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振り返り地獄「転生したらドラゴンの卵だった~最強以外目指さねぇ~」アニメレビュー

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転生したらドラゴンの卵だった~最強以外目指さねぇ~ ファンタジーアニメ一覧
画像引用元:©猫子・NAJI柳田/SQUARE ENIX・ドラたま製作委員会
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オタク歴25年、アニメレビュー歴13年、YouTube登録者11万人。 個人的な視点で語るアニメ批評です。

評価 ★★☆☆☆(23点) 全12話

TVアニメ『転生したらドラゴンの卵だった』メインPV/2026年1月10日(土)放送開始

あらすじ 目が覚めると、そこは見知らぬ森だった。どうやらここは俺の知らないファンタジー世界らしい。周囲を見渡せば、おっかない異形の魔獣だらけ。 引用- Wikipedia

振り返り地獄

原作は小説家になろうで連載していた小説作品。
監督は高村雄太、制作は画狂、FelixFilm。

親の顔より見た

1話冒頭、もう何億回と見た光景が目の前に広がっている。

主人公は唐突に異世界へ転生しており、
そこにはおなじみの「ステータス画面」が広がっている。
謎の声、いわゆる神の声が主人公には聞こえており、
主人公はドラゴンの「卵」に転生していた。

というところから物語が始まる。

この時点で、あまりにも見覚えがありすぎる。
異世界転生、ステータス画面、神の声、スキル、進化。
親の顔より見た、とまでは言わないが、
なろう系を見てきた人なら、もはや親の顔くらいには見ている光景だ。

転生したら異種族。
色々なことをしてスキルをゲットして、
どんどん強くなり、進化していく。

この説明を聞くだけで「はいはい」と思ってしまう人も多いだろう。
実際、序盤はまさにそんな「はいはい」と言いたくなるような作品だ。

少しでも行動すればスキルをゲットし、
落下するだけで落下耐性を得て、
転がれば転がるスキルが上がる。

スライムだのゴブリンだの蜘蛛だの剣だの自動販売機だの、
この手のなろう系では、さまざまなものに主人公が転生してきた。
その中で、この作品の場合は「ドラゴンの卵」だ。

そこに一応の特徴はある。
問題は、その特徴を作品自身があまりにも早く手放してしまうところだ。

本来、卵は親に守られているものだ。

だが、主人公には親というべき存在がいない。
なぜか転生し、意識を取り戻した瞬間に、
主人公という名の卵だけがぽつんとそこにある。

あちこちに魔物がいるなかで、
卵を割られずに経験値を得て、レベルを上げなければいけない。
この危機的状況こそ、本来ならこの作品最大の個性になるはずだった。

動けない。弱い。割れたら終わり。
それでも生き延びなければいけない。
「ドラゴンの卵」というタイトルから期待する面白さは、
まさにこの部分にあるはずだ。

しかし、その状況はいとも容易く打破される。
主人公は卵の状態で転がり続け、
魔物を倒すことに成功し、レベルが上がり、
あっさりと進化する。

タイトルにもなっている「卵」の段階は、わずか10分ほどしかない。
あっけなくベビードラゴンへと進化してしまう。
この手の異種族転生作品は、
「スライム」や「ゴブリン」といった最弱の魔物だったり、
剣や自動販売機といった無機物だからこその面白さがある。

できることが限られているからこそ工夫が生まれる。
弱いからこそ成長に意味が出る。
不自由だからこそ、その世界でどう生き延びるのかが面白くなる。

しかし、この作品にはそれがあまりない。
卵状態がもう少し長く続けば話は違ったかもしれない。
転がることしかできない卵が、
どう知恵を使い、どう魔物から逃れ、どう成長していくのか。
そこを丁寧に描けば、それだけで1つの個性になったはずだ。

だが、わずか10分ほどで卵から孵り、
ドラゴンになって、どんどん強くなっていく。
この時点で、作品最大の個性を自分から投げ捨ててしまっている。

強敵

そもそも主人公の前世が人間だったかもわからない。

彼は前世の記憶がなく、
自分が男か女か、人間だったのかすらわからない。
ただ、意識や倫理観は人間に近く、
自分が魔物として生まれたことに戸惑いながらも、
人間との接触を求めようとする。

序盤で主人公は人間とコンタクトしようとして失敗してしまい、
そこをヒロインに助けられる。
だが、そこに強敵のドラゴンが現れる。
このドラゴンに、主人公は大苦戦する。
というより、この作品の主人公は基本的にずっと大苦戦している。

