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なろう界の孫悟空「英雄王、武を極めるため転生す 〜そして、世界最強の見習い騎士♀〜」レビュー

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評価 ★★★☆☆(40点) 全12話

【TVアニメ】『英雄王、武を極めるため転生す』PV第1弾

あらすじ女神アリスティアの加護を受け、神の力を操る神騎士として巨大な国を打ち立て、国の為に生涯をささげた英雄王・イングリスは、老衰によってその生を終えようとしていた 引用- Wikipedia

なろう界の孫悟空

原作は小説家になろうで連載されているライトノベル作品。
監督は葛谷直行、制作はスタジオコメット

転生

この作品の原作は小説家になろうで連載されている作品だ、
なろうといえば転生転移があたりまえで、
地球から中世ヨーロッパな世界に転生してチートな能力を得て
やりたい放題をするような作品が多い。

しかし、この作品の場合、主人公は転生前からファンタジー世界の住人であり、
英雄王と呼ばれた彼は国に仕え、国のために、国王として国を発展させていた。
そんな彼の人生が終わる瞬間に女神が現れ、彼は転生することになる。
「女の子」に(笑)

中身はおじいさんな英雄王、見た目は少女。
ある種のTS的な設定をはらみつつ、物語が始まる。
1話は非常にわかりやすく世界観を説明している。

この世界にある「エーテル」という魔力的な要素、
そんなエーテルを操る能力に長けた主人公は
赤ん坊でありながら「目からビーム」を放てる(笑)
そんな赤ん坊の頃からチートな彼、いや、彼女では有るものの、
同じ世界に転生したはずなのに前世にはなかったものが有る。

「魔石獣」という人類の脅威となる存在、
そんな「魔石獣」に挑むための人類の武器であるルーン、
なぜか感じない女神の存在と1話から色々な伏線をばらまきつつ、
主人公のチート感をきちんとみせている。

作画のクォリティ自体はそこまで高くはなく、
止め絵とアップは多いものの、要所要所の作画をきちんとみせることで、
戦闘シーンで見せるべき部分をみせ、
テンポよくストーリーを展開している印象だ。

無印

色々ななろう作品にある「刻印」要素もこの作品には有る。
だが、主人公は規格外だ、彼が転生した後の世界では
「マナ」を操ることが当たり前だが、
彼は転生前の知識で「エーテル」という別のものを操っている。

他のなろうなら手に浮かぶ紋章によって色々有るが、
失格紋だのなんだのといった要素を完全無視だ(笑)
そんな子供時代から一気に時系列がすすみ、
あっという間に12歳の少女になる。

前世の気質は変わらず、彼女は「戦闘狂」だ。
強い相手と戦いたい、強い魔獣と戦いたい。
彼女の今生での望みはそれだけであり、
前世の知識、前世での経験を活かしつつ強者に挑む
わかりやすい物語の目的だ。

そんな彼女も知り得ない事実がある。
彼が仕えた国はすでになくなっており、本にも載っておらず、
「ハイランダー」という空に住む人種も存在している。
ハイランダーによる技術提供という名のアーティファクトのお陰で
魔石獣を倒すことができているが、同時に支配と隷属という関係もはびこっている。

それがストーリーの謎になっており、
ハイランダーに頭を垂れるものもいれば、歯向かおうとするものもいる。
主人公はそのどちらにも属さず、ただひたすら
「強者」と戦うことが彼女の目的だ。
わかりやすい戦闘狂な主人公だからこそ、ストーリーもどストレートだ。

どことなく「ドラゴンボール」の孫悟空を意識した
キャラクター作りをしているのか、
ご飯を食べるシーンなども、どことなく孫悟空を彷彿とさせるほどの
爆食いだ。
中盤では「高重力」の状況で訓練するなど、あからさまに
ドラゴンボールを意識していることがわかる。

強敵

そんな戦闘狂の彼女であるがゆえに毎話強敵と戦っている。
ハイランダーに支配、統治されている世界で、
それぞれのキャラが己の正義や欲望のために動いているが、
主人公は我関せず、強敵と戦うために戦っている。

