「千銃士」レビュー

評価 ☆☆☆☆☆(5点) 全12話

あらすじ引用- Wikipedia

ソシャゲ原作のアニメはなぜに同じ間違いを犯すのか

原作はマーベラスによるソーシャルゲーム。
監督はカサヰケンイチ、制作はTMS/だぶるいーぐる

壮大な設定と違和感のある設定


引用元:©アニメ『千銃士』製作委員会

この作品の世界では戦争が多発し人類が疲弊した結果、
人類が「世界政府」にすべての武器を集めたという世界観だ。
しかし、世界政府に全ての武器を集めてしまったことで、
世界政府が圧政を敷いている。
この時点でなんで一箇所に集めてしまうんだと突っ込みたくなる。

世界政府に抵抗するためのレジスタンスもいる。
その中で「マスター」は美術館に展示されている銃を人の姿で
「貴銃士」として目覚めさせている。この「貴銃士」という設定も厄介だ。
銃の擬人化というだけならば珍しくもない設定なのだが、
この作品は「〇〇が愛用してきた」という設定も追加される。

火縄銃だけでも3人も居て、それぞれ徳川家康や伊達政宗が
愛用していたという設定もあるのだが、もととなった銃の要素や
デザインを感じられるようなキャラクターにはなっていない。
ナポレオンというキャラなどナポレオンが愛用していたというだけで、
ナポレオン的な発言や行動をする。

もはや銃の擬人化なのか歴史上の人物の擬人化なのか謎だ。
「擬人化」という要素をうまく使いこなせていない。

総キャラ数34人


引用元:©アニメ『千銃士』製作委員会

ソーシャルゲームや乙女ゲー原作の作品の場合、
本来プレイヤーとなる人物をアニメ化でどう処理するかが問題になってくる。
原作では一言もしゃべらない主人公というキャラクターを
作品の中でどう生かすかがポイントだ。
しかし、この作品の場合、出さない(苦笑)

コレ自体はよくある手法だ。
最銃を目覚めさせた影響で「寝込んでいる」という設定にしており、
徹底的に姿は描写しないが、「貴銃士」たちは彼or彼女のために
必死になって行動してたりする。

更に多すぎるキャラクター。
1クールという少ない尺の中に、この作品は34人もぶち込んでいる。
当然、尺が足らない。9話になっても新キャラが3人も出てきて、
そのキャラクターを掘り下げる話を描いており、新しいキャラが
出て他のキャラの話が描かれるほど他のキャラの存在感が薄くなる。

34人のキャラが出ても、中心となるキャラがきちんと居て、
背後に映るくらいのキャラも居るならば問題ないが、
名前までご丁寧にテロップで出して登場させるため、
尺が全く足りていない。

単純計算で1話20分として全12話で240分しか尺がない。
その中で一人一人に平等に時間が与えられるとしても
一人あたりを描写できる時間は7分ほどしかない。
たった7分ではどうしようもなく、再登場しても誰だっけ?となる
キャラクターがあまりにも多い。

酷すぎる作画


引用元:©アニメ『千銃士』製作委員会

1話こそ安定していたのだが2話以降は急激に作画が悪くなる。
作品の設定上、戦闘シーンも多いのだが敵はコピペCGで棒立ちで
パスンパスン銃を撃っている中で、それを「絶対高貴!」という合図の元、
謎の光を帯びたキャラが打ち返すさまは何ともシュールだ。

本当に驚くほど動かない。
銃を撃ってるのに弾が出ているところや着弾する所が描かれず、
キャラが喋っているのに口が動かないシーンも多い。
「1枚絵」で声優の台詞によって状況を把握するしか無いシーンも有り、
まるでドラマCDだ。

エフェクトや演出でごまかすようなシーンも非常に多く、
なるべく「アップ」で映すことで動きをごまかしまくりだ。
キャラクターが戦闘中に「急ごうぜ!」と言っているのに
徒歩で走ってすらいないのは流石に厳しい。
作画の違和感や悪さばかりが目についてしまい、
キャラクターのかっこよさや魅力をまるで感じられない。