人間とは相容れない。
かといって、魔物と仲良くできるわけでもない。
どちらの世界にも属せない存在として、
主人公はただ生き延びるために戦い続ける。

強敵との苦戦の中で失われる命もある。
もっと強ければ助けられた命もあったかもしれない。
だから主人公は強さを求めるようになる。

この流れ自体は自然で、悪くない。

最強を目指す理由も、
ただ「チートで無双したい」ではなく、
自分の無力さや後悔から生まれている。
ここには作品としての芯がある。

問題は、その強くなる過程の見せ方だ。

選択肢

進化した後、レベルが最大まで上がるとさらに進化することができる。

進化先はいくつかの選択肢に分かれている。
だが、この選択肢にあまり意味がない。

いくつかの進化先を提示されても、
それが後から明確に失敗だったと描かれるわけではない。
一度選んだ選択肢を退化して選び直すわけでもない。
選択によって大きく物語が分岐するわけでもない。

最初から主人公が選ぶ進化先は、作劇上ほぼ決まっている。
にもかかわらず、3つや4つの進化先を1つずつ丁寧に説明する。

進化した後も、そこで得たスキルを1つずつご丁寧に説明する。
称号の説明、スキルの説明、進化の説明。
とにかく説明、説明、説明だ。

もちろん、ステータスやスキルの説明が面白い作品もある。
それ自体がゲーム的な楽しさにつながることもある。

しかし、この作品の場合、
説明されたからといってワクワクするわけでもなく、
その選択肢に悩む面白さがあるわけでもない。
ただ淡々と情報が流れていく。

色々な魔物が現れて、
色々なスキルを使う敵と、
色々なスキルを使いながら戦い、
色々あったように見えて、あまり心に残らない。

中盤はこの繰り返しで、かなり飽きる。

途中で黒蜥蜴という仲間を得たりするものの、
だからといって物語が大きく盛り上がるわけでもない。
主人公が強くなっていることはわかる。
仲間が増えていることもわかる。

だが、面白さが増えているかと言われると微妙だ。

虚無感が凄まじい。
何かが進んでいるようで、何も刺さってこない時間が続いてしまう。

人間

終盤に差し掛かると、主人公はヒロインと再会する。

トカゲが仲間になったり、
猿たちのボスになったりしながら強くなり、
ようやくヒロインと再会し、
人の言葉を理解できるようになり、
名前までつけてもらう。

だからどうしたという話でもあるのだが、
このあたりから、ようやく作品のテーマらしきものが見えてくる。

この1クールの中で描かれているのは、
主人公と人間との関係性だ。

主人公が選択した進化は疫病竜。
人に災いをもたらす存在であり、
人間から見れば恐れられ、嫌われるべき魔物だ。

だが、主人公は人間との交流の可能性を捨てきれない。
人化の術など、人と関わるための方法を模索している。
魔物の仲間が増えていく一方で、
彼の心はどこか人間側に残り続けている。

この世界において、魔物は基本的に敵だ。
人間と仲良く暮らせる存在ではない。
特に主人公が選んだ進化先は
「疫病」という名前がつくほどの存在であり、
人から偏見を受ける存在だ。

それでも、彼が助けたヒロインを通して、
村人の偏見が少しずつなくなっていく。

「人間たちを守り助ける」

前世がおそらく人間だからこそ、
主人公は心だけでも人間であろうとする。
だからこそ人を殺せない。人を守りたい。
そのために強くなる。

だが、そのためには「人を食う」しかない。
多くの人を守るために、一人を犠牲にする。
人間を守りたいのに、人間を喰らわなければならない。
人間に認められたいのに、人間から恐れられる竜になっていく。

この矛盾をはらんだ葛藤自体は、正直悪くない。
むしろ、ここだけ見ればかなり面白くなりそうな要素がある。
主人公が「人間の味方でありたい魔物」として、
どう世界と向き合うのか。
恐れられる存在として、どう人を守るのか。