チート級な力を持っているものの、
チート過ぎないのがこの作品のいいところだ。
きちんと戦闘中に彼女は傷つき、苦戦しながらも、
その状況を楽しみ戦いに興じている。

戦闘狂では有るものの、従姉妹な幼馴染を守ることだけは
彼女は優先しており、戦闘狂と彼女思いなことのバランスが
上手くストーリーの中で取れている。

ストーリー自体はかなりシンプルであり、
世界の謎に迫りながら、戦闘狂な彼女が戦いに興じつつ、
旅をしたり、学園に通ったりしながら多くのものに出会っていく。
ただ、中盤くらいから露骨に作画のレベルが落ちてしまうのは
やや気になるところだ。

話自体も主人公の転生前の世界と、転生後の世界の常識が
なぜここまで違うのかなどは1クールでは明かされず、
ハイランダーと地上の民との関係性もかなりややこしいものがある。
敵である魔石獣も意図的に生み出されてる部分はわかるのだが、
主人公の戦闘狂な性格とは裏腹に話自体は複雑だ。

終盤

終盤も状況はかなり大混雑している。
ハイランダー、そんなハイランダーの支配を受けつつも国を守るもの、
ハイランダーの支配に反抗するもの、魔石獣を生み出す存在、
学園のもの、主人公と、様々な組織の様々な思惑を持つキャラが
同時に同じ場所に存在して、それぞれが戦っている。

そんな中で魔石獣を生み出していた存在である「リップル」が
眠っていたかと思えば起きて、起きたかと思えば
よくわからないうちに「武器化」したかと思えば、
主人公が介入して武器化から元に戻る。

かなりバタバタした混迷した状況であり、
最後までこの主人公の設定の割には複雑なストーリーが
やや足を引っ張っていたような感覚だ。

魔石獣に仲間が取り込まれていても、かまわず攻撃しつつ、
最後はかめはめ波的な技で倒す流れなど、
爽快感の有るドラゴンボールっぽさのある作品ではあったものの、
ストーリー的には序章で終わってしまったのは残念なところだ。

総評:私より強い奴に会いに行く

全体的に見て主人公の竹を割ったような真っ直ぐな性格と、
戦闘狂な部分が際立っている作品だった。
前世とは違う状況や知らないものも増えており、
「ハイランダー」という人類を支配しようとするものもいる中で、
主人公は我関せず、ただただ強いやつと戦いたいだけだ。

ドラゴンボールの孫悟空のようなわかりやすい性格をしており、
意識的にドラゴンボール的な要素を取り込んでいる。
かめはめ波的な技だったり、基本的に肉弾戦だったり、
重力を用いた修行だったり、大飯ぐらいだったりと、
「なろう界」の孫悟空的なものを目指しているのはわかる。

ただ、その反面、ややストーリーが複雑だ。
魔石獣とはなんなのか、主人公の前世と転生した世界で
どうしてここまで色々と状況が変わってしまったのかなど、
物語の根本的な謎はほとんど明かされず、
ストーリー的に序章で終わってしまってる。

作画に関しても、作品全体てかなり低予算なことが伝わる。
要所要所の作画は気合が入っていたものの、
中盤以降は明らかに違和感を感じる作画のレベルの低さがあり、
作画のクォリティのばらつきが酷い作品だ。

主人公にあまり不快感がなくまっすぐな性格ゆえに、
数多のなろう作品における「不快感」を感じない作品では有るものの、
ストーリー的な面白さが出てくる前に終わってしまった感じもあり、
ややもったいなさを感じる作品だった。

個人的な感想:まっすぐ

序盤はこのドラゴンボール的なわかりやすい
ストーリーを楽しみつつ、キャラが増えてワチャワチャしてる感じが
悪くなかったのだが、話が進むごとに色々と複雑になっていき、
最終話はかなりごちゃごちゃしていた印象だ。

序盤からの謎がもう少し明らかに慣れば話に集中できたかもしれないが、
その謎を引っ張ってしまったために、面白さを感じる前に
飽きが生まれていた印象だ。
ストーリー展開自体は早くテンポも悪くなかっただけに、
2クールくらいアレばこの作品らしい面白みをもう少し感じられたかもしれない。

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