絶対高貴(笑)


引用元:©アニメ『千銃士』製作委員会

通常状態で人並みで役立たずな彼らだが、絶対高貴という
力を発揮できると高速に動いてリロード要らずで撃ちまくり、
互いの力を合わせると大量の銃を召喚して撃つことができる。
キャラによって絶対高貴の技に違いがアレば見どころにもなるのだが、
30人以上のキャラが居て全員同じというのは流石に設定が甘すぎる。

絶対高貴中の戦闘シーンは高速に動いてる風なのだが
作画枚数が足らなすぎてギャグのような動きにしかなっていない。
彼らが「絶対高貴!」と宣言するたびにこれからボケますよと
言われてるような気分になるほどだ。

進まないストーリー


引用元:©アニメ『千銃士』製作委員会

圧政を敷いている世界政府とそれに立ち向かうレジスタンス。
こういった構図があるのに話の規模が小さい。
食料を奪ったり、基地を襲ったりはするものの、
最後は敵が襲ってきて倒して終わりだ。

敵側にも「貴銃士」もいるのだが、本編中では全くしゃべらない。
予告編ではギャグチックに喋っているのだが、
本編中では尺の無駄と考えたのか全く喋らせないため、
敵側の事情や敵キャラの掘り下げというのがほとんどと行われない。

序盤から中盤までキャラの掘り下げに必死だからこそ、
メインとなるストーリーを進められなかったのだろう。
制作側の目的はストーリーや戦闘を楽しんでもらうことではなく、
「キャラクター」を好きになってもらってゲームをやってもらうことだからこそ、
ここまでレベルの低い作画とストーリーなのかもしれない。

最終では「絶対高貴」という力を引き出すキャラは限定的だったのに、
なぜか全キャラ絶対高貴になった展開は笑ってしまったが、
最終回だから全キャラの覚醒シーンを出しましたと言わんばかりの適当さは、
この作品らしいラストだった。

総評:なぜソシャゲ原作のアニメは同じ間違いを犯すのか


引用元:©アニメ『千銃士』製作委員会

他の多くのソシャゲ原作のアニメと同じように1話から大量のキャラを出し、
結局掘り下げきれず、キャラの印象も薄く、ストーリーの印象も薄い。
キャラクターを絞ってメインとなるキャラを決めて、しっかり掘り下げれば、
きちんと印象残りゲームのダウンロードにつながるはずなのだが、
馬鹿の1つ覚えのように大量のキャラを出す展開は正直見飽きた。

擬人化という設定もキャラデザやキャラの性格にあまりいかせているとは言えず、
イケメンなデザインと有名声優に演じさせておけば良いのだろうという
適当さも感じてしまった。
キャラソンの数も1クールで8曲というバンドアニメやアイドルアニメよりも
多い曲数なのは流石と言えるかもしれない(苦笑)

結局、ゲームやキャラソンの「宣伝」をするための作品でしかなく、
作品として面白くしようという制作側の心意気を
最後まで感じない作品だった。

個人的な感想:男なの?女なの?なんなの?


引用元:©アニメ『千銃士』製作委員会

外見は明らかに女性的で、お嬢様やマダムと言われるキャラが居るのだが、
声は男性声優が演じている。元々が銃なので性別もなにもないのかもしれないが、
見ていてすごい違和感のあるキャラクターだった。
結局、見終わって印象に残ったのはナポレオンとお嬢様とフルサトくらいで、
あとはキャラクターの絵を出されても名前を答えられる自身はない。

終盤では敵の銃が当たりまくりで、至近距離からも撃たれまくりなのに
誰一人死なないのは流石に笑ってしまった(笑)
血が出ている描写もあり、死を恐れる描写もあることから、
撃たれれば死ぬはずなのだが、まったくもって死なない。
ゴム弾か何かで戦闘していたのだろうか。

ギャグアニメ的に楽しめる部分は少なからずあるのだが、
色々と問題のある作品だった。

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