の繋がりのある姉弟の恋愛を異世界という舞台で描く。
それが同時に「魔法」という概念につながっている。
作品の根本にある設定が非常に面白い作品だ。

ゴブリン

魔法という概念のない世界ではあるが、魔物や妖精は存在する。
魔法さえあれば雑魚敵にしか過ぎない
「ゴブリン」でさえ、この世界の人達にとっては脅威だ。
そんなゴブリンが主人公の前に現れる。
家族を守りたい、そんな「強い感情」が「強い魔力」を生み出す。

必死に、がむしゃらに、愛する人を守りたいという感情が魔法を生み出す。
だが、魔法の概念がない世界においては主人公の力や知識は脅威だ。
医療概念ですらこの世界は遅れている。
しかし、そんな概念すら無い「魔法」を主人公の父は信じてくれる。

同時に魔法という概念の危険性を主人公の父は訴えかけてくる。
この作品の大人はきちんと大人だ。
子供を守り、子供の背中をおしてくれる。
ストーリーとしては地味ではあるものの、堅実なストーリーが描かれている。

トライ&エラー

ただその一方で作画はあまりにも残念だ。
制作のスタジオディーンはもともと作画のクォリティが高い制作会社ではないが、
この作品は久しぶりの単独元請けということもあってか、露骨に作画が悪い。
戦闘シーンもちょこちょことあるのに、作画のクォリティの低さのせいで
常に作画崩壊ギリギリのアニメーションをみせられる。

ストーリー的にも、かなり地味ではある。
序盤にはゴブリンの襲撃というイベントがあったが、
それ以外だとひたすらトライ&エラーで魔法の研究と検証を重ねている。
魔力を体から切り離し、火打ち石を使うことでファイアーボール的なもの
生み出すなど、内容としては面白いのだが地味だ。

話が進むとどんどんと姉のブラコン度も上がっていくのだが、
ヨスガノソラほど過激な展開があるわけでも当然無い(笑)
魔法の研究が進むことで、異世界の物質を使い
魔道具的なものを作り上げたりもするが、ひたすら地味だ。

ヨスガノソラ(偽)

血の繋がりのある姉弟愛ということでニコニコ動画などでは
異世界ヨスガなどのタグ付けがされたのだが、中盤で裏切られる。
実は主人公と姉には血の繋がりはなく、
主人公の両親は別にいることが中盤で明らかになる。

とんでもないヨスガノソラ詐欺だ。
血の繋がりのある男女の恋愛だからこそ盛り上がるのに、
血の繋がりがない男女の恋愛は普通だ。

勝手に期待したこちらが悪い部分はあるものの、
序盤でヨスガノソラ的な展開を期待しただけに残念だ。

序盤から中盤までは魔法のトライアンドエラーが続くのだが、
中盤をすぎると「怠惰病」という意識もなくぼーっとする病に
姉がかかってしまう。
治療のやり方もわからず、原因もわからない、不治の病だ。

魔力を持つものにしか見えない魔物も現れ、
不治の病にかかる住民も増えていく。
主人公は姉を救うためにも病の研究を始める。
魔法と病と研究対象は違ってもやってることは
同じトライアンドエラーで淡々としている。

1年以上の月日があっという間に経過するが、
それでも解決策は見いだせない。
2年の月日が経っても解決しない。
そんな中で姉が病に倒れた夜と同じく空が赤く染まる現象がおこり、
レイスという魔物も現れ、「魔族」も現れる。

魔族

魔族の存在は圧倒的だ。
多くのなろう系作品の場合、魔族など雑魚でしかないが、
この作品の世界ではきちんと「脅威」だ。
主人公以上の魔力を持ち、魔法の技術を持っており、
人間にあだ名す存在、それが魔族だ。

主人公も、主人公の父や知り合いも叶わない。
魔法ではなく「魔術」を使う敵は圧倒的だ。
そんな中でも、わずかな勝機を見出し、
自らが生み出した「魔法」で原初たる「魔術」に立ち向かう。

決してご都合主義ではない、きちんとこの世界における魔法というものを
理論立てて1クール描いてきたからこそ、
魔族に勝利する展開も納得できるものになっている。

1000年前に封印された魔族という存在、
そして主人公の出生に関する謎が明らかになり、
姉の病も治り、旅立つことになる。
1クールではあくまで序章であり、色々と気になることが多いところで
終わっているのは残念ではあるものの、区切りとしては悪くない作品だった。

総評:まさかの大裏切り

全体的に見て予想とだいぶ違った作品だ。
魔法という概念のない世界で、強い感情や恋愛感情が魔力の源になることに
気づいた主人公が姉とともに魔法の研究をする。
その中でもっと姉弟愛にフィーチャーした内容になり、
ヨスガノソラ的な手内になるのかと思えば、あっさり血の繋がりがないことが分かる。

ヨスガノソラ的な展開を期待しているとがっかりする部分であり、
前半は魔法、後半は病の研究とやってることが似たような
トライアンドエラーの繰り返しでテンポの悪さはかなり致命的だ。

魔法の概念がない世界で魔法を作り上げる。
それ自体は面白いのだが、結局は主人公が特別な存在であることが
明らかになったりと、拍子抜けする部分も多い。
作画の悪さも致命的であり、作画崩壊スレスレなアニメーションは
かなり厳しいものがあり、戦闘シーンでさえ止め絵の連続だ。

テンポと作画さえもう少しよかったら、
この作品の面白さを素直に感じられたかもしれないだけに
残念なところだ。

個人的な感想:きらいじゃない

なろう系らしい部分が異世界転生という要素くらいで、
あとはチートもなく、ご都合主義もあまり目立たず、
テンポは遅いが堅実にストーリーが描かれている。

物語的にここからいろいろな謎が明らかになっていきそうなところで
終わっており、先の展開が気になるところだが、
コミカライズが打ち切りなのは非常に残念だ。

せっかくアニメ化されたのに原作のコミカライズは2023年で打ち切らり、
アニメ化に合わせて原作小説が4年ぶりに3巻目を出したりと、
商業的な展開もやる気があるんだか無いんだかわからない感じなのも
気になる作品だ。

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