ここにはちゃんとドラマがある。

ただ、そこに至るまでが厳しすぎる。
ようやく面白そうな話が始まったと思ったころには、
もう1クールの終盤だ。

エンジンがかかるまでが遅すぎる作品だ。

振り返り

そして、この作品でどうしても気になるのが振り返りの長さだ。

序盤から各話の冒頭で、
「前回の話」の終盤部分、いわゆる振り返りが差し込まれている。
これ自体はよくある手法だ。

前回の内容を思い出させるため、
話の流れを整理するため、
毎週放送のアニメでは珍しいことではない。

だが、この作品の場合、
その振り返りが話が進めば進むほど長くなる。
特に終盤はそれが顕著だ。

10話など「3分半」も振り返っている。

まるで平成のドラゴンボールアニメでも見ているかのような、
強烈な尺稼ぎだ。
1クールという限られた尺の中で、
この振り返りの長さはかなり痛い。

終盤は毎話、2分から3分の振り返りがあり、
全部合わせたら1話分くらいの尺になる。
流石にやり過ぎだろう。

1クールで区切りのいいところまで話を進めるために、
尺調整が必要だったのかもしれない。
だが、それならば日常回やアニオリの補完エピソードを入れるなど、
別のやり方もあったはずだ。

黒蜥蜴との関係性を深める話でもいい。
ヒロインとの再会に向けた積み重ねでもいい。
人間と魔物の関係性を掘り下げる話でもいい。

振り返りで尺を埋めるくらいなら、
作品の魅力につながる補完をしてほしかった。

引き伸ばした割には、1クールの区切りとしても
半端なところで終わっており、
見せ方次第では面白くなりそうな部分まで、
台無しにしてしまっている印象が強い。

総評:ドラゴンボールを超えてゆけ

全体的に見て、かなり微妙な作品だ。
タイトルにもあるドラゴンの卵状態は10分ほどで終わり、
あとはレベル上げと進化を繰り返していく。
本来なら最大の個性になるはずだった「卵」という要素を、
序盤であっさり消費してしまったのは本当にもったいない。

中盤は進化、スキル、称号、戦闘の繰り返しで、
ゲーム的な成長の面白さを狙っているのはわかるのだが、
その説明や戦闘があまり刺さらず、
どうしても単調に感じてしまう。

一方で、終盤に入ってからの展開には光る部分もある。
人間を守るために人間を喰らい、
人間に嫌われる存在になっていく。
人間でありたい心を持ちながら、
魔物として生きなければならない。

この葛藤自体はかなり面白い。

だからこそ、そこに至るまでのグダグダした構成が惜しい。
序盤から中盤にかけて、もっとテンポよく話を進めていれば、
あるいは卵状態の面白さをもっと活かしていれば、
印象はかなり変わっていたかもしれない。

そして、何より気になるのは振り返りの長さだ。

前回のあらすじや振り返りは「ドラゴンボールZ」などでも
おなじみの尺調整ではある。
だが、ドラゴンボールZでも前回のあらすじは3分ほどだ。
この作品は3分半振り返っている回がある。

悪い意味でドラゴンボールを超えてしまっている。

作画は悪くない。
ストーリーにも光る部分はある。
ここから面白くなりそうだな、というところで終わってしまったのは
残念でならない。

もう少し序盤のグダグダした部分をすっ飛ばして、
先の展開まで描かれていれば、違った作品になっていたかもしれない。

ドラゴンの卵という題材。
人間でありたい魔物という葛藤。
恐れられる竜として人を守るという矛盾。

素材自体は決して悪くない。
ただ、その料理の仕方があまりにも悠長だった。

個人的な感想:2015年

この作品の原作は2015年頃から始まっており、
なろう系の中でも古い方の作品だ。

そういった作品がようやくアニメ化されても、
すでに後続の作品を含めて、数多のなろう系作品がアニメ化されている。
そのため、古い作品だからこそ、余計に新鮮さを感じにくい。

当時は「転生したらスライムだった件」など、
この手の異種族転生作品が盛り上がっていた時期だったのかもしれない。
その時代に読めば、また違った印象だった可能性はある。

だが、10年も経てば状況は変わる。

異世界転生、ステータス、スキル、進化、魔物転生。
そういった要素は、もはや珍しいものではなくなってしまった。
今アニメとして見ると、どうしても既視感の方が勝ってしまう。

色々と時期が悪かった作品なのかもしれない。

もう少し早ければ、いろいろな波に乗れた可能性もある。
そして、もう少し構成が上手ければ、
終盤の面白さまでしっかり届いた可能性もある。

だからこそ、ただつまらない作品というより、
もったいない作品だったという印象が強い作品だった。

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